牙持つ乙女
06
“グキャッ”
「えげつな」
エリノアが、何かをつぶしたような音が、静寂の森の中に響く。
その光景を目にし、ヴァネッサはそう、つぶやく。
だが、エリノアはそんな声に耳も傾けず、あたりをきょろきょろと見回し始める。
「、、、なに探してるの?」
「いえ、ちょっと、、、ちょうど良い大きさの『重石』はないかと、、、あ、ありました」
そういうと、両手位の大きさの石を手にし、男子生徒の元に戻る。
「どうするのよ、それを」
「はい。ついでですから、こういう悪さが出来ないようにしようと思いまして。
つぶしてしまえば、もうこんな事をする気も起きないでしょうから」
「、、、それで石をつかうの、、、、、、」
「はい。足でやっても良いのですが、、、それだと、靴を後で処分しなくてはいけませんし、戻る時に履いたままというのもイヤですから」
そして、、、手の中から落ちる石。
それは、狙い通りのところへと吸い込まれるように、直撃する。
“グチョッ!!”
ナニかがつぶれる音が、静寂の森に響き渡る。
「、、、エリノア、、、、、、」
「なんでしょう?」
「あなた、、、本当にえげつないわね」
「、、、お嬢様を護るためですから(ニコリ)」
ヴァネッサの言葉に笑顔で答えるエリノア。
、、、彼女を敵に回してはいけないな、、、、、、