<時の流れの導きに・・・>
第二話
―――――地球佐世保
夜の静かな時間帯。虫の声が響き渡っている川のほとりにいきなりボソンの虹色の光が輝きしばらくして消えた。
そこには火星のシェルターで着ていた服装のままのアキトの姿があった
しばらくするとアキトは目を覚ました
「ここ・・・・・は・・・・どこだ・・・・・・・?」
「確か・・・・俺は・・・・ルリちゃんの乗るナデシコCにアンカーをユーチャリスに打ち込まれて
フィールドが制御不能になって、確かランダムジャンプしたはず・・・・・・・・・」
「それに地球から夜空を見上げるのは久しぶりのはずだ・・・・・・・・・・・・・・・・って!!!!!」
アキトはしばらくボーっとしていたが自分が今、満点の夜空をバイザーを掛けずに見ていることに気付いてあわてて自分の状況を確認した
「目が見える、音も聞こえる、風のにおいも感じる、肌触りもバッチシだ、そうだ(近くに生えている草を千切って口に含む)・・・・・・苦い!」
アキトは自分の感覚が戻っていることが分かり、嬉さの余り河原に横になった
アキトが横になって、しばらく経つとそこに一人の男性が現れた
「そこのあんちゃんよ、そこで何してるんだ?」
その言葉にアキトは起き上がって相手のほうを見た
「(はっ、俺は何をしているんだ。それよりもこの男性は・・・・・・・)・・・・・夜空を見ていたんです。」
「なら、なぜ河原で横になっていたんだ?」
「いや、特に理由はないんですけど・・・・(間違いないサイゾウさんだ)」
「まぁ、夜空が綺麗なことは確かだ。だが、なんでこの時間帯に河原に居るんだ?行く当てが無いんなら家に来るか?」
「あ、はい」
アキトはサイゾウさんに連れられて雪谷食堂へ向かった。
「お前さんは、なんで河原で横になっていたんだ?」
サイゾウさんに改めて何故あんな所に居たのか聞かれたが、アキトは混乱していた
「(なぜ俺が地球にいて、若返っているんだ?しかも実験で失われたはずの五感までそのままなんて・・・・・)」
「おーい、大丈夫か?俺の名は雪谷サイゾウって言うんだ。まあ話せ無いって言うなら無理に聞こうとはしないけどな・・・・・・」
「ありがとうございます・・・・・・ところで、サイゾウさん今は西暦何年ですか?」
「2195年だが・・・・・・・・・それがどうかしたのか?」
「・・・いえっ、別にたいした事じゃないんです。・・・あっ、俺の名前はテンカワ・アキトっていいます(やっぱり・・・・・俺は過去に戻ってきたのか?)」
「アキトって名前か・・・・・おい、アキトはどこの生まれだ?」
「火星です」
「いつ地球に来たんだ?」
「覚えていないんです気付いたらここに居て・・・・・(嘘はいってないよな・・・・・・・)」
「・・・・・そうかだったら、ここで働いてみないか?」
「あ、はい。ここで働いても良いんですか?・・・・(またサイゾウさんと料理が出来る。ところで他の皆はこっちに来ているんだろうか?
・・・・・・とにかくしばらく様子を見よう)」
「ああいいぞ、人手が足りなかったんだ。・・・・泊まる所が無い!?だったら二階に余っている部屋があるからそこで寝るといい・・・・」
「重ねがさねありがとうございます。」
――――― それから一年後
「サイゾウさん、今までお世話になりました。」
「おう、気をつけてな」
俺はサイゾウさんにお礼を言った後、自転車に乗って前にユリカと再開した場所へと移動していた
「しかしまあここまで何の違いも無くてよかった。このペースでいけば先回りが出来るかもしれないな・・・・・・・」
俺がそう呟いた時、今までずっと沈黙していたラピスとのリンクが復活した。
(アキト!!)
(・・・ラピスか、君もこっちに戻ってきたのか?)
(うん!! 今、私は昔に居た研究所に居るし、体は6歳まで戻っているの・・・・どうして!?)
(実はね・・・・・・・信じられないことに今は西暦2201年ではなくて2195年なんだよ・・・・・俺達は過去に戻ったんだ)
(!!!!!!!!!!そんな・・・・・また私・・・・北辰に・・・・)
ラピスは過去に戻ったという事に驚愕し、自分がまた火星の後継者に攫われる事になるという事が頭に浮かび恐怖で震えだした
(ラピス・・・・・必ず北辰より先に、研究所から助け出してみせる!!だからこれから頼む事を、地球で実行してくれないか?)
(うん!!解ったよアキト。必ず北辰より先に迎えに着てね)
(・・・済まない、ラピス)
そして俺はラピスにある計画を託した・・・・・この計画は、この先にどうしても必要な事だった。
(そろそろ例の時間だ、ラピスすまないが計画のことを頼む)
(ねぇ、アキト、・・・・・何時でも話しかけていい?)
(ああ、何時だってかまわないよ)
(ありがと。アキト)
(じゃあ、行ってくる)
(頑張ってね、アキト・・・・・)
俺はユリカと再会した場所へ到着したが、まだ早かったみたいで誰もいなかった。
そこでスピードを落としてドックへ向かっていた。そこを一台の車が横を通り過ぎていった
ブォォォンンンンンンン
その車から一個のスーツケースが転がり落ちてきた
ガラッ!ドガッ!ガラガラガラ・・・・
「(どうしようか?前回と同じ様に当たろうか?それとも受け止めようか?やっぱりぶつかるのが分かっているのにわざわざ
痛い目にあうことも無いか、受け止める事としよう)」
俺は自転車をドリフトさせ、体勢を立て直してショックに備えた。
そして見事スーツケースをキャッチすることに成功した。
キキー!バタン!!タッタッタ
「済みません!! 済みません!!・・・・・・怪我とか、ありませんでしたか?」
その車に乗っていたのはやはりユリカだった。近づいてくるその姿を見たとたん
俺は目頭が熱くなり思わず泣きそうになった。が、俺は感情を押さえ込むことに成功し、
不自然にならないよう笑顔ですぐユリカにスーツケースを渡した
「・・・・・・あの、無躾な質問ですが、何処かでお会いした事ありませんか?」
「いえ、確か初対面のはずですよ・・・・・・・・・」
俺は出会えた嬉しさでおもわずユリカを抱きしめたくなる衝動に駆られたが理性でなんとか抑えて、ユリカに返事を返した
「そうですか?」
「ユリカ、急がないと遅刻するよ!!」
「はーい、すみません急いでいるので、それでは失礼します」
ユリカとジュンが乗った車はあっという間に見えなくなった。
俺はユリカの事を忘れる事が出来無いという事を再確認し
今度こそ皆を必ず幸せにしてみせると決意した。
「さてと、とりあえず佐世保ドックに行ってプロスさんに会うとするか
この写真立てを届けなくちゃいけないし・・・・・」
「ふむふむ、貴方は艦長とどのようなお知り合いで?」
「実はユリカとは小さい頃からの幼馴染でして・・・・・」
「なるほど、では失礼。『あなたのお名前だ〜れだ』」
「痛て」
プロスさんはそういってDNА鑑定の機械を俺の舌に押し付けた
はたしてこの言葉に何か意味があるんだろうか?
「なんと、全滅した火星からどうやって地球に!?」
「分かりません・・・・・・気付いたら地球に居ました」
嘘は言っていないよな、本当に気が付いたら地球に居たんだから・・・・
「あいにく、ユリカさんは重要人物ですから、簡単に部外者とお会いできません。・・・しかし、ネルガルの社員の一員としてならば、
不都合はかなり軽減されます。実は我が社のあるプロジェクトで、コックが不足していまして。テンカワさん・・・貴方は今無職らしいですね、
どうですこの際ネルガルにコックとして就職されませんか?」
「ええ、かまいませんよ。」
「ではお給料はこのくらいで・・・・・・契約書がこれです・・・・・えっ、変更ですか?あっ・・・そこは(ニヤニヤ)
本当なら変更分だけお給料からお引きするんですけど、サービスして置きます。そこに気付かれたのは貴方を含めてお三人だけでしたから・・・
ではここにサインを・・・・・・はい結構です。」
そうして俺は再びナデシコに乗り込んだ
そこで俺はなぜかここに近づいて来ているルリちゃんを見つけた。でも、
ルリちゃんに後から聞いた時は、確かこの時にはブリッジに居たって言ってたような・・・・・?
「おや、ルリさん何か御用ですか?」
「こんにちはプロスさん。」
(お久しぶりですアキトさん)
(もしかして・・・・・・ルリちゃん?君も戻っていたのかい?)
(はい)
「おや、お二人はお知り合いのようですね。ではルリさん、アキトさんに艦内を案内してあげて下さい。では私はこれで・・・・・・」
「アキトさん・・・・案内しましょうか?」
「いや、いいよ。ところでルリちゃんは何時帰ってきたんだい?」
「私はプロスさんが私をネルガルに引き取る三日前に気が付きました。アキトさんは?」
「俺は火星から地球にジャンプした直後にね・・・・・気が付いたらこの姿だったよ。」
「そうですか。アキトさんには色々と聞きたいことがありますがそろそろ時間ですね。私はブリッジに向かいます」
「うん、そうだね。じゃあ俺はエステバリスで待機しているよ」
俺とルリちゃんはコミュケを見て無人兵器の強襲が近い事を思い出し、二手に分かれた
そして俺はエステバリスへ、ルリちゃんはブリッジに向かって走っていった
「おーい、そこの少年大事なものが有るんだ。あのピンクの奴のコックピットに行ってとってきてくれ」
ガイが俺に取ってきてくれと言ってきたので、整備員に一応許可は取ってからエステバリスに乗り込んだ
そろそろ時間かなと思っていたら、いきなりエマージェーシーコールが鳴り響いた
「アキトさん・・・・・敵が来ました。アキトさんにとっては余裕かもしれませんが
囮役、頑張ってください」
―――ブリッジ
私が格納庫からブリッジに戻って自分の席に座っていると、オモイカネが敵の襲来を伝えてきた
「敵無人兵器の接近を確認しました。」
私がそう言うといきなりキノコが騒ぎ出した。
「艦長はまだなの!?」
プロスさんが腕時計の時間を見て呟きました
「おかしいですな〜データによるともうすでに着くはずの時間なのですが」
キノコの癇癪がまた爆発しそうになった時、ブリッジのドアが開きました
そこには白い艦長の服を着た20歳前後の女性と荷物を大量に持っている息を切らした男性がいました
「は〜い、私が艦長のミスマル・ユリカです(ぶい!!)」
「「「「「「「「「ぶい!?」」」」」」」」」
皆あのユリカさんのマイペースぶりに驚いていました
「艦長、早くマスターキーを・・・・・・」
「はい。」
ユリカさんが懐からマスターキーを取り出して鍵穴に差し込んで回すとモニターに鐘のイラストが現れました
『マスターキーを確認しました。相転移エンジン起動します』
「艦長、何か意見はあるかね?」
「はい、囮を出して敵の注意を引き付けつつ、海底ドックから海上に出て敵をグラビティブラストで殲滅します」
「なら、囮を・・・・「囮ならもう出てます」なんだと!?「そのエステバリスと回線つなぎます」」
「誰だ!?貴様は」
「俺は・・・テンカワ・アキト・・・・コックです!!!」
「コックだと・・・・・コックが何故エステバリスに乗っている!?
「あ〜アキトだ!!アキトアキトアキト」
「ユリカか・・・・・・久しぶりだな」
「アキト、なんでさっきは知らないふりをしたの?それより大変なの!!敵がこのナデシコを目指して攻めてきてるの
そのままだと戦闘に入るからアキトは安全な所まで逃げて」
「あのなぁ、俺が何処に居ると思っているんだ?・・・・まあ囮役ぐらいなら引き受けてやるよ」
「本当!?・・・・・うん、解ったよアキト!!私はアキトを信じる!!やっぱりアキトは私の王子様だね!!」
「テンカワ機地上に出ます」
本当は敵を引き付ける囮より敵をひとつ残さず殲滅するほうが楽なんだけどなぁ・・・・まあしかたないか
ここで目立った行動をしてしまえば歴史が変わってしまうからな・・・・まあほどほどに力を抜いてやればいいか・・・
俺は敵の攻撃を紙一重で避けては逃げ、たまに反撃をして逃げ道を確保してからヒット&アウェイを繰り返して
敵全機を目標のポイントへ誘導し、海上へ移動した
「(確かここだったよな・・・ビンゴ!!)」
「敵、全機照準内に入ってます。」
「グラビティブラスト、撃てー!!!」
そうして敵はナデシコのグラビティブラストによって殲滅された
俺は格納庫へと戻ると誰にも合わずにすぐ自分の部屋に戻った
俺が部屋で休んでいるとコミュケに通信が入っていた。発信者を見るとルリちゃんだった。
『アキトさんお疲れ様です。ユリカさんには話されないのですか?』
「まあね・・・・今のユリカと俺が思っているユリカとは似ているけど・・・・・まったく別人と言っても良いくらいに違うからね・・・
俺の人物像を無理矢理に押し付けたらいけないと思うんだ・・・・」
『そうですか・・・・・・アキトさんがそう決めたのでしたら、私には何も言うことはありません。アキトさんはヤマダさんや他の
死んでしまう人達をどうするおつもりですか?あと・・・・・・ラピスも』
「勿論俺の手が届く範囲なら助け出すつもりさ。ラピスは出来るだけ早く助け出したいと思うんだけど・・・・
残念ながらCCもジャンプフィールド発生装置も俺は今持ち合わせていないんだよ。」
『そういう事でしたら私が開発しましょうか?あれなら少しあれば開発できますし、火星に着くまでには出来るかと・・・・・』
「本当かい?ルリちゃん。だったら、是非お願いするよ。ラピスとは北辰が来る前に助け出すと約束したんだ・・・・・」
「ルリちゃん頼みついでにもう一つ相談があるんだけど・・・・・実は・・・・・」
俺はラピスに言った計画の事をそっくりそのままルリちゃんに伝えた。
『・・・・・・・・・アキトさんって意外と・・・・「ナデシコの主要クルーは重大発表があるのでブリッジに集合してください」・・・アキトさん話はまた後で・・・』
俺はルリちゃんとの事はまた後にしておくことにしてブリッジに急ぐことにした
・・・まあ、歴史通りなので仕方が無い事だが、ムネタケ副提督がやはり叛乱を起こした。
そして現れる連合宇宙軍の戦艦‘トビウメ’・・・
俺とルリちゃんは、目の前の戦艦と通信を繋がった瞬間に両手で耳栓をしていた。
「ユリカ〜〜〜!!!!」
「お父様!!!」
俺とルリちゃんは何とか二人のサウンド・ボイスを堪えきったが、他の耳栓をしていなかった人達は皆ダメージを受けて気絶していた
「おお、しばらく見ない内に立派になったなユリカ!!パパは嬉しいぞ」
「そんな、お父様とは昨日まで一緒だったではありませんか」
「「「「「「「「「「「「「(アルツハイマー!?)」」」」」」」」」」」」」
その瞬間にブリッジのクルーの考えが(ユリカを除いて)シンクロ100%を記録した
「これはこれは、ミスマル提督・・・今回は一体どの様な御用件でしょうか?」
このままでは、親子の会話から抜け出せ無いと判断したらしく・・・
プロスさんが復活し、ユリカとミスマル提督の会話に割り込んだ。
「うむ、こちらの用件を言おう。機動戦艦ナデシコに告ぐ!! 地球連合宇宙軍提督として命じる!! 直ちに停船せよ!!」
その後の展開は、ユリカが皆の制止を聞かずマスターキーを抜き、ナデシコは操作不能になって・・・
そしてユリカはプロスさんとジュンを連れて、提督の待つ戦艦に乗り込んで行った。
「・・・・・アキトさん、どうするんですか?」
「・・・・今回は黙って見てるよ・・・・」
「・・・・さっきの話の続きですが、ハーリー君がこっちに戻ってきているので補佐につけようと思います。
・・・・・・・あとラピスから私にメールが届きまして・・・・・・アキトさん・・・ラピスにお金渡しました?
ラピスが私に資金援助を頼んできましたよ。私には今までの給料がありましたから援助しときましたけど・・・・・・」
「・・・・あ!・・・・・ありがとうルリちゃん。うっかりラピスがまだ七歳だって事を失念していたよ、本当にありがとう。
やはりハ−リー君も一緒に戻ってきたか・・・ハーリー君はラピスと友達になってくれるだろうか?
ラピスには同年代の友達と呼ぶべき人が居なかったからな・・・・・・」
「大丈夫ですよ。アキトさんハーリー君は明るい子です。だからラピスともすぐに仲良くなれると思いますよ」
「そうか・・・・」
俺はバカだ。計画の初っ端から躓くところだった。ラピスがまだ七歳だって事を忘れていた。
ルリちゃんが資金を援助してくれなければ・・・・・・・・いかん、また思考がブルーになっている
こんな事では皆を助けられないぞ・・・・・・頑張るんだ俺!!
「そこ!!何をやっているの!早く食堂へ行きなさい!!」
俺とルリちゃんは食堂へ向かった。そこでは、ガイがゲキガンガーを皆に見せようとしていた
「どうしたどうした!! 皆、顔が暗いぞ!!俺が元気の出る物を見せてやる!!」
そしてゲキガンガーが始まるとガイは‘く〜〜’とか‘ウオ〜〜’とかの奇声を上げだした
「アキトさん、ところで今回は空戦フレームで出るんですよね?」
「まあね、前と同じ過ちは繰り返さないよ」
「でしたら・・・・ヤマダさん良い所がまったくありませんね・・・・」
ルリちゃんがきつい事を言ったが俺には苦笑いしか出来なかった。
「ハハハハハハ・・・・・・・・ハァ」
俺たちがそうこうしているうちにガイは皆を扇動していた。そして俺達は食堂・格納庫・廊下の軍人を倒してブリッジに向かった。
「何よ、あんた達!?・・・・・あたしは偉いのよ・・・副提督なのよ・・・・・ギャ〜!!!」
ムネタケは俺達が侵入するとこちらに銃を向けたが、俺はすかさず背後に回りこみ気絶させた。
「ルリちゃん、俺は格納庫へ行くから・・・」
「はい、行ってらっしゃい」
俺はコミュケで格納庫の軍人達を幾重にも縛り付けていたウリバタケさんに通信をつなげた
「ウリバタケさん・・・エステの空戦フレームは用意出来ていますか?」
「あたぼうよ・・・ただ、あの馬鹿が言ってやっているのに陸戦フレームで行きやがった」
「ハハハ・・・・テンカワ・アキト行きます」
俺が出撃するとガイが海面をピョンピョン跳ねながら敵の攻撃を器用に避けていた
「お〜〜〜い、アキト〜〜〜助けてくれ〜〜〜〜!!!」
チューリップか・・・・倒せないことも無いけど、この機体はちょっとキツイかな。一応ここは前と同じ様にナデシコに決めてもらおうか。
そうして俺がチューリップの触手を避けつつ反撃しているうちに、ユリカが戻って前と同じ様にチューリップの内部に入って
グラビティブラストで決めた
「ふ〜〜疲れた」
「アキトさん、お疲れ様です。・・・・やっぱりアキトさんでもブラックサレナ無しではチューリップ撃破は難しいですか?」
「まぁ・・・・・出来ないことは無いけど。ここで全力を見せるわけには行かないからね」
「アキトさん・・・・・それでも死ぬことが分かっている人を助けるためには全力を出されるのでしょう?
アキトさんは優しいから・・・・・」
「まあね・・・・俺の手が届く範囲の人を助けるためだったら、俺は容赦しない。俺はこの力を・・・俺の全てを使ってでも
守って見せる!!」
「アキトさん・・・・・・・(じ〜ん)」
「俺のこの手は血に染まっている・・・けど俺は、皆を助けたい。この気持ちは本当なんだ・・・・」
「アキトさん・・・・そこまで自分を責めないでください。あれはアキトさんのせいではありません・・・アキトさんは無実なんですよ・・・」
「・・・・・でも俺が殺したことに変わりは無いんだ。ルリちゃん、俺は疲れたからもう休むことにするよ・・・・」
そうして俺はコミュケを切った
(アキトさん・・・・なぜそこまで自分を責めるのですか・・・私ではあなたの支えにはなれないのですか?ラピスが羨ましいです
・・・・アキトさんとリンクが繋がっているし、(精神的に)支えになれることが出来るから・・・・・)
私はアキトさんを失ってからというものまるで生きる屍のようでした。もう二度とアキトさんを失いたくありません。
アキトさんが悲しむことや傷つくこともお断りです。でもアキトさんは・・・・自分を犠牲にしてまで相手を助ける人ですから
心配なんです。まぁ、私もそこに惚れたんですけど・・・・ちなみにガイさんは、あの食堂の一件で移動中にこけて他の人に
足を踏まれたらしく医務室で寝ています。そのおかげで、キノコ逃亡の際も格納庫にいませんでした。
その結果、ナデシコは一人も死傷者を出すことなく第四防衛ラインまで順調に上ってきました。
「敵機の接近を確認」
「デルフィニウム9機。直上から接近・・・あと十分で射程距離に入ります」
その時にブリッジにいる人物をオモイカネで確認しましたが、やはり副長の反応はありませんでした
「ルリちゃん、アキトのエステバリスの発進を!!」
「はい!解りました・・・・「あの?なんでヤマダさんがエステに乗っているんでしょう?」」
「「「「「「「「嘘!?」」」」」」」
俺は。敵機接近のコールが鳴り響いたときには既に格納庫に向かっていた。
「アキトさん!!敵機が接近中です。・・・その中にジュンさんもいます、説得してあげてください。
・・・・・・ちなみにガイさんがエステで出ようとしています」
俺はルリちゃんに言われて初めてジュンがいないことに気付いた。
やっぱりユリカの奴、ジュンを置いてきたのか?ジュンも報われない奴だなぁ・・・
ガイが出撃すると聞いて、俺は更にスピードを上げて格納庫に向かった
「ウリバタケさん!!俺のエステは準備出来てますか!?」
「ああ・・・出来てるぜ!!いつでも行けるぞ!!ただな・・・あの馬鹿が何の武器も持たずに出やがった。
すまないがそこのライフルを持って行ってやってくれないか?」
「ハハハ・・・・・・はぁ、またかガイ・・・・テンカワ・アキト、エステバリス・・・でるぞ!!!」
俺が戦場に出てくるとガイは9対1で苦戦していた。
「アキト〜〜助けてくれ〜〜足が〜〜・・・・」
まったく、そんなに足の骨折が痛いんなら出てくるなよな・・・
「助かったぜ、アキト。・・・博士!スペースガンガー重武装タイプを射出してくれ!」
「ほいほい、解った解った、何度も言うけど重武装タイプじゃなくてB1タイプな・・・・射出してやれ」
「今だ!ガンガー・クロス!!」
今にも合体しそうな物を敵が放って置く訳が無く、あっさりミサイルで打ち落とされました。
「くっそ〜〜!!こうなったらガイ・スーパーナッパー!!!」
ガイさんはそこから、敵の懐に飛び込み小規模のディストーション・フィールドを纏ったアッパーを相手にくりだし
その一つを倒しました。
そこでヒット&アウェイへ持ち込めばよかったんですが、そのまま動かなかったから
あっさり敵に捕まってしまい袋叩きになってしまいました
「しかたないな・・・ガイ援護するから逃げろ!!」
フラフラと、見るからに危なそうな状態で、ガイはナデシコに帰還していく
「ユリカ!! 今ならまだ間に合う!!ナデシコを地球に戻すんだ!!」
「・・・駄目なの!ジュン君。ここが、ナデシコが私の居場所なの。ミスマル家の長女でもなく、お父様の娘でもない・・・
私が、私らしくいられる場所はこのナデシコにしか無いの。」
「・・・そんなに・・・あの男がいいのか?・・・・解った、ユリカの決心が変わらないのなら!!!」
「解ってくれたの?ジュン君!!」
「あの機体をまず破壊する!!」
そしてフラフラとナデシコに向けて帰とうしていた、ガイ機とナデシコに向けて複数のミサイルが放たれた。
「(しかたない!!撃ち落す!!!)ウオオオォォォォォオオオオオオ!!!!」
ドドド!ドドドドン!ドン!
ドカァァァァンン!!!
「・・・ミ、ミサイル全弾消滅しました」
「・・・すごい腕前だな、アキト。」
「早く、ナデシコのディストーション・フィールドの中に入れ!
もうすぐミサイルが降って来るぞ!」
「お、おう!」
そこから、アキトさんは実力を隠すことなく披露し、あっという間にジュンさんのデルフィニウムだけになりました
「・・・テンカワ・アキト!!正直に言おう、僕はお前が憎い!!」
「お前の一体何が、ユリカを魅了したんだ!!特別な物など何も持っていないお前が!!」
「じゃあお前は何を持っていれば・・・ユリカに相応しい男だと思うんだ?」
「!! そんな事・・・僕が聞きたいくらいだ!!」
「・・・ジュン、お前はユリカの為だけに、ここまで来たのか?」
「違う!! それも理由の一つだけど・・・僕は正義の味方になりたかったんだ!!
だけどその正義の象徴だと思っていた連合宇宙軍も、決して正義だけの存在じゃなかった!!
そして、ここでナデシコを見逃せば、ユリカとナデシコには帰る場所が無くなるんだ!!」
「心配しなくても、ネルガル本社が上手く立ち回るさ。それよりも、ユリカをサポートする人材の方が不足しているんだがな。」
「・・・僕に、ユリカのサポートをしろと言うのか!!」
「ユリカは、どう思う?」
「ジュン君が居てくれたほうが、ユリカ心強いな♪」
「ユリカ〜〜〜」
「さあ、さっさとナデシコに入れ!!」
俺はデルフィニウムをナデシコに向けて蹴って押した
「第2防衛ラインからミサイルが接近中!数200です。」
「アキト!早く戻らないと危ないよ」
「俺は、外に残ってミサイルを撃ち落す!!」
「そんなの無理だよ!!ディストーション・フィールドを解除するから戻ってきてよ!!」
「・・・今ナデシコのディストーション・フィールドを解除すると、ナデシコが沈むぞ。
俺なら大丈夫だ、俺を信じてくれ!!」
「解った。私は信じる、だから必ず戻ってきてね」
「アキトさんなら楽勝かもしれませんが、無茶はしないで下さいね」
こちらは、ナデシコのディストーション・フィールドに接触したらアウト。ナデシコからのエネルギー供給フィールドから出れば、
何時か地球に落ちてアウト。勿論、ミサイルの直撃を貰えば即アウト、だ。
俺は久しぶりの緊張感に体が歓喜で震えていた
ミサイルをライフルで迎撃し、小規模のディストーション・フィールドを張った拳で、直接叩き落す。
そして、ミサイルの隙間と隙間を、縫う様に回避し続ける・・・
至近距離でのミサイルの爆発に、俺のエステバリスは木の葉の様に舞い踊り、そして
回避行動の際の急激なGに身体が軋む。だが、その苦痛ですらも今の俺には全てが懐かしい感覚だった。
あの、火星の後継者・・・いや、北辰への復讐に焦れた時のあの感覚・・・・
「第2防衛ライン突破しました・・・」
「ルリちゃん・・・アキトは?アキトは無事なの?」
「テンカワ機・・・テンカワ機、応答願います!!」
「駄目です!テンカワ機の応答がありません!!」」
「・・・艦長、残念ですが、あのミサイルとナデシコのディストーション・フィールドの板挟みです。
一流・・・いや連合軍のエースパイロットでも、生存は不可能ですよ。」
「・・・そんな、プロスさん。」
「僕が、僕が変な意地を張ったばっかりに!!」
「ジュン君・・・アキトはそんな事・・・」
「アキトさんが信じられないのですか、艦長?」
「ルリちゃん?」
「アキトさんは強い人です。約束を必ず守る人です、私はアキトさんを信じています。」
「・・・私も。私もアキトを信じてる!!それはルリちゃんにも負けないんだから!!」
「・・・それでこそ、艦長です。(それでこそ私のライバルです!!)」
『テンカワ機を発見!!』
「オモイカネ!! 何処?」
『ナデシコより更に上空にて発見』
「なんですと!!・・・信じられない人ですな。」
「・・・ナデシコを待ちきれずに、上空に逃げ出したって事?」
「そうですよ、ミナトさん。ナデシコのエネルギー供給フィールドを突破して、先にミサイルの包囲網から脱出されていたんです。」
「良かった・・・アキト。やっぱり約束を守ってくれたんだ!!」
俺はナデシコの上空でナデシコが追いつくのを眺めていた。エステに残されたエネルギーは、高度を保つだけで精一杯な状態だった
「アキトさん、ディストーション・フィールドを一瞬開放します。その時に帰艦してください」
「了解!テンカワ・アキト帰艦します。」
「テンカワ機の収容を確認!」
「ディストーション・フィールドの出力を最大に!全クルーは衝撃に備えてください」
「‘ビック・バリア‘に接触します!!」
その後は、前の通り‘ビック・バリア’を発生させていた核融合炉の爆発により地上がブラックアウトしました。その事以外何の問題も無く、
順調に行きました。これから何が起こるのでしょうか?何も変わりが無ければいいのですが・・・・・・・・
代理人の感想
あー、えーと、うーん・・・・そのだ、時ナデとどこが違うのか教えてくれ(爆)。