がんばれ乙女達!

局面33.「想いの胎動」

 

 

「ずっとこのまま、、、こうして居られたら良いですわね」

「、、、」

夕日の輝く湖面を二人、テラスに並びながら見つめる。

「それとも、、、私とは、、、お嫌ですか?」

反応の鈍い彼に、悲しそうな顔で問いかける『歌姫』

「そ、そんな事、無いですよ!」

「、、、そうなんですか?」

パイロットの一言で、元気になり、彼の顔を見つめる

「いや、、、あそこで色々とあったもので、、、ちょっと『女性恐怖症』なんです(涙)」

「あらあら、、、『色々』、、、とは?」

「あの、、、その、、、」

彼の顔をのぞき込むように見つめる『歌姫』に、頬をかきながら照れる『パイロット』

彼の心の傷を心配する表情を見せる彼女に負けたのか、彼がポツリポツリと話始めた。

「『艦長』、、、には会いましたよね?」

「ええ」

「あの『艦長』が、、、その、、、迫ってくるんですよ、、、」

「あらまあ」

「それも、、、なんか目が血走ってて、怖いんですよ!」

「まあまあ」

「何度か、二人っきりの所に連れ込まれて、、、、どうにか逃げ出したけど、、、もう少しで、、、僕は、、、」

そう言うと、脅えるかのように体を振るわせる。

「大丈夫ですわ。ここにはそんな方は、いませんから(強引なのは、、、お嫌いなのですね)」

そんな彼の腕を優しく抱きしめ、ぬくもりを与える。

、、、微妙に違うことを考えているみたいだが、、、

「それに『中尉』も、なんだか、、、最近張り合いだしたし、、、

僕の部屋に、住み着いた子は、、、僕を復讐の道具として見ていたみたいだし、、、

いや、それは良いんだ。僕も、、、地球に下りた時は、助けてもらったから。

でも、、、やっぱり、、、」

「今は、、、忘れてくださいな。私が、、、癒してあげます。あなたの心を、、、」

彼に寄り添い、肩に頭を寄せる『歌姫』

そのまま、顔を上に向け、彼の瞳を見つめる。

夕日の包まれたテラス。

彼はそこで、、、癒される。

(女性で)傷ついた心が、、、

その後、二人がどうなったかは、、、

夕日と、鳥達が知っている。

 

 

 

おまけ(シリアス)

 

「ちっ、、、」

まさか、、、当たっちまうなんてな、、、

「きつい、、、現実だな、、、」

、、、俺は今まで、、、そう言う事があるとは、、、理解して無かったもんな、、、

敵に捕まるなんて、、、思って無かったし、、、

「、、、後味、、、悪すぎだぜ、、、」

今度あの子に、、、会えたら、、、せめて、話を聞いてやるか、、、

それで、、、殺されても、、、しょうがないかもな。

あんな、優しそうな子が怒るほど、、、ひどい事言ったんだからな、、、

 

暗い牢屋の中、彼も苦悩する。

突きつけられた現実。

戦いは人の命を奪い、憎しみを生み出す、と言う現実に。

、、、自分達の仲間だけではなく、撃墜した敵にも、悲しむ人がいる、と言う事に。