まぶらほ

管理人サンと一緒23

 

 

「、、、バカじゃないの、、、、、、」

和樹の記憶の中に探しにいった4人。

彼女達が今までいた場所を見つめながら、紫乃がつぶやく。

その顔に浮かぶのは、あざけりではなく、悲しみ。

過去にあった事を思い出し、、、

同じ事を繰り返すであろう事を想像して。

「あら、当たり前じゃないですか」

「え?」

尋崎が紫乃の方を向きながら、にこやかに言う。

予想外の言葉に、彼女は珍しく驚きの表情を浮かべる。

「バカにならなきゃ、『恋』なんて出来ないですよ」

「、、、」

「だって、『恋』をするという事は、ある意味、非効率的じゃないですか。

相手の一挙手一同に悩んで、泣いて、怒って、照れて、笑って、喜んで、、、

特にあの子達は、人前でも感情をあらわにする世代ですし、、、ね?

そんな事、バカにならなきゃ出来ないじゃないですか。

紫乃さんも、、、そういう時があったんじゃないですか?」

「なっ!私は!!!私は、、、」

尋崎の言葉に反論しようとするが、あの時、、、あの頃、、、その事を思い出し、言葉に詰まり俯く。

計算ではできない事、、、

理屈ではできない事、、、

それが『恋』

だから、、、『恋』

『恋』とは、、、感情で、するものだから。

その事を、、、想い出す。

「違いますか?」

「、、、ふん」

微笑みかける尋崎から視線をそらすように、窓の外へと顔を向ける。

「(どうなっても、、、悲しい思いをしても知らないわよ)」

心の中で、彼女達が受けると思われる悲劇を想像し、心配しながら、、、

「あの子達は、たとえ式森さんが、記憶をなくしても、人として生きている事を望むと思いますよ」

「なぜ?」

和樹の方へ向き直った尋崎が言う言葉に反応して、彼女の方を向く。

「だって、人間に戻れば、記憶がなくたって、もう一度恋が出来るじゃないですか。

それは、、、とても素晴らしい事ですから」

「、、、漫画の読みすぎよ、、、、、、」

「ふふっ、そうかもしれませんね。でも、、、」

「でも、、、?」

「希望を持つ事は、良い事ですから」

「そうね、、、なら、私は彼女達に選択肢を与えるわ。本気かどうかを知りたいから」

「良いんじゃないですか?あの子達が判断すべき事、なんでしょうから」

そして、彼女達へ『最後の試練』が降りかかる。

それは、、、未来を決める決断。

彼女達と、和樹の未来に幸あらん事を。

 

「、、、ところであなた、、、何してるの?」

「はい?式森さんに、念を送っているんです」

「、、、」

「うふふっ、私との記憶もあるといいですけど♪」

「、、、改ざんした記憶、送ってるんじゃないでしょうね?」

「、、、」

「、、、」

和樹の手を握り締めた尋崎との間に下りる沈黙。

『沈黙は肯定』という言葉があったような、、、

「え〜と、、、やります?もう片方が開いてますよ??」

「あ、あなたね、、、、、、」

あきれる紫乃であった。