そう、それは確かな夢。
あるはずの無い、空虚な現実。
ダカラ コノヨハ ツギハギダラケノムジュンシタセカイ
――――世界は真っ暗だ。
希望も絶望もない、其処にあるのは徒『事実』だけ。
そこには終わりが満ちていて―――――― そして事実の数だけ絶望があった。
全てが灰燼と化していく・・・。
薄れ行く意識の中でおぼろげにそんな事を思った。
サヨウナラ サヨウナラ サヨウナラ
今時流行りそうも無いフレーズを咀嚼する。
嗚呼、どうしてこんな事になってしまったのか。
・・・今となっては最早どうでも良い事だが。
恐らくこれで秋葉は元に戻ってくれるだろう。
―――――残念なのは、その時にアイツのそばに居てやれないことだ。
アイツの事だ。さぞかし、俺が死んだあとは、恨み言を吐きつづけるだろう。 『何で、殺してくれなかったんですか』とか、そんな言葉が今にも聞こえてきそうで怖い。
・・・・・・・・・・・・・どうやら、お迎えがきたようだ。
何時の間にか、かけなおしていた眼鏡が『パリン』と小気味良い音を立てて割れてしまった。
きっと、死を目前にして『眼』のチカラが強くなってきているんだろう。
――――――――――――――それとも、この『死』は俺の理解の範疇を超えているのだろうか・・・。
――――――思わず苦笑してしまう。 さっきから死ぬ死ぬ言っている割には、えらく冷静な自分が居る。
そう。 俺は、生まれて2度目の死を快く受け入れる事ができるに違いない。
そう思いながら、俺という思考はこの世から退場していった。