<時の流れの導きに・・・>
第零話その1
―――C,E74年・・・‘ブレイク・ザ・ワールド’から始まった戦争が終結した。C.E71年からの二つの大きな戦争によって
世界は傷つき多数の死者が出たが、人々は挫けず懸命に生きていた。そのかいあってか世界は再び活気を取り戻していった
―――CE85年11月14日14:28分・・・火星軌道上に小さな空間の歪みの発生が観測された。
プラントは直ちにその歪みの調査に移った。そして、だんだんとその歪みが大きくなっているという結果が出た。
そのためにオーブ宇宙軍に出撃命令が下ったその中には、前の戦争で活躍した
エターナル級2番艦‘ライトニング’アークエンジェル級3番艦‘セラフィム’クサナギ級2番艦‘ミツルギ’の姿もあった
キラは‘ライトニング’に乗り込み、自分の愛機であるフリーダムの流れを汲む<ラディカルスパイラル>の最終チェックを急いでいた。
そして空間の歪みが確認されている火星軌道上に向けて先行出撃した。
―――火星軌道上
キラが宙域に到着すると空間の歪みは益々大きくなり、観測されているエネルギー反応もだんだんと増加してきていた。
そして、いきなり閃光が輝きそれが収まるとその歪みから一機のモビルスーツの反応が出現した
「あの機体は・・・・まさか!?」
キラは我が目を疑った。なぜなら、空間の歪みから現れた機体は少しの違いがあるものの
機体の姿形は自分が倒したはずの<プロヴィデンス>に瓜二つだったからである。
キラがパニックに陥っていると突然その機体から通信が繋がった
「フフフ、アーッハッハッハ、傑作だな。こちらに戻ってくるなりいきなり君に出会うとはな・・・」
「(このザラザラとした感覚や、純粋な闇を醸成したような悪意の感じは・・・まさか!?)・・・貴様、ラウ.ル・クルーゼか!?」
「そうだ、君があの第二次ヤキン・ドゥーエ戦の戦いの際に倒したラウ・ル・クルーゼさ。」
「貴方は僕が貴方の機体のコックピットごとビームサーベルで貫いたはず!?」
「ああ、そういえばそうだったな。確かに機体は貫いていたさ・・・」
「機体は・・・だって・・・そんな馬鹿な!!なら、今度こそ貴様を倒してみせる!!」
「ハッハッハ・・・やるのならかかってくるがいい、だがこの機体を前と同じだと勘違いしないことだな。」
「それでも、貴方に殺されたフレイのためにも貴方は僕が絶対に倒す。」
キラがそう決意した瞬間、キラの中の何かが弾けた
「(パリーン)行くぞ!!!ウォォォォォォォォオオオオオオ!!!!!!」
「ほう、中々やるじゃないか(あれから少しは腕が上がったみたいだな)」
「嘗めるな!!」
キラは主武装であるビームライフルと腰のレールガン、更に六対十二個のドラグーンを上手く連携させて
<プロヴィデンス>のドラグーンをマルチロックして攻撃して行った。
それに対してラウは背中のドラグーンや手持ちの大型ビームライフルを上手く使ってキラの攻撃をことごとく防いでいった
「(この程度か・・・)今度は、こちらから行くぞ」
ラウが攻撃に移るとそれまで攻撃の手を休めなかったキラが防戦一方になった。
驟雨の如きビームを紙一重で避け、なんとか隙を見つけて攻撃に移ろうとしたキラだったが、
ラウにはほとんど隙が無くだんだんと被弾し始めた。
一方‘ライトニング’‘セラフィム’‘ミツルギ’は・・・
「火星軌道上に戦闘中の機体を確認・・・これは<ラディカルスパイラル>と・・・・<プロヴィデンス>です」
「!!!!!・・・・ただちに、全艦最大艦速に移行してください。」
「アスラン、<セイバーディバイデット>の準備はよろしいですか?」
「ああ、いつでも行ける。」
「なら、出撃してください。」
「了解」
「アスラン機出撃と共にミーティアカスタムを一機射出して下さい。」
「了解!・・・・・・ちょっと待ってください!!!我が艦隊後方に未確認機動兵器の熱源を感知、数は8です。
ライブラリ照合します・・・・・・・そんな馬鹿な!!あの機体は・・・」
「どうした!?何が解ったんだ!!!」
「・・・・・・・接近中の敵の機体は・・・<ストライクフリーダム>が一機、<インフィニットジャスティス>が一機それと
<デスティニーアウトフレームE>が二機に<エグゼキューションR>が二機、最後に<アカツキ改>が二機です・・・・」
「!!!!!!!!」
「・・・・・・・(あの機体の数々は前の戦争で主に活躍したキラ達の愛機で、戦争終結の後厳重にオーブの地下隠し格納庫に封印していたはずです
封印を外す為にはあるものが絶対に必要なはずなのですが)・・・(まさか、カガリさんに何かあったのでは)・・・」
「(カガリさん、貴方は無事なのですか?)・・・直ちに全モビルスーツを出撃させてください
アスラン機・ムウ機・シン機・ルナマリア機は接近中の機体を迎撃して下さい!!
ヒルダ機・ヘルベルト機・マーズ機は艦の守りを・・・(キラ・・・御免なさい。貴方の救援にいけそうにもありません、
無事を祈っています・・・頑張ってください)」
「艦長、‘ライトニング’が戦闘に入りました。」
「ええ、こちらも行きます。全モビルスーツ発進!!‘セラフィム’最大艦速!!‘ライトニング’の前に出ます・・・」
「了解!・・・‘ゴットフリート’‘バリアント’‘イゾルデ’起動、ミサイル発射管、全門‘コリントス’‘ナイトハルト’装填!
照準・・・接近中の機動兵器!!
「撃て――ッ!!!!」
キラは苦戦していた。相手のドラグーンの動きが先程より徐々に洗練化して来ていて動きが読みにくくなったせいである
「くっ、隙が無い」
「(これが、今のままでも引き出すことが出来る君の全力かね?)そろそろ君に消えてもらおうか・・・・」
「なにを・・・!!」
「それではこちらから行くぞ、‘キオー・ハ・コデシュ’」
プロヴィデンスの動きが止まり、ドラグーンを機体の回りに展開して絶対領域を発生させた。
次に、プロヴィデンスは前方に手を構え手の間に黒い球体を出現させた。その黒い球体は始め小さかったが、
周りの闇を吸い途っているかのように急激に大きくなり、色も漆黒の色に染まり更に禍々しくなった。
「(そうだ・・・・あの歌姫には色々と私の邪魔をしてくれたな...君より先に倒す事にするか・・・)」
ラウはその黒い球体の照準をキラの機体にあわせず、あの歌姫が乗っていると思われる艦へ機体の方向を変えた
「まさか!・・・・その方向は!?・・・ラクスをやらせはしない!!!」
キラはこのままではラクスがやられると感じ取り、<プロヴィデンス>の絶対領域に攻撃を仕掛けた。
ところが、どれだけ火線を集中させても絶対領域を破ることが出来なかった
「くっ!このままじゃ、ラクスが・・・」
その時、キラの脳裏にフレイが乗っていたシャトルが破壊される映像がフラッシュバックした。
「もうあんな事は沢山だ。もう誰も僕の目の前で殺させはしない!!!」
「煩いな、君は・・・心配しなくても、君もすぐ後を追わせてあげるさ・・・」
キラがそう決意すると、コックピット内にフレイの幻影が現れた
(そうよ、キラ・・・・・貴方は私が必ず守るから・・・貴方は自分の守りたい人を守りなさい・・・・私は何時でも貴方のそばにいるから)
「(フレイ・・・ありがとう。もう誰も奴に殺させやしない)ウオオオオオォォォォォォオオオオオオオオ!!!!!」
「(ほう、これが君の秘めたる力か?凄まじいな。この私に恐怖を味合わせるとは・・・実に惜しいな、
その力・・・上手く使えばこの世界だろうが一瞬で滅ぼせるというのに・・・・・)もう遅い!!君が何をしようが間に合うものか!!」
「そんな事はさせない」
キラはライトニングとの射線軸に<ラディカルスパイラル>を滑り込まして、自分の持てる潜在能力の全てを使って攻撃を防いだ。
―――‘ライトニング’の方は・・・
「ラクス様!!<プロヴィデンス>前方に巨大なエネルギー反応が出現!!尚も増大中です。」
「!!!!!・・・急いで回避行・・・『駄目です!!スラスターの出力が敵の攻撃により
45%まで低下、その上左舷スラスターが沈黙しています。更に敵機動兵器に退路を塞がれています。』」
「ほかの奴らは!?」
「全機、我が艦と離れているか修理・補給中です。間に合いません!!」
「くそっ、俺が出る!!・・・ダコス・・・『駄目です!!発射体制に移行しました。』・・・くそっ!!もう、駄目なのか!?」
「・・・回避間に合いません!!・・・エネルギー反応来ます!!!」
ブリッジを直撃し自分達の体を灼きつくすはずだった光は、目の前に割り込んだ何かによって遮られる。
頭部と左腕を破壊され、スラスターの殆どが焼きつく寸前の傷ついた機体が、残った右腕にシールドを持たせて
ブリッジの前に立ちはだかっていた。
マリュ−はこの行動にデジャウを感じた。この行動はあの時のムウの動きに非常に似ていたのだ。
「ラディカルは!?キラ君は無事なの!?」
「待ってください・・・パイロットは無事ですが、意識不明です。機体の方は・・・何時爆発してもおかしくありません。」
「!!!!!!・・・ムウ!!聞こえてる!?キラ君が・・・」
「分かってる!!今そっちに行く」
「アスラン・・・キラが、キラが・・・・」
「(パリーン)分かっている。すぐ行く」
キラの行動に一瞬動きが止まった彼らだったが、襲い掛かってくる機体を先程とは
「おいっ!!キラ!!大丈夫か!?」
「...・・・・・・・・・・・・・・・」
「キラ!!!無事か!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・うん」
「キラ、お前は艦に戻れ!!そのままじゃ戦うことすら無理だぞ」
「残ってんのは<デスティニーアウトフレームE>が一機と<アカツキ改>一機だけだ。
さっさと片をつけるぞ!!」
「了解!!!」
ムウとアスランが残っている機体の方へ急いで向かっていると四方八方から攻撃を受けた
「(・・・・・キュピーン)ハッ!!」
「この感じは・・・やはり貴様か!!ラウ・ル・クルーゼ!!」
「ムウか?生きていたのか、悪運の強いことだな」
「煩い!!」
「クルーゼ・・・貴様をキラの代わりに俺が討つ!!」
「アスラン・ザラか・・・君では役不足だな」
「「煩い!!黙れ!!」」
「そろそろ君達にも消えてもらおうか」
プロヴィデンスはドラグーン18基を全て展開し、アスランとムウの機体に襲い掛かった。
ムウは持ち前の直感で、アスランはSEEDの力と類まれなるモビルスーツ操作能力を駆使して避け続けた。
「(このまま、ずっとよけ続けるのは、無理だ)くっ、隙が無い」
「どうした?ムウ、これが貴様の限界か?」
「くっ、これがクルーゼの力か!?(俺じゃあ敵わない)」
「(君は・・・・キラ君と比べると弱いな、興醒めだ)・・・君から消えるがいい!!」
「”フィオ.キーナ・パルス”・・・クックック、消え去れ」
プロヴィデンスが背中のウイングを展開して、光の翼を出現させた。
「この光は一体?・・・・」
「バカッ!!早く逃げろ!!その光は・・・・・危険だ!!」
ムウがアスランに危険だと言った直後にアスランは我に返ったが、時既に遅く回避は不可能だった
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「おい!坊主、大丈夫か!?」
光が収まった時には、アスラン機のほとんどは半壊状態で戦闘どころではなかった
「・・・・・ウッ・・・・フラガ大佐、すいません」
「もう喋るな。俺が奴を抑えるから、お前は艦に戻れ」
「はい・・・すいません」
一方その頃、キラは・・・
「マードックさん、僕の・・・<ラディカルスパイラル>の修理はどうなっていますか?」
「キラか・・・お前の<ラディカルスパイラル>は、修理不可能だ」
「そんな・・・だったら、他に使える機体はありませんか?どんな機体でも良いんです。動きさえすれば・・・」
「バカヤロウ!!!そんな機体で、あのドラグーンの攻撃を回避できるか!!」
「今は、ムウさんが一人で戦っています。いくらムウさんでもあの攻撃を避け続ける事は・・・・無理です!!」
「そこまで解っているのなら、半端な機体で出て行っていったらお前がやられるかもしれないと思わないのか!?」
「それは・・・でも・・・このままだったら、ムウさんが!!・・・もう、誰も僕の目の前で殺されたくないんです。だから・・・」
「その言葉は、後ろにいるお前の恋人に言ってから、言うんだな」
「(ハッ!!)ラ、ラクス!!あのっ、その・・・」
「・・・貴方の言いたい事は解っています。確かにこのままではフラガ大佐はやられてしまうでしょう・・・ですが、私は貴方を失いたくないのです。
もう・・・あんな思いは・・・私の親しい人が、死んで逝くのを見たくないのです。だから無茶をしないで下さい」
「でも、そう言って何もしなかったら、何も出来なくなるんだ。僕はそんなこと出来ない・・・今が大切なんだ。この一分一秒も無駄には出来ないんだ」
「着いて来てください。時間がありません、こっちです。」
「貴方の決意は固いのですね・・・ならせめてこの機体で行ってください」
「この機体は・・・・」
「ファクトリーの皆さんが、‘フリーダム’の後継機を時間を掛けて開発していたのです。それを貴方のために急遽持ってきてもらいました
この機体はつい5日前にロールアウトしたばかりで、まだ貴方に合わせて調整してないので不安なのです。」
「ラクス・・・僕は必ず君の元へ帰ってくるよ。だからね・・・心配しないで、そしてそんな泣きそうな顔をしないで
ラクスが笑ってくれていたら僕は頑張れるから・・・」
「・・・分かりました。必ず私の元へ帰ってきてください。(微笑)」
「―――CPG再設定完了。ニュートラルリンゲージ、イオン濃度正常。メタ運動野パラメーター更新完了
原子炉臨界、パワーフロー正常。全システム、オールグリーン・・・‘レジェンディアフリーダム’、システム起動」
『進路クリア―。ZGMF X72A‘レジェンディアフリーダム‘発進どうぞ』
「キラ・ヤマト‘フリーダム’行きます!!」
「退けー!!邪魔だ!!」
キラは残っていた、最後の一機をいとも簡単に倒してムウ機の救出へ向かった
「艦長、アスラン機回収完了しました。機体は駄目ですが、パイロットのほうは後30分ほどで治療が完了します」
「解ったわ。ムウ機はどうなってるの?」
「ムウ機は・・・現在、中破状態です。あと15秒でキラ機が戦場に到着します」
「(ムウ・・・もう少しだから頑張って)」
「ムウ、君もしつこかったがこれで最後かな?」
「クソッ、これが限界なのか!?」
プロヴィデンスの攻撃がムウ機に直撃する瞬間に、後方からの攻撃によってその攻撃はさえぎられた
「ムッ!(新型か・・・パイロットはキラ.ヤマトか)」
「ムウさん、大丈夫ですか!?」
「ああ、なんとかな・・・その機体は新型か?」
「はい、最新鋭機だそうですが・・・・」
「そうか・・・それはそうと、奴を一気に倒すぞ。」
「了解」
そこへシン機とルナマリア機が救援に駆けつけた。
「「俺(私)も手伝います(よ)。」」
「これで形勢は逆転したな」
「ははは、私も嘗められたものだ・・・まだ本気を出していないというのに・・・」
「なんだと!!」
「擬装用ジャケットアーマー、パージ!・・・リミッター解除!!くらうがいい
‘ヘブン・スティング・アクセレレイション’!!!」
ラウは<プロヴィデンス>を形作っていた表面の装甲を強制排除して真の姿を出現させた。
その真の姿は、<プロヴィデンス>と比べて各部分がスマートになっていて、背中のバック・ユニットは
高性能化し、ドラグーンの搭載数も格段に向上していた。その上に本体の武器の数も増大していた。
ラウはバック・ユニットからランチャーを取り出しルナマリア機に襲い掛かった
「クッ、動きが早い!!ランチャーの照準が合わない!!当たれ!!」
「ふははは、それで狙っているつもりか・・・消えたまえ!ヤーウェ・サバオト!!」
ラウはルナマリアの攻撃を全て避けランチャーから禍々しい色の重力玉を放った
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
「ルナぁぁぁぁぁッ!!!!!・・・・よくもルナを!!――ルナをやったなァッ!」
「心配しなくても君も後を追わしてあげるよ」
ラウがシン機に襲い掛かろうとする所をムウ機が攻撃を仕掛けた
「やらせるかぁぁぁぁぁッ!!!」
「――ムウか・・・お前は後で始末をつける。邪魔をするな!!」
ところが逆に反撃をくらい、それを回避したためにデブリに突っ込む形となり動けなくなってしまった。
「ムウさん!!大丈夫ですか?」
「・・・・ああ・・・・大丈夫だ。お前は・・・奴を・・・・俺は体勢を立て直す
「・・・ウオオオオオォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
「・・・甘い!!それでは殺してくれと言っている様なものだな」
「これ以上は、誰もやらせない。」
「君もか・・・君は最後だ、それまでおとなしく待っていろ!!」
「うわああああああぁぁぁぁ」
キラはコックピット近くに攻撃を受け衝撃で気を失った
「ルナの仇ぃぃぃぃぃぃっ!!!!」
「君も消えるがいい!!」
ラウはランチャーを零距離で発射した。
「クソッ!残っているのはキラと俺だけか・・・キラ!!二手に分かれて挟み込むぞ!!いいな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「キラ!!・・・これはやばいな・・・・」
「心配しなくても、キラ君は最後まで殺しはしないさ。もっとも貴様が彼の意識が覚醒するまで持てばの話だがね」
―――‘ライトニング’の方は・・・
「ラクス様!!シン機とルナマリア機両機とも大破しました。」
「!!!!!!」
「今現在敵は、ムウ機と交戦中です。」
「キラは?キラはどうなったのですか!?」
「Nジャマーの関係で戦場の様子はわかりませんが、シグナルは反応していますのでまだ無事のようです」
「そうですか・・・・・ヒルダ機・ヘルベルト機・マーズ機の修理はどうなっていますか?」
「あと45分は掛かるそうです。」
「そんな・・・・・・・・・・アスランは?」
「今現在は、格納庫で最終チェックに入っています。あと5分で出撃可能です。」
「そうですか・・・・・(この状況は少し不味いですね・・・・)」
「ウッ・・・ここは・・・・ハッ!!ムウさん!!」
「キ・・・ラか・・・お前・・・無・・事・・・か?・・・カフッ」
「しぶといな。いい加減機体のほうも限界だろう、死にたまえ」
「ムウさん!!・・・・・ラァウ・ル・クルーゼェェェェェェェ!!!!!!よくもムウさんを!!!!殺す!!」
キラは、ラウ・ル・クルーゼに殺気をぶつけながら襲い掛かった
「キラ、大丈夫か?」
そこへアスランが救援に駆けつけたが、二人の戦闘は、もう既に常人の戦闘を超えていて
アスランが太刀打ちできるレベルでは無かった。
「アスラン、ムウさんの回収を頼む。」
「・・・りょ、了解」
「さあ、やろうか・・・」
キラは体が火の中にいるように火照っているのを感じた。ところが逆に頭のほうはまるで氷のごとく冷えきり相手を分析していた
「・・・ラウ・ル・クルーゼ、貴方は許され難い事をした。貴方を私は決して許しません!!!」
「ごたくはいい!そちらから来ないのならこちらから行くぞ!!」
ラウとキラは互いに自分の持てる力を全て出し切り、戦っていた。
機体の性能はラウのほうが少し上だったが、キラは自分に潜在していた力・・・・・<先読み>や<予知>などの超人的な能力を
駆使して全ての攻撃を避け、反撃を返していった
だが、徐々にキラが押され始め、ついに被弾を始めた。それでもキラは諦めずに攻撃を加えていった。
「くっ、もう機体が動かない・・・」
遂に動かなくなった時には、二機ともほぼ原型をとどめておらず、もう動くことすらままならない状態だった。
「よくもここまで、私にダメージを与えるとは・・・それに敬意を表して全力を持って消してあげよう」
「何を!!・・・・・・・・そ・・んな・・馬鹿な!!」
キラが神憑り的な回避をして、隙を突いて与えたダメージがみるみる内に消えていった
そして強烈な威圧感を感じさせる機体が再び出現した
「さあ、どんな最期がお好みかね?ムウのように恋人の目の前で死ぬか?それともそのままその状態で死ぬかね?」
「(ここまでか・・・ラクス、ごめん。約束を果たせそうに無いよ)」
「もう喋る気にもならないか・・・なら冥土の土産に一つ話しをしてやろう」
「・・・あの戦いで君に貫かれた時に私は、君の強烈な力の奔流を受けて異世界に跳ばされた。
私はその跳ばされた世界で、自分の体の欠陥を治すことに成功し、そしてその世界の技術を使って機体を新たに製造し
この世界に戻って来るための準備を整えてこの世界に戻ってきた。それは全て・・・この世界と・・・そう、君に復讐するためにな!」
「そんな・・・」
「これで話は終わりだ!時の狭間に消え去るがいい!!アイン・ソフ・カイーム!!!」
キラはその言葉が頭に聞こえたと同時にこの世界から消滅した。
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後書き
プロローグのつもりで書いていたものを第零話として書き直しました。
書き直した結果、量的に二話分になってしまいました