兄はつらいよ
「抜き足、差し足、忍び足、、、っと。
お兄様の部屋の電気は、、、良し!消えてるわ!!」
ほっかむりをし、かわいいパジャマに身を包んだ、
ツインテールの少女が一人。
兄の部屋の様子をうかがいつつ、音も立てずに兄の部屋に近づいていく。
「うふふ、やっぱり歌だけでは『お兄様へのプレゼント』としては足りないわよね。
まっていてね、お兄様!今、とってもいいものをプレゼントしてあげるわ!!」
なにやら危ない事を言う少女。
そして兄の部屋のドアをゆっくりと音を立てないように開け、中に忍び込む。
「お兄様の寝顔、ステキだわ、、、っていけない!!見とれている時間はないわ!!!」
ドアを閉め、カギをかけて、ドアが簡単に開かないように、モップをノブにくくりつける少女。
いつの間に用意したのだろう?
「さてと、コレをこうして、、、ここをこうして、、、っとOKね!」
なにやら兄の寝ているベッドに上がり作業をする。
「ん〜ん、、、あれ、、、ど、どうしたの、、、?
って!何コレは!!」
「あら、お兄様起きてしまったの?もう少し寝ていても良かったのに」
「そうじゃなくて、なんで手足が縛られているの?」
怪しい気配(笑)で目覚めた兄は、自分が裸での上、手足がベッドに縛られているのに気付いた。
って、、、もっと早く気付けよな、、、
「そ・れ・は・ね!こういうことよ、お兄様」
そう言うとパジャマを脱ぎ、兄と同じように生まれたままの姿になる。
「さあ、お兄様。コレが私からの『クリスマスプレゼント』よ!受け取ってね!!」
そう言うとベッドに上がり、兄に近づいていく。
「ちょ、ちょっとまって!!僕達兄妹なんだよ!!!」
「そんなこと、私とお兄様の『愛の絆』の前には無意味よ!!
だ・い・じょ・う・ぶ!お兄様は痛くないから」
そ、それはそうだが、、、
「だ、駄目だよ、そんな!!」
「あら、でも、、、お兄様、『お兄様』はそうでもないみたいよ?」
「い、、、いや、、、それは、、、その、、、」
顔を真っ赤にする兄。
「さあ、お兄様。か・く・ご・してね!」
「う、、、うわ〜〜〜」
部屋に響く兄の声。
でも完全防音の、兄の部屋からその声がもれる事はなかった。
「お兄様、私うれしいわ〜〜」
とても満足そうな顔で、兄の体に寄り添う少女。
兄の方は、、、疲れた顔をしている。
「あ、、、あの、、、」
「あ、それと!今日、私ちょっと『危ない』日だったの」
「!!!」
男にとってはとても『デンジャラス』な言葉を、平然と言う少女。
そして固まる兄。
「もしもの時は、責任とってね、お兄様」
「、、、はい、、、」
なお、次の日兄が友人に送ったメールには一言、
『僕は、、、ケダモノだったんだ、、、』
と書かれてあった。
、、、兄はつらくて、大変である。