こころん危機一髪?!
「は〜〜〜、最近こころんったら、、、ちっとも相手してくれないのよね、、、は〜〜〜あ」
カウンターにて、大きなため息を漏らす、いいな。
「どうしちゃったのかしら、、、」
その時、もの思いにふける、いいなの視界に赤いメイド服のようなものを着た少女が掠める。
少女は、いいなに気付かず、うれしそうな顔で足早に裏手へと回っていった。
「あら、こころん??どうしたのかしら、あんなに急いで、、、」
気になったいいなは、カウンターから離れ、こころの後を追って裏手へと歩いていった。
そこには、、、
「じゃあ、あるとお姉ちゃん、行ってくるね!」
「ええ、気をつけてね、こころ。でも、、、」
そう言うと、あるとは面白いものを見つけたような顔をすると、こころの顔を覗き込む。
その姉の顔に、さすがにこころは少し引いた。
「な、、、なに?」
「いや、こころが男の子に興味を持つなんてね〜〜〜(ニヤリ)」
「!!!」
「うんうん、こころもいつまでもお子様じゃないってことよね」
「あ、、、あの、、、それはね、、、」
「『それは』な〜〜に?」
こころの肩に手をおき、微笑むあると。
だがその笑みは、楽しんでいる笑みだった。
「その、、、そう!!司書として、彼に本を届けるのは当然のお仕事だよ」
「それだけ?」
「うっ、、、その、、、」
苦しい言い訳をするが、冷静な突っ込みの前に撃沈するこころ。
困った顔をするこころに満足したのか、あるとは今度はやさしい笑みを浮かべながら
こころの顔を正面から見つめる。
「自分に素直になりなさい、こころ。『恋』をするのは人間として、当然のことなんだから。
ごまかしてはダメよ、良い?」
「あるとお姉ちゃん、、、」
「さあ、今日は一日ゆっくりしてて良いからね。いいな姉には私から言っておくから。」
「え、、、ありがとう!あるとお姉ちゃん!!」
「ほらほら、早く行った!」
「うん!行ってきま〜〜〜す!!」
照れくさいのか、こころを強引に自転車へと向かわせるあると。
そして元気に手を振り、出て行くこころ。
その姿が見えなくなるまで見送ったあるとは、図書館の中に戻っていった。
「いいな姉、、、ごまかさなきゃ、、、」
どうやら大きな仕事が待っているようである。
「そ、、、そんな、、、こころんに、、、」
ふらつく足取りで自室へと向かういいな。
部屋に入るとチェストを開け、なにかを探し始める。
「男の人が、、、そんな、、、ダメよこころん!!」
そして目当ての物を見つけ、ソレを握り締め、何かを決意する。
「こころんの『初めて』は私がコレで!!他の人には渡さないわ!!!」
直径3センチ程、全長20センチほどある、なにやらコードの付いた物体を
潤んだ瞳で見つめるいいな。
「まっててね、こころん!!!お姉ちゃんが、やさしくしてあげるから!!」
「やめんかーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
バッシーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!
「、、、痛いわ、あるとちゃん、、、」
「『痛いわ』じゃないわよ!!何なのよソレは!!!」
突然ハリセンで、後頭部を殴られたいいなは、涙目で殴りつけた張本人、あるとに訴えるが、
ハリセンを握り締めるあるとは、いいなが持っている物を赤い顔をし、指差した。
「ナニって、、、あるとちゃんのエ・ッ・チ!」
「だああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
なにやら色っぽい声で答えるいいなに切れるあると。
いいなの手からソレを奪い取ると、どこからか取り出した日本刀で粉々に切り刻む。
そしてその破片を、今度は携帯用バーナーで焼き尽くした。
「そ、、、そんな、、、あるとちゃん酷い!!!」
「も、、、もう、、、疲れる、、、この人、、、」
こうして、こころの危機は免れた。
あるとの力によって、、、