牙持つ乙女
08
「全然、普通なんかじゃない、、、、、」
噴水の縁に腰掛け、もの思いにふけるマドラックス。
その瞳に宿る感情は、『困惑』
幾多の戦場を生き抜き、数多の依頼を遂行してきた彼女が、その感情に囚われる。
エリックの取った行動。
それは、、、
彼女には理解できない行動。
そして『マーガレット・バートン』という名。
それは、彼女の記憶へと、小骨のように刺さる。
昔、どこかで、、、耳にしたはずの、、、、、、名前。
それゆえに、、、『困惑』する。
「本当、、、普通じゃないわ、、、、、、あの金額」
エリックの口座に振り込まれた金額を思い出し、溜息をつく。
、、、おひ。
「でも、暗証番号が簡単なので、よかったわ。全額、引き出せたもの。
セキュリティの甘いカードなんて、本当に簡単よね」
自室においてある、現金を思い出し呟く。
、、、そういうことは犯罪です。
「さてと、今回依頼を失敗したから、しばらくの間はお仕事、ないかもね。
となると、、、この『マーガレット』って人に、会ってみようかしら?
何か、、、こう、引っかかる感じがするし、、、、、、」
そう言って立ち上がると、噴水を後にするマドラックスであった。
『男』はダメでも、今回は『お金』を手にした彼女。
あとは、、、
自分の過去を、手に入れるだけ。
そのために、彼女は動き出す。