「うんッ、うまいッ! 揚げ立ての天プラはうまいッ!!」

 

「このゼンマイの煮物、ちょうどいい味加減ね、しのぶちゃん」

 

「さすがしのぶ、うまいで−」

 

「・・・うむ、これぞ春の恵みだな・・・」

 

「しのむしのむ、茶碗蒸しおかわりや−」

 

「・・・結構おいしいじゃん、コレ」

 

「うふふっ、お酒が進みますねぇ」

 

「あ、ありがとうございます・・・(照れ)」

 

 口々に自分を褒める景太郎達の声に、しのぶは顔を真っ赤にして照れていた。

しかし、それは本当のことである。現に、ひなた荘の食卓にはワラビのおひたしにゼンマイの煮物、

タラノメの天プラ、そしてタケノコ入りの茶碗蒸しである。 目茶苦茶御馳走だ。

 

 ・・・まあ、すぐそばにあるデザ−トのドリアンは誰も食べようとしないが。

というか、食事中にそんなモンがあったら、メシ食えなくなると思う。

・・・犬のカリントウ、だもんなぁ(苦笑)。

 

「あの、センパイ? さっきから茶碗蒸しに手をつけてませんけど、どうしたんですか? もしかして、茶碗蒸しが嫌いとか・・・」

 

 そんな中、景太郎が茶碗蒸しに手をつけていない事に気付いたしのぶは、心配そうに尋ねる。

 

「いや、そんな事はないんだけど・・・。 俺さ、タケノコ食べてジンマシン出した事があるんだよ。

 だからしのぶちゃん、タケノコを避けて食べるけどいいかな?」

 

「そ、そうだったんですか・・・。 それじゃ仕方ありませんね・・・」

 

本当に済まなそうに謝る景太郎。食べたくとも、体が受け付けないのである。 こればっかりは、どうしようもない。

 

「ヘェ−、景太郎はタケノコ食べれないんだ。 残念ねェ、こんなにおいしいのに・・・」

 

「ウチが食ったるで−景太郎−!!」

 

と、なるがからかう様に言えば、スゥは景太郎が食べようとしていた茶碗蒸しを

横からかっさらって食べていたりする。

 

「ああ−ッ、あとでゆっくり食べようと残しておいた茶碗蒸しだったのに・・・」

 

「今度タケノコ抜きで作りますよ、センパイ」

 

 スゥに奪われたのがとてもショックだったらしく、残念そうな顔でしょぼくれている景太郎を、慰めるしのぶ。

とまあ、こんな感じでひなた荘の楽しい夕食の時間は流れていったのだ・・・。

 

 

「うまかったな−、タラノメの天プラ・・・」

 

「みゅうッ!」

 

ここは景太郎の部屋、俗に言う管理人室である。

考古学関連の書籍を読みながらの景太郎の独り言に、傍らにいたタマが元気な鳴き声で答える。

天プラまで食うのか、このカメは・・・随分とまあ、ハイテク(違)なカメである。

 

 そこまでは、普通だった。 ・・・次の、ノックさえ無ければ。

 

 コンコンッ・・・

 

「は−い、どうぞ−・・・って成瀬川か、どうしたの?」

 

「・・・景太郎・・・」

 

 景太郎の言う事を無視し、景太郎の名前を呟きつつ景太郎の元に歩いてくるなる。

顔は微かに火照っており、目は微かに潤んでいる。 そう、それはまるで・・・。

 

「・・・カゼでも引いたの、成瀬川? 季節の変わり目は風邪引きやすいから、気をつけろって何時も言ってたのに・・・」

 

と、少女マンガとかで朴念仁や鈍感なヤツがよくやるボケをかましてくれる景太郎。

・・・鈍い、なんて鈍すぎるんだ、景太郎。 そんな事だから、キング・オブ・鈍感なんて言われるんだぞ。

 

「・・・景太郎ッ!!」

 

 ガバッ!!

 

「な、成瀬川!? い、一体どうし・・・」

 

 いきなり抱きついてきたなるに、声が上擦ってしまう景太郎。

景太郎の心臓が、これでもかってくらいに某高○名人16連打並みの速度でビ−トを刻んでいる。

・・・一部の年代の人しかわからないネタですみません(笑)。

 

 考えてみてほしい、いままで女性と付き合ってきたことがない景太郎が女性、

しかも自分の想い人に抱きつかれてしまったら、こうなってしまうはずだ。

 

「景太郎・・・」

 

 景太郎を見つめ、ゆっくりと目を閉じるなる。

そう、それは女の子がある行為を待ち望んでいる(たぶん)構えだ。

それを見て、「どうしたの成瀬川、目にゴミでも入ったの?」

というボケをかます程、景太郎もさすがに鈍感ではなかった(爆)。

 

「な、成瀬川・・・」

 

 覚悟を決め、なるの顎に手を掛けてキスをしようとする景太郎。

 

 ・・・二人の顔がだんだん近づいていく。 あと、十センチ、五センチ、一センチ・・・・・・。

 

が、物事がそんなにスイスイと上手くいくはずがないというのが、世の中というもので・・・(溜息)。

 

 ガララッ!

 

「「!?」」

 

「ふふふ・・・抜け駆けとは許せませんね、なるさん。 いえ・・・敢えてここはなっちゃんと言うべきでしょうか・・・」

 

 襖をもの凄い勢いで開けたのは、景太郎の幼馴染みである乙姫むつみさんである。

その鉄面皮な顔には、異様に、そして無駄に爽やかな笑顔を浮かべているが、

こめかみの辺りには、今にも血管ブッちぎれそうな勢いでハッキリと青筋が浮かんでいる(汗)。

 

 ・・・人は本当に怒った時は笑うというが、まさにこれがそうだと景太郎は思った。

 

「む、むつみさんッ!?(滝汗) こ、これはですねッ!!?(超滝汗)」

 

 慌ててむつみに事を弁解する景太郎。 彼は今まさに、

 

 

 

 

 

 

 

 

浮気現場を乗り込んできた妻に取り押さえられた夫の心境

 

 

 

 

 

 

 

 

、これでもかッ!っていうほど身をもって味わっているのだ。

別に、疚しい事はしていないんだから、そんなに焦る必要はないと思うんだが・・・。

 

「・・・むつみさん・・・いえ、む−ちゃん・・・。

 私は景太郎の・・・け−くんの〔約束の女の子〕なんだから、

 抱きつこうが、キスしようが構わないと思うけど?(怒)」

 

 これに対し、なるは完璧に開き直っている。

景太郎の右腕に腕を回し、挑発的にむつみの事を睨んでいる。

これも、不倫相手がよくやる手だ。

 

「・・・それとこれとは話が別なんですよ、なるさん(怒)。 あなたにけ−くんは渡さない・・・」

 

 ガシッ!!

 

 景太郎の左腕に手を回し、景太郎に抱きつくむつみ。 な、なんてうらやましい・・・。

 

〔ふ、二人の胸が腕に当たって・・・(にへらぁ)〕

 

「ねえ景太郎、こんなオオボケ病弱マイペ−スなむつみさんより、

 頭脳明晰かわいい私の方がいいわよね?」

 

「う、うん・・・(汗)」

 

「浦島くん、こんな焼き餅焼き嫉妬深くて、おまけに暴力的ななるさんより、

ナイスバディで、弥勒菩薩のように優しくて、

全国おっとりお姉さん代表の私の方が断然いいですよね?」

 

「そ、そうですね・・・(大汗)」

 

 バチッ! バチバチバチバチッ!!

 

「「どっち?」」 ←思いきりドスがきいた声(汗)

 

「え、えっと・・・(ガ、ガンパレ−ド・マ−チの争奪戦やってるみたいだ・・・(大汗))」

 

凄まじい眼光で睨み合うなる&むつみの幼馴染みズ。 景太郎は、最近ハマっている名作PSソフト、

〔ガンパレ−ド・マ−チ〕の主人公である速水厚志の気苦労(爆)が、今わかったような気がした。

・・・まあ、自分が体験するハメになるとは、思いもしなかったが(苦笑)。

 

 ・・・仮になるを芝村舞嬢とすれば、むつみは原素子嬢だと私的に思う(笑)。

むつみさん、笑ったまま後ろからドスッとナイフでやりそうだもんなぁ(爆笑)。

 

「ふふふ・・・け−くん、私嫉妬深いから、裏切らないでね・・・(ニヤリ)」

 

  • ・・・(汗)。 ついでに言えば、景太郎はなんか香ばしい香りとともに焦げていたりする
  • 本当に生きているのか、景太郎は?(滝汗)

     

    「・・・ああ・・・もう駄目だ・・・。 さよなら、俺の平和な日々・・・。

     グッバイ、マイスウィートファンタジー・・・」

     

     〔不死身〕という代名詞を持っている景太郎でさえ、黒こげに出来る眼光を放つ事ができる女達。

    推して知るべし、なる&むつみの女の戦いの恐ろしさ。

     

     ガラッ!!

     

    「た、助かったッ! モトコちゃん、この二人を止めてくれよッ!! さ、さっきから何か変なんだ、この二人ッ!!?」

     

     突然管理人の間に乱入してきたひなた荘の大和撫子こと素子に、これ幸いとばかりに助けを求める景太郎。 

    かなり焦っていたらしく、何故彼女がここに来たのかという事を、うっかり失念していた。

     

    「浦島・・・私は・・・。 ・・・私はッ!

     

     だきっ!

     

    「だぁぁぁぁぁぁぁッ! も、モトコちゃんもかぁぁぁぁぁぁッ!?」

     

     素子まで抱きついてきて、状況はさらに悪化を辿る一方だ。

    ・・・部屋の温度が、もう二、三度高くなった様な気がするのは気のせいではない

    ・・・と思う。 ・・・そう思いたい、ていうかそうであってほしい(切実)。

     

    「・・・素子ちゃん、あなた景太郎の事あんなに毛嫌いしてたじゃない。 あれは何だったの? 芝居だったワケ?(怒)」

     

    「素子さん、私のけ−くんに(いつからむつみさんの所有物になったんだ?(汗))

     手を出すなんていい度胸してますね・・・(怒)」

     

     景太郎にの腕に抱きついたまま、素子を睨むなる&むつみ。

    こういう時だけは、何故か息がピッタリ合う二人だった。

     

    「・・・真実の愛(?)に目覚めただけですよ、なる先輩にむつみさん(ニヤリ)」

     

     それに対し、ニヤリと(彼女にしては珍しい)笑う素子。 どうやら、かなりの自信を持っているらしい。

     

    ・・・インタ−ネット上では、私のSSの方があなた達お二人よりもはるかに多いのだ。

     だから、あなた達の時代はもう既に終わっているんです、なる先輩にむつみさん(ニヤリ)」

     

     何かよくわからない事を、なるとむつみの二人に宣告する素子。

    実は、インタ−ネット上では、景太郎×なる、または景太郎×むつみがメインのSSを探すのには、かなり苦労したりする。

     

     その時に気付いたんだが、意外な事に景太郎×素子というカップルが多かった(実話)。

    ・・・意地っ張りで素直になれないなるとは違い、思い込んだら純情一直線、直球勝負な彼女に、

    素子ちゃんファンは魅了させられるのだろう(たぶん)。

     

     ガラッ!

     

    「ちょっと待ってくださいッ! センパイに対する愛情なら、私も負けません!

     私のSSだって、なる先輩やむつみさんより多いんですよ!!」

     

    「ひなた荘唯一の良心、真面目なしのぶちゃんまでッ!? しかもナニッ、その服はッ!!?」

     

    「・・・気にしないでください、センパイ(ポッ)」

     

    何故か黒いローブ、そして目玉のような飾りがついた杖を持ったしのぶも乱入してくる。

    ・・・某魔法陣のヒロインのコスプレだ。 ちなみに、服はキツネさん支給である。

    この服には特殊な効果があり、コスプレしたキャラの能力を使う事が出来るのだが、

    しのぶが着ているのは、その中でもひときわデンジャラスな服だった。 

    ・・・まさに〔デンジャ−なレディ−、ごきげんだぜッ!〕である(爆)。

     

    「浦島センパイ・・・(だきっ)」

     

     景太郎の背中に抱きつくしのぶ。 まるで、飼い主に甘える子犬である。

    本来なら、四人もの女性に抱きつかれて至上最高の幸福を味わっているハズだが、

    景太郎にとっては、針のムシロでしかなかったりする。

     

    「どうした、景太郎? 何か、騒がし・・・なるほど・・・こ−ゆ−ワケか・・・」

     

    「は、はるかさんッ!? こ、これはですねッ!!?(滝汗)」

     

     余りにも騒々しいので様子を見に来たはるかだが、部屋の様子を見た途端に

    〔謎は全て解けた!〕という科白が、はるかの脳裏に浮かんだ。

    和風喫茶日向・美人オ−ナ−はるかの事件簿、なんちゃって(笑))。

     

    「景太郎・・・忠告しておくが、一人の女性を真剣に愛した方が身の為だぞ。

     八方美人は嫌われるからな・・・瀬田みたいになってしまうぞ・・・(遠い目)」

     

    「そんなワケないじゃないですかッ、はるかさん!(泣)

     俺の部屋にいきなり入ってきたと思ったら、次の瞬間にはこうなってたんですよ!」

     

     どこか遠い目をして語るはるかに、泣きつく景太郎。

     

    「・・・たぶん、お前達の取ってきたあのタケノコのせいだろう。

    あのタケノコはな、〔ホンネニナルダケ〕というひなた荘の裏山でしか育たない珍しい品種でな、

    食べるとペルソナ(普段表面に出ている仮面人格の事)を剥がして本当の自分が出てくるんだ」

     

    「んなアホなッ!? じゃあ、あれが本当の成瀬川達だっていうんですかッ!!?」

     

    「詳しい事は知らん。 それよりいいのか? あいつら凄いコトになってるぞ?」

     

    「へ?」

     

     はるかに言われて、後ろを見てみる景太郎。 そこには・・・。

     

    「ふふふ・・・なるさん、ついに決着をつける時が来たみたいですね。

     先手必勝ッ、これで決めさせてもらいます!

     右手からメラゾ−マ・・・左手からベギラゴン・・・合体!

    閃熱大炎・・・メゾラゴンッ!!

     

     ゴォォォォォォォォォッ!!!

     

     むつみの手から、凄まじい勢いの炎の塊がなるに向かって飛んでいく。

    何でむつみさんが某○トの紋章の合体魔法を使う事が出来るのかは、気にしない事を薦める。

    大賢者に弟子入りでもしたのか、それとも、もともとむつみさんは賢王なのか?

    ・・・ていうか、建物の中で火炎魔法を使ったら火事になると思う。

  •  
  • 「むつみさん・・・短い付き合いだったけど、いい人でしたよね・・・」

     

     自分に迫り来る特大級の炎の塊を見つめながら、呟くなる。

    ・・・むつみの存在は、なるにとってはもう既に、遠い遠い過去のお話というコトになっているらしい(汗)。

     

    「・・・カイザ−ド・アルザ−ド! キ・スク・ハンセ・グロス・シルク!!

     灰塵と化せ! 冥界の賢者! 七つの鍵をもて開け地獄の門!!

    七鍵守護神(ハーロ・イーン)!!!

     

     ドゴォ!!

     

     なるの手から、純粋な破壊エネルギ−がむつみに向かって放射される。

    何で普通の東大生のなるが、某暗黒の破壊神に出てくる

    目付きが悪くて好色な魔法使いの魔法を放てるんだ?(汗)

    ハ−ロ・イ−ンなんて喰らったら、人間なんか灰も残らずに消滅するぞ(大汗)。

     

    「ふふっ・・・やりますね、なるさん」

     

    「・・・むつみさんこそ・・・」

     

     お互いの魔法を相殺し、牽制しながら魔力を高めていくなるとむつみの二人。

    だが、世界びっくり魔術対戦は、まだまだ始まったばかりである。

     

    「しのぶ・・・。 悪い事は言わん、大人しく諦めた方が身のためだ。

     お前とは・・・出来る事なら戦いたくなかったのだが・・・」

     

    「・・・モトコさん、すみませんがこればっかりは譲れないんです・・・。

     センパイと私は、生まれる前からこうなる運命だったんですよ?」

     

     剣に気を纏わせ始める素子と、畳の上に丸と三角を組み合わせた図形を書き始めるしのぶ。

    説明文は違うが、両方とも危険な事にはかわらない(苦笑)。

     

    「いきますッ! ・・・トカゲのシッポ!!

     

     ゴオッ!!

     

     しのぶが描いた魔法陣から、凄まじい勢いで燃えさかる炎の竜が現れる。

    この魔法は、レベルアップすればするほど強くなるのが特徴だ。

    ・・・だから、火の魔法なんか使ったら火事になるんだってば。

     

    「フッ・・・しのぶ、面白い技を使うが、もったいない事に、戦いの素人のお前には半分も使いこなせておらんのだ」

     

     チャキッ・・・・・・!!

     

     トカゲのシッポを必要最小限の動きでかわし、黒い刀身の妖刀ひなを静かに構える素子。

    その素子の背中には、何やら怪しい黒い影がいるような気がしないでもない(汗)。

     

     退魔士が妖怪に取りつかれる・・・まさにミイラ取りがミイラになる、だな(大汗)。

     

    「この技を喰らって生きていたのは、誰もいない・・・。 喰らえッ、しのぶ!! 

    ・・・ブレード・ダンス!!!

     

     シュバッ、シュバッ、シュバッ!!!

     

     素子の持つ妖刀ひなから、しのぶに向かって、魔法で形成された刃が襲いかかる。

    ・・・実はこれ、有名なTRPGの職業の特殊技で、確か…某呪われた島TRPGの上級職だったはずだ。

    これを喰らったら、どんな強いヤツだろうが何だろうがゴ−ゴ−ヘブンである。

    そう、不死身の代名詞である景太郎でさえもだ。

     

    「ふ・・・私のブレード・ダンスをガードしたのは、お前が初めてだ、しのぶ・・・」

     

    「・・・さすがはモトコさんですね、あらかじめレンガのオウチ(防御系)を書いておいて正解でした」

     

     ・・・って、何故か生きてるし(汗)。

    再び、お互いの僅かな隙を探り合う膠着状態に陥るしのぶと素子の二人。

    それは、第二ラウンド開始の合図でもあった。

     

    「・・・はるかさん、ひなた荘の修理費用貯金っていくらありましたっけ?(汗)」

     

    「・・・そんなになかったハズだ(汗)。

     一応、私も払うのを手伝うつもりだが・・・大半はお前の自腹だぞ?

     ・・・覚悟を決めた方がいいかもしれんな、景太郎」

     

    「・・・そんなぁ(号泣)」

     

    白熱するなる×むつみ、そして素子×しのぶの戦い。

    景太郎はナイアガラの滝の様な涙を流しながら、黙って眺めているしかなかった。

    彼女達の戦いは、沈静化するどころかますますヒ−トアップしていくばかりある。

    ヘタに手を出すとこっちが死んでしまうから、なおさら手に負えない。

     

    「あし−たがある−さ、あすがある−・・・。 わか−いぼくにはゆめがある−・・・フフフ・・・」←ちょっとヤバイ笑い(汗)

     

    「・・・・・・(汗)」

     

     なる達から背を背け、体育座りをしながら現実逃避を始める景太郎。

    そしてそれを冷汗をかき、そして愛用のマルボロを蒸かしながら見ているはるか。

    景太郎の脳裏には、某○ルフルズのヒット曲エンドレスで流れていた(苦笑)。

    ・・・それが、より一層虚しさに拍車を掛けたりする(笑)。

     

     まあ、壊れた景太郎は放っておいて、話を続けよう。

     

    「いきますよぉッ!

     右手からマヒャド、左手からバギクロス・・・合体ッ!

     氷刃乱舞、マヒアロスッ!!

     

     

     シュババババババババババババババッ!!

     

     

     むつみの手から放たれた氷の嵐が、凄まじい勢いでなるに襲いかかる!!

     

          タイト・ロ−           アンセム

    「光弾よ、敵を撃て! 剛雷破弾!!」

     

     

     ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

     

     

     指先から、高圧エネルギ−を集中した魔法弾をむつみに向かって放つなる!!

     

    「喰らえッ、しのぶッ! 魔法剣フレア!!!」

     

     

     ズバッ、ズバッ、ズバッ、ズバッ!!

     

     

     素子の剣の斬撃が、ククリしのぶに襲いかかる。 その剣閃の後には、爆発的なエネルギーが吹き荒れる!!

     

    「いきますッ! …サッパリ妖精・召喚!!!」

     

     サッパリ、サッパリ、サッパリ……

     

    しのぶが描いた魔法陣から、扇子を持った妖精が召喚される。

    その妖精の恐ろしさは、何をやってもサッパリになる事だ!!

    問答無用の大乱戦、ル−ル無用のデスマッチである。

     

     ・・・景太郎、自腹を切るのに3000点(爆笑)

     

    「古いんだよッ、そのネタはぁッ! それに自腹を切るっていうのはなんだぁぁッ!!」

     

     ・・・ひなた荘に、景太郎の悲痛な悲鳴が響きわたった。

    ところで、今まで出番がなかった人達はというと・・・。

     

    「も・・・も−飲めへんでぇ・・・(うぷッ)」 ←キツネ

     

    「に−さま−・・・(にへらぁ)」 ←スゥ

     

    「ぱぱ・・・(ひっく)」 ←サラ

     

     キツネに酒を飲まされて、当人達は景太郎どころではなかったりする。

    ・・・未成年者にお酒を飲ませてはいけません、犯罪ですのであしからず。

     

     

     

     チュンチュン、チチチ・・・

     

    「朝だ・・・。 昨日の出来事が、夢ならいいのに・・・」

     

     穏やかな朝の日差しを浴び、景太郎は布団からゆっくりと身を起こす。

    以前の管理人室の形跡は跡形もなく消し飛び、黒コゲになった元景太郎の部屋の備品がそこらかしこに転がっている(汗)。

     

    「・・・部屋・・・片づけないとな・・・(溜息)。 一体どうしろっていうんだよ、コレ・・・」

     

     自分の部屋の惨状に現実逃避を始めながら、がらくたを片づけ始める景太郎。

    結局あの後、彼女達が疲れて倒れた所を、はるかに手伝って貰ってなる達四人の部屋まで送り届けたのだ。

    その後、一応簡単に後片付けを済ませて眠りに就いたのだが・・・。

     

    「景太郎、起きてる−・・・って、何よこの部屋のありさまは。 ・・・あんた、この部屋で火遊びでもしたの?(汗)」

     

     ひょっこりと天井の穴から首だけ出して覗き込んでくるのは、

    御存知のとおりなるである。 騒ぎの張本人が、よく言ったものである。

     

    「・・・ねえ景太郎、私昨日の記憶が曖昧なんだけど・・・私、なにかした?」

     

    「・・・思い出させないでくれ、成瀬川・・・(遠い目)。

     人間・・・全てを忘れ去った方がいい時もあるのさ・・・(さらに遠い目)」

     

     首を傾げ、景太郎に昨日の出来事を確認しようとするなるだったが、

    遠い目をした景太郎は、昨日の出来事を思い出したくないため、話をはぐらかした。

     

     ・・・なぜなら、ひなた荘の修理費は結局景太郎が払う事になったからだ(笑)。

    もちろん景太郎がそんな大金を払える訳があるわけなく、とりあえず出世払い扱いという事になった。

     

    「・・・そ、そうなの・・・聞かなかった事にするわ(汗)」

     

     妙に黄昏ている景太郎を訝しみながらも、部屋の片付けを手伝おうと、

    天井の穴を伝って景太郎の部屋に降りてくるなる。

     

     

     それから暫く後・・・。

     

     

     景太郎の部屋に、景太郎の悲鳴が木霊した(笑)。

    実は、あの時はるかさんが、なる、むつみ、素子、しのぶの四人に抱きつかれた

    景太郎を、写真に収めていたのだ。

     

     なるの鉄拳パンチが飛び、素子の剣が炸裂し、そして極めつけには

    しのぶ式ファイナルヘブンが炸裂してひなた荘は余計崩壊した(爆)。

     

     キツネにはからかわれ、スゥとサラの二人には面白半分に蹴られたりと、

    景太郎にとって、最悪な一日の始まりだった。

     

     

    「もう山菜取りなんて、こりごりだぁ!!(泣)」

     

     

     ひなた荘に、景太郎の絶叫が響いた。 まあ、何時もの事だったが。

    ・・・ちなみに、景太郎が最終的に支払わなければいけない金額は、五千万円にものなったという・・・。

     

     

     

     

     Fin

     

     

     

     

     お・ま・け♪

     

     

     

    「お客さん、これ以上飲むと体に悪いよ」

     

     ・・・ここは、とある居酒屋。 店主が、飲んだくれている客に注意している。

     

    「うるせ−ッ! どうせ俺なんか・・・俺なんかッ・・・(涙)。 ・・・酒だ、酒持ってこ−いッ・・・ヒック」

     

    と、店主の注意も聞かずにもっと酒を頼むのは、二十代前半の青年である。

    ・・・どうやら、酒でも飲んでないとやってられないらしい。

     

    「・・・一体、俺って何のために出てきたんだろう・・・」

     

     ・・・そう、今回まるっきり出番が無かった、景太郎の弟ことオリキャラの浦島景介である。

     

    「君・・・僕も、君の気持ちがよくわかるよ・・・。 僕と一緒に飲まないかい?」

     

    と、景介の隣に座り、熊殺し改を差し出すのは、同じく今回出番が無かった、

    東大講師で景太郎の恩師でもある瀬田記康、その人である。

     

    「・・・私も、混ぜてもらっていいですか?」

     

    と、そこにやって来たのは、景太郎の本当の妹(義理)である可奈子だ。

    ちなみに、彼女は焼き鳥を肴にしてチビリチビリと酒を飲んでいたらしい。

    ・・・渋い、渋すぎるぞ、可奈子・・・っていうか、お前未成年じゃないのか?(汗)

     

    「「「どうせ、俺(僕、私)達なんてぇ!

      弁当の彩りの、パセリなんだッ(なんですよッ)!!」」」

     

     

     ・・・とある居酒屋で、三人の心の叫びが響いた(らしい)。

    ちなみに、この後彼らは安い居酒屋を二、三軒はしごしてまわり・・・。

    財布の中身は火の車、そして北風&強風波浪警報だったらしい・・・(笑)。

     

     

     まあ、一部の人達は不幸みたいだが、世界は概ね平和だった。

     

     

     

     

     

    後書き

     

     

      ふう・・・。 ようやっとラブひなSSが書き終わったぜ。

    どうも皆さまお久しぶりです、Excaliberです。 早いもので、もう六月ですね。

    日本は梅雨入りしましたか?

     

    「ここ(アメリカ)は雨なんて降らないから、スルメイカになる勢いなんだよね、Excaliber?」

     

    「そうそう、たまに雨が降ると、わざわざ濡れに外に出るのよね、アンタ。 ・・・頭おかしいんじゃないの?」

     

     大きなお世話だ、なるちゃんよ。 雨なんて、一年に十回降るかどうかなんだからいいじゃないか。

    あまりにも乾燥しすぎて、体中が粉吹いているんだぞ。 信じられるか?

     

    「話は変わって、このお話って実際にあった話なんでしょ?」

     

     ああ、そうだよ。 ・・・ホンネニナルダケはないけどね。

    うちの親がさ、ワラビを取りにいったんだよ。 アメリカ人ってさ、山菜なんて食わないから、もう取り放題なわけ。

    で、毎日のように山菜料理が出てくるのは良いんだけど・・・。

     

    「「だけど?」」

     

     ・・・山菜って繊維質たっぷりだから、メチャクチャお通じが良くなるんだ。

    三十分もトイレに籠もるハメになったんだぞ(汗)。 便秘で悩んでいる人には、お薦めかな(爆笑)。  ←下品ですみません(汗)

     

    「「・・・遠慮して(おくよ/おくわ)」」

     

     まあ、何でも程々に食べようって言うことだね。 さて、そろそろ次回予告といってみようか。

    でも、ナデシコと同時に送ったから、同時上映かもしれないなぁ・・・。

     

     

    機動戦艦ナデシコ・時の流れに外伝

    ナデシコであった、本当に恐い話Vol.09

    未来より来たりし厄災、あるいは幸せの予兆 ― その5 ―

    妻をめとらば・・・

     

     

     

     今度こそ、未来シリーズは(一応)完結(の予定)です。 楽しみにしてて下さいね。

     

    See you next " Nadesico " story !  ・・・ちょっとカッコつけてみました(笑)。

    感想メ−ル、意見メ−ル等、楽しみに待ってま−す。

     

     

     

     

    管理人の感想

     

    Excaliberさんからの投稿です!!

    懐かしい話題ですね〜

    Benの実家も山菜がとれましてね。

    つくしとかを良く獲りにいきましたよ。

    いや〜、あの頃は幼かったな〜

    土手の斜面を足を滑らして、転げ落ちて用水路にホールインワンしたり。

     

    ・・・良く、生きてたな俺(汗)

     

    では、Excaliberさん投稿、本当に有難うございました!!

     

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