紅の軌跡 第22話
ZGMF−600ゲイツ
いわずと知れた、現在プラントで急ピッチで生産が行われているZGMF−1017ジンに代わるべき、ザフト軍次期主力量産型モビルスーツである。なお、ここであえて次期とつけたのは、いまだ前線に配備されたMSの主力を務めているのはジンだからである。
ゲイツは新型機として主に月−地球間の通商破壊戦で戦果を上げつつあるものの、量産開始からそれほど時間を経ていないせいもあり数的な主力足りえていない。それゆえ、ゲイツの配備数がジンのそれを上回った時こそ、名実共にゲイツがザフトの主力量産型MSであると言う事ができるであろう。
そのゲイツの本格的な量産が開始されたのはC.E.71年4月後半のことである(もっとも増加試作型を含めてかなりの数がそれ以前にも生産されていた)。だが、より正確にいうならば量産に移されたのはオリジナルの、あるいは初期モデルのゲイツではないことはあまり知られていない。
オリジナルのゲイツはC.E.71年1月に公開され、量産試作タイプも日をおかずロールアウトしており、その後の変転がなければ、生産ラインの組み換えやパイロットの機種転換訓練、各種運用上の諸問題などを鑑みても、遅くとも2月後半には前線部隊への配備が始まっていたであろうはずである。
だが、C.E.71年1月末のヘリオポリス崩壊とクルーゼ隊による地球連合軍MS奪取という、ザフト及び地球連合軍双方にとっての一大イベントにより、ゲイツという名のモビルスーツのコズミックイラ史への登場は大幅に遅れることとなった。
Gショック
GAT−Xシリーズを入手し、その機体の持つ性能を解析した結果、ザフト軍及びプラント上層部に走った激震を表す言葉として、後々まで語り継がれている言葉である。諜報機関が入手した敵軍が使用していた開発コードをそのまま言葉の頭に用いる、それほどまでにザフト軍関係者の受けた衝撃は大きかった。
C.E.71年2月の時点で、前線で運用されているザフト軍MSの大半の攻撃を無効化しうるだけの防御力を持ったPS装甲。
ジンどころかロールアウトしたばかりのオリジナルゲイツを、一撃で撃墜可能なビームライフル、ビームサーベルを初めとする絶大な攻撃力。
そして、機動力には定評のあった、ジンの後継機種としてそれほど数は多くないものの生産の進んでいたZGMF−515シグーさえも翻弄するだけの機動性能。
その全てのものがザフト軍のMS製造関係者の顔色をなからしめた。
「ナチュラルがこれほどの性能を持ったモビルスーツの製造に成功しただと?」
この一言が関係者の心境を的確に語っているだろう。
例え搭載されていたOSの性能が話にならないほど稚拙であったとしても、それは何の慰めにもならなかった。Gシリーズのハードウェアが持つポテンシャルは、なまじ自らが高い能力を誇るがゆえにザフトの兵器開発部門の者にとっては一目瞭然であり、その結果、一時的に茫然自失といっても過言ではない状態に陥った彼らだった。
そして、その衝撃から回復した途端、目の色を変えて真っ先に取り組んだのがゲイツの再設計と更なる新型MSの開発であったことは言うまでもない。
もともと軍の主力兵器、その強さは敵の持つ同種の兵器の中で最強のものと互角に渡り合えるか、あるいはそれを凌駕できるだけの性能を目的として開発されることが一般的である。
敵よりも弱い兵器をわざわざ新規に開発する理由もないだけに、これはけだし当然のことであり、ゆえに敵である地球連合軍が開発したGシリーズの存在を知った彼らは、それらと正面から戦い、撃破し得るだけの能力をゲイツに求めたのもまた当然のことであった。
むろん、入手したGシリーズが試作機ゆえに可能な限りの新技術を盛り込まれた、量産性を度外視し可能な限りの高性能化を図った代物であろうことは容易に推測できたが、やがてはその技術を普遍化した量産機が登場することは避けられないこともまた予測されていた。
そして、それはそう遠い未来の話ではないことは誰の眼にも明らかだった。
だからこそ、オリジナルのゲイツが、再設計に耐えうるだけの発達余裕を十二分に持っていたことはプラントおよびザフトにとって福音であったといえよう。いや、第二のジンを目指して開発を推し進めてきたプラントの兵器開発部門の技術力の高さと、将来を見越していた先見の明を称えるべきかもしれない。
そんな紆余曲折の上で再設計を施されたゲイツは、主に生産効率と生産コスト、そして早期量産化という3つの問題から正規の装備としてはPS装甲の搭載こそ見送られたものの、新たに開発されたビームサーベルとビームライフルを標準装備し、機動力においてもGシリーズにおさおさ引けはとらないだけの性能を与えられていた。
もともと基礎科学及び応用科学の技術力は、プラントが地球連合をほとんどの面で上回っている。人類という種の持つポテンシャルを惜しむことなく発揮できるようにコーディネイトされた新たな種族の知的能力の高さは、そうそう地球連合の追随を許すようなものではない。
もっとも、その代わりといっては何だが、プラント理事国はコーディネイターに、高い能力が必要とされる様々な新規技術の初期開発を行わせ、その結果としての熟した果実を労せずして得ることを最大の目的のひとつとしていたので、自分達に把握できる範囲であれば、開発されたものを真似るあるいは普遍化する能力はかなり高かった。
実際、開戦初期において入手した新たな兵器体系の祖であるジンの解析とそれを真似た連合製ジンの試験的な生産は速やかに行われており、また、それが実戦投入されなかったのが、コーディネイターが必要としなかった、ナチュラルがMSを操縦するにあたっての専用OSが用意できなかったからに他ならないことが、地球連合の得意分野とその限界を端的に現している。
そんなプラントにおいて、地球連合が先に小型化に成功したMS用のビーム兵器の研究がそれほど熱心に行われていなかった最大の理由は、やはりバッテリー消耗による機体の稼働時間の減少に尽きる。
プラント理事国とプラント間の対立が激化しつつあった当初は、プラント理事国に対し極秘にMSを生産せざるを得なかったザフトにとって、個々の機体の戦闘継続時間は最重要な要素のひとつであったことは想像に難くない。
仮に戦闘継続時間が倍違えば、それは事実上の倍の戦力を揃えたことにも匹敵する。また、そもそもロールアウトしたジンが、当面の敵となる地球連合軍宇宙艦隊(当時はまだ地球連合は存在していなかったのでプラント理事国の航宙戦力を敵と見なしていた)の主戦力であるMAと艦船を十二分に撃破可能であった以上、攻撃力向上よりも戦闘継続時間を重視するのが自然だろう。
それでも、M59バルルス改特火重粒子砲といった大型ビーム兵器の基礎研究と実戦運用は進められてきていたため、入手したビーム兵器技術の吸収/応用は彼らにしてみれば難しいものではなかった。
それでも、念のためYFX−200シグー・ディープアームズなどで実証試験を行い、そこで洗い出した問題点を解消し、その結果をより洗練した形でフィードバックしされた、ゲイツに搭載されたビーム兵器は間違いなくGシリーズと互角以上に戦うことを可能とする攻撃力をゲイツに付与していた。
また、ジンからシグー、そしてゲイツへと連綿と続くウイングスラスターユニットの推進力強化とプロペラント消費の高効率化、およびプロペラントタンクの増設により、十分な運動性の向上と共に戦闘継続時間の延長も実現されている。このあたりの改良には、スラスター推力の向上により高い運動性を獲得したものの、大推力スラスターがプロペラントをがぶ飲みし、戦闘継続時間の減少を招いたZGMF−1017Mジンハイマニューバの開発経験が如実に反映されているともいえよう。
そして、このフラッグシップ並みの性能を持った新たなるゲイツの量産化成功とYMF−X000Aドレッドノートから始まる超高性能モビルスーツというべきZGMF−Xシリーズの実用化により、ザフトのモビルスーツ開発部門に関連する者たちはGショックを払拭できたといっても過言ではない。
さらに、まだ前線には出ていないが量産開始後に実用化されたビームシールドの発生デバイスを両腕(ただし片腕はシールドそのものにデバイスが内臓されている)に装備したタイプは、PS装甲を用いてもこれまでは防御が困難であったビーム兵器による攻撃の持続的な防御を可能としている。これは、地味ではあるがモビルスーツが初めてコズミックイラ史に登場した後の非常に大きな変化、ある種の革命的な出来事であるということができよう。
ビームシールドを装備したMSは、現存する装甲シールド装備型MSよりも防御力、防御範囲共に著しい向上を成し遂げており、宇宙戦艦の主砲クラスのビーム兵器の直撃ですら限定された条件ではあるが防御が可能となったのだ。このことが意味する戦術的な可能性を理解できないような愚か者はザフトの上層部には存在せず、まさしく、航宙艦の天敵としての存在が一段階上にレベルアップしたといっても言い過ぎではなかろう。
もっとも、そのゲイツの量産を何の心配もなく行えるのは、前線におけるMS部隊の損耗が今現在も極めて低く抑えられているという背景があることも忘れてはならない。
もし仮に、ザフトのMS部隊が地上軍、宇宙軍共に大打撃を受けるような事態に陥っていたとしたら、如何にプラントとはいえ手間のかかる新型機への生産ラインの変更は後回しにされ、MS部隊への機体の補充を急ぐべく、既に確立した生産ラインでの現用機の製造を優先したことであろう。
もしそうなっていたとしたら、ゲイツは過去の歴史にある不幸な兵器の仲間入りをしていた可能性が高かった。というのも、歴史を見る限り、戦局の激変あるいは上層部の誤判断による時期を逸した新型兵器の投入は、得てしてその兵器自身が持つ性能の割には期待はずれの結果に終わることが多いからだ。
具体的な一例を挙げるならば、ドイツ第三帝国の世界初の実用ジェット戦闘機Me262や夜間戦闘機ハインケルHe219ウーフー、そして、その後の世界を席巻することになる大陸間弾道弾の先駆者V2あたりだろう。これらの当時としては間違いなく画期的であった新型兵器は、政治的条件やあるいは指導者の不見識によって、ごく一部の例外を除き、その持てる能力を十分に発揮することなく時代という大波のうちへと沈んでいったのだから。
だが、幸いにしてザフトの前線ではいまのところそのような事態を引き起こすような、MSの大量損失といった戦線破綻の兆候は見受けられない。
ユーラシア・アフリカ方面で地球連合軍の大規模な反攻作戦が始まり、また、太平洋においても中立国であるオーブ連合首長国に地球連合軍が侵攻しようとしているなど、戦略環境は決して予断を許すような状況ではないが、かといって絶望的な状況からは程遠いのも事実なのだ。
まず、ユーラシア・アフリカ方面は、ヴァシュタール隊長の指揮の下、敵に出血を強いつつ戦線をゆっくりと後退させている。上層部の戦略的な読み違えにより補給物資にやや難がありながらも、ヴァシュタール隊長は手持ちの物資を重要な戦略拠点や戦術上の要衝においては、惜しむことなく大量に投入することで人的損害を局限しながら、士官学校の教科書に載せられるほど見事な撤退戦を行っている。
緩急をつけることで全体の消費量を抑えつつも、補給物資を惜しまずに戦闘を行っている件については、近々、膨大な物資を持った輸送船団が送り込まれる予定であるからこそできることかもしれない。が、それでも果断としか言いようのない判断ではある。
凡将であれば貝のように縮こまって援軍を待っても不思議ではないが、もっともそれゆえ、勇将の下に弱卒なしの格言通り、アフリカ方面軍のザフトの将兵は、全員が一丸となって勇猛果敢でありながらかつ沈着冷静という兵士として最良の状態で戦っており、士気という点で見ればこれまた最高に近い状態にある。能力優先で選ばれるザフトの指揮官に無能な者はほとんど皆無とはいえ、この方面に関しては、補給物資さえ送り込めれば全く心配無用と思わざるを得ない状況だ。
また、太平洋方面も、十二分に戦力を蓄積した状態で新たな戦線の発生に備えている。既に事前に準備されていた各種兵力は、計画されたスケジュールに従って展開されつつある。
この方面では、戦闘初期にぶつかり合うのは地球連合軍とオーブ軍であるし、しかもオーブ軍はプラントからの情報提供を契機として地球連合軍の侵攻を早期に把握、そして、ここしばらくの間で相当戦力の強化が成されている。それによる地球軍の消耗は決して小さなものではないとザフト内部では予想されている。
むろん全てが計画通りに進むはずなどと考えるほど楽観的な高級軍人は一人もおらず、戦闘の推移によってはさらなる増援を送り込む必要が発生する可能性は考慮されており、そのための準備も当然継続中である。
今のところは事前集積した物資と戦力で戦い抜くことが可能というのが現地と上層部の共通の見解であったが、予備戦力や軍需物資の補充については多くあるにこしたことはない。
このことについては、アフリカ共同体と大洋州連合の戦前の重工業の発展の差が大きな影響を及ぼしており、なおかつ、プラントにとって最重要の貿易相手国となった赤道連合から軍需物資を輸入できることが太平洋方面軍の戦力補充に大きなプラスとなっている。かの国では既に、ザフトの武装に適合する武器弾薬の大量生産が一部の工場にて開始されており、プラントとの輸出入増大と共に同国内の停滞気味であった経済の活性化に一役どころか二役、三役も買っているのだ。
同時に、隣国という著しく戦場に近い場所から今のところはまだ十分ではないとはいえ、武器弾薬を手に入れられるということの利点がどれほどのものか、ザフトの前線指揮官たちは実感しているところでもあった。そういったわけで、すくなくともこちらは、ヴァシュタール隊のような苦労はせずに済むことは間違いないであろう。
プラントの立場からみて、こうした戦略環境が許す戦争中の一時の凪とでもいうべき時間を、再び絶妙のタイミングで得られたことについて、神とでも呼ぶべき存在、あるいはもっと具体的に散っていった将兵達に感謝すべきなのかもしれない。
この時期、流れ落ちる砂時計の砂粒はその一粒一粒がダイヤモンドよりも貴重であった。だからこそ、ザフトは迅速という言葉が具現化したかのような勢いで主力MSの機種変換に全力で取り掛かっているのである。
宇宙に等間隔に浮かぶ無数の巨大な砂時計・・・・・プラント本土、ラグランジュ5。
そんなある種の幻想的な光景から、宇宙要塞ヤキン・ドゥーエの存在する宙域とは逆の方向に目線を移した先の宙域を、ビームシールドを装備した最新鋭MSゲイツが高速で動き回っていた。
そこは、ザフトがプラント本土至近に有する演習宙域、具体的にはプラントの存在するL5のはずれ、掘り尽くされた資源採掘用小惑星の残骸や破砕された欠片が無数に浮かぶ、実戦さながらの宙間戦闘訓練を行うための宙域であった。
最新型に相応しい切れのある鋭い機動で、宇宙空間に漂う星間粒子を自らの機体で切り裂くような回避運動を見せるゲイツだったが、それを操縦するパイロットには自らの腕前を再確認するような余裕は欠片もなかった。
主に精神的な圧迫感からだろうか、せわしなく呼吸を繰り返し、さらにさかんに視線を動かし多数のモニターに映し出される情報をもとに周囲を警戒している。
「・・・そんなばかな。」
視線をわずかに手元に戻した瞬間、信じられない、いや信じたくないといった雰囲気で言葉がこぼれ出る。
「いくらプラントの工廠でリファインした機体だからといって、相手は連合製のモビルスーツなのに!
そんな機体にバーバラとジョアンがやられるなんて!?」
演習宙域に浮かんでいるデブリを右から左、下から上へと、回避運動を続けながら、アカデミーの候補生であるキム・ヴァスケスはおよそ想定外の事態に信じられないとばかりに毒づく。
と、周辺警戒の情報を表示していたモニターに赤いフラッシュが瞬くと同時に耳障りな警告音が、機体のパッシブセンサーが捜索用の電波、すなわち敵機の発するレーダー波を感知したことを知らせた。
そして、それは続けざまに機体に照射される電磁波が連続波に変化したことを告げた。
それの意味するところを理解し、瞬時にキムの顔色が変わる。
すなわち、捜索レーダーによるほんの一瞬のスイープで自らの機体が敵機に捕捉され、射撃管制用レーダーで精密走査されていることを意味しているのだ。
「くっ!間に合え!!」
コーディネイトされた肉体が許す限りのスピードで、咄嗟に右のスロットルレバーのスイッチを指先で弾くと同時に足先のフットペダルを思い切り踏み込む。
ゲイツの機載量子コンピュータは、コックピットインターフェースから入力された一連の電気信号から成すべきことを把握。機体各所のデバイスに対し必要な命令を伝達する。その結果、機体右側のウイングスラスターから盛大に推進炎が噴き出されると同時に、全身数十箇所にも及びぶアポジモーターのうち機体右側に備えられたものが一斉に推進ガスを噴出、パイロットの身体全体に圧し掛かってくるような加重と共に強引に機体の針路を捻じ曲げた。
あまりの加重の強さに我知らず呻き声が漏れた次の瞬間、彼女の機体がいたであろう未来予測位置を、狙い済ましたかのような青白い光条が2条、貫いていった。
その精密極まりない射撃にうっすらと冷たい汗を背筋に浮かべつつも、叩き込まれた訓練によりその恐れを押さえ込み、逆にチャンス到来とばかりに機体を反転させ敵を捕捉しようと試みる。そのAMBAC機動による姿勢制御はナチュラルの操るMSと比較すればまさに神業と呼べるほどの反応速度であり、モビルスーツパイロットとしての彼女の腕前が並々ならぬものであることを示している。
だが、彼女のゲイツが放った捜索用レーダー波は、敵機が既に盾となる小惑星の欠片の影に飛び込もうとしていることをモニター上に映し出していた。
敵を攻撃するときは相手もまた自分を狙っている。よって、射撃にかける時間は可能な限り短く、そして射撃完了と同時に回避運動を開始すべし・・・
見事なほどヒットアンドウェイの基本原則に則った戦闘行動であった。
それでも、咄嗟に牽制代わりにはなるかと判断し、指先を絞るようにトリガーを引く。
暗き闇を背景に優れた兵器が自然と備える造形美を現しながら、ゲイツが構えたビームライフルの銃口から間をおかず、3条の光が迸る。
しかしながら、ロックオンすることなしに放った光はやはり敵機にかすめることなく、小惑星の表面を削り、あるいは虚空に消えていった。
そして敵機は、彼女の攻撃を避けるために飛び込んだ小惑星の影から、回避方向撹乱のために針路を遷移していながら、それでいて理想的と判断せざるを得ない角度で離脱すると、再び開いた距離を詰めてこちらに近づいてこようとしている。敵機は、明らかに今の攻撃が牽制でしかないと見切っていることをその行動で示していた。
「ちっ!」
舌打ちと共に再びAMBAC機動により機体の姿勢を変更すると、盛大に両肩のウイングスラスターを噴かす。敵に回避運動を強いたことで、若干の距離を稼ぐことに成功したからこそできることだ。
「カリーナ、まだ生きてる!?
無事だったら返事をして!」
強烈な加速感に身体全体を圧せられながら、唯一生き残っているはずの僚機を通信機の周波数を合わせて呼び出す。その間も小刻みにウイングスラスターユニットを調整し、微妙に針路を変更し続け、決して直線運動をしないよう無意識のうちにスロットルをいじっている。
だが、呼びかけに対し通信機は沈黙を保ったまま、わずかにノイズを響かせるのみ。
二重三重にNジャマーの有効範囲が重ね掛けされているプラント中央部からそれなりの距離があるとはいえ、それでもプラントのお膝元というべきL5の宙域ではNジャマーの副次目的というべき電波撹乱による通信妨害は健在だ。
ジンに比べて走/攻/守の3大機能だけではなく、機載量子コンピュータをはじめとするベトロニクスも強化されているゲイツは、当然搭載している通信機やレーダー機器もまた強化されている。だからこそ、先ほどのような中距離での射撃戦が可能であったが、もしも、この近辺にNジャマーが散布されたらそれすらも不可能となる。
が、その強化された通信機器を持ってしても、なかなか通信は繋がる様子を見せない。今のキムにとってはそのことの方が大問題であった。
「聞こえてないの、カリーナ!」
「ザザ・・・・・」
相変わらずノイズ音しか立てない通信機に、思わず最悪の事態を想像した彼女の顔色が徐々に徐々に青くなっていく。
自機の後方を広角で映し出しているサブモニターには、ちらちらと敵機の反応が確認され、一度引き離した敵機が追尾を続けていることがわかる。
サブモニターと通信機の間を視線が何度も往復し、やがてサブモニターに固定される。
「・・・くっ、こうなったら一か八か・・・」
「ザザザ・・・・・聞こえているわよ、そんなに怒鳴らないでちょうだい。」
「!?無事なの、カリーナ!」
悲壮な覚悟を決めようとした矢先に、ノイズ交じりだが間違いなく聞き知った声を紡ぎ出した通信機へ応ずるキムの声のオクターブが一段階跳ね上がる。
「あんまり無事とはいえないけどね。
けど、何とか相手を一時的に振り切ったわ。」
それに応える同僚の声は若干の苦笑をはらんでいる。その雰囲気に、普段出すことのない裏返ったようなキムの声音に笑っている様が目に浮かぶ。そのことに気づいたキムは、自分が相当追い詰められていたことに改めて気づいた。だから、あえて口調を軽いものに変えて返答する。
「よかった。こっちにきていたのは1機だけだから、カリーナの方へ2機向かったと思って心配だったんだ。」
「まあ、ジョアン達のように少しでも油断していたら今頃は撃墜されていたでしょうね。」
「さすが、優等生は普段からの心構えからして違うね。」
「私の普段の様子を一番知っている貴方がそれを言うの?
まあ、それについては後で問い詰めるとして、キムの方はどう?」
その言葉にちらりとサブモニターに視線を動かす。その結果を見る限り、ゲイツの加速力のおかげで距離は稼げているものの、いまだ振り切れてはいない。
「私はまだ追いかけられてる。
でも、少しだけ余裕が出来たよ。いま、ポイントCからポイントBへ向かって移動してる。」
「・・・・・・・・・・そう、わかったわ。ポイントB21で合流しましょう。」
キムの返答に若干の間をおいてカリーナの返事が返る。わずかな時間で、脳裏で様々なシミュレートを行ったのだろう。このあたりの緻密な演算能力はカリーナの得意とするところだ。
それゆえ、素直に彼女の言に従う。
「了解。おそらく40秒ぐらいだと思う。」
「それじゃ、また後で。」
そうやって通信は切れた。
再び緊迫した戦場の雰囲気が彼女を飲み込もうとするが、先ほどとは違い、それを落ち着いて対処するだけの余裕が今のキムにはあった。
そして、冷静にこれまでの戦闘を振り返り、ある結論に達した彼女はつぶやく。
「見てなさいよ。例えオリジナルじゃないからといっても、このままでは終わらせないから。」
その後、無事カリーナ機と合流を果たしたキムは、演習宙域を大きく迂回する形で追尾してくるはずの敵機の側面に回りこもうとしていた。
そのような小細工が効くような相手かといわれれば、おそらくは否であろうということは、これまでの戦いで百も承知している。だが、少しでも可能性があるならば、それを成すべきだという意見にカリーナも強く同意してくれた。
だが、やはり残念ながらその行動は実を結ぶことはなかった。
「キム、どうやら側面からの攻撃はあちらの予測の範疇だったみたい。」
カリーナから敵を発見した旨の通信が入り、同時に敵に関しての情報が転送される。
キムはその情報を瞬時に読み取ると四方のモニターを念入りに見回した。
そして見つけた、3機のモビルスーツを。
こちらが僚機と合流したように、彼らもまた合流していたのだろう。
それは確認した当初は太陽光を反射する小さな輝点でしかなかったが、望遠モードを使い、こちらに向かってくる機体をしっかりと確認できた。
3機の敵はスラスターを小刻みに吹かしつつデブリ帯に沿って急速に接近してくる。その無駄のない機動だけをとってみても相手が無重力戦闘に熟練していることが見て取れる。そんな敵めがけて、カリーナが肩部のビームキャノンと腰部のレールガンを斉射する。
こちらの攻撃と同時に敵の3機は散開した。
散開した敵機のうち、先ほどまでキムのゲイツを追尾していたアサルトシュラウド装備のストライクダガーと砲戦タイプのストライクダガーがカリーナ機に向かっていった。
狙われたカリーナはビームキャノンと腰部のレールガンを交互に連射しつつ、デブリを巧みに利用しながら飛び回っている。カリーナは先の戦闘も周囲の地形を利用して生き延びたのだろう。撃ち合いを続ける様子からは互いに侮りなどというものは一切感じられない。
そのまま彼らは遠巻きのドッグファイトに入った。おそらく敵機はこれまでの戦闘でカリーナが操るゲイツC型の能力を把握したのだろう、カリーナ機の火力を警戒している様子が伺える。
キムの方には、表面上はノーマルタイプに見えるストライクダガーが接近しつつある。
キムは、ジョアンとバーバラが撃破された時の失敗を繰り返さないために、カリーナとの連携を再び分断されないよう互いの機位を小刻みにチェックしつつ、自らの操るゲイツB型にも装備されているレールガンを放った。
連合のGシリーズによって生まれ変わることとなったゲイツは、当初の予定を変更して現在3タイプの機体が量産化されている。
もしも、プラント内部がザラ派とクライン派に割れて争っていたら、このような増産は到底無理であったろうが、幸い先の両派の和解により人的資源の最適配置を初めとする様々な手が打たれており、それによりプラントの生産力が以前にもまして向上しているからこそ可能なことであった。
さて、その3タイプのゲイツであるが、まず、この模擬戦闘の初期に撃破されたジョアンとバーバラが搭乗していたエクステンショナルアレスターを腰部に搭載し、近接攻撃力が高くもっとも運動性に優れたゲイツA型。これは、SEED本編に出てきたゲイツとほとんど同じものであり、生産数も3タイプの中で一番多い。
そして、キムが操る腰部のエクステンショナルアレスターをフリーダムに搭載されているものと同系統のMMI製のレールガンに換装し、3タイプの中でもっとも機動力と砲戦力にバランスの取れたゲイツB型。その機体スペックはSEED運命に出てきたZGMF−601RゲイツRとほぼ同じものと考えた方が理解しやすいだろう。
そして、カリーナが搭乗している、ゲイツB型の肩部にビームキャノンパックを搭載し、砲戦力だけに限って言えばフリーダムにやや劣る程度といった、いわば簡易版フリーダムと言えるゲイツC型。
こちらは、YFX−600R火器運用試験型ゲイツ改からプロトリフターとPS装甲を取り除き、継戦能力を実用レベルまで上げた機体であり、同時にエースパイロット向けのゲイツカスタムを量産ラインにのせるために改良した機体でもある。
もっとも簡易版フリーダムというのは少々大げさな表現で、このゲイツC型は遠距離砲戦に主眼を置くために他の2タイプよりも高い性能を持ったベトロニクスを搭載しているとはいえ、本家フリーダムのようなコスト度外視の極みとでもいえる超高性能量子コンピュータの複数搭載などということはしていない。そのため、単体で局地的な戦場の勝敗を左右するような図抜けた戦闘能力は当然のごとく持っていない。また数機製造された量産試作機を除いて核反応炉を搭載しておらず、背部に設置されたビームキャノン用バッテリーが底をつけば、砲戦力はB型に準じるレベルに戻ってしまい、なおかつデッドウェイトとなったキャノンパックにより運動性は低下したままの状態になる。そのため、ゲイツC型は爆発ボルトによる肩部ビームキャノンを着脱式とすることで機体の戦力低下の防止を図っている。
通常は、これら3タイプのゲイツがそれぞれA型が主に前衛、B型が中衛、そしてC型が後衛を務める形でフォーメーションを組み、戦闘を行うようになっている。同一の機体で遠近それぞれに持ち味を活かせるようにしたあたりにも、連合から奪取したGシリーズ、特にX100系フレームの影響が伺えるのが興味深い。
まあそれはそれとして、本来ならば前衛を務めるはずの彼女たちの僚機は、模擬戦開始早々に撃破されており、理想とするフォーメーションを組むことは不可能である。そのため二人はイレギュラーな形でのフォーメーションを組まざるを得ないのが差し迫った現実であった。
そんな最新型のゲイツと連合製を模したプラント産のダガーシリーズの間で、しばらくデブリを初めとする障害物を利用しつつの、2対3の射撃戦が展開された。
幸い、キムとカリーナは親友という間柄からもともとコンビを組むことが多く、互いの呼吸もよく知っていたために数的劣勢でありながらも、よく戦闘を続けている。もともとの機体性能の違いを考慮しても、その点については、この戦闘を観察しているアカデミーの教官たちも素直に認めるところであった。
だが、実際に戦闘を続けている二人にとっては、精神をまるでやすりにかけられたかのように少しづつ削り取られるような厳しく緊迫した戦いであった。
敵部隊が用いているのは、機体性能においては、いかにリファインしたものとはいえ最新型のゲイツに到底かなうはずがない代物である。にもかかわらず、押されているのはこちらであり、一瞬でも気を抜けばその場で撃破されることは疑いなかった。
それでも未だ二人が生き残っているのは、やはりウイングスラスターを初めとした加速性能に優れるゲイツの機体性能に負うところが大きい。だが、それも敵機の優れた連携によって徐々に追い詰められつつあった。
このままでは、直にジリ貧になる。
そう戦況を判断せざるを得なくなったキムは、状況を打開するために賭けにでることを選んだ。このあたり、パイロットという人種はやはり能動的な選択をするものらしい。
キムの行動が変化したことにより、長年の付き合いからその意図を悟ったカリーナが後先考えない連続斉射で敵2機を押さえ込むと同時に、キムは愛機のスラスターを全力噴射した。
「くやしいけど認めるしかない。相手の方が戦闘慣れしている歴戦のベテランパイロットだ。
でも、だからこそ挑発に乗るかもしれない。」
キムはビームライフルを撃たなかった。相手にロックオンされぬように、激しく機体を左右に揺すりながら前進する。まるで自分の身体がシェーカーにかけられたような気分だ。頭の血液が沸騰し、内臓がひっくり返りそうになる。
だが、それが功を奏した。相手はキムの狙いどおり挑発に乗ったのだ。
相手も火器を使わず、モビルスーツの白兵戦に応えようとしている。
みるみるキムのゲイツと敵機の距離が詰まっていく。キムは直後の激突の衝撃にそなえた。だが、その衝撃はやってこなかった。激突する寸前に敵機が絶妙のAMBAC機動とアポジモーターの噴射で、互いの機体が接触寸前となる紙一重の回避を行ったのだ。
それを直感的に理解したキムは機体を反転させ、メインスラスターを噴かして減速する。
が、次の瞬間、恐怖で心臓が口から飛び出しそうになる。
目の前に敵機がいた。やつはビームサーベルを振りかざしていた。こちらのビームサーベルは間に合わない。
「させない!!!」
キムは自分を鼓舞するために叫び、機体の脚部を動かした。同時にアポジモーターを思い切り噴かす。
機体にしたたかな衝撃が伝わってきた。とっさに機体を沈めながら敵機に蹴りを見舞ったのだ。
致命傷には程遠いがそれでも間合いを取り直すことができた。
完全に予想外だったのろう、必殺のタイミングで蹴りを受けた敵機は回転運動を始めたが、アポジモーターのわずかなカウンターショットで体勢を立て直した。
そのわずかの間にキムはそのまま機体を加速させ、攻撃を叩き込む。
手応えは、ない。
「くそっ。白兵戦でも分がないというの?」
これまでの射撃戦から中長距離での戦闘では勝ち目がないと判断したから、あえて近接戦闘に持ち込んだのに・・・
じりじりとした思いに精神をとろ火で焼かれるような気持ちを味わいながらも、左腕一本でスロットル調整と照準をこなしながら、右腕でトリガーを引き絞る。あらかじめ選択されていた火器管制プログラムがコマンドされ、流麗な動きでビームサーベルを振り抜く。
コロイド場から零れ落ちた光の粒子が、閃光となって正面モニターを満たす。
熟練のピアニストのように彼女の指がコックピット内を踊り回り、次々とコマンドが選択され実行されていく。
彼女のナチュラルから見れば腕が4本あるんじゃないの?と疑問を持たれるような攻撃プログラムの連続実行によって、人型の限界に挑むような動きで敵に襲い掛かるゲイツ。その様子は、ある種の舞踏のようにも見えるほどだった。
それは間違いなく、彼女のこれまでの訓練の中で培ってきたモビルスーツパイロットしての技量が最高の舞台を得て十全に発揮されていることを意味していた。
だが同時に、最新鋭のゲイツにとっても無茶苦茶といっていいコマンドの連続に、機体が耳障りな音を立てて軋みを上げる。それでも、勝機をつかむためにとキムはコマンド入力の手を休めない。プラントの技術力と整備兵たちのスキルを信じ、戦いのダンスのステップをひたすら踏み続ける。
しかし、それでも恐るべきことに彼女の攻撃は有効打とならなかった。
まさに神技と称するほかのないAMBAC機動で、上下左右、蝶が舞うようにひらりひらりと彼女の攻撃を避け続けるノーマルタイプに見えるストライクダガー。
まるでこちらの攻撃の死角を完全に把握しているかのように、ただただ攻撃を受け流される。
わずかながらも敵機の装甲に傷が付いているのはわかる。さすがに完全に無傷というわけにもいかないようだ。が、損傷を受けた部位はいずれも致命的な箇所からは程遠い。
その信じ難い事実、すなわち自らの繰り出した最高の攻撃を防がれ避けられ続けて、キムの心に押さえ込んだはずの恐怖が少しずつ、じわじわとまるで地下水が染み出してくるように蘇ってくる。
その恐怖に飲み込まれるわけにはいかなかった。もしパニックを起こせばその時点で勝敗は決定してしまう。
それゆえ、湧き出る恐怖を振り払うかのようにひたすら攻撃を続けるキム。
そして永遠に続くかと思われる間髪入れない連続攻撃の嵐にさすがに辟易したのか、敵機がわずかに距離を開ける。
だが、その間はキムにとって千載一遇のチャンスに見えた。
確かに相手の腕前は自分を上回るのだろう・・・・・だが!
相手の機体を上回るポテンシャルを持つ自らの機体を信じ、再度、激突覚悟で突進させる。
愛機はそんな彼女の期待に応え、先ほどを上回る速度で瞬時に距離を詰めた。
MSの感覚では手を伸ばせば届きそうな距離だ。
そのまま相手の胴体部めがけてビームサーベルを叩き込む。
勝った!
そう思った瞬間、目の前の機体がふっと沈むように視界から消え、ビームサーベルの軌跡がむなしく空を切り、閃光となって消滅した。
次の瞬間、衝撃と共に再び目の前に現れた機体にキムの視界が塞がれた。
「しまっ──!」
そのまま声は口から出ることなく固まり、表情は液体窒素をぶっ掛けられたかのように凍った。
白い閃光の軌跡が彼女の視界に描かれる。
爆発的な衝撃がコックピットを襲い、キムの意識が一瞬途切れた。
MSが吹き飛ばされた衝撃が、全身を揺さぶる振動となって襲い掛かる。
数瞬の間、意識を飛ばしていたキムは、赤色に満たされたコックピットと警報をがなり立てるスピーカーによって意識を無理矢理取り戻させられた。
そして、衝撃に覚めやらぬまま頭を振りつつ正面のモニターに視線を戻した彼女の視界では、彼女を子ども扱いした元連合製のMSが悠然と大破判定を受けたゲイツを見下ろしていた。
[本機は撃墜されました──────本機は撃墜されました──────本機は撃墜されました──────]
目の前のモニターにエンドレスで無様な敗北を喫した証を突きつけるメッセージが流れ続ける。
「くそっ!?自分が仕掛けた技をそっくり返されて敗れるなんて!
・・・・・多分狙っていたのね。今の私では、ここまでということか・・・・・」
認めがたい現実を何とか自分自身に納得させるよう、猛り狂う自らの心を宥めるようにつぶやいた瞬間、これまでクローズ状態にあった通信回線にスミノフ教官の顔が映し出された。
優れた容姿を持つ者が多いコーディネイターの中では珍しく、過去の戦傷で失った左目を再生医療で治療することなくアイパッチで隠し、顔の左側に走っている傷跡がやけに物々しく目に映るごっつい顔つきの教官だが、近接戦闘から中遠距離の射撃戦まで超一流の腕前を持つアカデミーに数多いる凄腕教官の中でもボスクラスの一人である。
「よろしい。キム・ヴァスケス候補生、今回の宙間戦闘訓練を終了する。
最後の攻撃はなかなかのものだった。が、結果は見ての通りだ。」
「・・・はっ。」
演習宙域周辺に設置された中継衛星の回線を、小惑星の残骸を用いて構築した巨大な航宙訓練用のセンターだからこそ設置可能な大出力通信装置に物をを言わせているため、Nジャマー影響下でありながら、通信状況は極めてクリアだ。もっとも、今のキムとってはそんなことさえも腹立たしく思えたのだが。
「カリーナ・パーソン候補生も先ほど敵部隊に撃破された。
スコアは被撃墜4に対し戦果は0。
もしも、これが作戦行動であれば、惨敗と言う言葉が生温いような結果だな。」
「・・・・・・・・・・」
スミノフにそう言われ、返す言葉もなくただ黙るしかないキム。
自らの最高のというべき攻撃をあしらわれた以上、何もいえるはずもない。
が、その通信を聞いていたのは彼女だけではなかった。
キムの耳に予想外の声がこだました。
「納得いきません!」
「私も納得いきません!」
それは、彼女の同僚である二人だった。小隊を組んでいたバーバラ・エドワーズとジョアン・ベネットがモニターの中で教官に噛み付いている。
内心ため息が出るが、もっとも、その気持ちもわからないでもない。
共にアカデミーの紅服目指して切磋琢磨を繰り返しているもの同士、開始早々1分も経たないうちに被撃墜判定を出されるような、実力の欠片も発揮できないうちに撃破された模擬演習では不完全燃焼もいいところだろう。
「ほう?今回の判定に疑義でもあるのか?
ならば、聞くだけは聞いてやろう。言ってみるがいい。」
唇の片方を吊り上げ、アイパッチで隠されていないほうの目の奥に穏やかならぬ光を灯らせながらスミノフ教官が二人の発言を促す。
「今回の結果は偶然です。でなければ、油断しただけです。」
「そうです。でなければ、ハーフごときに負けるはずが!?」
その言葉を聞いた瞬間、教官の瞳に雷が走った。
「この馬鹿者共が!!!」
「「ヒッ!?」」
まるで鼓膜の至近距離で大太鼓を鳴らされたような腹に響く重低音の怒声が私たちの頭をシェイクした。
「きさまらは戦場に出る兵士が最もしてはならんことを犯しておきながらそのことに気づいていない、 いやあえて眼を逸らそうとしているようだな?」
ギロリとまるで擬音が聞こえてきそうな強面の視線を候補生たちが映っているモニターに飛ばしながら、思い上がったひよっこをさらに叩く。
「確かにお前たちのコーディネイトのレベルは高い。どこをどう考えても教官役を務めてくれたパイロットよりもお前たちの方が上だろう。
だがな、例えどんなに大きな潜在能力を持っていたとしても、それを発揮できなけりゃ意味はねえんだよ。実戦において次もやり直しも待ったもあるいはタイムも、そんな都合のいいものはねえんだ。」
そんな教官の言葉に不満げな表情を浮かべたまま、それでも言っていることは正しいと判断せざるを得ずきちんと聞いている二人。
「てめえらは、模擬演習開始前のブリーフィングである程度の背景を読み取らなけりゃいけなかったんだ。
それを、相手がナチュラルとコーディネイターのハーフの傭兵で、さらに使う機体が連合製のリファインだと聞いた瞬間、ハーフごときに最初から負けるはずがないと思い込み、せっかくの頭脳を使おうともしやがらねえ。」
「・・・・・それはどういうことでありますか?」
けげんに思ったのか、ジョアンが訊き返す。
その様子に深々とため息をつきながら教官は説明を続ける。
「ハーフといえどもコーディネイターの能力を持っているんだぞ?
ナチュラル用OSを乗せたままの連合製そのままのストライクダガーで、その力を十全に発揮できるわけがないだろうが。」
そんなことにも気づかなかったのかと、馬鹿にしたような口調と表情で切って捨てるスミノフ教官。
指摘されるまでそのことに思い至らなかったのか、そんな教官に唇を噛み締めて屈辱に耐えるバーバラとジョアン。
わずかに沈黙の間が垂れ込めるが・・・
「もっとも。キムとカリーナは、どうやら気づいていたようだがな?」
「「えっ!?」」
教官の一言であっさりと霧消する。
どうやら、私たちの浮かべていた表情から読み取ったのだろうが、そこはさすがとしかいいようがない。
そんな教官の言葉に落ち着いた表情で最後まで生き残った二人が応える。
「はい。さすがに最初から気づいていたわけではありませんが、戦闘の途中でカスタム機であることは予想できました。」
「カリーナの言うとおり、途中で気づかされました。
でなければ、いくら実戦経験豊富な傭兵といえど、バーバラとジョアンがああも簡単にやられるわけもありませんし、また、我々二人も1機も撃墜することなく撃破されるはずもありませんので。」
私たちの回答にバーバラとジョアンは驚いたような表情を浮かべたまま硬直し、教官はにやりとふてぶてしい笑いを浮かべている。
「二人の言うとおりだ。傭兵部隊に貸与したMSは、もともとアグレッサースコードロンに配備されるはずのものだったからな。」
大洋州連合やアフリカ共同体に供与したストライクダガーは、パナマで鹵獲したものをプラントでリファイン&生産したタイプだが、もともと客観的に見てザフトが装備するMSより性能の劣る連合製MSをわざわざコピー生産したのは、アグレッサースコードロン(仮想敵部隊)への配備を主目的としていたからであり、自陣営の同盟国にコピー機を提供したのはあくまで副次的な産物であった。
アグレッサースコードロンへの配備を主目的とする、その理由はいうまでもないだろう。
アカデミーにおけるものをはじめとする補充兵への訓練にこれほど最適なものはない。戦場に出た際に実際に出会うであろう敵機の実機を用いた訓練は、何にもまして補充兵の血となり肉となる。
ただ、敵役を務めている教官パイロットたちは、機体はともかくナチュラル用OSの不自由さにどうしても我慢ならず、コーディネイター用OSに変更してしまっていた。
もっとも、それは無理もない話である。
古来より、アグレッサースコードロンにはその軍の中でも有数の腕前を持つ人材が配属されている。そんな百戦錬磨の優秀な人材が、いってみれば初心者向けにあれをしちゃ駄目これをしちゃ駄目、ああしなさいこうしなさいといった制限設定満載のOSに我慢できるはずもない。
これを身近な例で例えてみると、自転車、それもマウンテンバイクでオフロードをバリバリに乗りこなすことが可能な腕前を持った若者が、12インチの補助輪付き子供用自転車を渡され、これで我慢しろ言われ、納得いかずにせめてママチャリにしてくれと抗議するような感じであろうか。
まあ、そういった経緯はともかく、アグレッサースコードロンが運用しているストライクダガーは、OSを更新され、同時に教官たちが機体をぶん回すのに見合った機体性能のアップグレードを施さざるを得なくなった。それら様々な改良の結果、教官用ストライクダガーは期せずして連合のロングダガーに近い性能を持つ機体になっていた。いや、ここまでくると素直にザフト版ロングダガーと呼んだほうがよいであろう。
さらに、補充兵への訓練に投入されているのはザフト版ロングダガーだけではない。
ストライクダガーの機体を強化し、砲撃戦用に長距離砲を備えたザフト版バスターダガーとでもいうべき機体もまた、少数ではあるが訓練に投入されている。
近接攻撃を仕掛けてくるザフト版ロングダガーと支援砲撃を行ってくるザフト版バスターダガーのコンビネーションを撃破するのは、現時点におけるアカデミー所属のMSパイロット候補生の必須カリキュラムのひとつとなっているくらいだ。
ザフト上層部は、諜報機関が収集した地球連合のMSに関する多種多様な情報が、ふるいに掛けられた上で各種分析を実行、すみやかに訓練に反映されるような情報の流れを築き上げると共に、既に手元にあるストライクダガーを使って、自分達の経験をもとにストライクダガーをベースとした各種派生タイプの開発/製造を行っている。先に挙げたザフト版バスターダガーもそのひとつであるし、当然ザフト版ロングダガーもまた然りである。
この一連の流れの構築もまたザラ議長のプロジェクトの一環であり、こうした数々の施策によって昨今の議長に対する将兵の信頼感の向上はうなぎ上りといった状態にある。
まあそれはともかく、モビルスーツが本物の戦場に投入されてから、まだ1年と少ししか経過していないこの世界において、モビルスーツを用いた戦術というものは未だ確固たる基盤を築き上げていない。逆に言えば、モビルスーツは未だ運用面において未知数の部分を持つ兵器であるということでもある。それゆえ、MSを用いた戦術には試行錯誤が必然的について回る。
もっとも、このコズミックイラの世界でMS運用のノウハウをもっとも蓄積しているのがザフトであることは間違いない。C.E.63年にモビルスーツの軍事転用の研究を始め、C.E.65年には、モビルスーツの実用第一号機をロールアウトさせた後、さまざまな実験を繰り返してきた。そして、C.E.67年にモビルスーツの実用第一号機「ジン」が完成した後は、ひたすら強大な敵である地球連合軍を撃破するための試行錯誤の研究と訓練を続けてきたのだから。
まあ、さすがに候補生の分際でそこに至る全てを洞察したわけではないが、キムとカリーナのふたりは演習中にある程度のことを把握するだけの時間を得たということであった。さすがは、赤服を狙うだけの能力を持ったコーディネイターといったところだろうか。
そんな将来に期待が持てる若者の一人が、瞳に強い決意を浮かべながら教官に嘆願する。
「コーディネイターは可能な限り同じ過ちを繰り返さないよう全力で務めます。
私たちは、今回の戦闘で多くのことを学びました。
そして、その学んだ結果を発揮する機会を与えてくれるよう強く希望いたします。」
そう述べたキムの眼が口が、表情全体が今度は負けないと無言のまま強く主張している。
そんなキムをじっと見つめたまま不敵な笑みを浮かべていたスミノフ教官は、おもむろにひとつ頷くと応えた。
「よかろう。では、他の候補生の訓練終了後、再訓練への志願を行うか?」
「もちろんです。」
「ふむ・・・本物の戦場においてはもう一度などという言葉は通用しない。
だが、それを理解するための場所を提供するのも我々の役目だ。」
「では?」
「わかった。再訓練のスケジュールを組んでおいてやろう。
だが、今日直ぐには無理だ。すでにローテーションが組まれているからな。
訓練宙域を離脱し、いったん機体をステーションの格納庫に格納しておけ。
日程については追って連絡する。」
「了解しました!」
そう勢いよく言うと、キムは自らの機体を勢いよく反転させスラスターを少々派手に吹かしながら訓練ステーションに向かって去っていく。
「ちょ、ちょっと、キム!」
そのあまりの素早い行動に、出遅れたカリーナが不満げに呼びかける。
「早く戻ってデブリーフィングをやるよ。
バーバラとジョアンもさっさと戻ってくる!」
「「ああ、わ、わかった。」」
キムの勢いに飲み込まれたように二人も返事をすると、自らの機体を訓練ステーションに向けて加速させる。
そんな候補生たちの様子を見ながら、スミノフ教官は内心叩きがいのある訓練生だとの評価を下していた。そのまま、彼は深く椅子に腰掛ける。
「・・・・・わざわざハーフコーディネイターの腕利きの傭兵を雇って、新米達の模擬演習をさせるか。
どうしてどうして上層部もいろいろ考えているじゃねえか。」
「どうもザラ議長直属のブレーンから出た命令のようですが。」
そんな彼に、脇に控えていた古い付き合いの直属の部下が昨今の変化の原因について意見を述べる。
実際、先に述べたものもそうだが、ザラ議長の肝いりで様々なプロジェクトが稼動しているが、それと同様に政治、経済、軍事、科学といった分野の癖のあるエキスパートをわざわざ自身のブレーンに任命し、普通の意見とは違う斜め45度からの意見を常に聴取しているとの昨今の噂であった。
「ふん。以前の奴はところどころにナチュラルを見下したような気配が漂っていたが、最近はそんなこたあねえ、むしろ逆の気配がしてやがるな。」
「ええ。仮に議長自身の考えでないにしても、それを政策に反映しているのは間違いなく議長ですから。
最近では、第二世代以降に蔓延るナチュラル蔑視の風潮を打破するための施策に力を入れているようですし、しかも、ハーフ、ナチュラル、コーディネイターを問わず傭兵を雇用しているようです。一部はこちらに回されるようですが、それ以外は作戦行動に投入されるみたいですね。」
「ああ。もっともちょっと遅かったぐらいだがな。」
ふふんとばかりに口元に不敵な笑みを浮かべる。
「人員の効率的運用、最適配置を狙ってといったところですか?」
「まあそれもあるのは間違いないだろう。もともと、プラントの人的資源の不足はいくら自動化を推し進めていったところで完全に解決できるもんじゃないからな。根本的には人手を増やさないことにはどうしようもあるまい。
ならば、素性に拘わらず使える人間は全て使うのが正しいのさ。たとえ、自分自身の内心がどうあってもな。」
確かにといったように頷く部下。
今次大戦が始まる前の、国家間紛争において傭兵として参加していた頃から自分の下についてきただけに、主義主張よりも実利を重視する点についてはプラント育ちよりもはるかにシビアな考えを持っている。
そんな部下を横目に考えをめぐらす。
アカデミーの模擬戦担当として傭兵を使うようになったことの最大の利点は、新兵をより長時間鍛えることが可能になったことである。
民間人のコーディネイターが兵士としての訓練を受ける場合、極端な話、訓練すればするほど兵士としての技量が向上する。少なくとも、わずか数ヶ月の訓練期間において兵士としての頂点に至る人材は、ごくごく一部の例外を除いて存在しない。そして、より長時間の訓練は、新兵のスキル向上に大きな影響を与えると同時に、スキルの向上が新兵の死傷率の低下に繋がっている。これまでも、訓練不十分の兵士を前線に送り出してきたというわけではないが、人的資源において圧倒的劣勢下にあるプラントにおいてこの効果は無視できるものではない。
しかも、傭兵たちの実戦に裏打ちされた戦術は、場合によっては教官役を務めるパイロットにとっても得るところがあり、いまだ模索の続いているMSを用いた戦闘方法の確立の一助となっている。
また、傭兵は金さえ出せば大抵の仕事を引き受けることから、これまでにザフトに敵対的な仕事をこなしてきた者たちも数多存在する。だが、それは裏を返せば彼らをこちらが雇うことでザフトに対する攻撃を減らすことが可能なことをを意味している。
ならば、人口で地球連合に劣るプラントとしては、金で片付く問題ならば彼らを有効活用しないのは人的資源の無駄遣いに等しいといえよう。
さらに、アカデミーで新兵を鍛える教官としてハーフの傭兵を雇うことで、第二世代コーディネイターのナチュラルや混血に対する驕りを矯正する効果が出てきており、特に模擬戦を経た候補生たちにそれが顕著に見られている。能力主義が隅々まで行き届いているだけあって、自らに匹敵する能力を持つ存在を正しく評価したというところだろうか。
もっとも、そうそう全ての物事は理想的に動くはずもなく、彼らから偏見を完全に払拭できたわけではないことも事実である。中には決してハーフやナチュラルを認めることができない者も存在するし、より偏見を助長した者もまた存在する。
だが、スミノフはそれはそれでかまわないと思っている。
まずは一歩を踏み出すことこそが重要なのだ。そして、踏み出した後は、ただ止まらないように注意すれば良い。さすれば、いずれ小さな変化は大きな変化となって帰ってくる。
まあその変化が、プラントにとって良いものであるという保障はどこにもないが、現状を見る限り悪いことにはなっていない。それでも、何かの拍子に物事が悪化する方向に転がるようであれば、そこは若い者たちの努力に期待といったところであろう。
「そういえば、上層部は傭兵だけではなく、ジャンク屋の連中にも手を伸ばしているらしいですね。」
「ああ。その話は俺も耳にしている。」
ふと思い出したというように言った部下の言葉を肯定する。宇宙空間を主な作業場とするジャンク屋達に、ザフトの人間が接触しているとの情報は一ヶ月以上前から流れてきている。
この場合は、拠点確保を主眼においたアプローチだろう。ジャンク屋組合にはカスタムMSを生産する技術と設備はあっても、量産するほどの生産設備はない。
しかしながら、作戦期間中の修理及び補給の拠点としてはなかなか魅力的なものをもっている。特に本業の関係から修理能力は際立って高いものを持つものも多い。
さらに、それらを拠点として活用しつつ遊撃戦を展開することができれば、連合の兵站線にかなりの損害を与えることができるだろう。
ジャンク屋組合は、今次大戦に対して中立の立場を取っているが、それは裏を返せば相応の代金を用意すればいつでも取引に応じるということでもある。
それにしても、と部下が何気なくもらす。
「ん、なんだ?」
「いえ、ここ数ヶ月で明らかに以前とは比べ物にならないほど流れが変わったな、と思いまして。」
まるで、一昔前のようにしみじみと言う
が、それは、それほどまでに様々な変化が起こっていることの証でもあったかもしれない。
「・・・・・まあ流れの方向が悪くなってるならともかく、良い方向に向かっているんだから今のところは文句はねえがな。」
「それは確かに。」
「さて、おしゃべりはこの辺にしてひよっこ共の訓練を続けるとするか。」
「了解しました。」
そうして彼らは模擬演習の順番待ちをしている訓練生を呼び出し、演習宙域への侵入準備を命じた。
同時に先ほど敵部隊役を務めた傭兵達に一時帰還を連絡する。敵部隊を演ずる傭兵グループは1つしかないというわけではないからだ。ローテーションを組み、最善の状態で仕事をしてもらえるよう配慮するのも彼らの役目のひとつである。
もっとも、候補生を楽々と叩きのめせるだけの腕前を持ったハーフコーディネイターのパイロットが、そこらに掃いて捨てるほどごろごろしているわけもなく、なかなかにしんどい作業であることもまた確かなのであったが・・・・・
だが、彼らは自らの業務は地味ではあるが極めて重要な代物であることを骨の髄まで理解しているプロフェッショナルでもある。
テキパキと作業を進める中、スミノフはふと思う。
この変化を引き起こした中心人物である最高評議会議長パトリック・ザラ・・・・・彼はいったいどんな世界を招こうとしているのだろうかと。
あとがき
お久しぶりでございます。
とりあえず、いつまでたっても話がまとまらないので出来上がった部分だけ投稿しました。
以前ほどではないにしろ、いまだ忙しい日々を過ごしております。まあ、日記を見る限りBenさんとは比べ物にならないですけど(苦笑)
前話でまじめなガチンコバトルをやっておきながら、まーた話が後方のことに戻ってしまっていますが、その辺はご勘弁を。いや、戦闘シーンは書きにくいんですもの。一応、MS戦闘入ってますし、それでよしとして下さいね。
>クルト"パンツァー"マイヤーかよっ!(爆)
ミヒャエル・ヴィットマンの方がよかったですかね?(爆)
>かと思ったら後半は「エリア88」だし
今回は、再び「砂の薔薇」に戻っていたり(爆)。やはり「エリア88」と並んで新谷かおるの双璧ですからねえ。
ところで、唐突にあれなんですが勇者王ガオガイガーFINALは燃えた!
いや、今更こんなこと言うと代理人がゴルディオンハンマー持って追っかけてきそうなんですが、実は私、これまでまともにガオガイガーを視聴したことがなかったんです(核爆)
そんな中、ちょっと気になってアクエリオンを見ようと思い、ビデオ(おいらはまだVHSなのさ)をセットしたんですが、時間を忘れてちょっと長めに設定したんですね。
そうしたらアクエリオンの後番組がガオガイガーFINALの再放送だったんです。
いやもう、毎週毎週楽しみにしながら食い入るように見てしまいました(笑)
種運命なんぞ、どうでもよいから早く続き見せろや、なんて感じで(核爆)
さて、そんな私的に次点に落とされていた種運命ですが・・・
切れまくって壊しまくって殺しまくって・・・・・最近、シンは血走った表情を毎回見せてません?(^^;
うーむ、ここまで黒いガンダムの主人公というのもある意味凄いかもと感心している状態だったり(苦笑)
ドム3人組は、まさかと思っていたジェットストリームアタックを見せてくれたことで全て良しとしちゃいました(笑)
ただ、ここまで広げた風呂敷をどうたたむのかなあという点についてはなんともまあアレですが。
つーか、さくっと殺しましたね、セイラン親子?(核爆)
まあかの有名なダンバインのようにレギュラー陣全員死亡という風にはならないでしょうが、それにしても、あっけなさすぎのような・・・・・このままいくと、Zガンダムクラスの死亡パターンはあり得るかな?
代理人の感想
8年遅いっ!
とりあえずTV版を一から見直すのだ!
と、それはさておき感想。
・・・・んー、なんか文章が読みにくいなぁ。
一つの文章が長すぎる箇所が所々に見受けられます。
そう言った箇所は大概が説明文なのでしょうがないっちゃしょうがありませんが、ちょっと読みにくいかなと。
後、
>暗き闇を背景に優れた兵器が自然と備える造形美を現しながら、ゲイツが構えたビームライフルの銃口から間をおかず、3条の光が迸る。
この文章のように、修飾を多用しすぎて読みにくくなってる部分も所々に。
「優れた兵器が自然と備える造形美を現しながら」というのはこの文章に組みこむにはちょっと冗長な気がします。
「ゲイツのビームライフルが火を吹いた」「火を吐くライフルは優れた兵器の造形美を示している」という二つの文章に分けても良かったかと。
>>クルト"パンツァー"マイヤーかよっ!
>ミヒャエル・ヴィットマンの方がよかったですかね?(爆)
なんか間違ってるのは変わらないが、それはそれでとにかくよし!(爆)
>セイラン親子
息子のほうはミイラ男になって「あー、死ぬかと思った」って再登場してくれないかとちょっと期待してる私がいます。
まぁ、ゾイドジェネシスならともかくデス種では無理でしょうけど(苦笑)。