魔法少女リリカルなのは
<動物病院>
ナノハ達は公園で倒れていたフェレットを近くの動物病院に連れていき待合室で待機していた。
時間がたち奥のほうから気のよさそうな若い女医師が姿を現す。
「怪我じたいはそんなにひどくないけど、ずいぶん衰弱しているみたいね。たぶん長いこと一人ぼっちだったのかな」
「院長先生ありがとうございます」
「「ありがとうございます」」
「どういたしまして」
「とりあえず一通りの検査は終わったし、面会してもいいわよ」
女医師は奥の部屋へと歩いていき、ナノハ達はその後ろについて歩き出す。
診療室の部屋についたナノハ達は机の上でグッタリしているフェレットに近づく。
「先生これってフェレットですよね?」
「フェレットなのかな〜?それにこの首にぶらさげている赤い宝石は何なのかしら?」
女医師は少し違った生き物だと理解はしているが、だとすると何なのか答えられず返答を曖昧にする。
そのことも気にはしたのだが動物が宝石など持っている方がより不思議で女医師は宝石に触れようとする。
「うわ〜起きた」
フェレットは周りで騒ぐ声に反応したのかゆっくりとその体を起こす。そして周りに人がいると気づくとその首を動かし周りを見渡す。
その行動は何かを探しているようにみえ、唐突にある一点だけを見つめ続けた。
「ナノハ見られているわよ」
「うっうん」
ナノハは見つめられ続けるのに戸惑い指をフェレットのほうに近づけた。フェレットはナノハの戸惑いを感じ取ったのか指を舐める。
そして疲れてしまったのか指を舐めた後はまた眠りに入ってしまった。
「まだ、体力が回復してみたいね。一晩病院で預かっておくからまた明日来てもらえる?」
「はい、分かりました。また明日伺わせてもらいます」
「ナノハちゃん スズカちゃんもう塾の時間だし行こうか」
「うっうん」
<塾>
「であるからにして・・・・」
いつまでも動物病院にいるわけにもいかなかったためナノハ達はとりあえず塾にきた。だが傷ついたフェレットが頭から離れずルーズリーフによる
文字会話を始める。
〔あのフェレットどうしよう byナノハ〕
左のアリサにルーズリーフを回す。
〔うちには庭とか部屋に犬がいるしな〜 byアリサ〕
文字を書き込むと次はスズカの方にルーズリーフが回る。
〔うちにも猫がいるから・・・ byスズカ〕
振り出しに戻りナノハの元にルーズリーフは返ってくる。
(う〜ん、うちも食べ物商売だから基本的にはペット禁止なんだけど、どうしよ・・・・う〜ん)
ナノハは現在いる場所が塾という事を忘れ考えに没頭していた。
「ではここの問題を、27番高町さん解いてください」
「えっ、えっ」
「47ページの問(3)よ」
慌てるナノハに問題番号を教えるスズカ
「え〜と、え〜と」
カリカリカリカリカリ
急いで鉛筆を走らせ問題に取り掛かるナノハ。
さいわい算数は得意なほうですぐに答えを導き出す
「42分の5です」
「正解です。今の問題は約分を忘れ答えの途中で終わらせてしまう人も多いんですが・・・・・」
とりあえず解答できた事にホッとするナノハ。そんなナノハに友達二人はねぎらいの言葉を静かに送る。
「やる〜」
「ナイス」
ナノハは席に着くと再び鉛筆を走らせる。
〔とりあえず帰ってお父さんや、お母さんに相談してみる〕
<高町家>
「そういうわけで、そのフェレットさんを家で飼えないかな〜」
家族揃っての夕食の時間にナノハは父 シロウにフェレットを飼う許可をもらおうとしていた。
「う〜んフェレットか・・・・。」
「駄目かな?」
シロウの反応は良くない。ナノハはシロウに対して懇願の目線を送り状況の打破を狙う。
高町家は飲食店経営のため基本的に動物などは衛生上飼うのは不可能だ。そのため正攻法ではこの問題には勝つ事ができない。
「ところでフェレットって何だ?」
ところがナノハが飼育権確保のための努力を行っている間。
シロウは飼う飼わないの問題ではなく、フェレットが何なのかで悩んでいた。
「フェレットっていうのはイタチの仲間だよ父さん」
「そうそう、だいぶ前からペットとして人気の動物なんだよね」
会話が成り立っていなかった二人を見かねて兄と姉はナノハに助け舟を出すためシロウに対してフェレット講座を開く。
「フェレットって小さい動物なのよね」
「うん、ナノハの肩とかにのせたりできるくらいだよ。」
ナノハは身振り手振りでフェレットの大きさを熱心に表現しいかに飼育しやすいかを熱心に説く。
そんなナノハの情熱が伝わったのか母は
「そうね、ちゃんと檻にいれてナノハがきっちと世話をするというのでしたら飼ってもいいわよ」
「本当!!お母さん」
「ええ」
夕食も終えお風呂も上がったナノハは携帯でアリサとスズカに報告を行っていた。
[フェレットを家で飼うことが出来るようになりました(*^^)v また明日フェレットのお見舞いにいこうね byなのは]
「送信っと」
メールを送り終わったナノハは携帯のアラーム機能をONにし床に横になる。
時刻はいまだ夜中の10時を指し人によってはここからが本領の発揮という夜行型人間も存在するが、
小学三年生のナノハにとっては十分睡眠の時間でありベットで睡眠を取ろうとした。
キイイイイイイイイイイン
だが、そんなナノハの耳に金属の落ちたような音が聞こえた。
不思議におもいベットの中から何か落ちたか確認するが、該当するようなものは見つけることができない。
ただ、寝ぼけただけかと思い再びの眠りにつこうとしたとき第二の金属音がした。
キイイイイイイン
今度はさっきより大きく。そしてより繊細に聞こえた。
今度ばかりは無視できるような音量でなかったためベッドの中から部屋に移り辺りを見回す。
キイイイイイイイイイイイイン
そして、三度目の金属音は声に変化しナノハに話かけてきた。
[聞こえますか?僕の声が聞こえますか?]
電話を使ったわけでもなければ家のすぐ近くにいるわけでもない。だが、その声はしっかりとナノハに伝わってきた。
[僕の声が聞こえるあなた、お願いです僕に力を貸してください。危険が・・・]
声は切羽詰まっていた。まるで何かに追われてるように、まるで時間がもう無いように。
だが、いきなり「力を貸して」や「危険」など言われても意味が分からない。ただ一つだけ分かった事はこの声が夢に出てきた少年の声にとても似ている事だけだった。
どこに行って何をすればいいのか分からないナノハだが、この声の発信者はきっと動物病院にいるのではないかと思う。
普通ならこんな変な出来事、気の迷いなどと無視してもよいのだが、ナノハは妙なリアリティを感じパジャマから私服姿に着替え夜の街に静かに駆け出した。
<動物病院>
「ハアハア、とりあえず走ってきたんだけど」
不思議な声に呼びかけに応じたナノハは高町家から病院までは近いとは言えない距離を走ってきた。
体は若干ながら疲れ、息ずかいも通常より少し速い。
そのため、疲れた体を休める意味で病院の門柱に体をあずけ休めようとした瞬間。
「グオオオオオオオオオオオオ」
「えっ!?何この声?」
犬とは違った低い獰猛なうめき声にナノハは後ずさる。
奇怪な声に対して病院に入るべきか入らざるべきかを悩むナノハの視界の端に何かが写った。
反射的に中庭に振り向いたナノハの視界に病院の窓から飛び出すフェレット写り、その後ろから力任せに壁を破壊しフェレットに襲い掛かろうとする化け物が見える。
「あっ。夕方のフェレット」
化け物は病院から出るとすぐ、樹に登り逃亡しようとするフェレットに向かって体当たりを行う。
フェレットは危機が迫ると気づくや樹を三角蹴りの要領で踏み台にし距離を置く。
化け物は目標を失い樹に激突、衝撃に耐えることができなかった樹は無残にも粉砕されてしまう。
フェレットは化け物の体当たりは避けることが出来たものの、その軽い体は破壊による衝撃に揺さぶられバランスを崩してしまった。
ナノハはフェレットが地面に激突してしまうのを察知し着地地転にその体を滑り込ませる。
「なになに?いったい何なの?」
ナノハは反射的にフェレットを受け止める。だが、不思議な声に始まり、化け物出現と普通ならざる展開にナノハは次の行動が取れないでいた。
「来てくれたの?」
「ええ!?フェレットが喋った?」
「グオオオオオオオオオオオ」
「とりあえず、ここにいちゃ駄目だ。もっと広いところに移動しよう」
「うっ、うん。」
状況にまったく着いていけないナノハだが、このままこの場にいても危ないということは理解する。
門柱を出て道路へ移動。夜は人どうりも無いため道路の真ん中を緊迫しながら走る。
走りながらもナノハは現状理解のために胸に抱え込んだファレットに答えを求める。
「いったい、何がなんだか分かんないよ。何がどうなってるの?」
「君には資質がある。僕に少しだけ力をかして」
胸に抱きかかえたフェレットに今の状況の説明を聞くも、意味深な答えで返された。
「資質?」
「そう資質です。僕はある探し物のためにここではないから世界から着ました。でも、僕一人の力では想いを遂げれないかもしれない。だから、迷惑ではあると分かっているのですが、資質を持った人に協力してもらいたいんです。」
フェレットはナノハの胸から飛び降りると体の大きさの差から顔を頭上にあげ、協力を要請する。
「お礼はします。必ずします。だから僕に魔法の力をかしてください。」
「いきなり魔法っていわれても」
話の展開についていけず戸惑ってしまうナノハ。
だが、化け物はそんな事は関係なく生じた隙を使い頭上からその巨体で踏み潰しにかかる。
「グオオオオオオオオオオオオ」
「きゃああ」
ナノハは直感的に自分に危険が迫っていると悟ると、フェレットをかかえ体を横っ飛びに跳躍し電柱の影に身を隠す。
「お礼は必ずしますから力をかしてください」
「お礼とかそんな場合じゃないよ」
状況は未だに分からない。しかしこのまま長引けばいずれ追いつかれるのは明白。跳躍してきた化け物が自分達を探してるのを見たナノハは決断するしかなかった。
「どうすればいいの?」
「これを」
フェレットは自身の首から提げていた赤い宝石をナノハに手渡す。
「暖かい」
それは不思議な暖かさを持つ宝石だった。温度が暖かいわけではない。だが体の中に熱が流れこんでくる不思議な暖かさがあった。
「僕の後に続いて呪文をとなえて」
「うっうん。」
「我、使命を受けし者なり」
フェレットの呪文に続いてナノハも同じ言葉を発する。
「我、使命を受けし者なり」
「契約の元その力をときはなて」
ナノハの中の鍵が回る。ナノハの中の歯車が回り始だす。
「契約の元その力をときはなて」
「風は空に星は天に」
体の中に別の息吹を感じる。体の中を血流とは別の何かが駆け巡る。
「風は空に星は天に」
「「そして不屈の心はこの胸に」」
「「この手に魔法を」」
「レイジングハートセットアップ」
キイイイイン
始動呪文をインプットされた宝石は術者の魔力を媒介に強烈な赤い閃光を発する。
「凄い魔力だ。」
その光は文字どうり閃光だった。赤い強烈な閃光がナノハを中心に上空まで駆け上っていく。
その魔力開放量はナノハに資質を感じその力に頼ったフェレットでさえ驚かせる強烈なものだった。
「こっこの後はどうすればいいの?」
「おちついて、そしてイメージして。君の魔法を制御する魔法の杖の姿を君の身を護る強い衣服の姿を。」
「そんなこと言われても・・・ええい!!とりあえずこれで」
ナノハの体が光に包まれ、赤い宝石はその身を変化させる。
宝石ほどの大きさだった石は水晶玉まで大きさを膨らますと、赤い宝玉の周りを金色の装飾で施される。
そして金色の装飾からは白い棒が一本突き出しナノハの魔法の杖と変化。
また、ナノハのほうはその身に纏う衣服に変化がおとずれていた。今まで来ていた服は分解し何も無い空間から学校の白い制服に似た衣服が現れる。
その白い防御服はナノハの純粋な心を表すようにどこまでも白く鮮やかな色だった。
「成功だ。」
「えっ?えっ?なんなのこれ?どうして服が変わっているの?」
「グオオオオオオオオオオオ」
初めての起動とは思えないレベルの変身に高揚するフェレット。
ナノハはいきなりの自分の服が変わったり杖が出てきたことに慌てる。
化け物は今まで楽に狩れると考えていた相手の変化に対して本能的に敵と認識すると戦闘状態をとる。
「えええええええええ!?」
こうして、高町ナノハの初めての魔法は当人の状態など無視して開始されたのだった。
感想
二回目を書いてみて自分のボキャブラリーのなさに落胆。もっと上手な表現、もっと個性のある表現を追及していきたいです
代理人の感想
指摘は大方前回と同じなので省略。
>「グオオオオオオオオオオオ」
変身のところでこういう雄叫びが入っているとついつい変態仮面を連想しますなー(核爆)>フォォォォォ!
それはさておき、こういうのもどっちかと言うと地の文で対応して、セリフとして遣うのは少なめにしたほうが効果的です。