<路上>
「きます」
化け物は上空に飛翔。空中からその質量でナノハを押しつぶしにかかる。
「protection」
一瞬にしてナノハの頭上に光の幕が展開。
降下してきた化け物が光に触れた瞬間、まるで何かに殴られたかのように吹っ飛ばされた。
「ふっとばしちゃった・・・。これからどうすればいいの?」
「アレを封印するには杖で封印するしかありません。」
「杖で封印?」
「より大きな魔法で封印するんです。心の中に呪文を浮かべて。」
ナノハがもつ杖はインテリジェントデバイスというシステムが組み込まれている。
現代で言うところの簡易式人工知能搭載型だ。
そのため、初歩的な魔法においては想うだけで魔法が自動展開。先ほどはナノハの防衛本能にしたがって防御魔法が展開された。
ただ、より高度な魔法になると話は別である。
高度な魔法には呪文が必要になり、その詠唱が長くなればなるほど威力も比例して強力になる。
化け物の核となっている物質は強力なモノであり呪文詠唱無しでは抑えられるレベルではなかった。
「おちついて。そして心の中に意識を沈めて」
「うっうん。」
ナノハは、肩を落とし。息を整え。全身の力を抜く。
自然体の状態から意識を心に沈める。
「リリカルマジカル 封印すべきは忌まわしき器ジュエルシード シリアル21封印」
ナノハは呪文を詠唱。レイジングハートから光のリボンが出現する。
リボンは杖を起点に化け物を取り囲む。締め付ける、というよりかは優しく包むように、化け物の姿が光の幕に覆われていく。
「これがジュエルシードです。レイジングハートで触れてみてください」
光が収まった地点に蒼い宝石が落ちている。
どこまでも深く。そして吸い込まれそうな色だ。
「これで終わったの?」
「はい、あなたのおかげです。ありがとう」
フェレットはその身を折り曲げ、礼をする。
そこまでが限界だったのか。それを最後に気を失ってしまった。
「ちょっと。」
夜の静かな町にサイレンの音が響く。ナノハ達の騒ぎに反応したのだろう。
「こっこの状況は非常にまずいのではないでしょうか・・・・」
道路は無残にも掘り下げられ。電柱はその半ばほどから折り曲げられている。
化け物との戦闘の結果だが、そんなこと警察に話しても、信じてもらえるはずがない。
「とっとりあえず、ごめんなさ〜〜い。」
ナノハは化け物に続き、今度は警察から逃げる羽目になった。
<公園>
「怪我大丈夫?」
「はい、このとうり大丈夫です。」
フェレットは自身にまかれた包帯をほどき傷のあった場所をみせる。
「本当だ怪我の跡がほとんどのこってないね」
包帯の下には傷といえる傷は見当たらない。
病院で保護されている間にユーノ自身が治癒魔法で怪我の回復をはかったからだ。
「ねえ、自己紹介していい?私の名前は高町ナノハ。小学校三年生。友達とか家族はナノハって呼ぶんだ」
「僕の名前はユーノ・スクライア。スクライアが部族名だからユーノが名前です。」
名前を言い終えるとユーノは
「スイマセン。ナノハさんを巻き込んでしまいました。」
ユーノとしては一人で事件を解決したかった。
人の助けを拒むといわけではないが、自分の不始末は自分でつけたい。
しかし、思いどうりに事は運べなかった。魔法を知らないナノハをまきこみ。ナノハに頼り切り。自分はほとんど何もできなかった。
ナノハに頼り切って迷惑をかけた事がユーノを落ち込ませる。
「あ、その。たぶん私は平気だよ。」
ユーノの落ち込みように一瞬言葉につまったナノハだが、すぐに柔らかい笑顔で言葉を紡ぐ。
ナノハとしてはユーノが困っていたから助けた。たったそれだけの事で、巻き込まれたなんて気持ちはこれっぽちもなかった。
だから笑顔でユーノに応える。
ユーノがナノハに対して負い目をもたないように。ユーノに元気になってもらうために。
「とりあえずユーノ君まだ疲れてると思うし、ここじゃ落ち着かないから私の家にいきましょ。後の事はそれから。」
<高町家>
「お帰り。こんな時間にどこにお出かけだ?」
家の扉を開ける寸前、恭也に声をかけられる。
妹の帰りが遅い事を気にして家の前でまっていたからだ。
「あの、その、えっとえっと」
恭也は厳しい顔つきでナノハを睨む。恭也は怒っていた。
ナノハが無断で夜中に出かけていったからだ。みんなに心配かけさせたことを怒っている。
ナノハもみんなが自分を大切に思っているからこそ怒っていることを理解している。だけど本当の事を話すわけにもいかず返答に窮する。
「あら可愛い〜」
「あっ、お姉ちゃん。」
「なんか元気ないみたいね〜ナノハはこの子が心配で出かけたんだ。」
後ろから美由紀が現れる。恭也と同じくナノハが心配で家の前で待っていたからだ。
「気持ちは分からんでもないが、だからといって内緒でというのはいただけない」
ナノハの外出の理由は判明したが、恭也は追求の手を休めない。
「まあまあ、いいじゃない無事帰ってきたし。ナノハはいい子だからもう二度とこんことしないよね」
応えに窮していたナノハに助け舟をだす。話せないのなら無理に聞き出す気は無い。
ナノハを信頼しているから。話す事はできなくても悪い事はしてないと信じているから。
「お兄ちゃん。内緒で出かけて、心配かけて、ごめんなさい」
ナノハが素直に謝った。
「はい解決。しかし可愛い動物ね。母さんなんて悶絶しちゃうんじゃないの?」
美由紀が雰囲気の入れ替えのため、話題をフェレットにそらす。
「その可能性は否定できんな。」
恭也も美由紀の話題にかぶせる。
話題転換のために軽い気分で出た話題だが、この後の高町家の状態を的確に見抜いていた。
<翌朝 高町家>
「ふあああ」
携帯のアラーム音で起床。登校の身支度を終わらせる。
「おはようユーノくん」
「おはよう」
バスケットにタオルを引いた簡易ベットからユーノも身をおこす。
「とりあえず昨日はご苦労様。」
「あはは」
昨日、家に入って桃子にユーノ(フェレット)を紹介すると大変な事になった。
恭也と美由紀の予想どうり桃子はユーノをひどく気にいった。
ほお擦り。抱きしめ。芸をさせるなど考え付く限りのスキンシップを行い。
その後もユーノの御飯の話や寝起きの場所などを話し合い。
家は一種のお祭り状態になってしまった。
「じゃあ、ゴメン。学校あるから話は後で。」
ナノハは登校のために部屋をでようとする。
機会が無く、昨日から自己紹介ぐらいしかできなかったが、学校をさぼるわけにもいかない。
[大丈夫、離れていても話ができるよ。]
ユーノの口は動いていないのに声が聞こえた。
昨夜、ナノハを呼び出すときに使った念話だ。
「これってどうやって使うの?」
[レイジングハートを使って、心で僕に話しかけてみて]
机の中からレイジングハート取り出す。
胸に当て、心を落ち着かせる。
「えーと [こう?] 」
[そう、簡単でしょ。空いてる時間に色々話すよ。]
未だ話しきれていない魔法の事、ジュエルシードの事。
自身を信頼してくれたナノハに応えるため。
ユーノは全てを話す事にした。
感想
隆慶一郎さんの吉原御免状を読みました。
丸の使いかた。文のリズムとか凄いと思わされました。
とりあえず前回の指摘を踏まえつつ、隆慶一郎さんの技法を真似る形で頑張ってみました。
また、悪いところなどありましたらご指摘お願いします。
代理人の感想
うむ、正直まだまだではありますがはっきりと努力の跡が分かります。
この調子で頑張ってください。
ただ、前回は言うのを忘れていましたが、セリフと地の文は一行離した方が読みやすいです。
テキストファイルをHTMLに落とし込む場合、この感想のように自動的に行間が空いたりはしないのでそこらへんは手作業でお願いします。
後やっぱり名前がカタカナなのは違和感があるなぁ。何か意図があってのことでしょうか?
誤字の各個撃破
>このとうり
>思いどうりに
「とうり」「どうり」じゃなくて「とおり」「どおり」ですね。
「どうり」は「道理」、「とおり(どおり)」は「通り」です。
>話題転換のために軽い気分で出た話題だが、
「出た」じゃなくて「出した」ですね。話題が自分ひとりで出ることはありえず誰かが出さないと出ないわけで、そうすると「出た」というのは不適切です。
後、「抑えれれる」「インテリジャントデバイス」など単純なうち間違いも結構多く見られました。
書いた後には2〜3回読み返してみることをお勧めします。