真冬の夜の夢
「彼女ひとり〜?俺とお茶しない??」
「、、、いえ、結構です、、、人を待っていますので、、」
駅の構内で、一人佇む八重に声をかける、下心丸出しの男。
彼女もそんな男に関わりたくないので、無愛想に返事をすると、腕時計で時間を確認する。
「んな事言わずにさ!」
だが男はそんなことお構いなしで、彼女の腕を掴もうとする。
「やめてください!」
「いいじゃねえかよ!」
八重は男の腕を避けると、心底いやそうに声を荒げる。
それでも男はなおもしつこく彼女に食い下がる。
そんな男の態度に、本気で八重が怒り始めたその時、、、
「花桜梨さん!!」
「あっ!」
彼女のもとに駆け寄ってくる青年。
青年の顔を見るなり笑顔で答える八重。
「けっ、、ヤロウとかよ、、、じゃあな」
その姿を見て男は、ほかの女性に声をかけるべくその場から立ち去っていく。
八重は男が立ち去ったのを確認すると、青年に駆け寄り胸元へ飛び込む。
今までの恐怖を払うために、、、安らぎを得るために、、、
「遅くなってごめんね。、、、どうしたの?」
「ううん、、、なんでもないの」
そんな彼女を青年は、やさしく微笑みながら抱きしめ、彼女の頭をなでる。
彼女が落ち着くように、、、
「あ、、、」
「ん?」
そうされている内に、八重は落ち着きを取り戻し、今自分の置かれている状況に気付き、赤面する。
だが、青年はそんな事は気にせず、彼女をj抱き締めたまますっとぼける。
「いえ、、、その、、、そろそろ、、、」
「あ、そうだね。じゃあ行こうか、花桜梨?」
彼女の言葉で、腕時計で時間を確認すると、青年は八重を抱き締めるのをやめ、
彼女の手を握り、微笑む。
「!!うん!!」
二人はそのまま改札を通り、目的地へと向かった。
お互いに微笑み、時々見つめあいながら。
「花桜梨、これはここで良い、、、の、、、」
「うん、そこで良いけど、、、どうしたの?」
出し物の準備をしている二人
現れた八重の服装を見て、固まる青年。
「その、、、メイド服の格好、、、」
そう、あの高校の文化祭で着ていた『メイド服』を彼女が着ていたのだ。
「え、、、あなたが好きだって思ったから、、、いや?」
「んな事ない!!かわいいよ花桜梨!!!」
「きゃっ!」
八重のあまりの可愛さに、思わず抱き締める青年。
彼女も一瞬驚いたが、すぐ彼女からも抱き締める。
「でも、、ほかの人には見せたくないな、、、こんな可愛い花桜梨は」
「も、、、もう、、、わかったわ、ほかの人には見せない。あなただけ、、、」
「ありがとう花桜梨」