第一章〜新しい世界へ〜
(三)

 モコを発ってからどれくらいたったか分からないが、旅は順調そのものだった。

 森を抜けた後とは違い、整備されているとは言えないが一応の土の盛り上がった道が続いている。

 いつも通り、と言っては変な感じだけど、デニーが先頭に立ち、その後に僕とバドが続く。

 モコから今までの間、目に映るのは何処までも広がっているように思える草原に時々生えている木々だけだ。
僕はゆったりとした、何事もない時間が大好きだから全く苦にはならない。ただ僕の大親友は口をへの字に曲げて、
つまらないと何度も呟きながらデニーの横に行っては何か文句をつけている。

 いっこうに変わらない風景にバドの我慢は耐える事が出来なかった。
デニーの前に飛び出して上を見ながら豪雨のような勢いで喋り出した。

「おい、いつになったら着くんだよ! もうこんなつまらないのは嫌だ! 
 まだ全然着かないならなんか面白い話をしろ! それが嫌なら全力で走ろう! とにかくもうつまらないのは嫌だ!」

 周りに誰もいなかったのが幸いだ。元気な子供と言うだけで十分声は大きい。
勿論、僕みたいな例外もいるにはいる。それでも元気な子供の中でもバドの声は一際大きいに違いない。
聞き慣れているとはいえ、僕はあらかじめ耳を両手で塞いでおいた。

 声が大きいという事はデニーも知っていただろう。だがここまでとは思っていなかったようだ。
その油断がデニーの両耳を否応無しに攻撃する。

 デニーは首を少し引きながら明らかに嫌な顔をしていた。それを見ても尚バドが大声をあげようとするので、
右手を前に出して中断させた。

「分かった、分かったから少し落ち着け。次の町まで確かにもう少しかかる。
 だからといって走ることは出来ない。俺やお前はともかく、エリウスがついてこれないだろう?」

 自分でも体力のなさは重々承知していたが、あっさりと言われると幼心に薄い傷がついた。
苦笑いをするしか僕には出来ない。

 バドがデニーの横から顔を出し、僕のことを上から下まで視線でなめまわした後納得したようで首を縦に振った。それも勢いよく。
幼心にまた一つの薄い傷が出来た。

「じゃぁ何か話せ! 何でもいいから外の世界のことを!」

「ああ、分かったよ。お前少し声の大きさ調整できるようにしておけよ。
 町中でそんな大声出されたらいい笑いものだ。俺とエリウスがな」

 デニーが悪戯っぽく笑うと、バドが頬を髪に負けないぐらい赤くして『うるさい、馬鹿!』と叫び、再びデニーの両耳を襲う。

 僕といえば後ろでひっそりと笑って、その光景を見るばかりであった。
この二人は性格的な意味でよく似ている、兄弟見たい。と思うとまた笑いが零れた。

 一通りの話が済んだ後、僕らはまた盛り上がっただけの土の道を進み出す。
横の長さは丁度僕ら三人が横に並んでいっぱいいっぱいだった。詰めるように真中をデニー、左右に僕らで一列に並ぶ。

「とは言っても何も話すことなんて無いんだな。お前らが知りたい事を教えてやってもいいが、
 それはこの前したしもう知りたいこともないだろう?」

 たまに無意味に曲がるだけの土道を歩きながらデニーが左右の顔を見た。

 ないだろう?と聞かれて『あります!』とは答え難かった。
曖昧な笑みを浮かべながら僕が妥協して縦に首を振ったところで意味が無い事に気付いたのは数瞬後の事。

「ハンターの仕事についてもっと詳しく聞かせてくれよ! 
 色々って言っても色々あるんだから、どんな仕事があるかぐらい言えるだろ!」

 容赦無く先ほどより小さいとは言え、それでも大きい声で叫ぶように言い放つ。
ここまではっきりと言うと、敬語を使わせる必要が無いように思える。

 顎をさすりながら数歩の間デニーは思案し、う〜ん、と唸ってから話を始めた。

「分かった、教えてやろう。本当に色々過ぎて何から教えてやろうか……」

 半分は答えて半分は自問になっていた。何十歩も歩を進めると痺れを切らしたバドが叫ぶよりも僅かに早くデニーが口を開く。

「とにかく依頼によるんだが、一番多いのはやっぱりモンスター退治だな。大きな町や王都に行けばこう言う仕事が増える。
 人口が多いとこほどモンスターの数が多いんだ。俺が請ける仕事もほとんどモンスター退治だ」

 話が始ると手の平を返すようにバドは大人しくなり、話に耳を傾けている。
僕は時折草原の遠くを見たりして、それでも耳はちゃんとデニーの方に向けている。

 見渡す限りの草原で寝たらどれだけ気持ちいいだろうか。そんな事をふと思っている間に話は進んでいく。

「他には家事を手伝ったり、盗賊を追い払ったり、賞金首を狩ったりするな。後は滅多に無いけど暗殺ってのもある。
 貴族が対立している相手を潰すためにな。ま、請けるやつなんざほとんどいない」

 ああ、草原の上で太陽の光を体中に浴びて寝たいなぁ。新しく出来た儚い僕の夢は、思い続けることも出来なかった。
デニーの言った言葉に反応したかったからだ。

「暗殺って、もしかして人が人を殺すことなんですか……?」

 明るくは無いかもしれなが、決して暗くも無いと僕は僕の事を思っている。それでも声が雲って、暗くなった。
ゆっくりと動く雲を見ていたデニーのいつも優しく、時折鋭くなる二つの眼が僕の顔を覗く。今は少し鋭い。

「……ああ、そうだ」

 僕の思っている事を察したのか、デニーの声は暗く厳しい。反対側にいるバドは今の空気が苦手だった。
少し早歩きになって前に出る。
「デニーさんも人を殺したことがあるのですか?」

 自分でも思うほどストレート過ぎる質問だった。デニーの顔が一瞬強張ったのが分かる。

「無い……はずだ。前に一度盗賊退治の時に重症を負わせた事がある。
 サローンに引き渡した時までは生きていたが、その後は知らない。
 もしかしたら死んでいたかもしれない。
 それは俺が殺したことになるんだろうな。だから無いはずだ」

 素直に答えてくれたが半分嬉しく、半分嘘でも絶対に無いと言って欲しいと思った。
今のデニーからは猛獣さえも逃げ出すだろう凄みが溢れ出ていた。
肩を並べているのが辛かったけど、スピードを緩めることなく僕はデニ―の横につく。

「外の人たちは人と人とで無意味に殺しあうのですか? 何故、人同士が殺しあわなくてはいけないのですか……?」

 デニーは何も言わなかった。先に進んでいたバドに追いつくまで。

 気付けばバドはかなり先まで行っていて、自分でもそれに気付いていなかったようだ。
ふと足を止めてこっちに振り向くと、慌てて道を戻ってくる。
少ししてバドが列に加わると、デニーが反論を許さない、研ぎ澄まされた刃物に似た鋭さで言った。

「お前たちは本当に外の世界を知らないんだな。エリウス、悪いがさっきの質問には答えられない。
 その代わりに二人に言っておくことがある」

 元気旺盛でいつでも意気込んでいるバドが身を震わせるぐらいだ、僕は額から汗を幾筋も流してなんとか首を動かした。

「これから行く町で死ぬような喧嘩は日常茶飯事だ。揉め事も多い。
 バドはともかく、エリウス、特にお前に言っておく。余計な事に首を突っ込むな。死ぬのは自分だ。
 お前が優しい奴だってのは会ったばかりの俺にも十分分かる。お前ならきっとそう言う事があったら止めようとするだろう。
 それだけは絶対にするな。いいな?」

 分かりました、としか答えられない自分が嫌だった。

 確かに外の世界の事はほとんど何も知らない。だけど人同士が無意味に戦って、殺しあっていいわけがない。

 村ではそんなことはなかった。止めるのは当然じゃないか。

 きっと見ず知らずの人間同士でも、殺し合いのような事があったなら止めにはいるだろう。いや、入る。
分かったとは言ったがこれだけは譲れない。

大親友のバドにさえ打ち明けることなく心の奥にそっと自分の考えをしまいこんだ。



 世界の事とは無関係に幾つもの白い雲は空を流れ、清涼な風は草原を駆ける。

 平和そのものの中を重苦しい沈黙を背負ったまま、僕らはやっと町が見える辺りまで来た。

 町に近づいていくにつれ木々の数が目に見えて減り、草花も草原とは言えない程に少ない。

 モコとは違って新しい町は大きかった。

 肌色の土を練り固めて作った壁が左右に伸びていて、端まで行くとそれが曲がって奥に伸びている。
多分、四方に土の壁があって、その中に町があるのだろうと思い、恐る恐るデニーに尋ねると、

「ああ、その通りだ。外れの町トゥガッタって言われている。
 外れの町ってのは、そこそこ大きい町で一番外れにあるからそう言われている。
 そろそろ入り口が見えてくるぞ」

 想像していたよりも全然デニーの声は明るく、バドも声を聞いて緊張が解けたのか、元気を取り戻し走っていった。

「まってよ〜!」

 叫びながら僕は後を追う。走るのは苦手だけど嫌いじゃない。なにより一刻も早く町に入りたかった。

 デニーも「よぉし!」と声を上げると走り出し、あっと言う間に僕を追い抜きバドに追いつき、そして抜いた。
村一番の駿足を誇るバドはプライドを傷つけられ、全力でデニ―の後を追っていく。

「はぁはぁ……。二人とも……少しは加減……してよ……」

 二人の後ろ姿はもう豆粒のように小さくなっていた。愚痴と荒い息を吐きながら、軟弱な体に鞭を打って走りつづけた。

「エリウスゥ! こっち! こっち!」

 遠くからでも分かる程に元気で、息一つ乱していない兄弟のような二人が見えた。

 赤髪の弟ことバドが腕を乱暴に振りながら叫んでいる。息絶え絶えの状態で二人の近くまで行くと僕は膝に両手をついて息を整える。

「ほんとお前は体力ないよな。デニーみたいに毎朝鍛えたほうがいいんじゃないか?」

「そ、そんなこといたって……はぁはぁ……得手不得手ってものが……はぁ、はぁ……あるんだからさ……ふぅ〜……」

 気付けば土で作られた壁は目前に迫り、顔を下に向けると歩いてきた土の道よりも濃い肌色をした地面が目に入った。

 僕の息が整ったのを見ると、バドはデニーの腕を引っ張って町の中に入っていこうとする。
とはいえ身の丈ほどもある斧を振り回す腕だ、子供の非力な腕では到底動かない。

「分かったから引っ張るなっての。エリウス、大丈夫か?」

 不甲斐ない自分に対して苦笑いしながら、大丈夫です、と答える。
よし、とデニーが言うと向きを変えて壁と壁の間に出来た大きな隙間に向かって歩き出す。

 壁と壁の間は十人以上の人間が横一列になっても通れる程開いていて、
両壁の切れた端のところに腰剣をぶら下げた兵士らしき人が見えた。

 僕が兵士を知っているのはお母さんが外の世界で買って来てくれた絵本や本に載っていたからだ。

 入り口のすぐ近くには人影も少なく、大きな通りの両端には土と木で造られた民家が建ち並ぶばかりだった。

 それでも大通りを進んでいくうちに人影が増えていき、通りの両端には見たことも無い
――当たり前といえばそうだが――品々を売る店が屋根を並べる。

 興味津々に首を右に左に動かして店先の品を見て、通りを歩く人や買い物客を見る。
容姿は人間であるからばらばらだし、基本的なことは僕らと何も違わない。服装や髪型などが僕にとっては珍しく、魅入ってしまう。

 時々、町の人と目が合ったが、誰もが微笑んで手を振ってくれた。きょろきょろと忙しなく顔を動かしている僕が珍しかったのか、
旅人と察してくれたのかは分からないが、とにかくデニーの話を聞いた後で、この平和な光景を目に出来て僕は嬉しかった。

 程なく歩いているとデニーの向きが大通りからそれて、店や民家の合間を縫うような細い道になった。
僕らはデニーに従うしかなく、珍しい大通りに早い分かれを告げる。

 大通りと違って、家々の合間を縫う小道は人二人が並ぶのが限界だった。
ところどころで分かれては曲がり、分かれては曲がりを繰り返す。

 何回目かの分岐点を右にいって、蛇のようにくねった道を進んでいくと、
他の家より一際大きく、どっちかと言えば綺麗な家の前で歩みが止められた。

 木で出来た壁と混ざり合って見にくい扉を開き、デニーは中に入っていく。勿論、疑うことなく僕らはそれに続く。

 行き成り目に飛び込んできたのは頭の半分ほどしか髪の毛の無い背の高い男の人だった。

 五十歳を超えているかと思える男の、半分程しかない頭髪は真っ白なのに対して、口と顎に生えている髭は濃い黒色をしている。
眼つきはデニーをも凌駕する鋭さと、威圧感があった。デニーの剣とするなら、鍛え上げられた斧だ。

 デニーは何事も無く白髪の男に近づいていく。カウンターが二人の間を隔てている。

「久しぶり。部屋の鍵をくれ。依頼は成功した、後で証拠持って行く」

 かすかに聞き取れたデニーの声からすると、ここはどうも宿屋で目の前にいるのは宿屋の主人。
依頼というのはハンターの仕事だから、ハンターズ・サローンの酒場主でもあるのだろう。

 そんな考えをめぐらせていると、宿主の男が体を起こして奥に一旦消えると鍵を持って戻って来た。
その帰り際に僕とバドは獲物を狙う鷹の目を見た。

「こいつらはなんだ?」

「ん、命の恩人だよ。さ、行くぞ二人とも」

 デニーに言われるまでもなく僕とバドはついていった。あのままあそこに立っていたら、
宿屋の主人の眼光だけで逃げ出していたに違いない。

 質素だが丁寧に掃除されている廊下を進み、奥の階段から二階に上がって左端の部屋の鍵をあけると、中に入った。

 モコの宿屋よりも幾分か広く、ベッドは二つだったがモコの物よりも大きい。

 部屋にある家具も充実していた。大きめのタンスが一つ、綺麗な机と椅子が一組、体を洗うであろう場所もあった。

 デニーはご自慢の斧を机の横に立てかけて、荷物は全部机の置くように指示した。
従って僕とバドは背負っていた荷物を机に降ろし、バドはともかく疲れていた僕はベッドに腰を降ろして、大きく息を吐いて吸う。

 バドは一度ベッドに腰を降ろしたものの、すぐに立ち上がって部屋の中を歩きまわる。
窓を開けてみても見えるのは反対側にある民家だけ。退屈な風景しか見えないことをしってふてくされながらベッドに倒れこむ。

「さてと、今後の事だが……俺はまずレイを浴びる。結構汗かいたからな」

「レィってなんだ?」

 今までバドは最も早く質問を打ち出した。あまりの退屈さにデニーの言葉を集中して聞いて、
知らない言葉でも探ろうとしていたようだ。とはいえ僕も疑問に思ったのは事実だ。

「全く、一々説明する身にもなってみろ。簡単に言えば魔導具の一つで、水を出して体を洗うもんだよ。
使いたかったら後で教えてやるから待ってろ」

 そう言ってデニーはタンスから着替えを取って、体を洗うであろうと思っていた場所に入っていった。

 何故分かったのかというと扉が開いたままだったからだ。

 バドではないが、退屈で何かないかと僕も頭を動かす。ベッドの間にあった木の箱の上で時計と光を灯す、
恐らく魔導具があって他には知っているものばかりだった。
 デニーが出てくるのを待つしかないと知って、僕とバドは久々に対面して話した。

「なあ、エリウス」

「なに?」

「今のうちに大通りに戻らないか? 今ならバレないだろ?」

「駄目だよ。迷ったらどうするの?」

「大丈夫だって。町の外に出なければ大丈夫!」

 燃え盛る二つの炎が僕を見つめている。僕は村に住んでいた頃からバドに言われて付き添っては危ない目にあってきた。
今回は外の世界だけあって余計に危ない。

「分かったよ。どうせ止めても行くよね、バドのことだから。一人で待つのも退屈だし、僕も行く」

 それに見合う楽しみもあるに違いない。

 僕とバドはタイミングよく同時に頷き、物音を立てないようにひっそりと部屋を出た。

 ほこり一つ見えない廊下を進み、慎重に階段を一段づつ降りていく。
ここまでくればデニーも見つからないだろうが、宿屋の主人に見つかるのも嫌だった。

 かすかな音も立てずに扉を開きかけたその時だった。野獣の眼が二つ、僕らを捕える。

「何処に行く?」

 無言で睨まれるだけならば良かった。まさか話し掛けられるとは。

 瞬間的に冷や汗が溢れ出て、僕の頬を濡らす。バドも似たようなものだった。

「ちょ、ちょっと散歩をしようかと……」

「デニーから言われている。お前らが勝手に出て行かないようにしろと」

 冷や汗の量は増える一方だった。デニーにとって、僕らの行動は朝飯前といったところのようだ。

 何も言えずに僕らは宿主に背を向けて止まっている。目を合わせるのが恐い。野獣と対面したい人などいるわけがない。

「約束を守る必要は無い。言われただけだ。指図される筋合いは無い。行きたいなら行け」

 冷や汗が引く、どころか溢れた。このまま行ったら後が恐い。このまま戻った方がましな気がしてきた。

 そう感じるのは僕だけであって、バドは今にも飛び出しそうとしたが足を引く。

「行くならこっちから行け。大通りに出る」

 僕とバドが恐れながらも振り向くと、宿屋の主人はいなくなっていた。

 こっちと言われて目に入ったのが、外に出る扉と丁度反対側にある扉だ。何度も顔を見合わせた後で、ゆっくりと反対側の扉を開く。

 視界に入ったのは幾つ物椅子と丸いテーブル。
どれも木が古いのか、濃厚な茶色をしていて、ところどころに傷があったり、欠けていたりしている。

 部屋は一つだが中々広く、カウンターがあった。その奥に無数のグラス、様々な色の液体が入ったガラス瓶がある。

 デニーが言っていたハンターズ・サローンだと気付いたのは僕だけだった。
バドはいつもの如く部屋を駆け回り、色々物珍しそう眺めている。

「何をしている。早く行け。行かないなら戻れ」

 心臓が口から飛び出そうになった、とはこのことだ。

 カウンターの向こう側で宿屋の主人が酒場の主人に早変わりしていた。グラスを丁寧に拭きながら、言い放つ。


「ご、ごめんなさい。今、行きます」
 振るえながら、やっとのことで言葉を発すると、呆然としているバドの腕を掴んで、入った方とは反対側にある扉から外に飛び出した。

 主人の言った事は事実で、多くの人の足音や会話が嫌でも耳に入る。

 なんとなく振り向き、首を上げると『酒場』と描かれた看板がぶらさがっていた。

 行きに見た大通りとは違って、店のほとんどが食材屋だった。果物の甘い香りや、香辛料のきつい臭いが入り混じって鼻につく。

 右も左も分からない僕らは、どちらに行くか迷った。すると、バドが突然声を上げた。

「おい、あれ! 何かやってるぞ! あっちに行こう!」

 バドの指が差す方向に人だかりが出来ていた。よく見ても、人の壁で何をやっているか全然見えない。

 好奇心が足どりを早める。近づくにつれて聞こえてきたのは完成と、悲鳴だった。






〜あとがきもとい言い訳〜
 どうも、作者の陸です。
 今回は前回、代理人さんに指摘された点について言い訳をしてみようと思います(笑)
・行を詰めすぎについて。
 言い訳もくそもありません。全くその通りです。今後は改行したり、切りのいいところで次の行したりして行きます。
・ビッグとビックについて。
 全くその通りです。もう恥ずかしくて顔面から火が出そうです(赤面)
・貨幣について。
 えっとこれだけです言い訳するのわ(苦笑)
 何故知っているかと言うと、次の通りになります。
 母親が外に出かけて、物を買ってきます。エリウスは好奇心で色々と尋ねます。
「それ、貰ってきたの?」
 と聞かれて母親は「買ってきたのよ」と言う。それに対してエリウスは買うということを知らないので質問する。
 と聞かれて母親はお金の話をして、エリウスは知ったと。で、興味を持って親からドフラム(銅貨)を一枚貰って、みんなに見せて話をする。
 これで皆も知って親に聞く。で、村には最高でもギフラム(銀貨)しかないから、キフラム(金貨)は存在だけ知っている。
 と、こうなります。はい、言い訳です(苦笑)
 これで納得していただければ幸いですが、私の書き足らずです。これからはそういうところも改善したいと思います。

 

 

 

代理人の感想

怖いよご主人(笑)。

どう見ても客商売の人に見えないと言うか・・・・・

むしろフィクサーとか実は王国軍人とかそう言う人なのかな(笑)。

 

>ビッグとビック

「ベッドとベッド」「ゴッドとゴット」とか、意外とみなさんよく間違うんですよね〜、この手の言葉って。