まぶらほ原作Ver
思い出にはつらすぎて 〜if〜
「センチメンタルの魔法が解ける。なれて無いんだから・・・・・・あたしだって」
かすかな震え。吐息がかかる。甘い、解けるような息だ。呪縛をかけられたように、和樹は動けない。
玖里子の唇がそのまま自分の方へと、、、近づく。
2cm、、、1cm、、、そして、、、、、、
「ん、、、」
「んん、、、、、、」
唇が重なる。
二人しかいない室内。重なり合う影。それは、軽く触れるようなキス。
「く、玖里子さん」
和樹に、、、二人にとっては数十分と思われる時間。実際には1分も立っていないが、繋がった後、
玖里子は、自らはなれ、彼を抱きしめる。自分の顔がみえないように。
身じろぎして、離れようとする和樹を軽く抱きしめる。
「だめ。もう少しこのままで、、、ね?」
体全体に伝わる、柔らかくて、引き締まった感触。耳元にかかる甘い吐息。
そして、かすかに伝わる、彼女の震え。
普段見せない姿。和樹は、自分が知らない玖里子の姿を前に、たらしていた両手を彼女の体へと伸ばし、
優しく抱きしめ返す。
「和樹?」
突然の積極的な和樹の行動に驚き、声をあげる。
「玖里子さん」
「なに?」
「その、、、又、来ましょう。僕も一緒に来ますから。ね?」
彼女の背中を軽く叩く。子供をあやす様に。優しく。
「、、、うん、分かったわ。約束よ」
「はい、、、」
自分の頬を、和樹の頬に摺り寄せ、猫のように振舞う玖里子。
そのまま二人の時間が流れる中、ピンポンピンポンと玄関のチャイムが鳴った。
同時に玄関扉の開く音。
「たっだいまー、連れてきたよ」
「あとをつけててたはずなのに、道に迷うだなんて・・・・・・。凜さんが変なところ行こうとするから」
「夕菜さんの、住所を書いたメモだって間違っていたではないですか」
どたどたと三人分の足音がする。キッチンにいつもの少女達が入ってきた。
先頭の夕菜が、和樹と玖里子を見た。
「あーーーーーーーーっ!!!」
まなじりがくいっと吊り上がる。
「なに抱き合っているんです!今、なにをしようとしていたんですか!!」
くわっと、瞳が見開かれる。
彼女の言うとおりであった。和樹と玖里子は、互いの体をくっつけているのである。
その上、玖里子の腕は和樹の首に。和樹の腕は玖里子の腰にまわっている。
「なんでですか、か・ず・き・さ・ん!」
「い、いやその、、、」
両の手に精霊が集う。
おろおろしながら答える和樹。
玖里子が苦笑しながら助け舟を出す。
「ちょっと、ねずみが出たから驚いただけよ。夕菜ちゃん」
「、、、本当ですか?」
「本当よ」
「、、、ちょっと信じられませんけど、、、」
玖里子の答えに、どうにか落ち着く夕菜。
それでもまだ、不満が残る顔をする。
「それよりも、夕菜ちゃんも舞穂ちゃんも席に座って。料理冷めちゃったけど、パーティーをはじめるわよ。
凜、あんたも座んなさい。主賓なんだから」
和樹と離れた玖里子は、人数分のタンブラーをテーブルに出し、皆へと声をかける。
そして、凜のお祝いが始まる。
『センチメンタル』な思い出を二人に残して。
「ねえ和樹」
「なんですか、玖里子さん?」
「約束、、、きちんと守ってね♪(始めて、、、だったんだからね)」
「は、はい」
おまけ
夕「な、、、、なんですかこれは!!なんで玖里子さんと和樹さんが!!私だってまだしていないのに」
凜「まあ、しょうがないですよ夕菜さん(ニコニコ)」
夕「、、、なんか機嫌がいいですね凜さん」
凜「き、気のせいですよ」
舞「舞穂知ってるよ〜。『2003年新生児名前ランキング』で、4位だったからだよね〜」
夕「、、、くっ、ちょっと名前が出たからって浮かれて、、、」
凜「そうはいいますが、3位はあの『さくら』なんですよ!これは私がこの作品の『真のヒロイン』と言う事ではないですか!!」
夕「なっ?!何をふざけた事を言っているんですか!この作品のヒロインは私です!誰がなんと言おうとわ・た・しです!!!」
凜「そう言うのを、『負け犬の遠吠え』と言うのですよ。まあ、しょうがないですがね(ニヤリ)」
夕「ふっふっふ、、、そこまで言いますか、、、いい度胸ですね凜さん!(ボワッ!)」
凜「もう、あなたのような、エセ清純派の夕菜さんの時代ではないのですよ!(ブンッ!)」
夕&凜「「でやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
舞「ぶ〜〜〜、また二人でけんかしてる。イイモン和樹君と遊んでこよっと!」