宇宙世紀、そう呼ばれていた時代があった。
 現在の人間が過去のことを学ぶ時、振り返る時、その大規模な戦争の多さに驚くことだろう。
 しかもその大規模な戦争の全てにモビルスーツと呼ばれる人型兵器が用いられている。
 一年戦争、グリプス戦役、第一次ネオ・ジオン戦争、第二次ネオ・ジオン戦争――シャアの叛乱のほうが有名ではある――、そしてザンスカール戦争。
 どの戦争を語るにもMSという存在は不可欠であった。
 宇宙世紀がコズミック・イラと改名されて数十年の間、MSという名の兵器は世の中から姿を消した。大きな戦争もなくなり、宇宙世紀とは違った平静とした平和な時代になるだろうと皆が期待した。
 だが、人とは進歩しない生物だった。
 製造技術が失われたはずのMSは新たな技術で生み出され、世の中に戦争を呼び込む。
 血のバレンタイン事件。何百年も前から使用を禁止され、それ故に使用されてきた核が使われた事件。失われたはずのMSが世に姿を見せた事件。そして、戦争の幕を開けた事件。
 人は再び、宇宙世紀の悲劇を繰り返す。








 まえがき
  読んでのとおり、この話は宇宙世紀の話と繋がっています。一応宇宙世紀300年をコズミック・イラ1年としていますが、かえるかもしれません。
  では、本編をどうぞ。