E.Tっす。

投稿第49段(もういっちょ修正!)です。










「さーて、第10種目が終了したところで、第一次中間発表とさせていただきます。
 
 第4位!
 
 87点で大将、私、クルツウェーバー率いる黒組!
 
 第3位!
 
 96点でメリッサ・マオ曹長率いる赤組!
 
 第2位は124点!
 
 この基地でいけ好かないヤツナンバー1!
 
 ベルファンガン・クルーゾー中尉率いる青組!
 
 第1位!
 
 大将、相良 宗介軍曹率いる白組、128点!」
 
 それぞれにヤジが飛ぶが、それを気にするようなクルツではない。

 そしてクルツが叫んだ。
 
「それでは第11種目、かぶり物レース、スタぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!」
 







フルメタル・パニック
メリダ島スポーツウォーズ(中編)

プレゼンテッド バイ E.T
原作 TMK










 かぶり物レースの説・・・・・・いや、解説をしよう。

 かぶり物は全部で10種類。

 宗介が開発したボン太君スーツ、ポニおスーツ、そしてす〜ぴぃスーツ。

 それから極々普通のかぶり物(お星様、くらげ、ムカデ、キノコ等々)だ。

 その中からくじで2つ選び、どちらかを着て2000mのコースを走り(泳いだりもするが。・・・・・・これも障害物競走やな・・・・・・)、途中で、一度着替える。

 かぶり物は、自分の持ち物のみ、くじの対象外となる。・・・・・・わかりやすく言えば、自分がかぶり物を持っていて、そっちの方が良ければくじを引かずに自分のモノを選んでよい、ということだ。





 かぶり物レースの第7グループーーー最終グループがスタートした。

 白組は本命の宗介、赤組は障害物走の雪辱に燃えるマオ、青組は何気に強いマデューカス(!)、黒組は師匠といっても過言では無い、カリーニンだ。

 宗介はプロトタイプボン太君を製造した直後に、とある女子寮で知り合ったインド人っぽい少女と共同開発した「リッド君スーツ」と「たまちゃんスーツ」を用意した。


 火元炭さん、釣り人さん、どうもありがとうございます!(完全に私信)
 

 コースは、まずは800mの直線コースを走り、その後1kmを自転車で、次が200mの水泳。

 そして5分休んでから着替え。

 それから山を登って、グライダーで山を下り、そこから再び水泳でゴールを目指す。

 これを着ぐるみを着てやれと言うのだ。

 ・・・・・・無茶な話である。

 そんなもんだから今までの6グループの中で完走に成功した人間は2人しかいない。

 その2人はSRTに所属しているのだが・・・・・・

 彼等もリタイアした人間と同じように、今頃べっどの上で魘されているだろう。



 さて、ふわふわもこもこの可愛い動物の着ぐるみさん達が『てけてけ』と走っている。

 その行く手には自転車がある。

 今のところの順位は、宗介がふんするリッド君が3番手、くらげなマオが2位で、マデューカスがポニ男で1位、そしてカリーニンす〜ぴぃが最後方。

「あっ」

 マオがこけた。

 くらげの着ぐるみの腕(?)が絡まったのだ。

「ぐはっ」

 さらにこけたときの反動で巨大な拳の形になったその腕が、マオのすぐ前を行くマデューカスの後頭部を殴る。

 そしてマデューカスとマオは4コース一杯に広がって伸びることになる(気絶してないけど)。

 そこに宗介とカリーニンが、
 
 どすどすどす ぐちゃぐちゃっ
 
 踏み潰して走り去っていく・・・・・・

「あ、あいしゃるりたーん!」

「あいるびぃばっく・・・・・・」

 マオとマデューカスが四角いジャングルに沈んだ。

 いや、別にボクシングやってるわけじゃないんだけどね。





 ミスリルの保有する偵察衛星“スティング”から、宗介とカリーニンの姿が消えた。

 条件さえ揃えば、新聞の見出しをも読むことができるほどの解像度を誇るスティング・・・・・・

 それから姿が消えた。

 それはスティングからの死角に入ったことを意味する。

 つまりは、
 ブッシュ
「森 林に入りましたか・・・・・・」

 テッサが呟いた。

「相良さん・・・・・・無事だといいんだけど・・・・・・・・・」

 テッサの脳裏には、圧倒的なまでの戦闘力を誇ったボン太君スーツと、それをも遥かに超える戦闘力を有するす〜ぴぃスーツが浮かび、そして消えた。

 まともに戦えば、ボン太君スーツに勝ち目はない。

 それは以前の戦いが証明している。

 ボン太君スーツを着込んだ美樹原組の連中の攻撃を、全くといっても良いほど戦力にならなかったテッサですら、す〜ぴぃスーツを装備していただけで、完全に被害を受けなかったのだから・・・・・・


 なお、その件については火元炭さんのホームページ「Denpa部」で連載中の「テッサちゃんホームステイ計画」を参照。


 そしてテッサは宗介のことが好きだ。

 テッサが宗介のことを心配するのは、当然のことなのだ。ビーフ・カタストロフ(宗介段)を食べさせて人事不詳にしたりしたけどさ。
                                          ↑こいつも「テッサちゃんホームステイ計画」参照。
 しかしテッサは忘れていた。

 今、宗介が着込んでいるのがボン太君スーツではなく、リッド君スーツという、新たなる力だと言うことを。





 ビシッ!
 
               ビシッ! 

                            ビシッ! 

 す〜ぴぃ君の尻尾が、三連撃で宗介に襲いかかってきた。

 宗介は巧みにそれをどこからか取り出したショットガンでガードした。

「(ぐっ!重いっ!)」

 自分で作っといてなんだが、やはりす〜ぴぃスーツは強かった。

「(やはりスーツ自体のパワーもあるが、少佐のテクニックが・・・・・・!)」

 さらにその後、どこからか取り出したナイフと拳銃が、確実に宗介を追いつめる。

 森林の中のコースは、崖に面している部分があった。

 宗介は、その崖の端に追いつめられたのだ。

「ゴフっ、ンゴフッ!(死ねっ、軍曹っ!)」

 ビシュッ!

「(っ!〜〜〜!!!)くそぉぉぉ!!!」

 宗介が、遂に崖から落ちた。

「ゴフゴフっ、ンゴッフゴフ、ゴフッフ(さらばだ、お前のことは忘れないぞ、相良軍曹)」

 カリーニンは宗介が崖から落ちたのを見届け、チェックポイントへ向け、移動を開始した。





「あ、危なかった」

 宗介は、リッド君スーツの中で汗をだくだくと流していた。

「これがボン太君スーツだったらやられていたかもしれない」

 リッド君スーツに秘められている力は、ボン太君スーツのそれの比ではない。

 その力は、スゥピー君スーツをも超える可能性を持つ。

 だが、宗介はその力を完全には使いこなせていなかった。

「恨むぞ、カオラ。

 なぜ兵装が音声入力式なんだ。

 それだけならばASでも多少は使われているが、なぜ、外部音声をONにして大声で叫ばなければならないのだ」

 宗介は、崖の突き出たところに掴まりながら愚痴を漏らしていた。

「だが、浦島のヤツには感謝しなくてわな。

 身に付けるのには非常に苦労したが・・・・・・

 この“軟気功”というモノはとても重宝する」

 そう言いながら、スーツで増幅された腕力を持ってして、ほとんど体重を0にしたその身を、崖の上へ目掛けて投げ出した。


 なお、カオラというのは謎のインド人娘(ホントはモルモル王国の姫君)カオラ=スゥのことで、浦島というのはひなた荘という女子寮の管理人をしている浦島景太郎のことだ。

 景太郎は「軟気功」と「硬気功」を会得した、体術の達人だ。

 景太郎・スゥとの関わりは、釣り人様のホームページ「釣り人の港」で掲載されている、“もし景太郎が強かったら外伝「新たな住人」”を読もう。

 とても面白いぞ。

 お薦めは「もし景太郎が強かったら」の本編・外伝、「ヒナリガン」、だ。

 さらに、釣り人の港からリンクで繋がっている「ボったくりん♪」というホームページで釣り人様が投稿している作品達だ。

 日和見さんの「404」からリンクで行けるゾ!

 ・・・・・・宣伝はここまで。





 カリーニンは走っていた。

 向かうその先には光が見える。

 暗い森の出口だ。

 そこには自転車が待っている。

「ゴッフ、ンゴッフゴフ(ふっ、私の勝利は確定したな)」

 しかし、

「ゴッフ!?(なにっ!?)」

 カリーニンは驚愕した。

 何故なら、崖から突き落としたはずのリッド君が、自転車に乗り、こちらを見て、ニヒルな笑みを浮かべていたからだ。

 ・・・・・・着ぐるみがどうやって笑ったのかは謎だが。

「甘々ですよ、少佐。

 そう・・・・・・フルーツ味のカロリーメイトの数百万倍もね!!」
 
 何か、表現が間違ってないか?

「ゴッ、ゴフぅぅぅぅっ!!?(そ、そんな馬鹿なぁぁぁぁ!!?)」

「さらばです、少佐!」
 
 ドギューンッ
 
 凄まじい速度で、砂煙を巻き起こしながらリッド君が自転車で去っていった。

 具体的にいうと、競輪の世界記録の二倍弱、だ。

 しかも、その自転車というのが・・・・・・ママチャリ(汗)
 
「ごっ、ゴフゴフっ!?(な、何故そんなに早いっ!?)」

 す〜ぴぃ君は、焦りも露わに、一台の自転車(ママチャリ)に乗った。

 その瞬間。
 
    どっかぁぁぁん!!
 
 自転車が大爆発を起こした。

 着ぐるみと自転車は、いい感じに焼け焦げた。

「ご・・・・・・ごふっ」

 そして、口から真っ黒な煙を吐き出した。





「爆発音・・・・・・

 少佐、戦場に焦りは禁物ですよ。

 でなければあんなトラップに引っ掛かることもなかったでしょうに・・・・・・」

 リッド君が、自転車を漕ぎながら呟いた。

 その視線は、後ろ・・・・・・爆発地点を見つめている。

「さて、ゴールまで後僅か・・・・・・」

 宗介は、スピードアップした。

 今まででさえ、漕ぐ足が残像を出していたというのに、

 スピードアップしてからこっち、遂には
 
 足が見えなくなった。
 
 彼はどうやら、縮地を超えたようだ。

 きっと今なら、飛天○剣流免許皆伝である「比○清十郎」にも勝てるだろう。

 縮地の「天○の宗次○」ですら、緋○剣心をあそこまで追いつめたのだから・・・・・・





「少佐、お先に!」

 くらげがカリーニンを追い越した。

「さらばだ、少佐!」

 続いて、お馬さんのかぶり物(ぽに男)にも抜かれた。

「ゴフっ!?(なにっ!?)」

 一体カリーニンは何回そのセリフを言ったのだろうか?

「ゴッゴフ、ゴフうっフ、ゴフフッ!(何故だ、貴様らは、死んだはずではないか!)」

「アレくらいで死ぬような柔な鍛え方はしてないよ」

「そういうことだ」

「・・・・・・ゴッフ、ゴフフッゴ、ゴッフんゴフ??(・・・・・・潰されて紙みたいになって、脳みそが飛び出ていて、それで生きてられるのか??)」

 それは、考えたら負けだ。

 それにしても・・・・・・

 す〜ぴぃ君は時速50kmほどで自転車を走らせている。

 くらげ(マオ)とぽに男(マデューカス)のスピードはと言うと・・・・・・

 時速2000km。
 
 宗介よりも、遥かに早い。

 彼等は、音速を超えた。

 ・・・・・・因みに、音速は時速1200kmちょっと(1224kmだったかな?)。

 宗介は、さすがにそこまでは出ていない。

 ・・・・・・出せるかもしれないけどね。

 ママチャリで、舗装されていない・・・というか、大草原のまっただ中を時速50kmでも凄まじいというのに、音速を超えるとは・・・

 結局、人間じゃないな、お前ら全員。 
 









 さて、トップを爆走していた宗介だったが・・・・・・

 第2チェックポイントでチェックを終え、今まさに、川に飛び込もうとしていた。

 そしてその時、一つの言葉が頭の中に甦った。

『いいかー、ソースケ。

 このリッド君スーツには、ソースケには内緒で一つの装置を組み込んだんや。

 え?どんな装置か、やて?

 それはやな、
 
 水上歩行装置や!!』
 
「(・・・・・・どうやって使うんだったかな・・・・・・?)」

『使い方は簡単や。

 外部音声をONにして、

 「刻むぜ、波紋のビィィィィッッ!!」
 
 と言えばいいんや』

 ・・・・・・宗介は、額に脂汗を浮かべた。

 こめかみからも、一筋の汗が流れてくる。

「・・・・・・やるしかないか」

 リッド君の外部音声がONにされ、宗介は躊躇しながらも叫んだ。
 
「き・・・き、刻むぜ、波紋のビィィィトっっ!!」
 
 突如、スーツの中の宗介の口に、酸素吸入器が吸い付いた。

 そして強制的に呼吸をコントロールする。

 それと同時にリッド君が激しいスタンピングを始める。

「なっ、何だこれは!?」
   オペレーター
 驚く 宗 介が必死にコントロールしようとするが、スタンピングは止まらない。

 遂には、勝手に走り出してしまった。

「う、うおおぉぉぉぉ??!」

 リッド君の足は沈むことなく、水面を駆けていた。

 右足が沈む前に左足を出し、左足が沈む前に右足を出す。

 そうすれば沈むことなく水の上を歩く(走る)ことができる。

 まさに、その理屈通りのことをしていた。

 しかもそれだけでなく、足を一歩出す毎に、着地(着水)地点から謎の完全な真円形の波紋が、まるで足が沈むのを防ぐかのように発生する。

『これが東洋の神秘、波紋やっ!』

 宗介の頭に、スゥの最後の言葉が浮かんだ。

「(カオラよ・・・・・・波紋は東洋の神秘ではないぞ・・・・・・・・・)」

 どーでもいいつっこみを入れ、宗介は気絶した。

 それでも平気なのは、カオラ=スゥ&相良宗介製の、ハイパーなバランサーのお陰だった。





 気が付いたら第3チェックポイントにいた。

「軍曹、3分が過ぎました。

 そろそろ二つ目のかぶり物に着替えてください」

「あ・・・ああ、わかった」

 そう答えながら宗介はリッド君スーツを脱ぎ、タマちゃんスーツへと着替えた。

 タマちゃんスーツも、スゥと宗介の保有する技術の結晶だ。

 さらに、このスーツにはかなめも開発に参加した。


 ・・・・・・かなめとひなた荘の住人達の絡みも、釣り人様のホームページ「釣り人の港」に掲載されている釣り人様の作品“もし景太郎が強かったら外伝「新たな住人」”を参照のこと。


 しかも、ウィスパードの能力を完全に自分のモノとしていたため(こいつは火元炭様の「テッサちゃんホームステイ計画」を参照)、存在しない技術(ブラックテクノロジー)もふんだんに使われている。

 ラムダ・ドライバ然り。

 デザート・イーグル然り。

 ごるでぃおんハンマー然り。

 濃縮ガウルン汁(「テッサちゃん(以下略))然り。

 ついでに謎邪夢まで。(ブラックテクノロジーだったのか、これって・・・・・・)

「(・・・・・・まぁ、いい。)

 みゅー、みゅみゅー!(ウルズ7、行くぞっ!)」

 タマゴが浮かんだ。

 そして凄まじいジェット噴射で、山を目指す。

 これはメカタマシリーズのデータを元に開発された、メカタマ5の原型ともなった機体。

 これだけで驚いてはいけないのだ。





「なにぃっ!?」

「なんとぉっ!」

 一歩も譲らぬ、凄まじい接戦をしていたマオとマデューカスが、前方を見て驚愕した。

 何故なら、宗介が着る(?)タマちゃんスーツが凄まじいスピードで、第4チェック地点へ目掛けて飛んでいたからだ。

「そんなのありなのかっ!?」

「アレは反則だ、アレは!」

 2人は宗介を罵ると、顔を引き締めた。

「「ならば・・・・・・

 私も敢えて外道に身を落とそう!

 我は踊る、天の楼閣!(ルーラっ!)」」

 2人の姿が掻き消えた。

 ・・・・・・2人は一つのことを失念していた。

 マオは、前方のチェック地点にたどり着く前に、木々が生い茂っていたことに。

 マデューカスは、第3チェック地点の場所を知らなかったことに。





 つまり。 





 マオは樹に激突し、描写すると食欲低下、というか完全に無くなること間違い無しの惨状になってしまい、

 マデューカスは第2チェック地点へ後戻りしてしまった。

 ・・・・・・オマイら、実は馬鹿だろ?



「・・・・・・・・・?」

 数分後、赤く染まり、肉片が辺りに飛び散った樹を、首を捻って不思議そうに見つめるす〜ぴぃ君が確認された。

 その、ドラゴンに似せたと思われる、非常に可愛い物体が首を捻っている状況は、某人物が悶え狂うほどだったことを記しておく。





 さて、その頃の我らが相良 宗介だが。

 もう既に山頂にいた。

 所要時間だが・・・・・・
 
 たったの60秒
 
 因みに距離はというと、最短距離で150km
 
 そのスピードは、例え最短距離を行ったとしても9000km/h
 
 ざっと・・・・・・マッハ7か?

 ウルトラマンセブン(タロウだっけか?)と同じ速度・・・・・・
 
 キミ、衝撃波は大丈夫なのかい?
 
「・・・・・・みゅ、みゅぅ〜〜〜(・・・・・・う、うう・・・・・・・・・)」

 タマちゃんスーツは全くの無事だったが、宗介はグロッキーだった。

 思い起こせば着地の時、そのままのスピードで山肌に突っ込んだのに、良く無事で済んだものだ。

 きっと、強い防衛衝動がラムダドライバを起動させたのだろうと、宗介は一人納得した。

 宗介が辺りを見回すと、ハンググライダーが四つあった。

 自分のモノ以外を破棄する、などという卑劣なことはせずに、ハンググライダーを装備する。

 そして跳ぶ!

「みゅっ・・・・・・(あっ・・・・・・)」

 その時の衝撃で、一つ、大変なことが起きた。

「みゅっ、みゅみゅみゅ、みゅ、みゅぅ〜〜みゅ・・・(あっ、ガウルン汁と謎邪夢が落ちてしまった・・・グライダー目掛けて)」

 一瞬罪悪感に悩まされるが、

「みゅみゅっ、みゅぅ(こんなトコに置いておくのが悪いんだ)」

 ・・・・・・責任転嫁・・・・・・(滝汗)

 それはともかく、ガウルン汁がかかったハンググライダーは溶解し、跡形もなくなっていた。
 
 地面が変色し、空を飛ぶ鳥がバタバタと落ちているのは気のせいに違いない。
 
 謎邪夢がかかったハンググライダーは紫色に変色し、ボロボロと崩れ去っていた。

 地面からシュウシュウ音を立てて立ち上る、紫色の煙はこの際無視する。
 
 さらに最後の一機は、その両方がかかってしまった。

 こいつは、悪の超エネルギー生命体として仮初めの魂を与えられていた。
 
 宗介はそれらを丁重に箱詰めして、ガムテープで留めて、梱包用のテープでグルグル巻きにして、棚の上に封印した。

 つまり、全てを見なかったことにして、最終チェックポイントへと向かったわけだ。




 
「「OHHHHHHH MYGOOOOOOOOOOD!!!!!」」
 
 マオ(着ぐるみ:お星さま)とマデューカス(着ぐるみ:ムカデ)はシャウトした。

 自分たちの使うはずのハンググライダーが消滅していたのだから。

 いや、謎の生命体があったが、それを調教するのにはだいぶ時間が掛かるだろう。

 悔しかったので、2人は遠くに微かに見える宗介目掛け、精一杯の攻撃をした。
 
「我が誓約により、聖戦よ終われぇぇぇ!!」
 
「フィンガーフレアボムズ!!!」
 
 雷が、炎が、タマちゃん目掛けて飛んでいった。

 ・・・・・・因みに炎は、一本の指につき3つの火の玉(メラゾーマ)を発生させていたことをここに記す。

 ……ところでさ、君達何時の間に復活したの?

 遥か先に行ったはずのカリーニンも置いてってるし……。





「みゅっ!?(なんだ!)」

 宗介は、後方から近付いてくるエネルギー反応に気が付き、声をあげた。

「みゅぅ〜〜??!(なにぃ〜〜??!)」
     ヘッドアップディスプレイ
 それを  H  U  D  で確認して驚いた。

 雷と火の玉が自分を目掛けて飛んでくるのだから。

「みゅっ☆(オレを甘く見るな!)」

       ぺしぃっ
                                      ぺしぃっ
                 ぺしぃっ
                                                ぺしぃっ
        ぺしぃっ
                 も一つオマケに            ぺしぃっ
 
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・・


 ・・・・・・


 全部叩き落とした。
 







 
「「なっっにっいィィーー ! ! ! ? ? ? ?」」
 
 マオとマデューカスは、再度激しくシャウトした。

 そりゃそうだろう。

 まさか、自分たちの最強の技がいとも簡単に破れるとは思わなかったのだから・・・・・・

 キィィィィィイイイイィィィン………
 
 空気を切り裂いて、一機の乳白色の影が近付いてくる。

 それは言うまでもなくタマちゃんスーツ(ハンググライダー装備バージョン)だ。

 右手には、よく見えないが何かのハンマーらしきモノを持っている。

 それも、金色に輝く・・・・・・

 目を細めてそれが何かを確認しようとしてしまった2人。

 そこに、常識では考えられない速度で突っ込んでくるハンググライダー。

 そして外部スピーカーからの声。
 
「ごるでぃおぉぉーーーん、ハンマァァーーー! ! ! !」
 
「「えぇ?」」

 2人の時間は停止した。

 しかし、周りの時間が止まったりはしなかった。

 よって。
 
ずっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんん!! ←センタリング
 
 彼等は爆死した。

 今度こそ、間違いなく。

 仮に生き長らえたとしても、この嵐がカタを・・・・・・って、長編第三巻じゃないんだから。

 だが、無敵の機体に、さらに敢えて勝負を挑もうとする強者がいた。

 その名は紅葉黒煙。
 え?増殖してる・・・・・・? ←右寄せ
 使用許可はもちろん取っている。
 気にしたら負けさ。 ←右寄せ
 ギャァァァァァス
 
 そーゆー咆吼をあげながら、彼(?)等はドチッツボールをやっていた。

 しかし、そこにタマちゃんが現れた瞬間、タマゴにボールを投げつけたのだ。
                 オートカウンターディヴァイス
 宗介の意志とは関係なく、 自 己 防 衛 機 能 が働き、

 ボールをキャッチ。
 
 そして投げ返す。
 
 ・・・・・・新たな遊び仲間と勘違いしたか?

 タマゴスーツの自己防衛機能も一体・・・・・・





 三つ巴のドッチボールは、そこに彼・・・・・・アンドレイ=カリーニン少佐(着ぐるみ:きのこ)が現れるまで続いた。

「なっ、何をしているんだ?

 それに・・・・・・私のグライダーはどこだ?」
 
 ぎっくぅぅぅぅっっっ!!!
 
 一瞬、異形の者達のドッチボールが中断される。

 まぁ、カリーニンはそれに気付かなかったのだが。

「・・・・・・まぁ、いい。

 無いのだったら、略奪すればいいのだから・・・・・・」

 きらーーん

 カリーニンの目が、怪しい光を帯びる。

 キノコのカサのちょっと下が光る。

 怪しさ大・爆・発ぅっ!
 
 その怪しさに気圧され、タマゴ、紅葉、黒煙が空へ避難する。

 おをぉっ!

 紅葉と黒煙が進化した!
 
 紅葉進化、紅葉えもん!
 
 黒煙進化、黒煙えもん!
 
 いや、人名辞典に毒されまして。

 カリーニンが、どこからともなく対戦車ライフルを取り出した。

 そしてそれを構え、撃つ。

 ・・・・・・手が出てないのにどうやって撃ったのかは完全に謎だ。

 そう。

 謎邪夢の製法と同じくらいに!
 
「ふはははははははは、死ね!相良軍曹!!」
 
 ドガンっ、じゃきっ ドガンっ、じゃきっ どがんっ、ジャキっ

 連射連射連射連射!

 しかし、全てがその装甲の前に散る。

「(カオラよ・・・・・・一体どんな装甲なのだ?これは)」

 宗介はそんなことを思っていたが、これもまた謎である。

 きっと、スゥの科学力の前には全てが平伏すのだろう。

「(それよりも・・・・・・邪魔だな、少佐!

  オレの行く手を阻むモノは・・・・・・・・・死ネ!)
 
 みゅみゅんみゅ、みゅみゅみゅみゅ〜!!(行けっ!デザート・イーグル!!)」

 スーツの肩部から3機のビットが射出される。
              かたど
 それらは、彼の戦友を 象 ったもの。

 デザート・イーグルはキノコに殺到し、熱線を浴びせかける。

「うお、うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ ! ! ! ! !」
 
 カリーニン少佐は、この世から消滅した。





「・・・・・・総員、カリーニン少佐・・・・・・いえ、二階級特進により大佐に黙祷!

 ああ、カリーニンよ永遠なれ。

 テッサの言葉に、全てのメリダ島にいる隊員達が黙祷した。

 宗介も、紅葉も、黒煙も。
 
 ・・・・・・仲間入りかよ、こいつ等・・・・・・・・・





「みゅっ・・・・・・みゅんみゅみゅ、みゅぃ〜〜(ふっ・・・・・・悪は滅び去った)」

 宗介は、新たな戦友達と共に最終チェックポイントへ向かった。





 ここから先は特に面白みもないので、ゴールまでのことは省こう。




 
「やりました、相良宗介ぇっ!!
 
 出る種目全て一位!凄いぞ!オマエ!
 
 お〜っと、ただいま二着が来ました。
 
 って、うぇぇぇっっ!?
 
 しょっ、しょっ、しょっ・・・・・・」

 クルツが口ごもった。
 
「少佐、生きてたんですかぁーーっっ!!?」
 
「愚問だな」

「全くね」

「私たちがアレぐらいで死ぬとでも思ったか」
 
「あっ、姐さんに中佐までーーっっ!!?」
 









 こうして、第11種目が終了した。










 あとがき

 ふっ・・・・・・・・・何も言うまい。

 ところで、ヤッパこれも「壊れ」になるのかなー?

 ま、どーでもいーやー。

 さて、この場を借りて、改めてお礼を言わせていただきたいと思います。


 火元炭さん、ぽに男スーツ、す〜ぴぃスーツその他諸々の設定をお貸しいただき、ありがとうございました。

 ぽに男スーツ、見せ場0だったけどね(苦笑)


 釣り人さん、ありがたく「もし(以下略)」の設定を使わせていただきました。


 十二の翼さん、紅葉と黒煙、どうもありがとうね〜。


 因みに、紅葉と黒煙は後編でも登場予定です。


 それでは、またの機会にお会いしましょう。