がんばれ乙女達!

局面7「ヒロインの傷跡」

 

 

 

「、、、あれも、、、『拾得物』、、、なのでしょうか?」

「、、、そ、、、そんな、、、」

空を舞うように飛び出してきた影を、『少尉』は唖然としながらつぶやく。

その声にこたえるかのように、『艦長』は愕然とした表情を浮かべ、声を震わせていた。

「そんな、、、なんでまた女の子を拾ってくるの?!」

「、、、か、、、かんちょう??」

「この間、、、サービスしたじゃない!!

それなのに、、、それなのに、、、ひどいわ!!!」

「、、、サービスって、、、ここは軍艦ですよ、、、」

だが、彼女の口から漏れた言葉は、、、違う所に焦点が行っていた。

そう、、、救命ポッドから出てきた少女へと、視線を向けている『パイロット』に向いていた。

そして『少尉』は、先ほどとは違う意味で唖然とした。

、、、いや、あきれていた。

「乙女の純情を、、、私が、、、勇気を振り絞って行ったのに、、、」

「、、、『年の差』を考えてください、『年の差』を、、、」

こめかみを押さえ、心の奥からつぶやく。

「大体、登場前にあんなに人気があるなんて卑怯よ!!」

「、、、なんの話ですか、、、なんの、、、」

心底あきれる『少尉』

だがそのとき、、、

「そうですよ!私なんか、、、私なんか、、、」

『お嬢様』がなぜか現れて、こぶしを握り締めていた。

「私なんて、いまだにEDに名前がないのに!!

雑誌や公式サイトに、『ヒロインの一人』って書かれているのに!!!

それになんで私、、、嫌われているの!!!」

「名前がないのは、、、しょうがないだろう、、、セリフも出番も少ないのだし、、、」

「あなたが言うんですか!あなたが!誰のせいでEDに名前がないと思っているの?!」

そんな彼女の言葉に、小声でつぶやく『少尉』

だが彼女にしっかりと聞こえており、矛先を『少尉』に向けるのだった。

「私に言われても、、、しょうがないだろう!それにOPでも私より出番が少ないじゃないか!!

EDだって顔、つぶれている上に、私より小さいのだから、名前などなくてもかまわないだろう!!」

「ひどい!!気にしてたのに!!!出番が多いからってひどいわ!!!」

、、、ヒロインとしての悩みが、、、ここにきて吹き出たようだ。

まあ、今の所どう見ても、『ヒロイン』とは言えないし、、、

やはり、宿命なのか(笑)

その頃、『艦長』はと言うと、、、

「こうなったら、、、本気でイクしかないわね、、、あんな胸の薄い小娘に負けるもんですか!!」

、、、なにやら、、、へんな決意を固めていた。

そして、その決意を向けられる相手は、、、

「、、、(なんだろう、、、この感じは、、、これは、、、なんなんだ?)」

少女に釘付けだった。

 

 

がんばれ『パイロット』!

誘惑に負けるな『パイロット』!