目の前には、一輪の花。
背負う、十字架。耐え切れずに、沈む紅い…花。
何を想い、何を賭け、…何のために無為な時を重ね、繰り返すのか――――――。
されど、咎人は何も語らず臥し消え往くのみ…。
…何故だ?
どうして、こんなことになってしまったんだ?
いくら後悔しても仕方がない…。
今、俺はここに居るんだから――――――――。
タチの悪い夢だと思いたかった…。
まぶしい太陽だけが、目に懐かしい。
それは、暑い暑い、夏の物語。
幻影は漣の中に 第三話
written by sotie=rass
2005年3月6日
「…仕事、ですか?」
ホテルの一室。
朝焼けに目を細めながら、突然のことに対処しようと努力する。
いや、先生。
急にそんなこと言われてもですね。
出立は今すぐですかそうですか。
大体、こっちだってさっきまで変な夢見てうなされて…ってあれ?
―――――――俺、どんな夢を見てたんだっけ?
「別に急ぐわけじゃないんだけどね。
次の仕事は、少々梃子摺りそうだから。」
…。
聞き間違いじゃないよな・・・?
頬をつねってみる。
・・・柔らかいけど、痛い。
成る程。
「先生。」
「何?金なら貸さないわよ」
「ちょっと街まで、買い物「却下。」」
「いや、しかし「何時までも彼女を待たす訳にはいかないのよ。どうしてもって言うなら、私も一緒についていく。」・・・。」
くそっ・・・。
まさか、見抜かれてるのか?
なら、ここは・・・。
足首に体重をかけ、すぐさまに飛び出すっ!
即ち、強行突破あるのみっ!
すいません、先生!
俺はまだ死にたくないっ!
「逃げ切れるとでも・・・思ってた?」
「ごめんなさい。」
秒殺だった。
2002年4月1日AM8:25
「ま、ぶっちゃけた話仕事ってのは嘘なんだけど。」
「いや、連れて来てから言わないでくださいよ。そう云う事は。」
まだ僅かに寒さの残る、この季節。
4月の雛見沢村は、バスを降りた俺たちを快く…かどうかわからないが、迎えてくれた。
「実は、ここに住んでいる婆さんが知り合いでね。園崎って言うんだけど。」
「園崎…ですか。」
「そう。地元の名家なんだけどね?
多分驚くと思うわよ?何せ、会うのは8年ぶりだから。」
「へぇ…。」
要するにあれだ。
仕事云々は真っ赤な嘘で、本当は知り合いの婆さんに会いに来たって事か。 そうだと知ってりゃ絶対に来なかったのに。
「何?随分と気が乗らないみたいね。」
「いえ、ただ単に、何やっても所詮、先生には勝てない自分が嫌になっているだけですから、お構いなく。」「そんなこと言うけど…。じゃあ貴方、爪楊枝だけで20万の軍隊と戦って、勝てる?」
…熟考の必要もない。
そりゃ、まず無理だ。というか、無理に決まってる。「今の貴方が私に挑むってのは、それと同じくらいに無茶だってこと。分かった?」
「…。」
「全く…上昇志向も良いけど…、まあ確かに今のままでは使える魔術が少なすぎるわね…。まあ、知り合いの爺の弟子の方にそういう『窮めた』やつもいるらしいけど。」「良いじゃないですか。俺はもともと、肉体労働派なんですから。強化が使えるだけでも、まだいいかと。」
瞬間、先生の歩みが止まった。
「志貴…、ごめんなさいね?どうも最近、自分の耳が信用できなくなってきてね…よかったらもう一度言ってくれない?何か今、すんごく甘えた泣き言が聞こえたような…。」
うわ、なんか紅い髪だからかな、どこぞの鬼妹とダブって見えますよ?こんちくしょう。
「な、何も言ってないです!これからも、より修行に精進させていただくです、はい!!」
「よろしい。」
た、助かった…。
「じゃ、明日からの修行は3倍増しってことで。」
…やるんですかい、修行。
しかも何か、結局デッドは避けられない雰囲気満載で、手招きする運命と、猫っぽい何かに、教師なカレー。
オウ、ゴッド。俺、なんかしました?
つか、今すぐ降りてきてくれ、マジで。
今なら、あんたの点ですら見えるような気がするぞ。
…
…
『―――――――――やれるものならな(ニヤリ)』
…
…
…疲れてるんだな。きっと。
この年で幻聴まで聞こえるようになったか。
だから…頼むから何か先祖っぽい人向こう岸で手を振らないで何で船頭がお前なんだよ四季、金なんか持っているわけないだろああ…渡れないならそれはそれで…ん?上司に叱られる?知ったことか…って待てコラ。
「――――志貴?」
はっ!?俺は今何を?
「しっかりなさい。今回の仕事は、失敗は許されないから。」
いや、今までもそうだったような。
―――しかし、遠い。
さっきから、彼是もう20分は歩き通しな気がする。
「先生…まだですか?」
「五月蝿いわね…あ、後もうちょっとよ。」
…その言葉、何度聞いたことか。
大方、暫く振りに来たから、変わってしまった町並みに適応できていないのだろう。
これも修行の一環だと思って、憂鬱になりがちな心を静めることだけが、俺に出来る数少ないことだった。
アスファルトの道を再び抜け、辺りが開けてきた。
「うわ…。」
なんて言うか、凄い。
懐かしいとさえ思える其の風景は、あの洋館とは違った威圧感を醸し出していた。
「着いたわよ。」
「ここが…。」
「そう。ここが『園崎』の家よ。」
この時、俺は知らなかった。
この村で毎年の如く起きる怪事件…。
それに、俺が巻き込まれる事になろうとは…。
episode 03 end
To Be continued…
後書き
やめてっ!石を投げないでっ!!
…いや、まぢで。
すいません!本編に入るつもりが、こんな詰まらん話で終わってしまいました。
今回は幕間的なものに終わってしまい
本当に申し訳ない!!
次回はもっとましになるように努力します…。
代理人の感想
ううっ、こっちはこっちで目が疲れる。HTMLの半分は優しさでできています。うそです。
それはともかく只でさえドライアイで目が痛みがちなこの季節、もっといたわりを持っても良いのではないかと!
まぁ、夏でも目は疲れますけどね、この配色。
ピンポイントで強調に使うならいいんですが、最初から最後まで蛍光緑ってのはちょっとねぇ(苦笑)。