秘密裁判
「これより、『秘密裁判』を開催するわよ。秘密裁判の内容をしゃべった人は、、、
秘密理にスゴイ事するわよ」(ニヤリ)
放課後の生徒会室につどう、複数の影
一段高い所にある席に座った苺がそう言うと、ザワザワしていた室内が一気に静かになる。
「ふふふ、それじゃ始めるわよ。『女子更衣室進入事件』の被告『四道跨』、被告人席へ」
「ちょ、ちょっと!被告人ってなんだよ!」
そう叫びながら、苺の前に設けられた被告人席へと連行される跨。
「検察側及び弁護側席へ」
跨の叫びを無視する苺。
そして連行してた跨ぐを席につかせると、検察側の椿と麻郁が席につく。
なぜか、、、弁護側には人がいないが、、、
「、、、先輩、なんで俺まで?」
「あら、私と一緒じゃイヤ?」
「そうじゃなくて、、、」
「そこ、無駄話しない」
「「はい!」」
不満顔の麻郁、その逆でなぜか嬉しそうな椿。
二人の心境が、モロに顔に現れている。
「それでは、検察側からお願い」
「はい、被告『四道跨』は女子更衣室に進入、あろうことか大型机の下に隠れて、一年生の女子の着替えを覗いていました。
これは許されざる行為です!!」
「あれは違うんだ!」
「被告人黙って。検察続けてください」
騒ぐ跨を、一睨みで黙らせ先を進める苺。
、、、裁判官役が板についている。
「以前より被告は、さまざまな変態的行動を、取っていたとの証言があります。
裁判長、証人による証言を許可していただきたいのですが」
「許可します」
「はい。それでは証人、こちらへ」
椿がそう言うとぞろぞろと、前へと出て来る覆面をつけた5人
「それでは、そちらの方から、証言をお願いします」
椿に促され、証人H・Y(仮名)が証言を始めた。
「はい、あれは、、、跨の誕生日の事でした。
あの時俺は、モテナイ跨のために、ちょっとしたいたずらをしたんです」
「そのいたずらとは?」
「レシートの裏に、一日デート券と書いて、あげたんです。
まあ、その後、、、跨がそれを本気にしちまって、、、」
「うううっ、、、、」
証人H・Y(仮名)がそこまで言うと、突然隣にいた女性が泣き崩れる。
「大丈夫、K・M(仮名)?」
「うん、、、大丈夫よK・H(仮名)。ちょっとあの時の事を思い出しただけだから、、、うううっ!!」
「落ち着いて、K・M(仮名)さん。確かにあれは、、、とても、、、思い出したくない嫌なことだけど、
それを乗り越えて進んで行く事が、私達の最優先事項よ」
「そうよM・K(仮名)先生の言う通りよ。私だってあの時のことは、、、思い出したくない記憶No1だけど、それでも進まなきゃ!
大丈夫!あなたには、H・Y(仮名)がいるじゃない!私だって力になるわよ。だって友達じゃない!!」
「ありがとう、K・H(仮名)、ありがとうございますM・K(仮名)先生」
美しい女の友情である。
恋人が持ち直したのを確認すると、彼は証言を続けた。
「それで暴走した跨があまりにも不憫で、俺らは取り合えずアイツの『デートプラン』を聞いてみようと言う事になったんです」
「あとは俺が言うよ、H・Y(仮名)」
「ああ、頼むK・K(仮名)」
ちらちらと、横目で恋人の様子を確認する彼に、気を使ったK・K(仮名)が証言を続ける。
「そしたら、跨のヤツ、、、いきなり、最近の『昼メロ』や『AV』でもやらないような事を、俺の妻や
H・Y(仮名)の彼女や、K・H(仮名)に向かって口走ったんです!
あの時俺は、本気で跨を殴りたくなりました。それはH・Y(仮名)も同じです。
H・Y(仮名)なんか『汚された』って、彼女に泣きつかれましたから」
検察側、椿の跨を見る視線が厳しくなる。
「(て、いうか、、、どうして先輩は『昼メロ』や『AV』でもやらないような事を、知ってるんだ?)」
疑問を言葉にはしないが浮かべる麻郁。まあ、彼は一応今年で20だから、、、
「議長、続けてもよろしいですか?」
「許可します」
「ほら、神城君」
「あ、はい。その他にも余罪があるかと思い、我々が捜査した結果、被告は天体望遠鏡を持って、夜中どこかに消えるそうです」
「それで?」
「はい、その行動の裏づけを取るべく、被告人の彼に、近しい人の証人の証言を、許可いただきたいのですが」
「許可します」
「それでは、こちらへ」
「は〜い!」
麻郁に促され、元気良く前へと出て来る少女
「なっ?!ちょっとまってよ森野!!」
「それでは、どうぞ」
とても見覚えのある証人が出て来た事に驚き、声を上げる跨だが、それは苺によって黙殺された。
「え〜と、いつもお母さんが言ってました!
『まったく跨のヤツは、毎晩望遠鏡持って、どこに言っているんだか、、、
人様に言えないような事をしてなきゃ良いけど、、、』
って、この間ぼやいていました」
そう、、、陽気に証言するH・S(仮名)
「ううう、、、ひどいよ皆(涙)」
そんな状況に涙する、被告であった。
だが、、、彼への試練はまだ終わっていない
「被告人、何をしていたんですか?」
「星空を見ていただけだよ!宇宙人とかUFOが見たくて!!」
麻郁の質問に、ムキになって答える跨。
だが、、、
「にゃ〜ん、苺たんは〜、本当のことを知りたいにゃ〜♪」
「実はね!時々星だけじゃなくて、『地上の星』も覗いてたんだ。
とっても綺麗で、見ていると気持ち良くなる『星』がいっぱいなんだもん!
それを頭に焼き付けて、家で、、、、、、、、、はっ!」
「「「「「「「「、、、、、、、、、」」」」」」」」
「???」
周囲からの冷たい視線に気付き、自分が今、何を言ったのかを、、、思い出す、『被告 跨』
そして、、、彼に死神の鎌が下りる。
「判決、被告 四道跨に一ヶ月の構内男子トイレ掃除の刑とします。
なお、一日サボる毎に、一ヶ月刑期を延長します」
「あ、、、ちょ、ちょっとまって森野!!僕は、、僕は!!!」
「風紀委員」パチン!
ガラガラッ!「「はいっ、会長!」」
跨ぐの抗議を無視し、苺が指を鳴らすと、扉が開き風紀委員が二人、室内へと入ってくる。
「連行しなさい」
「「はっ!!」」
「まってよ!僕の話を聞いてよ〜〜〜〜〜〜〜」
叫び声だけを残し、彼は両脇を抱えられ、退室していった。
「それでは秘密裁判を閉廷します。秘密をバラしたら、、、凄い事するわよ(ニヤリ)」
こうして、学校を騒がした事件は終結した。
そう、最低限の被害者のみで、、、
閉廷後、、、
「あっ、先輩。この間はすみませんでした。急に二人も、バイトをお願いして。」
「ああ、良いわよ。今ちょうど、人手が足りない状態だったし」
小石に礼を言う、麻郁。
「おう楓、これから図書館行かねえか?」
「うん、行こう漂介君」
そう言って、仲良く出て行こうとする楓と漂介。
そして、、、
「所で会長。監視は、、、どうなさるので?」
「ああ、、、それなら大丈夫よ」
苺に、跨の掃除状況を、誰が監視するのかをたずねる椿。
だが苺は不適な表情を浮かべ、その監視者を紹介した。
「彼に、頼んだから」
「の!」
「「?!?!」」
苺のすぐ脇に現れる、地域限定名物となり始めている、まりえ
そして、、、まりえが現れた事に驚く、みずほと桂。
「報酬は約束どおり『ポッチー』と『プリッチ』で、払うわよ。がんばってね」
「のの!!」
「せ、、、せんせい(汗)」
「、、、(汗)」
すっかり飼いならされているまりえの姿に、みずほは、、、内心の動揺を隠すので精一杯だった。
、、、へたすりゃ、自分達の秘密を、苺に握られているかも、、しれないもんな。
どうやら、ここにも、、、被害者がいたようだ。
「しかし会長、一ヶ月とは、、、ぬるくないですか?」
「あら、土日や休日を含めてよ。誰も平日だけでいいとは言っていないわ」
「、、、それって、、、(汗)」
「ふふふ、監視者には言ってあるから、、、さて何ヶ月になるかしら(ニヤリ)」