激闘!!超人大戦!!


第三話中編



闇の中、ひなた荘の中庭で素子とスニゲーターが対峙する。

「シャァァァァァ!!」

奇声を発した直後、手に持った袋を岩の上に置き凄まじいスピードでスニゲーターが素子に真正面から突っ込んでいく。

素子が止水を抜き放ち横一線になぎ払うが、それを察していたのかスニゲーターはスライディングに切り替え素子の足に一撃を加えた。

「うわっ!?」

思わずうつぶせに素子が倒れ、うつぶせの素子に対し背後からスニゲーターが牙を剥き噛み付こうとする。

殺気を感じた素子はそのまま転がり牙を間一髪のところでかわすが、スニゲーターはそれを追いかけるようにして噛み付きを連発していく。

転がって逃げる素子とそれを追いかけるスニゲータ、両者の差はあまり変わらなかったが永遠に続くものではない

ついに中庭の池の淵にある大岩が進路を塞いでしまった、素子が岩に背を向け立ち上がろうとするが

「一思いに頭を丸かじりにしてやる!クゥワァァァァァァァァ!!」

上半身だけを上げたところで、視線の先ではスニゲーターが大口を開け素子の頭めがけ噛み付こうとしていた。

「ちぃ!!」

とっさに素子は腰に残してあった止水の鞘をスニゲーターの口に噛ませる。

苦肉の策だったが、そのおかげで一瞬スニゲーターの動きが止まった、その隙に立ち上がりと同時に脇を駆け抜けスニゲータの腹に一閃をくわえる。

スニゲーターの腹に傷が刻み込まれるが、素子が距離をとり振り向いた頃にはすでに傷は再生を始めていた。

「くくく…なかなかしぶてえな。」

止水の鞘を煎餅でもかじるかのように、易々と噛み砕きながらスニゲータが余裕の表情を見せる。

「当たり前だ!そう簡単にやられるか!」

素子が凛と言い放つのを見てスニゲータは心底嬉しそうな笑みを浮かべる、

「獲物はしぶといから喰いがいがあるんだぜ。ま、せいぜいあがいてみろや!」

再びスニゲーターが素子に突撃しようとするが、

「そこまでや!!」

朝と同じようにスゥの声が中庭に鳴り響く、声のした方向をを見ると縁側にスゥとキツネとしのぶ、成瀬川の四人が立っていた。

「ちょうどいい!テメエも来たか!そこを動くなよ?こいつを片付けたら朝の借りを返してやる。」

スニゲータが朝に自分に手傷を負わせた張本人、スゥを睨みつける。

「あわわわわわわわわ…」

「しのぶちゃん、落ち着いて…」

なぜかスゥではなくしのぶが怯え、成瀬川が落ち着かせる。

「なあ、ちょっとええか?」

しかし口を開いたのはスゥではなくキツネだった。

「あんたら今朝から暴れてるけど…一体何が目的なん?」

スニゲーターが一瞬唖然とするが、

「何でテメエ等にそんな事教えなきゃいけねえんだよ?」

再び人を見下した笑みを浮かべながら話す。

「そりゃあ訳も分からずに殺されるのはごめんやからな、せめて理由を聞かせてもらいとうてな。」

「ククク…テメエらに教える義理なんてこれっぽっちもねえ。それにたとえ話したって下等な人間に俺達悪魔超人の崇高なる目的が分かるわけねえからな。」

「ふ〜ん、そうか…」

直後にキツネはいつもの人をからかう様な笑みを浮かべた。

「ま、別に殺される気ぃないからどーでもええんやけどな。それよりアンタ、下等な人間からの忠告させてもらうと…もっと周りを見た方がええで?」

「何ぃ!?」

スニゲーターが後ろを振り向くと、

「いや〜ごめんね、返してもらうよこれ。」

瀬田が岩に置いてあった布袋を持ち、申し訳なさそうに笑顔でこちらを見ていた。

「!貴様!はめやがったな!」

スニゲーターの怒りが怒りと共にキツネに向かい駆け出すが、二人の間にアキトが降り立った。

アキトはスニゲーターの懐にもぐりこんで顎に掌底を打ち、よろけた所に踏み込み式の肘打ちを鳩尾めがけ放つ。

「グギャ!」

スニゲーターが悲鳴を上げ、一旦後ろへ跳ねるようにして距離をとる。

その隙にアキトは素子の元へと駆け寄った。

「大丈夫?素子ちゃん?」

「あ、ああ…」

素子が彼女にしてはしおらしく返事をする。

アキトが強いのは皆が暗に気付いていたが、ここまで派手に幾人もが見ている前で強さを誇示する事は滅多に無い、

それが今対峙している相手、超人の強さを示していた。

「やるじゃねえか、お前等…」

再生力の高さがウリなだけあって、スニゲーターが事なさげに立ち上がる。

「おのれ!バケモノが!」

「ふっふっふ…落ち着きやモトコ。」

スゥが不敵な笑みを浮かべる。

「無敵の再生力を持つならそれを打ち破るだけの力があればええんや!カモン!メカタマ軍団!!」

すると縁の下や天井、池の中…多種多様なとこから出て来たメカタマが朝と同じようにスニゲーターを囲んだ。

「ちょっと待て!お前、朝ので全部自爆させたんじゃなかったのか!?」

「ちゃうでモトコ。朝のはプロトタイプ、今出てきたのは量産型や。メカタマ帝国実現のためには開発を重ねんとな!」

悪魔超人の前にスゥを止めた方がいいと思うのは作者だけだろうか?

それはともかく朝と同じようにスニゲーターを再びメカタマが囲む。

直後スニゲータはいきなり口の中に手を突っ込み、黄金に光り輝く豪奢なマスクを取り出した。

「おや?まさかそれは…」

それを見た瀬田が一瞬顔色を変える。

「安心しろ、こいつは偽者だ。もはや本物は時の流れと共に消えた…だがな、こういうことが出来るんだよ!

くらえ!ワニ地獄!!」

スニゲーターが叫んだ瞬間、黄金のマスクから発する光が強くなり辺りを包み込んだ。

「みんな、見るな!!」

アキトが叫ぶ、何しろ今までの流れからすると光を見たら何が起こるかわからない、アキトの指示に従い皆は目を伏せる。

やがて光が落ち着き、皆が目を開けると…

メカタマが消え、替わりになぜか凶暴そうな無数のワニがいた。

「うちのメカタマは!?どこいったんや!?」

自分のコントロールを離れて一斉にメカタマが消える、一体や二体ならともかくそんなことは物理的にありえないため、スゥが混乱する。

「何言ってんだよ?ここにいるじゃねえか?ここによ。」

スニゲーターが嬉しそうに自分の傍にいたワニの頭を撫でる。

「ちょっと待てい!あきらかにカメちゃうやん!」

キツネが思わず突っ込むが、

「俺のワニ地獄を浴びた非生物は爬虫類へと変化する!」

「んなんありか!?」

「非生物を生物に変える?めっちゃスゴイで!?それ!」

「これが悪魔超人の力よ!!」

「「一言で済ますな!!」」

至極当たり前に話すスニゲーターにキツネとスゥの関西弁コンビが思わず同時に突っ込む。

「んな事はどーだっていいんだよ!!いけ!ワニども!奴らを喰い尽くせ!!」

スニゲーターの号令と共に一斉にワニがアキト達に向かい襲い掛かってきた、

瀬田とアキト、素子がそれを迎え撃つ。

「キツネさん、しのぶちゃん、スゥちゃん、なるちゃん!!はるかさんの所へ行ってくれ!!」

アキトが戦闘能力が低いと思われる四人に向かい、ワニを蹴り飛ばしながら叫ぶ。

「先輩!」

しのぶがおもわず叫ぶが

「大丈夫!ここはまかせて!」

「安心しろ、こんな爬虫類の群れなどに遅れは取らん!」

「久々に体が動かせてむしろ調子がいいからね。」

アキト、素子、瀬田がワニをそれぞれ撃退しながら余裕あるセリフをはく。

それを聞き再びしのぶが何か言おうとするが、

「しのぶ、はよいくで。」

キツネがそれを止めた。

「えっ?でも…」

「心配して残るって言うのは逆効果やで、悲しい事にうちらはワニ一匹も倒せん。だったら邪魔にならないようにするのが一番や。」

「ま、アキト一人じゃ心配だけど…素子ちゃんもいるし、何より瀬田さんもいるんだから大丈夫よ。」

成瀬川がしのぶを心配を減らすようにフォローを入れた直後…

ドゴーーーーン!!

爆音と共にワニが数匹まとめて吹っ飛んだ。

「ふっふっふっ…おもろい!その科学の壁を無視する力!うちが真正面から砕いたる!」

スゥが懐から爆弾を取り出しワニの群れているところに投げつける。

ドゴーーーーーン!!

再び爆音が鳴り響きワニが吹き飛んだ。

「まあ、あいつは連れてかんでえーやろ…」

「スゥちゃんノリノリね…」

「っていうか、あとちょっとで先輩たちまきこみそうなんですけれど…?」

スゥが投げている爆弾は結構広範囲のワニを巻き込んでいる、投げる方向をちょっとでも誤れば混戦中の誰かに直撃しそうだ。

戦闘を見守る三人の顔が一瞬青ざめるが、

「あはははは…ちゅーことで、あとはまかせたで!」

「アキト、そこまで言ったからには責任持ってぶちのめしなさいよ!」

「先輩…私、待ってますから!」

とりあえず居残りメンバーなら何とかなるだろう、という判断をくだし三人はセリフを言い残し後ろへと駆けて行った。

ワニ達の幾匹かが追おうとするが、

「斬空閃!!」

到達前に素子の剣技によって粉微塵になって吹き飛ぶ、これでワニの数は半数以下になった。

「覚悟しろ!次は貴様の番だ!」

素子が挑発するが、スニゲータは意にかえさずにニヤついた笑みを浮かべ唐突に、

「出番だぜ!魔雲天!!」

庭に響き渡る声で叫んだ。

オォォォォォォォォォォ…

直後、辺りに重々しい雄叫びが響く。

嘶きが止んだ次の瞬間、庭の大岩からいきなり二本の手が飛び出し、周りのワニをあらかた倒していた瀬田を捕まえ高く差し上げた。

「うわ!?」

「ウワハハハー!貴様、ようやく捕まえたぞ!散々てこずらせよってからに!」

岩に浮かんだ顔が言葉を発し、それを期に大岩は変化を遂げ十秒後には柔道着を着た山型の岩石人間が立っていた。

「悪魔超人!?いつここに!?」

「日本アルプスからこいつを追いかけてきたのだ!もはや逃がさん!くらえ!」

魔雲天は大声で叫んだ直後、魔雲天は瀬田を思い切り力任せに振り回した、瀬田の懐にしまってあった布袋が転がり落ち、それをワニの一匹が咥えた。

「む、せたやんのピンチ!やらせるかー!」

それを見たスゥが何処から取り出したのかバズーカを発射する。

爆弾以上の爆風が巻き起こり、布袋をくわえたワニと一緒に瀬田と魔雲天ごと吹き飛んだ。

「あれ?火薬多すぎたか?」

「多すぎたか?じゃないよ!瀬田さーん!大丈夫ですかーー!」

アキトがスゥのセリフに突っ込みを入れた後、瀬田の名を呼ぶ。

すると庭の池であぶくが浮かび、

「ぷはぁ!」

瀬田があぶくの出たところから出て来た、どうやら池まで吹っ飛ばされたらしい。

「せたや〜ん、ごめんな〜」

「はは、いーよ。慣れてるからね。それよりありがとう、おかげで助かったよ。」

誤爆を謝るスゥに瀬田が裏の無い笑顔で返事をする、このリアクションを見ると本当に慣れているのかもしれない。

瀬田がそのまま池から上がろうとした時、

「うおおおおおおお!!」

池の中からいきなり飛び出してきた魔雲天が再び瀬田に奇襲をかけた。

どうやら一緒にここまで吹き飛ばされたようだ。

だが瀬田は少し首を後ろに向けただけで、そのままトラースキックを魔雲天の顔面めがけはなった。

「ぬお!?」

魔雲天が顔面を押さえ動きが止まる、その隙に瀬田は体を完全に魔雲天の方向へ向けた。

「こいつがここに来たのは僕のせいだ。こいつの相手は僕がしよう、アキト君、2人とこれを頼んだよ。」

アキトめがけ瀬田が布袋を投げそれをアキトが受け止める、吹き飛ばされたときにドサクサ紛れに懐へ入れてたらしい。

直後、瀬田は池の中に立つ魔雲天めがけライダーキック気味の飛び蹴りを放つが、

「させるかー!」

魔雲天は空中でキャッチし、喉を掴みそのまま喉輪落としを仕掛ける。

しかし瀬田もただでは転ばず、不安定な体制の踵落としを魔雲天の顔面を狙いはなった。

顔面への直の衝撃、魔雲天の手がそれで少し緩み瀬田は最悪の体制からは脱出したが、投げ自体からは逃れられず、そのまま水面へと落下する。

水温が響き瀬田の体が浅い水中に沈んだ。

ダウンした瀬田めがけ魔雲天が体を預け寝技へと持ち込もうとするが、瀬田は間一髪立ち上がり一旦距離を取る。

間をおかず魔雲天が立ち上がり、瀬田と対峙する。

池の中央、二人の視線が火花を散らした。



「瀬田さん!」

アキトの注意が瀬田に向かった直後、残りのワニが一斉にアキトへと襲い掛かった。

四方八方からの数による一斉攻撃、しかしアキトはそれを察知して上空へとジャンプする。

目標を見失い、右往左往するワニの群れに向かい、

「竜破斬!!」

「吹き飛べーー!!」

素子の剣技とスゥの爆弾が同時に炸裂した。

「これでワニは最後か!」

空中の視点から見たアキトがワニが消えた事を確認する。

だが次の瞬間、上空のアキトに向かい正体不明の十字型に連なった球体群が飛んできた。

空中では避けようも無く、そのままアキトの腹部に直撃する。

「うわっ!」

十字型の球体群はそのままアキトをひなた荘の上空高くへと連れ去っていき、いきなり結合を解き放った。

支えを失ったアキトの体がそのままひなた荘の屋根へと落下する。

直後、何かの破壊音と共にアキトの姿が地上から見えない位置へと消えた。

「ちぃ!プラネットマンの野郎、余計な事しやがって…」

その光景を見た地上のスニゲーターが自分の狙っていた獲物を横取りされた猟師のようにくやしげに呟く。

「なら俺はこのガキ共を…」

「竜破斬!!」

「お前にかまっている暇はないんや!」

スニゲータが振り向いた瞬間、さきほどワニの群れを吹き飛ばした二連激が炸裂する。

凄まじい爆風が巻き起こり、煙が止んだあとには粉微塵になったスニゲーターの破片が転がっていた。

「やったか!?」

「さすがにああなれば再生は無理やろ…」

スゥが弾の切れたバズーカを足元に置きスニゲーターの死体の方へよって行く。

「!危ない!」

しかし何かを察知した素子がスゥの襟首を思いっきり引っ張る、直後スゥがいたはずの場所に重い何かが落下した。

「ケッケッケ…上手く避けたな…」

物体から吹き飛んだはずのスニゲータの声が鳴り響く。

「馬鹿な!あそこまで吹き飛んでも再生するのか!?」

「俺は進化を操る能力を持つ超人…あそこに吹っ飛んでいるのは抜け殻よ。」

セリフが終わった直後、物体から手足が生え、物体が立ち上がる。

スニゲーターの体はワニの体ではなく亀の体へと変化していた。

その姿は現在地球上にいる亀ではなく恐竜色を残した凶悪な面構えの太古の亀、アーケロンの姿をしている。

それを見た素子は顔面蒼白となり気絶してしまった。

「わー!素子!しっかりしぃ!こんな所で気絶したらアカンて!」

スゥが慌てて肩をゆすぶるが素子はピクリとも動かなかった。

「なんだ!?俺は何もしてねえぞ…そうか、そいつ亀が苦手なのか!」

それを見たスニゲータが嬉々として気絶した素子の元へ駆け出す。

「やらせるか!」

スゥが迎撃のためにありったけの爆弾を放るが、それを見たスニゲーターは手足を甲羅にしまい防御の体制に入った。

ドゴーーーーン

今までに無いほどの大規模の爆発がスニゲーターを巻き込むが…

「ケケケ…もはやこの形態となった俺にはそんなちんけなモンきかねえんだよ!」

甲羅は無傷、もちろんそこから出て来たスニゲーターの手足も無傷だった。

再びスニゲーターは素子の元へと走り出す。

「わーもうアカン!!」

スゥが素子をかばう様にして倒れこんだ次の瞬間、スゥの後ろから一つの影が飛び出し

「ライダーキィィィック!!」

掛け声と共に矢のような飛び蹴りの一撃をスニゲーターめがけ放った。

「ぐけぇ!!」

攻撃は無いと安心しきっていたスニゲータの顔面に蹴りは直撃し、スニゲーターが仰向けになって倒れる。

影はそのまま、天を仰ぐスニゲーターの腹めがけジャンピングエルボーを落とした。

「ぐぎゃっ!!」

無防備な腹への一撃にスニゲーターが悲鳴をあげる、影はもう一発続けざまに攻撃を放つ。

しかし攻撃が炸裂する直前、スニゲーターは再び蛇へと変化し茂みの中へ逃げていった。

「はははー!ヒーローはオイシイとこに参上するもの!大島克明、ここに参上!!」

影が何かヒーローっぽいポーズを決めながら叫ぶ。

影の正体は、前回に瀬田親子によるひき逃げ+土器攻撃の2プラトンをくらい天国を見た大島だった。

どうやら何とか天国から帰還して瀬田とアキトを追いかけてきたらしい。

「おお!カッコいいなぁ!…で、アンタ何モンや?」

スゥがヒーローポーズに感動しながらも怪訝そうにたずねる。

「ん、話せば長いので、かいつまんで説明するとアキトの知り合いだ。」

明らかにかいつまみすぎの返答を大島がするが、

「そっか、なら安心やな。」

スゥはあっさり信用する。

「いいのか!?そんなあっさりしていて!?」

『んなんで信用できるかー!』とか『かいつまみすぎや!』とかの突込みを待っていた大島が逆に動揺する。

「今までの傾向から行くと、アキトの知り合いは変わりモンばっかや。だったらアンタはその条件を十分満たしとる、だからだいじょうぶやと…」

「なるほど!って初対面五秒で変わり者認定?!はやっ!」

「ちなみに変わり者認定速度ベスト3に入る速さやで。」

「ベスト3ってまだ上がいるのかって…伏せろ!」

漫才気味の空気の中、大島がいきなり真剣な顔になりスゥの頭を抑え、自分も伏せた。

直後、今まで二人が立っていた場所を何かがものすごいスピードで横切り、少し離れた上空に静止した。

「勘もいいみたいだな。ただのギャグキャラかと思ったら…意外とやるじゃねえか。」

そこにはエリマキトカゲに変身し、首の周りでエリを高速度で回転させ上空に浮かぶスニゲーターがいた。

「ちぃ!今度はエリマキトカゲかって…飛べないだろ、エリマキトカゲは!」

「そんな事はどうだっていいだろ!死ねえ!!」

痛いところを突っ込まれたのかスニゲーターは怒りの表情でエリを立て、再び大島とスゥめがけ突っ込んできた。

それを見た大島が腰のナップザックに手を入れ、なにかを取り出そうとするが…

「残光閃!」

高速で放たれた光のような速さの斬撃がスニゲーターのエリを粉微塵に切り刻んだ。

「のわっ!?」

空中制御のすべを失ったスニゲーターはそのまま地面に墜落する。

攻撃の発射先には、

「亀でなくなればこっちのものだ!」

気絶から復活した素子がいた。

「素子〜♪」

それを見たスゥが素子に笑顔で抱きつく。

「すまなかったな、スゥ。心配をかけて…」

素子がそれを見て申し訳なさそうに答える、場に一瞬和やかな空気が流れたが、

「だがまだ終わっていないようだ。」

スゥを放し素子が動かなくなったスニゲータめがけ止水を構える。

直後、スニゲーターの皮が破れ、また新たなる体が出て来た。

それを見た素子が手に力を込める。

「俺の立場は…」

素子にいい所で見せ場を取られた大島の呟きが背後でさびしく響いた―――



「くっ…まさかいきなり空を飛ぶ事になるとはな…」

ひなた荘の屋根の上、アキトが膝をつき呟く。

いきなりの奇襲による落下だったが、そこはさるもので体を丸め最低限のダメージで屋根に着地し今は周りをうかがっている。

(また新たなる超人か…一体何人が今動いているんだ…ん?)

アキトが上空の星の並びがおかしいのに気付く、なぜなら本来見えないはずの太陽系の惑星、水星、金星、火星、木星、土星…それぞれの星がハッキリと見える。

「カカカカカー!気付いたか戦神!!」

次の瞬間、空に声が鳴り響き見覚えの無い星が現れた。

するとその星めがけ天空の惑星が集まり人型を作っていき…

「カカカカカー!!我こそは悪魔騎士の一人、宇宙地獄を操るプラネットマン―――!!」

合体が終わったとき、そこには惑星の集合体超人、プラネットマンの姿があった。

「惑星の合体超人…?」

「火星で生まれ、地球で最強の座に着き、木星で畏怖された男テンカワ=アキト!三つの星の象徴である貴様を倒す事により宇宙の実権は悪魔の手に移る!」

「なんだと!?」

「そりゃー!!試合開始だ!!くらえプラネットリング!!」

言いたいことを言った後プラネットマンは腰の土星の輪をアキトめがけ投げつける。

しかしアキトは壊れた屋根の破片を投げ、プラネットリングの軌道を変え寸前で避けた。

「カ〜〜〜カカカ、プラネットリングは一度俺のからだを離れたら相手の体めがけ地獄の底まで追いかける!!」

すると外れたはずのプラネットリングが軌道を変化させ、再びアキトへと襲い掛かった―――




庭の池、中庭、屋根の上…ひなた荘を舞台とした三重の死闘のゴングが鳴り響いた。





後書き


消えた作品を再構成した結果、長くなったため前中後の三部構成となりました。前回豪快な嘘つきました、ごめんなさい。

たぶん次回で超人大戦は一旦ケリが付きます。って前回の後書きの後じゃ説得力ないですね(爆)

それはともかく恒例の超人図鑑のほうを。


ザ・魔雲天
                               必殺技  マウンテンドロップ

7人の悪魔超人の一人、秩父山中でテリーマンと死闘を繰り広げ死亡。1トンの体重から放たれる重量級の一撃は説得力がある。

実は超人強度が悪魔超人の中で一番低い(50万)のは公然の秘密だったりする。


それでは次回また。

 

 

代理人の感想

火星と地球はともかく、畏怖されてるって事は木星の象徴ではないよーな気もするんですが、

それは言っちゃいけないんでしょうか。(爆)

 

 

それはさておきついにプラネットマン登場!

股間に晒されるのは、そしてアキトの攻撃を食らって散華するのは誰だ!(おい)