チュン、チュン、チュチュン・・・・・・(スズメの鳴き声)。

 

 実に爽やかな朝だね−。 ここひなた荘にも、例外無く爽やかな朝はやって来る
(ちなみにExcaliberは低血圧なため、寝起きが目茶苦茶悪い。
 そのため取扱いには細心の注意が必要である。 何でかって?
 修学旅行の時、起こしてくれた友達に裏拳をかました事があるくらいだからだ(笑))。

 

 ズドドドドドドドドドドドドドド・・・・・・

 

 が・・・爽やかな朝を見事にぶち壊す音が響いてくる。
勘弁してくれよ・・・ホント眠いんだからさぁ・・・。 ・・・ふぁ・・・。

 

「浦島−ッ!! キサマは何回着替えを覗けば気が済むのだ!?
 部屋に入る時はノックをしろ−っ!!!」

 

「わ−っ!? ごめんよ素子ちゃ−ん、覗くつもりはなかったんだってば−!!
 ちゃんとノックはしたんだよ−っ!!!(泣)」

 

 ズドドドドドドドドドドドドドド・・・・・・

 

 ただ、彼らにそんな朝の風景を楽しむ余裕は、全く無いようだが。
しかし、朝っぱらから飽きないねぇホントに・・・。
まあ、本人達は楽しんでるみたいだからいいけど。

 

 

 

 

ラブひな外伝
ひなた荘であった、本当に怖い話Vol.01
一緒に、踊ロ(はぁと)

 

 

 

 

 豊かな黒髪を翻し、日本刀を振り回す大和撫子・・・青山素子嬢が、
メガネをかけたさえない青年・・・浦島景太郎を朝から追い回していた。

 

「おい! 何で俺がさえない青年なんだよっ!!(怒)」

 

 走りながらも、筆者に文句を言う景太郎。 ・・・そんな暇あるのか、景太郎?
すぐ後ろに、素子ちゃんが追い掛けてきてるんだぞ?

 

「うらしま−っ!! 覚悟−っ!!!
 神鳴流奥義、斬岩剣・弐の太刀−ッ!!!!!」

 

 ドガッ!!!

 

「ぷろあっ!?」

 

 素子の放った奥義に、なす術もなく空の彼方へ吹っ飛んで行く景太郎。
これもまた、ひなた荘の朝の風景・・・なのだろうか?

 

 

「ふう、死ぬかと思ったよ。 何か、だんだん素子ちゃんの剣の威力が
 増していくのは気のせいかなぁ・・・」

 

 額を伝う汗を拭いながら、ひなた荘の裏山から生還してきた景太郎。
そのまま部屋に戻り、着替えをして一階に降りてきていたりする。
その前に、普通は素子ちゃんの剣をくらった時点で死んでると思うんだが・・・
不思議と傷は完璧に癒えている。 ・・・浦島景太郎七不思議の一つだ
(他の六つは考え中です(笑))。

 

「・・・7分ジャストか。 ん−、残念。 新記録樹立ならずやな−」

 

「? ・・・何ですか、キツネさん。 新記録って」

 

 景太郎が、ストップウォッチを持った糸の様に目が細い関西弁を話す女性に不思議そうに尋ねる。

 

 そう、キツネさんもとい紺野みつねさんその人である。

 

「頼むで−、景太郎。 新記録樹立してもらわんと。 また負けたやんか」

 

 おもいっきり悔しがるキツネ。 それにしても、また負けたってなんですか?

 

「景太郎が、なるか素子に裏山まで吹っ飛ばされた後、ひなた荘に帰って来る
 所要時間の新記録樹立出来るかどうかを賭けとるんや。 ウチは今日、
 樹立出来る方に賭けたんやけどな」

 

 人の不幸で賭事ですか、キツネさん・・・。

 

「お−っす、け−たろ−!!」

 

 ドバキャ!!

 

「ぷろっ!?」

 

 景太郎の顔面に脳天気飛び蹴りインド娘、カオラ・スゥの飛び蹴りが吸い込まれる様に決まった。

 

 スゥちゃんほど見事な飛び蹴りを放てる人、僕は見た事が無い。
他には、ブル−ス・リ−ぐらいである。 でも、どうやって彼はあんな蹴りを
やっているんだろう。 トランポリンでもなきゃ、絶対不可能だぞ。

 

「・・・・・・(号泣)」

 

 煙を顔から吹き出し、倒れている景太郎。
もちろん、滝の様な幅広の涙を流している。

 

「へっへ−っ。 なあキツネ、賭はウチの勝ちやな。
 ほな、約束のバナナセットもらおうか」

 

「・・・ホレ、バナナセットや。 大事に食うんやで」

 

「バナナ−(はぁと)」

 

「俺の価値はバナナなのか・・・(泣)」

 

 自分の賭賃がバナナだと知れて、倒れながらもショックを受ける景太郎。
そりゃあ、誰だってバナナが賭賃だったら、ショックを受けるだろう。

 

「きゃ−、センパイ! 大丈夫ですか!?」

 

 食堂で朝の配膳をしていた女の子が、慌てて景太郎に駆け寄る。
恐らく、ラブひな内でも一、二を争う人気の前原しのぶ嬢である。
ホント健気なんだよなぁ、この子。 だから人気あるんだろうな、たぶん。
それに可愛いし・・・ぜひとも妹に欲しいもんだ。

 

「大丈夫だよ、しのぶちゃん。 それより配膳手伝うよ」

 

 何故か復活した景太郎。暫くしのぶと一緒に配膳をしていると
(キツネとスゥはTVを見ている)、素子と一緒に東大一年生になったばかりの才女
(って景太郎も一応東大生か)、成瀬川なるが降りてきた。

 

「おはよう、成瀬川。 ・・・素子ちゃん、さっきはほんっとうにごめん。
 でも、本当にノックはしたんだよ」

 

 景太郎が顔の前で手を合わせて謝る。これは本当のことだ。
景太郎が素子を起こそうと素子の部屋を訪れたとき、素子は着替え中で、
しかもスゥが着替えの邪魔をしていたため、ノックに気が付かなかったのだ。
そして景太郎は、その無言の返事を了承と取って襖を開けた、というわけだ。

 

「ふん、以後気を付けてもらいたいものだな」

 

「またやったの、景太郎? あんたもまぁ、懲りないわね」

 

 なるが呆れた様に景太郎の事を見る。
実際、彼女も景太郎の覗き(もちろん事故だが)の被害にあってるので、
素子の気持ちもわかるのだろう。

 

 しかしまぁ、絶世の美少女の生着替えを拝めるとは、羨ましい限りである。
いいなぁ−、景太郎。 いいなぁ−。

 

 ・・・まあ、Excaliberも姉を起こしにいった時、
図らずも見たくもない姉の着替えを見てしまった事がある。

 

 ・・・その後、姉の部屋から飛んできたのはスリッパだった(笑)。
しかも、そのスリッパは狙い違わずExcaliberの顔面に直撃(爆)。
以後、姉の部屋に入る時は必ずノックをするようになったExcaliberである。

 

「何か言った、Excaliber(ギロリ)?
 大体レディの部屋に入る時、普通ノックしない?
 顔面にスリッパ飛んできて当然よ!」

 

 ・・・ごもっともです、ハイ。 でも、僕の友人の姉はもっと凄いぞ。

 

「例えば?」

 

 姉の着替えを覗いた瞬間、分厚い百科事典が二、三冊飛んできたらしい。
しかも、それが友人の大事な所(笑)に当たって、彼は三十分もの間
地獄の苦しみを味わったそうだ(爆)。

 

「い、痛そ−・・・。 ・・・じゃなくて!
 好きでやってるわけじゃないんだってば!!」

 

「はいはい、わかったわよ。 何時もの不可抗力でしょう?」

 

 ムキになった景太郎に、はいはいという顔で頷いてみせるなる。
なんだかんだ言っても、この二人って仲いいよな−。 そう思いません?

 

「朝御飯出来ましたよ−」

 

「「「「「「は−い」」」」」」

 

 しのぶの声に、一同返事をして食堂に向かう。
いつも通りの、ひなた荘の一日の始まり。

 

 だがこの後、恐ろしい事が待ち受けてるとは、誰もわからなかったのである。
そしてそのために、景太郎にさらなる不幸が襲いかかるのだが・・・。
ま、これも運命だと思って、諦めろ景太郎。

 

 

「ん−・・・。 やっぱり朝風呂は気持ちいいわね−」

 

「そうやな−、なる。 ・・・朝風呂で飲むビ−ルがまた格別やね」

 

「みゅ!」

 

 ひなた荘露天風呂。 そこには、朝風呂を楽しむ二人の美女と一匹・・・
成瀬川なる嬢と、キツネこと紺野みつねさん、そしてひなた荘のマスコット的存在、
温泉ガメのたまちゃんが入浴していた。

 

 むう、映像でお伝え出来ないのが凄く残念だ。
なるとキツネのとても色っぽい入浴姿なのになぁ・・・。
・・・しかし、朝からビ−ルですかキツネさん。

 

「ん? 何か文句あるんか?」

 

 ・・・いえ、別に。 ただ、〔朝寝朝酒は貧乏のもと〕っていう諺が
あったような気がするんですが・・・。 肝臓悪くしますよ。

 

「だいじょうぶや。 いざとなったら、景太郎にたかるつもりやから。
 それにマンガに不可能はないんや! アル中なんてなんのその!」

 

「キツネ・・・何言ってるの(汗)?
 それより、あんたには真面目に働こうって気はないの?」

 

 突然空虚に向かって叫ぶキツネに、ちょっと引きながらも呆れたように尋ねるなる。

 

「無駄よ、キツネ。 ・・・景太郎にそんな甲斐性はないわ」

 

「それもそうやな」

 

 ひ、ひでえ・・・。 景太郎ってそんな風に思われてたのか・・・。

 

 

 一方、台所では。

 

「ヘックション!! ・・・風邪でもひいたのかな?」

 

「センパイ、大丈夫ですか?」

 

「・・・お前でも風邪をひくのだな、浦島」

 

「・・・そりゃどういう意味だい、素子ちゃん」

 

 ・・・おもいっきりくしゃみをした景太郎が、皿を拭きながら素子の質問に閉口していたりする。

 

 

「ね、ねえキツネ。 ・・・これ、壊れてるんじゃない?」

 

「ん? それやったら、ついこの間買ってきたんとちゃう?
 ・・・なる、認めたくないのはわかるけどな、現実を受け止めた方が
 ええんとちゃうか?」

 

 湯上がりの二人。 体を拭き終えて髪をかわかしていたキツネは、
未だバスタオルを体に巻いただけのなるに声をかけた。
くぅ−、本当に映像でお伝え出来ないのが残念だ。
湯上がりでほんのり桜色の、色っぽい二人なのにぃ・・・。

 

「ほらほら、はよ着替えんと湯冷めするで−、なる」

 

「う、うん・・・」

 

 渋々それから降りると、着替え始めるなる。
その動きはノロノロと緩慢で、何時ものいきいきとしたなるではなかった。

 

 なるの乗っていたソレ・・・とは、体重計だったりする。
やっぱり、なるも女の子だったわけだ。

 

「私・・・太ったんだ・・・(茫然)」

 

「しかし、三キロも太るなんてなぁ・・・。 どういう生活しとるんや?」

 

 ここぞとばかりに、からかうキツネ。

 

「うるさいわね! あんたに言われたくないわよ!!
 ・・・そういうキツネも、ウエストの辺りが太くなったんじゃない?」

 

「う、気にしていることを・・・」

 

 ・・・女の戦いをおっぱじめるなる、キツネの両名。
なるとキツネの背後に龍と虎、コブラとマング−ス、サルとイヌ、果てには
○鬼と○ンまで浮かび上がってくる。

 

「「あんたのせい(でしょうが、やろうが)!!」」

 

 す、すみません(汗)。 でも、こうしないとお話が進まないんです。

 

「午前中に露天風呂の掃除終わらせちゃわなきゃな−。
 ・・・だいたい、俺は露天風呂入れてもらえないのに
 なんで洗わなきゃいけないんだろう・・・(溜息)。
 不公平だよ・・・」

 

 ガラッ

 

 ブツブツと文句垂れながらも、何処から見ても完璧な掃除当番の恰好
(三角巾、エプロン、ゴム手袋を装着)をした景太郎が、脱衣所の引き戸を開けた。
 ・・・そこにはお約束通り、下着姿のなるとキツネさんがいたりする。

 

「・・・・・・(汗)」

 

「「・・・・・・(怒)」」

 

 メチャクチャ気まず−い沈黙。 ただ、なるのスパコン・・・いやいや
怒りゲ−ジはLv.3まで急速に溜まっている。
いや・・・殺意の波動が満ちてきているといったほうがいいのだろうか?

 

「・・・覚悟は・・・出来てるわよね・・・景太郎・・・?」

 

 何時のときも男の永遠の憧れ、サラッサラのストレ−トヘア−
(ちなみにExcaliberもストレ−トヘア−が好きだったりする)
を中空に巻き上げ、景太郎に最後通達するなる。

 

その眼光はとても鋭く、ギュピ−ンとかキュピ−ンという擬音がピッタリだ。
また、その表情はとてつもなく恐ろしかったらしい(汗)。
余りにも恐ろしくて、筆者にはとても書けません(大汗)。

 

「す、ス−パ−成瀬川になってる・・・(汗)。
 ち、ちがうんだ! 俺は露天風呂を掃除しようと!!」

 

 必死に弁解する景太郎。が、もちろんなるは聞いていない。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」

 

 ブンッ・・・・・・

 

 なるの体を、〔朱金の輝き〕が包み込んでいく。
・・・何時の間に、なるは〔武羅威〕に達したんだろうか(笑)?

 

「・・・だめやな、これは暫く〔太った〕は禁句やな。
 ・・・まだウチは、死にとうない(汗)」

 

 コソコソと、物陰に隠れながら呟くキツネ。
キツネが呟いた瞬間、辺りは白く眩しい閃光に満ちた。

 

 ドガッ、バキッ、グシャ、メキョ、ゴキッ・・・

 

 ・・・閃光が収まった時、そこにはボロボロになって床に倒れている景太郎と、
朱金の輝きに包まれ、背中に大きく〔天〕の文字を背負ったなるがいた。

 

14 Hit!
Naru Win!!

 

という文字が、何処からともなく現れる(笑)。
しかし、スパコンでトドメをさすとは・・・(汗)。

 

「・・・滅殺!!」

 

 クルリと後ろを向き、決めポ−ズをとるなる。
その姿はまるで〔拳を究めし者〕、豪○を連想させた。

 

「し、瞬○殺・・・(汗)。 なるのヤツ、何時の間に
 ○獄殺を会得したんや・・・(大汗)」

 

 物陰で見ていたキツネが、恐怖で顔を引きつらせながら、その一部始終を見ていた。

 

 ・・・生きてるのかな、景太郎・・・(滝汗)。

 

 

 

 

「ごちそうさま・・・」

 

「あれ? どうしたの成瀬川? 殆ど食べてないじゃないか。
 体の調子でも悪いの? それとも、おいしくなかった?」

 

 時刻は十二時。 ひなた荘の住人は、景太郎特製チャ−ハンを食べていたりする。
・・・ていうか生きてたのね、景太郎。

 

「・・・御陰で臨死体験っていう貴重な体験が出来たよ。
 ありがとう、Excaliber(怒)」

 

 いやぁ〜、そう言われると照れるな〜、てへっ(照)。
でも、チャ−ハンかぁ。 いいなぁ。

 

「センパイの作るチャ−ハン、とってもおいしいんですよ」

 

 そうなの?

 

「うむ、男にしてはいい腕だ。 見直したぞ、浦島」

 

「なる、食わんのかぁ? なら、うちがいただくで」

 

 ガツガツガツガツ・・・。

 

 なるの返事も待たずにチャ−ハンを食べ始めるスゥ。
ちなみに、チャ−ハンは僕の大好物でもあり、得意料理でもある。

 

「誰もそんなこと聞いとらんけど、Excaliber」

 

 おっと、これは失礼。 忘れて下さい。

 

「・・・景太郎、悪いけど今日は一人で勉強して・・・」

 

「いいけど・・・ホントに調子悪いんだったら、無理しないほうがいいよ」

 

と言うものの、絶対何かあったなと直感する景太郎。
・・・普段鈍いくせに、そういう所だけは何故か鋭いんだよな、お前。
・・・しのぶちゃんの気持ち、早く気付いてやれよ。

 

「え、なに?」

 

 ・・・別に。 ホント、鈍いな景太郎・・・(呆れ)。

 

 はぁ・・・。

 

「まさか、三キロも太っちゃったなんて・・・。 ・・・どうしよう・・・」

 

 はぁ・・・。

 

と自分の部屋で溜息を付いているのは、御存知、成瀬川なる嬢だ。
何時もの活発な様子はなく、ボンヤリとテ−ブルに頬杖を突いて、
また小さな溜息を一つ洩らした。

 

 ・・・ありゃ・・・こりゃあ重症だわ・・・。

 

「・・・なる、入るで−」

 

と襖を開けて入ってくるキツネ。
パタン、と襖を閉めると、なるのすぐ側に腰掛ける。

 

「なあ、なる。 ・・・なにもそんなに思い詰めることないやないか。
 だいたい、この時期は一番太りやすいんやし・・・。
 少々ふっくらしてた方が可愛いんとちゃうか?」

 

 おお、キツネさんお姉さんモ−ドだ。

 

「・・・ありがと、キツネ。 でも、どうしよう・・・」

 

「・・・なるほどね。 そういうことだったのか・・・」

 

 ヒョコッ。

 

 景太郎となるの部屋の間にある、天井の穴から顔を出す景太郎。

 

「け、景太郎!?」

 

「ごめん、成瀬川。 盗み聞きするつもりはなかったんだ。
 ・・・成瀬川の事が心配でさ」

 

「景太郎・・・」

 

「・・・成瀬川、そんなに気にしないほうがいいよ。
 ・・・みんなもそろそろ、そっちにつくころだと思うし」

 

「え?」

 

「話は聞きました、なる先輩」

 

 スッ、と襖を開けながら、素子。

 

「本当に心配したんですよ、成瀬川先輩。 今日の晩御飯なら任せて下さい!
 ヘルシ−メニュ−にしますからね」

 

 その隣から、ヒョッコリ顔を出すしのぶ。

 

「み、みんな・・・(感動)。 ありがとう・・・(涙)」

 

 ひなた荘のみんなに心配されて、感動しているなる。
やはり、持つべき物は友達である。 ううっ、ええ話や・・・(涙)。

 

 ん? そういえば、誰か足りないような・・・?

 

「なんや、なる。 三キロも太ったんか?」

 

 ザクッ!! ← なるの胸に、ラグナロクが突き刺さった音。

 

 折角上手くまとまったのに、全てを無に帰すスゥ。

 

「こ、こらスゥ! なんてことを・・・」

 

「カオラ!」

 

 素子としのぶが、慌ててスゥの口を塞ぐが、後の祭り。
再びなるはドンヨリと影を背負い、落ち込み始めた。
結局、振出に戻ったのね・・・。

 

「せっかくなる先輩が元気だしてくれたかと思ったのに・・・。
 なんてことをしてくれるんだ、スゥ!!」

 

「今日、カオラ晩御飯抜き!!」

 

「なんで−なぁ−。 そんな殺生な、しのむ。 堪忍や−(哀願)」

 

「だめっ!!」

 

「しくしくしく・・・(泣)」

 

 まあ、スゥちゃんには悪いが自業自得だ。 反省するよ−に。

 

「ほ、ほら成瀬川(汗)。 元気だして」

 

「そ、そうやでなる(汗)。 せっかくみんな励ましてくれたんやから」

 

 慌てて声を掛ける景太郎とキツネ。が依然として、落ち込みっぱなしのなる。

 

「景太郎。 ここは一発、お前の愛の言葉でなるの目を覚ますんや!(ヒソヒソ)」

 

「な、何言ってるんですかキツネさん! そ、それに愛の言葉って!?(ヒソヒソ)」

 

「こないな状態でなるをおいとけるのか、景太郎?(ヒソヒソ)」

 

「た、確かに・・・」

 

 ちなみに今のなるの様子は、部屋の隅で影を背負いながら、のの字を書いている。
その落ち込み具合いは某機動戦艦副長とタメはれるくらい、というところだ。
しかもあまりの落ち込み具合いに、部屋中の空気が重くなった気がする。

 

 暫く考え込んでいた景太郎。 いいアイディアが浮かんだのか、不意に顔を上げた。

 

「成瀬川。 そんなに気にすることないよ。
 元はといえば、Excaliberが悪いんだし」

 

 なにぃ!? 僕が悪いのか、景太郎!!?

 

「「「そういえば、そう(やな、だな、ですね)」」」

 

 み、みんなまで・・・。 僕を人身御供にするつもりなのか!?

 

「「「「うん」」」」

 

 ひ、ひどい! ぐれてやる−!!

 

「いやぁ、それは無理やと思うけど」

 

「ふふふ・・・そうよ、元凶を倒せばいいのよ・・・
 なんで、こんな簡単な事に気がつかなかったのかしら・・・」

 

 ちょ、ちょっとなるちゃん? なんですか、その手に握った消火器は(焦っ)?

 

 ドゴッ!!

 

 うがぁ! 頭が割れるよ−に痛いっ!!

 

「いや、だから割れてるんだって(汗)」

 

「ふふふ・・・覚悟はいいかしら、Excaliber?(ギロリ)」

 

 出来てるわけないじゃないか−(泣)!!
だからその手に持ってる包丁、どっかに捨てて下さいよ。

 

「あら、手が滑ったわ・・・ふふふ」

 

 ヒュンッ、ドスッ!!

 

 うそだぁ! おもいっきり振りかぶって投げたのが、
どうして〔手が滑った〕になるんだ!!
ぬぉぉぉぉぉ、頭に包丁が刺さったよ−に痛いっ!!

 

「・・・大丈夫でしょうか、Excaliberさん・・・」

 

「・・・しのぶ、今の状態でExcaliberを庇ってみろ。
 ・・・なる先輩に本気で殺されるぞ(汗)」

 

 物陰でボソボソ囁きあっているしのぶと素子。
スゥは晩御飯抜きがかなり効いたのか、未だにあっちの世界から帰って来ていない。

 

 

 この日、Excaliberは全治三ヵ月の重傷を負った・・・。

 

 

「へぇ〜、これがしのぶちゃん特製ヘルシ−メニュ−か」

 

「こ、こんなに食べていいの、しのぶちゃん?」

 

「さすがしのぶやな−。 普段の料理となんら変わりないやんか」

 

「うむ、流石だしのぶ」

 

「・・・・・・(クスン)」

 

「そ、それほどでも・・・ないですよ・・・」

 

 時間はたちまして、夕食の時間。
誰がどの科白だか、お分かりいただけたでしょうか?
上から、景太郎、なる、キツネ、素子、スゥ、しのぶの順である。

 

「大丈夫ですよ、成瀬川先輩。 ちゃんとカロリ−計算はしてあります。
 成瀬川先輩の場合、間食と食事の量の不規則が一番の問題ですから」

 

「しのぶ、これはなんだ? ハンバ−グみたいだが・・・」

 

「それは豆腐ハンバ−グです。 豆腐と挽肉を混ぜて焼いたものですね」

 

「しのぶちゃん、この刺身はなんていう魚? 白身魚ともちがうし・・・」

 

「それですか? それは刺身蒟蒻ですよ、センパイ。
 蒟蒻だけに、カロリ−ゼロです」

 

 なんか、料理番組みたいになってきているけど・・・。
ちなみに、Excaliberは男のくせに料理番組を見るのが大好きだったりする。
なんで〔料理の鉄人〕終わっちゃったんだよ−(泣)。

 

「まあええやないの。 アメリカでも料理の鉄人やっとるんやし」

 

 そうなんだよね−。 僕も初めて見たときはびっくりしたよ。
その名も〔Iron Chef〕!! ・・・そのまんま・・・。

 

 また、Excaliberはアメリカに行ってから味覚がかなり変わり、
冷や奴や燻製、焼鳥など渋めの物を好んで食べるようになった。

 

「それって、ただ単に親父化しただけじゃない?」

 

 ポツリ、となるが呟く。 ぐっ、気にしていることを・・・。

 

「そうよね−、高校2年のくせに電気シェ−バ−(しかも首振り)なんか使ってるし、
 髭も一日ほっといたら不精髭になるしね−」

 

 ・・・そうだよ。 どうせ僕は老けてるよ。 なんか文句あるか!!

 

「あるわ! なんでウチがゴハン食べちゃあかんのや!?」

 

 スゥが椅子に座り、ナイフとフォ−クを振りかざしながら文句を言う。
ちなみに、彼女の前にはバナナが一本だけ置いてあるだけだった。
・・・君の御陰で、僕は全治三ヶ月の重傷を負ったんだけど?

 

「あら、これおいしい」

 

「う−ん、ビ−ルが欲しいところやね−」

 

「しのぶちゃん、刺身蒟蒻まだある?」

 

「しのぶ、この豆腐ハンバ−グまだあるか?」

 

「あ、刺身蒟蒻はまだありますよ。
 豆腐ハンバ−グは・・・すみません、ありませんでした」

 

 みんなにも好評のようだ。
しのぶはみんなの笑顔も嬉しかったが、なるの顔に笑顔が戻ったのが一番嬉しかった。

 

 健気だなぁ、しのぶちゃんってホント・・・。

 

 

 

「やっぱり、お腹一杯食べるっていいわね−。 今日晩御飯抜かそうと思ってたのよ」

 

「成瀬川、それが一番太るんだぞ」

 

「そ、そうなの?」

 

 所変わって、ここは管理人室(要するに景太郎の部屋)。
景太郎となるは、二人仲良く(仲悪しく?)英語の勉強していたりする。

 

「でもな−、成瀬川が三キロ太ったぐらいで大騒ぎするとはな−・・・。
 やっぱり成瀬川も女の子だったんだね」

 

「うるさいわねっ! 人が気にしていることを・・・。
 それになによ、女の子だったんだねって!?
 あんたにはデリカシ−っていうものがないの!?」

 

 景太郎の科白にいきり立つなる。 ただ、二人とも顔が笑っているから
じゃれあっているようにも見える。

 

「そういうこと言うのはこの口かぁ−!?」

 

「ぐえぇぇぇぇ!? な、成瀬川、ロ−プロ−プゥ!!」

 

 ・・・訂正。 なるは、景太郎にしっかりチョ−クスリ−パ−をかけてたりする。
さて、ここで問題です。 なるが景太郎にチョ−クスリ−パ−をかけると?

 

 ムニュムニュ・・・

 

〔ああ、気持ちいい・・・。 ・・・このまま死んでもいい・・・〕

 

答:胸が必然的に景太郎の背中に当たる。
・・・う、うらやましすぎるぞ、景太郎・・・。

 

「ゲホゲホ・・・。 頼むよ、成瀬川。 死んだじいちゃんが三途の川の向こうから
 手招きしてたじゃないか」

 

「自業自得よ」

 

 ふふっ、と笑うなる。 その顔には、今までの様な、暗く落ち込んでいた成瀬川の
様子はなかった。 その様子に安心した景太郎。

 

「よかった、いつもの成瀬川だ。 ねえ成瀬川、 確かに成瀬川は太ったのかも
 しれないけど、成瀬川は、その、い、何時もの方がずっと可愛いと思うよ(赤面)」

 

「え・・・(赤面)」

 

 顔を赤くし、俯きながらも最後まで言葉を紡ぐ景太郎。
むう、景太郎にしては珍しく積極的な行動だ。

 

「成瀬川・・・」

 

「景太郎・・・」

 

 ・・・なにやら、自分たちの世界に旅立ってしまったこの二人。
ま、いっか。 お互いに素直になるのはいいことだし。

 

 そのまま見つめ合っていた二人。 その距離は、どんどん狭まっていく。
おおっ、Excaliber初のラブシ−ンか!? ドキドキ・・・。
だが、二人は我に返ると頷き合い、不意に襖に向かって歩いていった。
ちっ・・・。 ・・・なんだなんだ? どうしたんだ?

 

 ガラッ!!

 

 勢い良く襖を開ける、景太郎となるの両名。

 

「「「「うわっ−!?(みゅ−!?)」」」」

 

 そして転がりこんでくる、キツネ、素子、しのぶ、たまの三人と一匹。
・・・どうやら、襖にコップをくっつけて聞き耳立てていたらしい。
コップの跡が全員の耳に残っている。 少々マヌケな恰好だ。

 

「・・・何やってるのかしら、キツネ? まさか、今まで覗いてたって
 いうんじゃないんでしょうね? それに素子ちゃんやしのぶちゃんまで・・・
 心配してくれるのは嬉しいけど、それとこれとは別よ!」

 

 腰に手を当て、仁王立ちで転がり込んできた面々を睨むなる。
その隣では、景太郎が呆れたように見ていた。

 

「あははは・・・イイモン見つけたんやけど・・・どうやらもう必要ないようやな」

 

 キツネが代表でなるに謝る。

 

「なに、いい物って?」

 

「これや。 遊びながら運動できるで−」

 

 なるの疑問に答えるように、キツネが懐から取り出したのは、
コナミの名作、爆発的に売れたゲ−ムソフトのDDRとDDR 2ndRemixだ。
ちなみに、アメリカにはまだDDRはまだ発売されておらず、それどころかコナミ製品
さえ売っていない。

 

 ただ、ゲ−ム雑誌で紹介記事を見たので、もうそろそろ発売されるはずだ、
とExcaliberは見ている。

 

「・・・なに、上の文?」

 

「気にするな、なる。 この世には気にしちゃいけないことが、沢山あるんや」

 

 妙に悟りきった口調で言うキツネ。

 

「まあいいわ。 で、どこで手に入れてきたの、それ?」

 

「スゥの部屋からぶんどってきたんや」

 

「「・・・スゥちゃんもかわいそうに・・・」」

 

 キツネのその科白に、同情する景太郎となる。

 

「・・・そういえば、スゥちゃんはどうしたの?」

 

 スゥの姿が見えないことに気付いた景太郎は、思った事を口にした。

 

「カオラなら、今食堂で御飯食べてますよ、センパイ。
 これを貸してもらうかわりに、御飯食べていいって許したんですよ」

 

「・・・その様子、目に浮かぶよ」

 

 スゥが御飯を食べている光景を想像し、思わず笑い出す景太郎。

 

「で、どうするのそれ?」

 

「決まってるやないの。 今からやるんや」

 

「「え?」」

 

「キツネさん、もう夜も遅いからやめませんか?」

 

 素子が恐る恐るキツネに尋ねる。が、その口調はもうほとんど諦めきった口調だった。

 

「駄目や! なるをダイエットさせんと(ウチも痩せられへんやんか)!!
 ・・・そう、名付けて〔燃えよ体脂肪〕大作戦や!!」

 

 自分も痩せたいから、燃えているキツネ。 ・・・何故に〔燃えよ体脂肪〕?

 

「素子が読んでた、〔燃えよ剣〕っていう小説から思いついたんや」

 

 う−ん、納得。
 そのまま、景太郎、なる、キツネ、素子、しのぶの五人は一階に降りていった。

 

 

「あ、これ知ってます。 ゲ−ムセンタ−で人気あるんですよね?
 一回、友達と一緒にやったことあります」

 

「そうなのか、しのぶ。 ・・・私はそんな所行ったことがないが・・・」

 

「で、どうやるんです、これ?」

 

 プレステに、専用コントロ−ラ−を二つはめているキツネに、
 景太郎がソファに腰掛けながら尋ねる。

 

「ル−ルは簡単や。 曲のリズムに合わせて、出てくる矢印を指示通りに
 踏めばいいんや。 どや、簡単やろ?」

 

「よくわかりませんが・・・」

 

「まあ、やればわかると思うわ。 じゃあ、しのぶ。 みんなに見本見してみ」

 

「はい。 ・・・じゃあ、これ・・・」

 

としのぶが選んだのは、DDRではお馴染みの
〔BUTTERFLY/SMILE.dk〕だ。
この曲を聞くと、DDRだなぁと思うのは僕だけだろうか?
ちなみに、Excaliberはこの曲を聞くと、今では体が勝手に
動き出すまでになった。 ・・・はっきり言って、ただの変人である。

 

「この曲を始めてやったとき、Dランクだったんですよね・・・」

 

そういいながら、踊り始めるしのぶ。
思ったんだが、このゲ−ムってプレイしている姿が踊っている様に
見えるだけなんじゃないか? みなさんどう思います?

 

 でも、しのぶちゃんの踊っている姿、是非とも見てみたい。
ていうか、全員見てみたい。 とってもかわいいんだろうなぁ・・・。

 

「あ、Cランクに上がりましたね」

 

 嬉しそうにランク表示画面を見ているしのぶ。

 

 ちなみに、Excaliberはこの曲を初めて踊ったとき、
ディスクエラ−でわずか開始三秒(!)で終わってしまった。
まさかディスクエラ−とは露ほど思わず、Excaliberは運動能力が
本気でないと嘆いたものだ。 今は簡単にSランクだせるけど。

 

「次はウチやな。 ディスクを変えて・・・2nd!
 曲は・・・〔BRILLIANT 2U/NAOKI〕や!!」

 

 チャ−チャッチャ、チャ−チャッチャ・・・とお馴染みの前奏が鳴り始める。

 

「・・・なかなか・・・難しいやないの・・・。
 あ−! ミスってしも−た!! せっかくここまでパ−フェクトやったのに・・・」

 

 そういえば、2ndってステップ判定が元祖DDRより
厳しい気がするのは、僕の気のせいだろうか?
 一回ミスると、おもいっきりダンスゲ−ジが下がるんだよな。

 

「ふ−ん、だいたいわかったわ。 で、一人しか出来ないの?」

 

「いや、二人でも出来るで。 〔VERSUS〕とか
 〔COUPLE〕っていうモ−ドがあるし」

 

 そう、2nd Remixには、初めから〔VERSUS〕と〔COUPLE〕
などの隠しモ−ド(っていう程のものじゃないか)が出来るのだ。

 

 ・・・ただ、Excaliberは一つ(一枚?)しか専用コントロ−ラ−を
持っていないので、二人プレイなど夢のまた夢である。

 

「あれ? 普通のコントロ−ラ−でも出来なかったっけ?」

 

いや、出来るんだけどさ、普通のコントロ−ラ−でやると、すんごくつまんないんだよ、
景太郎。 やっぱり、専用コントロ−ラ−で遊ばないと。

 

「じゃ、成瀬川。 COUPLEでやってみる?」

 

「いいわよ。 ・・・景太郎なんか足元に及ばないってコト、
 証明してあげるわ!」

 

 で、二人の選んだ曲は〔TRIP MACHINE/DE−SIRE〕。
・・・はっきり言って、すごく無謀である。 Excaliberはこの曲で
遊ぶと、だいたい二十秒で終わってしまう。

 

「な、なによコレ!? こんなの出来るワケないじゃない!!」

 

「成瀬川が選んだんだろ!?」

 

 ・・・この曲踊れる人いるのかな。 是非とも一度見てみたい。

 

「あ、足がもつれ・・・うわ!!?」

 

 ズルッ!!

 

 余りのメチャクチャなステップに、こける景太郎。
ちなみに、〔TRIP MACHINE〕の〔TRIP〕には旅行・・・ではなく、
〔こける、(足が)もつれる〕という意味があります。 みなさん、知ってました?
実は、僕も知らなかった(笑)。

 

 とにかく体を支えようと、手近な物を掴もうとする景太郎。

 

「いててて・・・。 ・・・なんだ、これ?」

 

 景太郎が掴んだ物・・・とは、なるのスカ−トだったりする(笑)。
お約束だな、景太郎。

 

「・・・・・・(汗)」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

 下着姿で固まっているなる。 もちろん、景太郎を含め、全員固まっていた。

 

「うっ、浦島−っ! キサマというやつは一度ならず二度までも−っ!!」

 

 いち早く我に帰った素子が〔妖刀ひな〕を振り上げる・・・よりも早く、
なるが素子を手で制した。

 

「ふふふ・・・。 もう一回三途の川巡り・極楽浄土見学ツア−(片道のみ)に
 連れていってあげるわ、景太郎・・・。 ・・・ふふふ」

 

「な、成瀬川がス−パ−モ−ドになってる・・・(滝汗)」

 

 何とか逃げ出そうとするが、恐怖で体が竦んで動けない。
蛇に睨まれた蛙の気持ちを、今、身を持って味わっている景太郎。

 

「ま、マズい・・・(汗)。 素子、しのぶ、ふせいっ! 早く!!」

 

「「は、はいっ!」

 

 三人が床に伏せた瞬間、成瀬川の拳に凄まじいまでの気が集中していく。

 

「私の拳が光って唸るっ!
 景太郎を倒せと轟き叫ぶっ!!
 ぶぁくねつ・・・!! 
 てぇっっけんパァァァァンチ!!!」

 

 ドゴシャッ!!!!!

 

「うげらぼえっ!!!!?」

 

 なるのシャイニング(ゴッド?)鉄拳パンチが景太郎の顔面に直撃!
会心の一撃!! 景太郎に500ポイントのダメ−ジを与えた。 ・・・景太郎を倒した。

 

「勝手に殺すなぁぁぁぁ!!!」

 

 うおっ!? まだ生きてる!?

 

「ふふふ・・・まだ生きてたのね、景太郎・・・。
 大丈夫、今度こそ本当に天国へ連れていってあげるわ・・・。 ・・・ふふふ」

 

「せ、性格が180°変わってるで、なる・・・(大汗)」

 

「こ、怖い・・・なる先輩が切れるとこんな風になるのか・・・(大汗)」

 

「センパイ、大丈夫かな・・・(心配)」

 

 いつの間にか物陰に避難しているキツネ、素子、しのぶの三人。
御丁寧に、三人の頭の上には〔安全第一〕と書かれた、お馴染みの
黄色いヘルメットが乗っかっていたりする(笑)。

 

「い、いや、遠慮しとくよ成瀬川ぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 ブオンッ!!

 

「わ−っ! 成瀬川、落ち着け−!!」

 

「待ちなさい景太郎−ッ!! 今日という今日は許さないんだから−っ!!!」

 

 ドタバタドタバタ・・・。

 

「結局こうなるんか・・・」

 

「そうですね」

 

「・・・しかし、浦島には学習能力というものが無いのだろうか?」

 

 消火器を振り回すなるから、逃げまどう景太郎。 何時ものことである。

その様子を呆れながらも、楽しんでいるひなた荘の住人達だった。

 こうして、ひなた荘の夜は更けていく。 いやな夜の更け方だな・・・(笑)。





 時間はたちまして、一週間後。


「よっしゃ−っ、〔BOYS〕をパ−フェクトで踊れたで−!」


 場所はひなた荘一階。 景太郎を含め、ひなた荘の住人達は密かにDDRにハマッていたりする。


「次は、はるかさんの番ですよ」


 景太郎が、ソファに座っていた女性・・・景太郎のおばに当たる、浦島はるかに声を掛ける。


「いや、わたしはお前たちの楽しんでいる姿を見るだけでいいよ」


 タバコを吸いながら、薄く笑っているはるか。

さすが、大人の女性。 言うことがしぶいですね。


「ただいまですっ」


「ただいま帰りました」


「ただいま帰ったで−」


 そこに、学校から帰ってきたしのぶ、素子、スゥがやって来る。


「お帰り、みんな。 さっそくだけど、みんなでやらない?」


「ああ、私達なら学校帰りにもうやってきたぞ」


 ・・・寄り道はよしましょうね、素子ちゃん。 一応、学生でしょ?


「そんな堅い事はなしやで−、Excaliber」


「そういえば、ランキング画面で〔NAL〕っていうイニシャル見ましたけど、成瀬川先輩もやってるんでしょうか?」


「そういわれてみれば、最近なる先輩はしょっちゅう外出するようになったな・・・」


「怪しい。 これは怪しいでぇ−・・・。 これは是非とも調査が必要やな」


 キツネが妙に張り切っている。


「直接本人に聞いた方が早いね」


「そうだな」


「そうですね」


 景太郎達はキツネの意見を黙殺し、直接本人に尋ねる事にした。


とそこに、タイミング良くなるがやって来る。 キツネは、いじけてるけど。


「ねえ、成瀬川。 最近よく出掛けてるみたいだけど、何処に出掛けてるの?」


「べ、別に・・・。 ほ、本屋に参考書買いに行っているだけだけど?」


「・・・そう。 ・・・あれ、これから出掛けるの?」


「う、うん。 晩御飯までには帰るから」


と、そそくさと玄関から出ていくなる。 その動きは疑ってくれ、とばかりにすごくぎこちない。


「「「「「「あやし−・・・」」」」」」



 その後ろ姿を見ながら、一同が一斉に呟く。


「こんにちわぁ・・・。 あらあら、まぁまぁ。 みなさんどうしたんですか?」


と、なると入れ違いにやって来たのは、全国のおっとりお姉さん代表、東大生の乙姫むつみ嬢だ。 

この人のスイカを使ったボケは最高。

いつも欠かさずスイカを持っているところがまたスゴイ。


「あ、むつみさん。 実は成瀬川が、かくかくしかじかで・・・」


 日本語の代表的文章表現で説明する景太郎。 僕も楽できていい。


「・・・そういえば私、昨日駅前でなるさんを見掛けましたけど?」


「・・・何で駅前まで参考書買いに行くんだろう?」


 むつみの科白に、首を傾げる景太郎。


「成瀬川のやつ、ウォ−キングでもしてるのかな?」


「まさか。 何が悲しゅうて駅まで歩いていかならんのや」


 景太郎の仮説を、キツネが否定する。


ひなた町から最寄りの予備校まで、一時間かかるんだろ、確か。


「でも、〔NAL〕っていうイニシャルって、そうはいませんよ。

 やっぱり、成瀬川先輩じゃあ・・・」


「そういえば、一番熱中してやっていたのはなる先輩だったような・・・。

 でも、なる先輩がゲ−ムセンタ−なんて行くのだろうか?」


「「?」」


 ふ−む、と顎に手をやって考え始める景太郎達。


ただ、スゥとむつみは何を話しているのか、全く理解していない。


「「「「「「・・・追いかけてみよう(みるか、みましょう)」」」」」」


 結局、六人の出した結論は、追いかけるという事に決定したようだ。

・・・好奇心(多大に野次馬根性ともいう)の、旺盛な六人だった。



 颯爽とひなた温泉街を歩いていくなる。 そして、それを追う六人と一匹の影。


「・・・でもな−、なんで追いかけるだけなのに、こんな事しなきゃいけないんだろう?」


 電柱の陰から顔を出しながら、景太郎がぼやく。


ちなみに、上から素子、景太郎、キツネ、むつみ、しのぶ、スゥの順である


(身長順に並べてあります。 詳しくは、ラブひな0を読んで下さい(笑))。


「ぼやくなぼやくな、景太郎。 確認するまではばれちゃあかんのや」


「そうですよ、浦島くん」


「そうやで−、景太郎」


 以外と楽しんでいるのはキツネとむつみ、そしてスゥの三人組だ。


「みゅ!!(怒)」


 おっと、ゴメン。 たまちゃんもいたんだっけ。 訂正。


以外と楽しんでいるのは、キツネとむつみ、そしてスゥとたまちゃんの三人と一匹だ。


「けどさ−、実は俺達の方が目立ってるんじゃない?」


 そりゃそうだ。 絶世の美少女五人と一緒に、冴えない男とカメがいれば

嫌でも目立つと思うけど?


「おっ、道を曲がったな。 スゥ、先回り出来る道知らんか?」


「こっちやで」


「先回りや。 急げっ」


 キツネが叫んだかと思うと、急いで駆け出していく景太郎達六人。

よくやりますね、ホントに・・・。


「・・・な−んか、さっきから見られてる様な気がするんだけど・・・。」


 立ち止まり、辺りを見回すなる。 そこには、水色のポリバケツが六個あるだけで、

なる以外誰もいないし、他に何もない。


「・・・気のせいかしら・・・?」


 首を傾げながらも、また歩き出すなる。 そしてその姿が完璧に見えなくなった時、

六つのポリバケツが、ほぼ同時に動き出し始める。


 ガタッ! ガタガタガタッ!!


 カポンッ!!
 ← 蓋が開いた音。


「「ふっふっふ(ふふふ)・・・。 まだまだ甘い(な、ですね)、なる(さん)」


 ポリバケツの蓋を頭に乗っけたキツネとむつみが、ニヤリと笑う。

・・・かなりマヌケな恰好だ。 ・・・確実にファンが減る恰好である。


「あの・・・何でこんな風に隠れる必要があるんですか?」


 よいしょ、とポリバケツから出ながら、しのぶがポツリと呟く。


「・・・どうでもいいですが、早く追いかけないでいいんですか?」


「「はっ!? そうだった(そうでした)!!」」


 素子の科白に、我に返るキツネとむつみの二人。


「行くで−、なるの行き先を突き止めるんや!!」


 急いで走り出すキツネ、むつみスゥの三人。 一方、隠れていたポリバケツを

ちゃんと元の位置に戻してから、走り出す景太郎達三人。

・・・ホント律儀だね−、君達。



「・・・やっぱり気のせいじゃないわ。 誰かにつけられてるわね・・・」


 ちらちらと、後ろを振り返りながら歩くなる。 一方その頃、景太郎達は・・・。


「や、やっぱりやめましょうよ、キツネさん、むつみさん、スゥちゃん。

 絶対プライバシ−の侵害ですよ、これ」


「なに言ってるんや、景太郎。 せっかくここまで来たんや。

 ここまで来たら女がすたるでぇ!!」


「そうですよ、浦島くん。 今さら引き下がれますか?」


「け−たろ、先が知りたくないんか?」


 ・・・仲間割れしてたりする(笑)。


「だ、だけどさ・・・。 三人とも、その恰好だけは勘弁できない?(汗)」


「・・・キツネさん、私一緒に歩くの恥ずかしいんですが・・・(汗)」


「・・・回りの人に、指差されてますけど・・・(汗)」


 そう、キツネ、むつみ、スゥ達三人の今の恰好は、探偵が被る様な帽子に

サングラス、そして茶色いトレンチコ−トという・・・完全装備だからだ(笑)。

そんな恰好じゃ、普通目立たない方がおかしい。 怪しさ大爆発だ。

道行く通行人は、指を指してひそひそ囁き合っている。


「ね−ね−、ママ−。 変なカッコした人がいるよ−?」


「しっ! あんなの見ちゃいけません!!」



 ちょうど通りすがりの親子が、そんな会話をしていたりする。


「おっ! ゲ−センに入っていったで」


「追いかけましょう!」


「もちろんや!」


 なるを追って、急いでゲ−センに入っていくキツネ達三人。


「「「・・・・・・」」」


 取り残された景太郎、素子、しのぶの良識人グル−プ。


「「「はぁ・・・・・・」」」


 三人は顔を見合わせ、ほぼ同時に大きな溜め息をつくと、

渋々三人を追いかけてゲ−センに入っていった。 三人とも、御苦労様・・・。


 ワァァァァァァ!!!!!


「な、なんだこれっ!!?」


「す、すごくうるさいですねっ!!!」


「ところで、なる先輩やキツネさん達は何処へ行ったのだっ!!?」


 三人がゲ−センに入った瞬間、信じられない程の声・・・いや、この場合

騒音といった方がいいのだろうか?がゲ−セン全体をつつんでいた。

そのため、通常の声量じゃ聞き取れず、大声で怒鳴るしか会話する手段がない。


「センパイッ!! あの人だかり何でしょう!!?」


としのぶが指差した先には、すごい人だかり

(しかも、ほとんど男。 むさ苦しい・・・)が出来ていた。


「うわ−っ、これはかなわんなぁ−!!」


「キツネ、どうするんや!!?」


 何時の間にトレンチコ−トやサングラスをとったキツネ達が、景太郎達の

すぐ側にやって来ていた。


「・・・そうや!!」


 何か閃いたらしいキツネ。 その証拠に、頭にでっかい豆電球が灯っている。


「豆電球なんてどうでもええねん。 ・・・たま、ちょっとこっちに来ぃ」


「みゅ?」


 ふわふわ−っとキツネの方へ飛んでいくたま。 何故、彼(彼女?)が

飛べるのかは・・・気にしない方が身のためである。 たぶん。


「・・・な? 頼むわ、たま」


「・・・みゅ・・・」


「よっしゃ、ビ−ルとチ−ズ鱒(通が好む酒の肴。 実は僕も好き(笑))

 もつけたるで。 どや?」


「みゅ!」


 どうやら商談が成立したらしい。 一体、どんな商談

(悪巧みとも言う)をしたのやら・・・。


 チュッ!!


「!?」


 何を思ったのか、突然素子にキス(ぽっ)をするたま。


「・・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」


 たまにキスされて、錯乱する素子。 カメ嫌いなので当然だ。

それに、普通誰がカメにキスされて喜ぶのだろう。


「神鳴流秘剣! 斬空閃!!」


「ああっ、素子ちゃん! やめ・・・」


 景太郎が慌てて素子を止めるが、一足遅かった。


 ドドドドド・・・ドゴッ!!


「「「「「ギャァァァァァァァ!!!?」」」」」


 素子の放った残空閃が、回りの男どもを次々と葬っていく。

(斬空閃。自分の気を放つ飛び道具、詳しくは〔ラブひな0〕を参照のこと)


「みゅ〜♪」


 楽々と斬空閃をかわすたま。 ・・・カメなんだろ、お前?


「ふっ、ふふ・・・。 どうやら、私を本気で怒らせたようだな・・・(怒)」


 目の色が変わっていらっしゃる素子嬢。 こうなると、他の人の事なんて

塵ほどにも思っちゃいない。


 ・・・そのまま、無関係の善良なる市民のみなさんを巻き込んで、たまと一緒に

周りのギャラリ−にとってはた迷惑な鬼ごっこ(命懸け)を始めたりする。


「待て−ッ、神鳴流秘剣、斬鉄閃!!」


 ドゴ−ン!!


「「「「「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?」」」」」



「みゅみゅ〜♪」


 ヒョイ


「神鳴流奥義、斬魔剣弐の太刀−ッ!!!」


 ズガ−ン!!


「「「「「のわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?」



「みゅ〜みゅみゅ〜♪」


 ヒラリ


「はぁはぁはぁ・・・」


 しばらくたまと鬼ごっこをしていた素子だが、やがて


「うぅ−ん(ばたっ)」


 気絶したりする。


「どや、これで綺麗に片づいたやろ」


「さすがやな、キツネ!!」


 自慢気に肩をそびやかすキツネに、スゥが手を叩いて喜ぶ。

そう、周りには景太郎達を除く人という人は全て、素子の剣で冥土に送られていた。


 スパ−ンッ!! ×2 ← ハリセンで叩く音


「「いたた・・・。 何すんねん、なる!!」


「それはこっちの科白よ! 何でここにいるのよ!?

 ・・・さっきから私の事つけてたの、あんた達だったのね!?」


と、どっからともなく取り出したハリセンで、キツネとスゥに突っ込むなる。


「せっかくいいところだったのに・・・。 もう一回やり直しじゃない!」


「でも、なんでひなた荘でやらないの? お金かかるのに?」


 そうだ! 1プレイ二百円は高すぎるぞ、コナミ!!


「この〔K・U〕ってヤツのスコアを塗り変えるまで、絶対やめないんだから!!」


 怒鳴りながらも、足は確実にステップを踏んでいる。

・・・以外と器用なんだね、なるちゃん(感心)。


「くやし−っ、また失敗したわ!! ・・・もう一回よ!!!」


「あれ? この記録って・・・俺が出したスコアだ」


「なんですってぇ!?」


 景太郎の何気ない一言に、素っ頓狂な声を出して驚くなる。

もちろん、しのぶやキツネも驚いている

(素子はまだ気絶中、むつみはもちろんスゥもよく意味がわかっていない)。


 そりゃそうだ。 なんせすぐ近くに、塗り変えるべき記録を保持する

ヤツがすぐ側にいるんだから。


「・・・景太郎!」


「な、なんだよ、成瀬川?」


 ビシッ、という音が今にもしそうな雰囲気で、景太郎を指差すなる。

そのため、景太郎はちょっとびびっていたりする。


「・・・景太郎! ・・・あんたに、ダンレボファイトを申し込むわ!!」


「な、なんだよダンレボファイトって!?」


 今回はイネスさんの出番が無いので、僕が説明しよう! 

ダンレボファイトとは、ダンスダンスレボリュ−ション・ファイトの略で

ダンレボファイタ−(要するにプレイヤ−)なる者達がダンスの腕

(・・・この場合、足と言った方がいいのだろうか?)を競い合う戦いの事だ!(笑)

そしてダンレボファイタ−は神聖なるリング(フットパネル)の上で

勝利を目指して踊りまくるのだ!!(爆)

「Excaliber・・・。 Gガンの見すぎだよ・・・(呆れ)」

 いいじゃん、別に。 あ−あ、アメリカでもガンダムWやってるんだから、Gガンも

放映してくんないかなぁ・・・。 でも・・・アメリカ人プライド高いから・・・

日本人が主人公なんて許せないんだろうな・・・。 いまだにジャパンバッシングが強い国だし・・・。

 でも、ポケモンとかデジモンも人気あるし、スペイン語の番組でロスト・ユニバ−スがやってたなぁ。 

・・・なに言ってるか、さっぱりわからなかったけど(笑)。


「そんなのはどうでもいいの!! やるの、やらないの景太郎!?」


というなるの目は、どこから見ても完璧に座っていた。

その瞳、〔動かざる事山の如し〕というところだ。


「わ、わかったよ・・・。 やればいいんだろ?」


 渋々とフットパネルの上に登る景太郎。


「曲は?」


「成瀬川の好きなのでいいよ」


「へぇ、たいした余裕じゃない。 じゃあ、これでどうかしら?」


となるが選んだのは、〔HERO/PAPAYA〕だ。

この曲、かなり難しい(僕にとっては)。


「い、いきなりこの曲ですか?」


「なんやしのぶ。 知っとるんか?」


 驚いているしのぶに、のんきに尋ねるキツネ。


「この曲は同時ステップのパ−トがあって、踊りにくいんですよ」


「そのわりには、二人とも簡単に踊ってるやん。

 さすが景太郎、記録を保持してるだけの事はあるんやな・・・」


「そうですね・・・」


 感嘆の声を上げる二人を尻目に、景太郎となるの二人は何でもないように次の曲を選んでいる。


「やるわね、景太郎。 この私と同じSSランクだなんて・・・」


「・・・成瀬川こそ」


 互いに顔を見合わせ、不敵に笑い合う景太郎となるの二人。

・・・なんか・・・二人だけの世界に入ってないか?


 次に二人が選んだのは、激しいユ−ロビ−トが特徴の

〔IF YOU WERE HERE/JENNIFER〕だ。

この曲は、半拍パ−トがあって難しい。 


「・・・悪いけど景太郎、ここで勝負を付けさせてもらうわ!

 ・・・いくわよ!!」


 曲が始まった途端、何やら身構えるなる。


「私の足が、光って唸る!

 あんたを倒せと轟き叫ぶ!!

 ・・・必殺!

 シャイニングゥゥゥゥゥゥ・ダァァァァンス!!!!」


 タ、タ、タタ・・・。 ← なるの足が、パネルを捕らえていく音。


「な、なんでしょうかキツネさん。 シャイニングダンスって・・・(汗)」


「・・・しのぶ、何回も言うようやけど、この世には気にしちゃいけないことが

 ホンマぎょうさんあるんや」


「Excaliber、ホンマGガンの見すぎやで−」


「なんですか、Gガンって? ・・・ああ、特殊工作員のことですねぇ?」


「みゅ(それはGメン)!!」


「あら? 違うの? ・・・目からビ−ム出したり、天候操ったりする人達のこと?」


「みゅみゅ(それはXメン)!!」


 ボケるむつみに、冷静に突っ込むたま。 ・・・お前、本当にカメなのか?


「どう、景太郎? 勝負はついたみたいだけど?」


 勝ち誇るなる。 そう、なるの〔シャイニングダンス〕とやらの効果があったかどうかはわからないが、

景太郎よりスコアが若干良かったのだ。


「どうやら、俺も本気でやらないといけないようだな。

 曲は・・・そうだな、〔SP−TRIP MACHINE〕でいいかな?」


と、今まで普通に踊っていた景太郎が、初めて曲を選んだ。

しかも、DDR史上最高峰の難易度を誇る曲を、だ。


「ちょっと、あんた正気!?」


「正気だよ。 ・・・成瀬川は俺に勝つ自信、あるんだろ?」


 ニヤリ、と挑発的に笑う景太郎。 そしてそのまま、ファイナルバトルに突入する二人。


「くっ! 〔シャイニング・ダンス〕!!」


 いきなり初めから奥義〔シャイニング・ダンス〕を発動するなる。

が、〔シャイニング・ダンス〕では追いつかないのか、所々ステップを踏み間違える。


「・・・見てろよ、成瀬川。 ・・・これが、〔キング・オブ・ダンサ−〕のステップだ!!」


 そう叫ぶやいなや、構えを取る景太郎。 一応ラブひなだろ、これ?


「・・・俺の足が、光って唸る!

 お前を倒せと轟き叫ぶ!!

 ・・・爆熱! ゴッドォ・ダァァァンス!!」


 まあとにかく、景太郎の足はあの難しいステップを楽々と捕らえていく。

普段の鈍い景太郎とは大違いだ。

 そして運命の時。 ランク画面が表示される・・・。

 景太郎・・・SSランク(絶対不可能だ!)。

 なる・・・Cランク(普通Cランクも取れないだろ?)。


「ま、まけた・・・」


 ガクリ、と膝をつくなるに、景太郎が手を差し出す。


「ナイスファイト、成瀬川。 ・・・俺も一瞬、負けるかと思ったよ」


となるの手を取る景太郎の顔は、清々しい笑顔だった。

その笑顔に、思わず見惚れるなる。


「・・・私の負けよ、景太郎。 完敗だわ・・・」


「そんな事ないよ、ほら」


「え?」


と景太郎が指差す先には、ニュ−レコ−ド入力画面があった。


「成瀬川がいなかったら、俺はこの記録を塗り変えられなかったよ。

 これは俺と成瀬川、二人の記録だよ」


「景太郎・・・」


 フットパネルを操作し、新しいイニシャルを登録する景太郎。

そこには、〔K&N〕と入力してあった。


「・・・どうやら、部外者は退散した方がええみたいやな・・・」


「・・・そうですね」


「・・・いいなぁ、成瀬川先輩・・・」


「・・・ひなた荘についたら、みんなでやろうなぁ−」


「・・・ぅうぅ−ん・・・」


「お、起きたか素子。 ・・・さあ、先にひなた荘に帰るで」


「はぁ・・・」


 一足お先に帰り仕度をするキツネ達。


 そしてその頃、景太郎となるの二人は・・・。


「次こそ絶対勝つからね、景太郎!」


「おい! 負けを認めたんじゃなかったのか!?」


「それはそれ、これはこれよ!!」


「・・・望む所だ!」


 ・・・また、ダンレボファイトをやってたりする(笑)。

まあ、本人達が楽しそうだからいいか。

・・・その後、景太郎となるの二人は、ずっと踊り続けたらしい。



 そして、そのゲ−センのDDRのレコ−ドには、〔K&N〕のイニシャルが、

ずっと残っており、ダンレボファイタ−(笑)の目標となっているという・・・。








                                  Fin





 お・ま・け♪



「し、しのぶちゃん、もうちょっと優しく・・・」


「・・・センパイ・・・。 普通、三時間も続けて(!)踊りますか?(呆れ)」


 しのぶに、マッサ−ジしてもらっている景太郎の姿があった。

そして、そのすぐ隣のソファでは・・・。


「も、素子ちゃん・・・もうちょっと下・・・いたた・・・」


 同じく、素子にマッサ−ジしてもらっているなるの姿がある。


「・・・どうして、こんな足腰立たなくなるまで踊ったんですか、なる先輩?」


「それはね、素子ちゃん。 ・・・大人の事情なのよ」


「はあ?」


 とそこにプレステとDDR専用コントロ−ラ−を持ってきたスゥとキツネ。


「なんや、け−たろ−となる、二人とも筋肉痛でダウンか?

 ・・・せっかくみんなでやろうと思っとったのに・・・」


「アカンで、スゥ。 ・・・この二人はな、さっきまで

 死ぬほど踊ってきたんやから。 暫く寝せとき」


「でも、センパイすごかったですよね−。 あんな難しい曲を、

 パ−フェクトで踊ったんですから・・・」


その時の場面を思い出しているのか、ポ−ッとした夢見る少女の瞳(笑)状態の

しのぶ。 ・・・この子って、ちょっと妄想癖あるよね・・・。


「まあいいわ。 みんな、ダンレボファイトや!」


「「もうDDRは、こりごりだ(こりごりよ)!!!!」」



 ひなた荘に、景太郎となるの叫びが同時に響きわたったとさ。
今度こそ、本当におしまい。 チャンチャン♪







後書き



 ど−も、Excaliberで−す! お久し振りですね。

みなさん、今回のお話はどうでした?


「「たぁ−っ!!」」


 スパ−ンッ!!×2 ← ハリセンで叩いた音。


 ぐおっ!? な、何するんだ浦島景太郎・なる夫妻。

これまた見事なハリセンの突っ込みだね・・・イテテ・・・。


「「な、なにが夫妻(だよ、よ)!」」


 またまたぁ、照れちゃってぇ。 大丈夫、君達の言いたい事は

わかっているつもりだから。 何度も言うようだけど、

僕は本当に君達の事を応援しているからさ。


「・・それ以上言うと命無いわよ、Excaliber。

 ・・・コホン。 それにしても・・・なんで今頃DDRを題材にしたの?」


 フフフ、それはだね、なるちゃん。 ・・・僕的ヒットゲ−ムだからさ!(笑)

元々これを題材にしよう、というのは日本に帰った時から考えてたしね。

ただ、ナデシコキャラでやるとさ、総勢15人(暫定)も書かなきゃならないだろう?

どうしようかな−、と思っている時に、〔ラブひな〕を知ったんだよ。


「ま、それはいいとして・・・なによ、ダンレボファイトって?」


 ああ、あれ? ウチではDDRをするとき、ああいう風にやるんだ(笑)。

んで、ダンレボっていうのは、もう一つのDDRの略称さ。


「Excaliberの腕前(?)はどれくらいなんだ?」


 たいしたことないよ、Basicの〔BOYS〕が何とかパ−フェクトで

踊れるくらいだから。 君達に比べると、天と地との差があるよ。

ていうか、異常だよ君達。 特に、景太郎!!

 しかし・・・どうしてアメリカ人はDDRがあんなにヘタクソなんだ?

普通ちょっと練習すれば、誰だってそこそこ踊れるようになるんだけど。

現に僕がそうなんだし。


「やらせた事あるの、Excaliber?」


 うん、知り合いと一緒にやった事がある。

そうそう・・・君の七不思議のうち二つまで解明されたね、景太郎くん。

不死身の再生能力に、DDRが異常に上手い、か・・・。 あと五つ・・・。


「よく言うよ、思いつきだったくせに・・・(ジト−)」


 ・・・はい、すみません・・・(ペコリ)。


「そういえば、もうそろそろハロウィ−ン(10/31)じゃない、景太郎?」


「Excaliberの住んでいる所は、ピ−ク時になると、

 三十秒に一回の割合で(注:実話)子供がやってくるんだってさ、成瀬川」


 あ、そういえば・・・そろそろハロウィ−ンだな。 面倒くさいんだよね、あれ・・・。

まあいいや、SS書きかDDR(笑)でもやってよう。

 それに、そろそろまた日本に帰れるし・・・うれしいなぁ。

帰ったら、まっさきに風呂入ろう。 なんせ、二年間も風呂入ってないからなぁ。


「「き、汚いな(汚いわね)、Excaliber(汗)」」


 ああ、そういう意味じゃなくて、日本式の風呂に入ってないってこと。

ちゃんと毎日シャワ−は浴びてるって(笑)。 安心して、二人とも(爆)。

それに、ラブひなのアニメも見れるし・・・楽しみだ。


「「なに言って(るんだ・るの)、Excaliber。

  アニメ版ラブひな、通称アニひなはとっくに終わってるけど」」


 な、なにぃ!? ・・・そ、そうだ、まだゲ−トキ−パ−ズがあるじゃないか。


「「・・・それもとっくのとうに終わってるけど?」」


 ・・・ガ−ン・・・。 両方とも、一回も見てない・・・(泣)。


「「で? 次はどうするの、Excaliber?」」


 ・・・ん? 次はナデシコだよ。 

ナデシコとラブひな、交互に書いていくつもりだから。


タイトルは


ナデシコであった、本当に怖い話 Vol.06.

未来より来たりし災厄・あるいは幸せの予兆 − その2 −

明星のワルキュ−レ


です。

 誤字、脱字、苦情、感想メ−ル等、二十四時間いつでもお待ちしておりま−す!

時差の関係で、少々遅れますけど(苦笑)。

 このお話についての意見を皆様から貰えたら幸いです。

特に、キツネとスゥの関西弁について。 関西在宅の方々、ご協力ください(笑)。

僕は生まれも育ちも関東なんで、分かりません(笑)。

それでは、HAPPY HALLOWEEN!


「「Trick or treat!! ・・・てねっ。

  ということでExcaliber、お菓子ちょうだい(笑)」」


 あんたら、そういう歳かい! 仮にも二十二歳と十九歳でしょうが(笑)!!


管理人の感想

 

ExcaliberさんからSSの投稿です!!

いや〜、凄い大作ですね〜

処理をするのに手間取ってしまいました(苦笑)

それにしても、ラブひなとは・・・ね(笑)

やはり、Benの影響もあるのですかね?

これを機会に、お互いに他のSSにも挑戦してみたいですね!!

ちなみに、Benはアナザーなら何とか踊れます(爆) 



では、Excaliberさん投稿、本当に有難うございました!!

 

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