<誓い>
この作品は8000HITのリクエスト作品です。
内容は13巻の最後でルーク達と別れる場面のガウリイサイドとなっています。
興味のある方はどうぞお読み下さい・・・
「・・・またね・・・いつか・・・何処かで・・・」 リナの声を背中で聞きながら。 黄金竜の長老と、白い鎧を纏ったエルフの少女は人込みに消えて行った。 その姿が消えた方向を暫く眺めているリナ・・・ リナにとって短い期間ながら仲間だった彼等・・・別れは辛いのだろう。 今回も俺達は生き延びる事が出来た。 数々の幸運と、生と死の綱渡りの連続を繰り返して。 ・・・何時になればリナが安心して暮らせる時間は来るのだろうか? その時間をリナと共に過ごしたい・・・俺の心の奥底に佇む想い・・・ 何時か口に出して言えるだろうかリナに? 「・・・じゃ、あんたたちは?」 見送りを止め後ろにいたルーク達に向き直り質問をするリナ。 「決まってるだろ。 俺達は宝探し屋(トレジャー・ハンター)だぜ。 これまで通リ、旅から旅への・・・」 「『旅から旅へのラブラブカップル水入らず』とか言わないでね。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 お前も大変だなルーク・・・ しかし困難が大きい程恋は燃えるものだ!! 多分!! 多分だぞ!! ミリーナもお前に惚れている!!・・・と思う。 まあ諦めずに頑張ってくれ!! 俺は硬直したままのルークに視線で声援を送る。 でも、何だかんだと言いながら二人で旅をしてるのだからな。 きっとお前の想いは届いてるだろうさルーク・・・ 俺に出来ない求愛の仕方だがな。 「・・・それじゃあ・・・」 「また・・・」 お互いの挨拶が終わり・・・ それぞれのパートナーと並んで別々の方向に向かう俺達。 そう・・・また・・・会う事もあるさ。 さて、俺達の次の目的はなんだろうな? もう剣は見付かった事だし。 一つリナに確認しておくか・・・ 「・・・そう言えば、よ・・・」 俺は言葉に出して次の目的を聞く事にした。 「これからどうするんだ? オレたち? 『光の剣のかわりになるような剣を見つける』っていうのは・・・ これでみつかっちまったわけだし・・・」 「・・・あ・・・・・・」 俺の指摘に小さく声を上げ考え込むリナ。 ・・・未だ俺と旅をする理由を探しているのか? やれやれ、自分の魅力には相変らず気が付いて無いらしいな。 俺の目の前で揺れているリナ自慢の栗毛の髪を見ながら溜息をつく。 だいたい剣を一本手に入れる為だけに、魔王の腹心等と戦う物好きがいるか? 俺はリナを守りたい、そして側にいたい、それだけを目的ここにいるのにな。 これはまだまだ先は長そうだ・・・ だが近頃それが楽しいという感じになってきたがな。 さて、このお嬢さんは何時俺の気持ちに気付いてくれるのかな? 「・・・ま、いーか」 そう言って俺は自分の左手でリナのあたまを、くしゃっ、となでる。 このひとなでに幾らの想いが篭っているのか・・・未だリナは知らない。 今はそれでもいい、少なくともリナと俺の距離は離れていないのだから。 「・・・へ・・・? いい、って何が・・・?」 やはり理解出来ないと言う顔でリナが俺を仰ぎ見る。 俺は心で苦笑をしながらも笑顔で答える。 「お前さんといっしょに旅をするのに、別に理由なんかいらないだろ。 ま、気の向くままの旅、ってことでいーんじゃねーか?」 そして俺は再びリナの頭をわしわしとなでる。 2年待ったんだ今更後戻りをするつもりは無い。 この先っずっと、そう・・・リナが俺と別れると言うまでは。 俺はリナを守り、その隣にいつづけるだろう・・・ 「・・・そだね・・・」 どうやら納得してくれたらしい。 俺に頭をなでられながらリナがそう返事を返して来た。 そう理由なんていらないのさ。 リナと一緒に旅をする事は俺が自分にした誓いなのだから。 <誓い> END