<時の流れの導きに・・・>





第一話







――――火星遺跡内部





火星の遺跡の中に虹色の光が突如現れて辺りは

閃光に包まれたかのように輝いた。そして光が収まってくるとそこには

キラ・ヤマトの姿があった。





「うっ・・・・ここは?」





キラは薄目を開けてまだぼんやりとしているが

周りが見えてくると一気に覚醒した。





「ここは何処だ?なぜ僕はここにいるのだろう?

 たしか僕は奴と戦っていたはず・・・・・・・」





 キラが悩んでいるとそこへ14歳くらいの少女が、

 いきなり虹色の光と共にキラの目の前に現れた。





「ここは火星の遺跡の中です。」





「君は?」





「私はこの遺跡の管理AIです。」





「AI!?・・・・それと火星の遺跡って何?聞いたことないんだけど・・・・・」





 「ここは貴方の世界ではありません・・・・・実は、あなたに頼みたいことがあってここに呼ばせていただきました」





 「・・・・・・・・・・・・・・・・」





キラは混乱していた。自分は奴に倒されたと思っていたら生きていて、生きてはいたけど

   ここは自分が生きていた世界ではないと解ったからである。

 





 「あの、大丈夫ですか?」





 何の反応も返ってこないキラを不安に思ったのか、

  少女はキラに話しかけた





 「ああ、うん大丈夫だよ。」





 キラは少女が話しかけてくると我に返り返事を返した





 「ところで頼みたい事って何?」





 「はい、実はある青年の手助けをしてもらいたいのです。この世界ではボソンジャンプという技術が存在していて

  そのボソンジャンプを独占しようと戦争が起こったのです。」





 「へぇ、そんな事があったんだ所でボソンジャンプって何?」





 「ボソンジャンプというのはですね簡単に言うと、自分のイメージした

 『時』・『空間』・『場所』に移動する技術のことです。」





 「へぇ、そんな便利な技術があるんだ」





 「はい、ただしその技術を使うにも色々と条件がありまして・・・・・三つほどあります」





 「一つ目はジャンプする場所・空間を明確にイメージすることです。これは大事でイメージがあやふやだと

 とんでもない場所に移動したりしますし、最悪の場合には、ランダムジャンプになるのです。」





 「二つ目はこの遺跡の演算装置にイメージを伝えること・・・・これはできる人が実はほとんどいないのです。大部分の人が機械に頼っていました

  イメージを伝えることがこの火星で生まれ育った人だけしかできなかったので、その人達はA級ジャンパーと呼ばれていました。

そのA級ジャンパー達はその戦争や・・・・・平和になった後も次々と犠牲になり亡くなっていきました。」



 

「三つ目にジャンプフィールドと呼ばれる特殊力場を発生させられるかどうかです。この世界にはcc(チューリップ・クリスタル)と呼ばれる特殊な

 鉱物が存在していまして、その鉱物はこの火星に存在しています。しかしこのccを使ってジャンプフィールドを展開できるのは火星で生まれ

育ったA級ジャンパーだけだったのです。」





「他のA級ジャンパーでない人たちはどうやったかと言いますと、そのままジャンプしたのでは体が持たずに死んでしまうので

専用のナノマシンを投入して後天的に遺伝子を書き換えてジャンプできるようにしたのです。その人たちはA級ジャンパーの人

たちと区別するためにB級ジャンパーと呼ばれていました。B級ジャンパーになることでジャンプをしても死ぬことはなくなります。

しかし体質的に合わない人や遺伝子を書き換える事を嫌悪する人がいるのです。その人達がジャンプするためには高出力の

ディストーションフィールドを展開できる艦が必要になります。」





 キラはそこまで彼女の説明を受けると、この世界にも自分のように望んでも無いのに特殊な力を持って生まれて来たがために

 その特殊な力を利用しようとする人達に狙われてきた人達が居たことを知り、この世界の犠牲になった人達を助けたいと思った。





 「・・・・・・・・というわけでありまして、なにか今の所までで、質問はありますか?」





 「いや、特に無いから続けて下さい。」





 「では先程火星に生まれ育った人たちはA級ジャンパーの才能を持っているといいましたが・・・・・・

  じつはその才能を科学的に判明しようとする科学者たちがいたのです。」





 「なぜ、火星生まれの人達はジャンプできるのか?A級ジャンパーの人達とほかの人達との違いは何か?という

 疑問の基にごく一部のまともな人達を除き、残りの人達はA級ジャンパーの人達を戦争の中や戦争が終わってからも・・・

 いえ戦争が終わってから特に活発になりました・・・・・彼らを拉致し非人道的な実験の犠牲者にしたのです。」





 「私の頼み事とは、戦争の中で色々ありながらもそれを戦い抜き、平和になった後に他のA級ジャンパーの人たちと同じ様に

 その組織に拉致され、非人道的な実験の犠牲者となりつつもその時に一緒に攫われた自分の妻を助けたいという思いで復讐人と

 化してまで妻を助けた、テンカワ・アキトさんの手助けをして欲しいのです。」





 「(えっ!?助けたって事はもう起こった事?)・・・・・・それなら僕が出来る事はすでに終わっているんじゃないの?」





 「いえ、今彼は、とある事故で過去へとランダム・ジャンプしています」





 「ところで・・・・ランダム・ジャンプって何?」





 「一つ目の条件であるイメージが間に合わないときや制御装置になんらかのトラブルが発生したときにジャンプすると

 目的の時間・場所・空間がランダムになります。それがランダムジャンプです。彼はランダムジャンプで自分の過去に戻ったのです。」





 「・・・・・・・と言うことは、まさか!?」





 「はい♪あなたには彼の手助けをして欲しいのです」





 「でも僕にはこの世界では何の力も持って無いよ・・・・・(フリーダムも奴にやられたし・・・・)」





 「いえいえ♪謙遜しなくても、あなたは途轍もない力を秘めています。  

あなたの世界では決して生まれ出ることの無い才能・・・・ジャンパーの力を秘めています。」





 「(・・・ポカーン)はい?今なんと仰いました?」





 「ですから、貴方にはA級ジャンパーの人達と同じようにジャンプが出来るのです」





 「しかも貴方のジャンパーの力はA級を超えていますね、言うとしたらS級ジャンパーということですか」





 「(ラウ・ル・クルーゼの言っていたことは本当だったんだ)・・・・・・・・・・・・」





 「ですが、このままでは貴方はその力を完全に発揮する事が出来ないので、

貴方専用の機動兵器とその力を完全にものにしていた古代火星人達の知識と経験を差し上げます♪

そうすることで貴方はその力を発揮できます。」





 「機動兵器だって!?」





 「はい♪そうですよ♪・・・・・それとも知識のほうが先ですか?」





 「ちょっと待って、話が飛躍しすぎて頭が混乱しているから・・・確かに僕は彼を助けたいと思っている。

 でも、助けた後僕はどうなるのさ?」





 「・・・・・・その後ですか?貴方の好きな時間・世界・場所へその力を持ったまま戻して差し上げるつもりですけどそれが何か?」





 「へっ!?・・・・戻れるの!?」

 



 「はい♪もちろん。ちなみにボソンジャンプで過去へ戻ろうとすると因果律の計算やらパワーの問題もあって色々な

  条件が重なり合わないと戻れないんですが、私の力で戻して差し上げます。ただし貴方の世界のアカシック・レコードに

混乱が発生するので貴方をこちらにお呼びした時間帯から最高で一年前が限度となりますけどそれでもかまいませんか?」





「うん、充分だよ。・・・・ところで聞きたいことがあるんだけど」





「何ですか?」





「僕がいた世界はどうなったの?」





そこまで順調進んできた話の流れがピタッと止まった。いきなり話を止めて黙って俯いてしまった彼女にキラはおそるおそる聞いた





「えっ・・・・・何が起こったの!?ラクスは!?マリューさんは!?バルドフェルドさんは!?他の皆はどうなったの?」





「・・・・・・・貴方の世界は消滅しました。貴方の大切な人達は恐らく貴方の世界に現れたあの男によって・・・・・」





「!!!!!!!!」





「あなた方の世界のアカシック・レコードに干渉した男がいたのです。その男は

別の世界にジャンプで突然現れて、しばらくする内にその世界の技術を自分の物にし、

なおかつその世界に存在していた、オーバーテクノロジーをも自分の物にした後、

その世界を壊滅状態にしたのです。その男の名は・・・・ラウ・ル・クルーゼと言いました」





「!!!!!!!!!!!!!!!!!」





「大丈夫ですか!?顔が真っ青ですよ」





「・・・・・・・・・僕なら大丈夫ですから、話の続きをお願いします。」





 「・・・・・・はい分かりました。そのラウ・ル・クルーゼという男はその凄まじい力を持って貴方の世界のアカシック・レコードに

 干渉し貴方の世界に侵入したのです。そして・・・・・貴方の世界はその男の手によって滅ぼされたのです。」





 「しかしなぜ無限のごとく存在している世界の中から、貴方の世界を選び取ることが出来たのか不思議でなりません

 今この瞬間にも木の枝のごとく世界は枝分かれして増加し続けているというのに・・・・」





 「・・・・・・・そのラウ・ル・クルーゼという男は実は僕がある戦いの時倒したはずの敵なのです。」





 「えっ・・・・・・それは本当の話なのですか?」





 「はい・・・・・・・奴は僕の力によって跳ばされたと言っていました。」





 「・・・・・なるほど貴方の力なら他の世界にその自分に害をなすと認識した存在を跳ばすことが出来るはずですね」





 「そこまでに僕の力はすごいんですか?」





 「ええ、貴方の力は一人でA級ジャンパー二百人分の代わりが出来ます。

 ちなみにA級ジャンパー一人でB級ジャンパーを一度に最低でも一人はナビゲートして跳ばすことが出来るので

 貴方の場合単純計算で二百人ナビゲートして跳ばす事ができることになります」





「その・・・・・A級ジャンパーがナビゲートできることを知ったこの世界の科学者たちは、

彼らを・・・A級ジャンパーの人達を人間翻訳機にしたのです。」





「人間翻訳機って・・・・・・・まさか!?」





「はいこの遺跡にA級ジャンパーを融合させたのです。その融合したA級ジャンパーの

  人がテンカワ・アキトの妻であるテンカワ・ユリカ、・・・・・・旧姓ミスマル・ユリカだったのです」





 「人を機械に融合させる!?そんな事をしたら、その人は一体どんな事になるかその人達は知っていたのですか?」





 「・・・・・・はい。彼の手によって助け出された時にテンカワ・ユリカさんは既に非常に衰弱していてもう一年も持たない体になっていました。」





 「彼女を助け出した夫のテンカワ・アキトさんは彼女を見つけ助け出すために無我夢中で努力して木蓮抜刀術という剣術

の中の暗殺術の部分だけをを磨き続けて極めました。敵を蹴散らす為にあまり上手くなかった機動兵器の扱いも非常に上手に

なったのですが、彼女を捜し求め戦っていく内に彼は罪悪感にあふれ自分の手は血に塗れていると思い始めたのです・・・・・・」





 「彼は火星の後継者と名乗る組織に非人道的な実験を受け・・・・・頭の中を弄繰り回されて

 視覚・味覚・聴覚・触覚・嗅覚のほとんどを失いましたそして致死量の三倍のナノマシンを体内に

 入れられ廃人同様になりましたが、彼は生き残りました。彼は彼らに攫われてきていた一人のマシンチャイルドの少女と

 一緒に昔の同僚に助け出されました。彼が見つけられたのは奇跡です。少女は彼らの非人道的実験を見て恐怖に震えるようになって

 しまっていて、それゆえに自我が未発達のままでした。そこを彼に助け出されたので少女は彼に依存するようになったのです

 一方アキトの方は、その少女が自分もアキトの力になりたいという願いから行った精神のリンクによってある程度は五感が復活したのですが、

逆に、アキトさんは自分の為にその少女を自分の復讐に巻き込んでしまったと罪悪感にあふれるようになったのです。





 「それから二年後、彼はブラックサレナという機動兵器に乗り、ユ―チャリスという艦を母艦にして彼の妻がいるとされている

 ターミナルコロニーという場所をを襲撃したのです」





 「コロニーってまさか!?民間人もいたんじゃ」





 「・・・・はい、居ました。そして同じ様に他のコロニーを探し続け彼女を見つけた時には犠牲者の数は数万人にも及んでいました。

 ただその犠牲者達は彼が直接殺したわけではなく火星の後継者の組織が証拠隠滅とばかりに民間人を

 避難させずに組織に重要な人達を逃がしてそのコロニーを爆破させたのです」





 「だったらその組織が一番悪いんじゃないの?」





 「はいその通りなのですが、うまくカモフラージュしていて世間一般的にはテンカワ・アキトさんが

 コロニーを爆破したとなっていたのです。しかも本人は火星の後継者が爆破した事が直接の原因だとしても

 自分のせいで民間人が亡くなった事に変わりは無いと思っていたために自分は罪に溢れていると思ってさえいたのです。」





 「それは・・・・・・・・アキトさんって根本的に優しい性格をしていたんだね。」





 「その彼が過去に戻ったのです。私としては彼には幸せになって欲しいと思い

 彼の力になってあげられる人を捜していたのです」





 「私のお願いを聞いては下されないでしょうか?」





彼女はまるで祈るかのようにキラを見た





 「うん、いいよ。僕は最初から彼を手伝うつもりだったから・・・」





 「ありがとうございます。・・・ではどちらを先にしますか?機動兵器にしますか?知識にしますか?」





 「じゃあ知識の方を先にします。」





キラがそう答えた瞬間彼女の体が輝き始めた。





 「それじゃあいきますね」





 そして彼女の周りの光が集まりキラの頭へと吸い込まれていった

 キラはその知識の量に頭がパンクしそうになったが何とか耐え切った





 「大丈夫ですか?」





彼女が頭を抱えうずくまったキラに声をかけた





 「ああ、うん大丈夫だよ」





 キラは少し疲れた様子だったが大丈夫そうに答えた





 「そうですか、それじゃあ着いてきてください」





 そうして彼女はどこかへと歩き出したそうして着いた場所は格納庫だった。

そこにはまるで鎧を纏った騎士のようなイメージを伺えるような機動兵器があった





 「これが?」





 「はい♪貴方の愛機である[フリーダム]とこの世界のアキトさんの愛機である[ブラックサレナ]の二機を

 基に発展させた機体です。OSは貴方の機体につんでいた物をもとにしています。それとこの世界ではAIが

 発展しているので貴方の機体にも搭載して見ました♪」





 『初めましてマスター♪』





「へー喋れるんだ・・・・・・・って僕の昔の機体がここにあるの!?」





 「はい♪しかし、あなたのもとの機体はほとんど原形を留めていません。貴方の機体につむOSを

 開発するときに確認した時にはすでに全体の80%が失われていました。おそらくこちらに転送したときの衝撃に

 機体が耐え切らなかったみたいに、残っている部分も亀裂が入っていてもう修理しても戦えません・・・」





 「そうですか・・・・・・・・」





 「この機体は貴方のお気に合いませんか?」





 「いえ、そんなことは・・・・ただ乗っていた機体には愛着があったものですから」





 「それでお願いが有るのですが・・・・・・・・このAIに名前をつけて欲しいのです」





 「名前・・・・ですか?」





 「はい、名前です」





 『お、お願いします』





キラはあまり物に名前をつけることが無かったので悩んだ

そしてふと気になることがあった





 「あの、このAIは男性ですか?それとも女性ですか?」





 「どちらかというと女性のほうですね」





 「そうですか・・・・・・それじゃあ、ALICE(アリス)という名前はどうでしょうか?」





 「いい名前ですね。」





 『ありがとうございます♪』





 アリスはうれしそうにキラにお礼を言った





 「ところでこの機動兵器の名前は何ですか?まさかこれも決まってないとか・・・・・・・?」





 「いえ、決まっています。この機体は[フリージア]という名前です」





 「フリージアですか・・・・・なぜ花の名前なんです?」





 「いえ、ただこの世界の艦や機動兵器は花の名前が多いのでそれで・・・ちなみにフリージアの花言葉は純潔・慈愛・親愛の情・親愛を意味します。」





 「そうですか・・・いい名前ですね」





 『このフリージアの性能は凄まじいです。』





 「どのくらいすごいのですか?」





 「・・・・・・・・貴方の乗っていたフリーダムの数倍の力があります」





 「数倍ですか!?・・・一体何がフリーダムと違うというのですか?あのフリーダムはもてる技術を全て駆使したと聞いたのですが・・・・・・・・」





 「それはですね・・・アリス、フリージアのデータを出して」





 『フリージアのエンジンに極小型相転移エンジンを3基搭載しています。予備として極小型核パルスエンジンを4基搭載してあります

それのおかげでディストーションフィールドを多重展開できます。武器はグラビィティーライフル×2 レールガン×2ハンドガン×2「予備として×2」 

ビームサーベル×2 最後に可変式グラビィティーブラストが二つ装備してあります。それと相転移法が装備していますこの相転移法は

座標軸を指定でき、その範囲は使うエネルギーのりょうによって異なりますが最高で太陽系がすっぽりと範囲の中です

装甲はKDPS走行を使用しています、それで実弾系はほぼ無効化できます。ジャンプフィールド発生装置も搭載しています。

このフリージアに搭載しているスーパーコンピューターの情報処理能力はこの世界で最高を誇るナデシコCの2倍です。』





キラはその説明を受けて自分の機体の力に恐怖といえるべきものを感じた





 「・・・・・・・・・・・この機体の力危険すぎませんか?)





 「いえどんなイレギュラーがあるか分かりませんから」





キラはその答えに納得した様子で頷いたが、力は争いを生む源という事が頭に浮かびあわててアリスに聞いた





 「それもそうだけど・・・・・・・所でリミッターは掛けられるの?」





 『はい、大丈夫ですけど・・・・・・・・・・・どうなさるんですか?』





 「第二・第三相転移エンジンは普段は停めておいて、よびの核パルスエンジンは2基だけ作動させておいてください

それだけで十分だと思いますが一応武器のパワーも全体の60%に止めておいてください」





 『解りました。そのように設定しておきます』





 「宜しいですか?」





少女がキラにそう尋ねた





 「ああ、うん。・・・・・ところで今の僕って........」





 「はい.....貴方はここに私が召喚したときには既に........」





 「そうか.....僕は死んだのか」





 「今の貴方はこの空間にアストラルボディとして限定的に存在しています。」





 「アストラルボディ?」





 「解りやすく言うと霊体.......つまりは魂というべきものですね」





「なるほど....で、僕はこれからどうなるのですか?このままではアキトさんの手伝いどころか僕自身が消えてしまいます」





 キラが一体これから自分はどうなるのかと不安に成り尋ねると少女はあっさりと答えた。





 「あなたはこれからその力と記憶を持ったまま転生してもらいます」





 キラはそのあっさりと答えた彼女の答えに呆然とした





 「........................そんなことできるの?」





 「はい♪出来ますよ。ではそろそろ準備も整いましたので行きますよ」





 キラはそんな事は不可能だと思っていたのに、いとも簡単に準備を進めて行く彼女を見て更に呆然とした。





 「ちょっと待って、フリージアはどうするの?」





 「フリージアですか?そうですねぇ.......貴方が必要となるまで此処に置いておくことにします。

 貴方が必要だと思ったら「来て」と念じてください。」





 「うん、解った」





 「それじゃあ行きますよ!!」





彼女がそう言った瞬間キラは目の前が真っ白になるのを感じた





 「向こうでも頑張ってくださいねー!!・・・・・ちなみに貴方の向こうでの姿は女性です。(ぼそっ)」





 彼女がそう言うとキラは顔に微笑を浮かべた。・・・どうやら最後のは聞こえなかったようだ。





 そうして・・・・キラはこの空間から消えた。新たな運命へと向かうために・・・・・















―――――西暦2176年





 「おぎゃあ、おぎゃあ・・・・・・・・・」





 そうしてキラは新たな生命として転生した。





 そこには一人娘を抱く幸せそうな夫婦が居た





 「貴方この子の名前はどうします?」





 「そうだな・・・・・・・よしこの子の名前はセレナ・・・・・

 セレナ.F.ラインハートと名付けよう」





そうしてキラはセレナ・F・ラインハートという名前を名付けられた





――――そして西暦2182年火星ユートピアコロニー





 「ミスマル・ユリカです。」





 「テンカワ・アキトです。」





 「セレナ・F・ラインハートです。・・・・よろしく」





この三人が出会ったことから少しずつ運命は変わっていくこととなる・・・・・・





 「アキト、待ってよアキト」





 「ユリカ〜、偶には一人にさせてくれよ〜(泣き)」



 「・・・・どうしたの?アキト・・・(この二人が本当に結婚するのか?アキトさんのほうは付きまとわれて泣いているけど....)」





 「あっ・・・セレナ、聞いてくれよ。ユリカの奴が俺を一人にさせてくれないんだ。」





 「そんなこと無いよ〜アキトは私の王子様だもん。王子様だからいつも一緒にいるのは当たり前だよ。」





 「だから、なんだよそれ。何時の間に俺はユリカの王子様になったんだ?記憶に無いぞそれ・・・・」





 「二人とも落ち着いて....(まあ、いいか。今のアキトさんは幸せそうだし・・・)」





――――西暦2185年ユートピアコロニー空港





「アキト、セレナ、また会おうねー!!」





 「アキト、ユリカ行っちゃったね」





 「うん、そうだね(やっと開放されたー♪♪♪)」







 ドカァァァァァァァンンンン!!!!!!!





突然空港から爆発の音が聞こえてきた





 「なに?何が起こったの?........・あっちは父さんと母さん居たはず・・・・・・」





 「アキト、貴方はここにいて私は様子を見てくるから・・・・・・」





 アキトは彼女が空港の中に戻っていくのを眺めていた。が、次の瞬間





 ドカァァァァァァァァァァァァァンンンンンンンン!!!!!!!!!!





先程より強い爆発が発生したが、火は強くなくそれから三時間ほどで火は鎮火した。アキトは両親が死んでいるのを発見し、

父親が握り締めていた青い石を形見として持つことにした。そこから少し離れた所にセレナの両親の姿もあったがセレナの姿は

何処にも見当たらなかった







それから十年後の西暦2195年―――木星から、謎の兵器部隊が飛来し、火星への進行を始めた。

 地球連合宇宙軍は、火星軌道上で謎の敵を迎え撃つが、圧倒的な科学力の差で壊滅、敗北する。

 そして、火星は謎の敵<木星トカゲ>の支配下に置かれてしまった。







―――ユートピアコロニー地下シェルター





 「はい、これをあげる」





 「お兄ちゃん、ありがとう。私ね、アイっていうの」





「そっか、君の名前、アイって言うんだ。よろしくね、アイちゃん」





 シェルターの天井の隙間からから一機の黄色い無人兵器が、後にバッタと名づけられる兵器が降りてきた





 「うわあぁぁー!!!」





 「イヤァァァー!!!」



叫び逃げ惑う一般人たち、それを守るためにバッタに向かって銃を乱射する軍人達。





そのとき、衝撃が起こった。隔壁が爆発したのである。隔壁の向こう側に居たバッタがミサイルを撃ったのだ。隔壁の近くに居た人達は

爆風で吹き飛び、多くの人間に隔壁の破片などが降りかかり体を、喉を潰されたりして、本当に元人間か疑うほどにぐちゃぐちゃに

なっている者もいた。真に惨劇と呼ぶに相応しい光景がそこに存在していた................





 「何でだよ..なんで、こんなことになったんだよ・・・・・・・・・」





そう呟きながら走ってアイ親子に近寄る。アイの母親は爆風で吹き飛んだ際に頭を強く打ったのか気絶している。

アイも母親の腕の中で気絶している。アイ親子がまだ生きている事を確認したアキトはほっとした。





アキトはひたすら嘆いていた。確かに恐怖は感じるが、それ以上に目の前の親子を救えなかった事に苛立ちともいえ、

悲しみともいえ、無力感ともいえる不思議な感覚に体を支配されていた。





 「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!」





アキトは見てしまった、自分の周りにある死体と迫りつつある『バッタ』を『無人兵器』を『黄色い悪魔』を





 「うあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああうううぅああ・・・ぁああぁぁ・・」





 アキトは近くにあったIFS対応の車に乗りバッタに体当たりした、そしてバッタを壁に押し付けた。そのバッタがこちらに

 バルカンの照準を合わせている事を悟ったアキトは更にアクセルを踏んだ。そうするとバッタの目の光が消え

 おとなしくなった





 「へっ、おっ俺だってやれるんだ」





 ドカァァァァァァァァンンンンンンン!!!!!!!!!!!!





 アキトがバッタを一体倒して安心していた所を後ろから爆発が襲った





 「何だ、何だ一体何が起こったんだ」





 そこにはアイ親子の姿も怪我をした人の姿も存在して居なかった.・・・

 そこにあったのはただひたすら蠢きあうバッタ達だけだった





 アキトは<死にたくない>と頭に思い浮かべた。そうすると次の瞬間

 アキトが形見として持っていた青い石がいきなり光り輝きだし、周りを包んだ





 そうしてアキトは地球に向けてボソンジャンプした。






後書き



 作者のsikiです。誤字脱字があれば是非お知らせください

 

 

 

感想代理人プロフィール

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代理人の感想

・・・・突っ込みどころ満載で、何をどうしていいやら。

とりあえず英語のスペル位は調べましょうねー。

「アリス」は普通「ALICE」です。