<スレイヤーズ西遊記> 第四十二話 ガウリイの過去 その6 あらすじ 近頃の気候は、暑くなったリ、寒くなったリ・・・ 変な感じだよな? (・・・誰に話しかけてるんですか?) そりゃ・・・お前さんしかいないだろうが。 (はあ、別にいいですけどね。) それはそうと・・・ザザビの不幸が急に訪れたな?
(ああ、禁断症状ですよ。)
何の? (余りに不幸だった者が急に幸せになると・・・不安になるんですよ。) ・・・じゃあ、何か? ザザビは自分から進んで不幸になった、と? (そう解釈出来ますよね。) ・・・ とことん不幸な奴だな(汗) (そうですよね・・・まあ、作者がそんな風に教育したんですけどね。) あの作者も・・・鬼畜なやっちゃな〜 (・・・また、変な関西弁を使うし。) ああ、里帰りが近いからな。 では、スレイヤーズ西遊記 第四十二話 今から始まります!! 「な〜、機嫌を直してくれよ〜」 「・・・」 「ここは冷戦状態ですね〜」 「まあ、たまには良い薬だろさ。」 「・・・」(現在不在中) 第一章.距離 何はともあれ町を出発したガウリイ一行・・・ しかし、その一行に漂う雰囲気は重苦しいものだった。 その原因は・・・ 「リ〜ナ〜」 「・・・」
スタスタスタ
「俺が何か気に障る事したか?」 「・・・ふん!!」
スタタタタタタ
「お〜い、待てよリナ〜!!」 「・・・付いて来るな〜〜〜〜〜!!」
ダダダダダダダダダ!!
駆け出す二人を呆れた顔で見る、ゼルガディスとアメリア。 「どうします?」 アメリアの問いに・・・ 「・・・追いかけるしか、無いだろうが。」 憮然とした表情で応えるゼルガディスだった。 そして、かなり先を走る二人を追う為に駆け出すのであった。
・・・3時間後。
「な〜、リナ〜」 「あ、アンタ本当に人間? 全力疾走で逃げるあたしに、どうして追い付けるのよ!!」 少し乱れた呼吸を落ち付かせながら。 呆れた口調で、全然疲れを見せないガウリイに噛みつくリ。 「そんな事言われてもさ・・・健康な体は、俺の取り柄の一つだし。」 「限度ってものが有るでしょうが!! アンタの後ろに居る、アメリアやゼルなんて顔が青いわよ!!」 リナにそう言われ、後ろを振り返るガウリイ。 「あ、本当だ。 ・・・意外と虚弱体質だったんだな、二人とも。」
「「お前(貴方)が変なんだよ(ですよ)!!」」
地面に倒れた状態で、息も絶え絶えに返事を返すアメリアとセルガディス。 もう一歩も動けない様子だった。 「じゃあ、今日はここで野宿だな。」 ガウリイが微笑みながら、リナにそう言う。 「・・・ふん!!」 何時の間にか、ガウリイのペースに乗せられていた事に気が付くリナ。 そっぽを向いて、ガウリイに返事をするのであった。 「さ、さっきの全力疾走のお陰で、二日分の距離は稼いだな。」 「おお、そうなのか。 結構な距離を走ったんだな〜」 ゼルガディスの言葉を聞いて感心するガウリイ。 その周りにいる三人は、そのガウリイの非常識さに感心していた。 その後もガウリイは疲れも見せず、着々と野宿の準備を始める。 最早呆れた顔しか出来ないリナ達だった。 日は暮れて、周りの空気が肌寒くなる頃。 ガウリイが、ふと思い出した様に発言する。 「でさ・・・ザザビの奴は何処だ?」
「「「あ・・・」」」
焚き木の周りでくつろいでいたリナ達に、冷たい汗が流れる。 「ま、まあ、ザザビの事だから飛んで来るわよ。」 「・・・今日、稼いだ距離を考えるとかなりのものになるぞ?」 「でも、ほら、ザザビさんですしね?」 最後に意味の解らない発言をするアメリア。 「そうよ、ザザビなんだから!!」 「そうか、ザザビだもんな〜」 「ま、ザザビだしな。」 「そうですよ!! ザザビさんですし!!」 何故かその発言で、納得する一同だった。 そして、例の町・・・ 「キキキ?」 周りを見まわし、途方に暮れる一匹のムササビの姿があった。 第二章.愚痴 パチパチパチ・・・ 焚き木の燃える音が、静かな夜に響く。 「・・・ねえ。」 「何だよ、リナ?」 野宿を始めてから、リナがガウリイに口を聞いたのはこれが初めてだった。 その為、返事をするガウリイの口調は明るい。 「ガウリイはどうやって、最初の町に移動したのよ? 普通に歩いて行けば、その旅程だけで一年半はかかるでしょ。」 そんなリナの質問に・・・ 「走って。」 簡潔に応えるガウリイ。 そして・・・
シィィィィィィィンンンン
痛い程の沈黙が二人の間に満ちる。 「ほぉぉぉぉぉぉ・・・アンタ本当に人間?」 「あ、いや、冗談だよ冗談!! 実は、俺もよく覚えていないんだけどな。 誰かに運んでもらったんだよ!!」 据わった目で睨みつけるリナに、危機感を抱いたのか。 急いで本当の事を話すガウリイ。 「運んでもらった? ・・・まあ、ガウリイの記憶力じゃあ名前は忘れているわよね。」 コクコク リナのその台詞に、頭を上下に動かして同意するガウリイ。 「いや〜、顔は見て無いけどな、声からすると女性だったぞ。 それに結構な実力の持ち主だったな、隙が全然無かったからな。」 ガウリイがその女性の事を、一生懸命思い出そうとしている。 そのガウリイの正面にいるリナは、そのガウリイの台詞を聞きながら嫌な予感を覚えていた。 「ま、まさか、ね・・・」 「ん、どうしたんだ、リナ?」 ブツブツと、何やら呟いているリナにガウリイが声を掛ける。 「べ、別に何でも無いわよ!!」 慌てた声でガウリイに返事をしながらも、リナの黒い疑惑は消えなかった。 もっとも、その疑惑を確かめる術は無かったが。 その事に気が付いたリナは、話題の転換をする事にした。 いや、どちらかと言えばこの話題の方が、ガウリイに聞きたかった事であった。 「で、どうしてこの国を出たのよ? 人気者の英雄様だったんでしょ?」 ”それも恋人が王女様でね” と続けては言えないリナであった。 「・・・英雄なんて、戦争が終れば必要無い存在さ。 それに俺がいれば、また隣国との戦端の理由になる。」 表情を消して、リナにそう告白するガウリイ。
パチ、パチパチ・・・
焚き木の燃える音だけが、その場に響く。 「じゃ・・・王女様は? 今では、女王様だったわね。」 声の震えを隠し、平坦な声でリナが質問する。 「彼女に相応しい男性が、何時か見付かるさ。 少なくとも、記憶喪失でその上血塗れな俺じゃ役不足だよ。」 ガウリイが、何処か達観した感じで話しをする。 「俺は・・・敵から彼女を守る約束をした。 それは、行き倒れだった俺を助けてくれたお礼だったから。 今回の事もそうだ、俺は約束を守る為に首都に行く。」 (彼女は・・・そう思わないかもね。) ガウリイの言葉を聞きながら、リナはそう思った。 そして、ガウリイの瞳にある小さな感情を見付けた。 (貴方も、実は会いたいんでしょ、ガウリイ?) やはり、その言葉はリナの口から出る事は無かった。 そして、様々な想いを込めた夜は、ふけていくのであった。 「・・・しゅ、愁嘆場ですぅぅぅぅぅ!!」 「コラ!! 黙って寝ていろ!!」
第四十二話 END
第四十三話に続く
あとがき
「ども、ニンエです。
作者がくたばってます。
ええ、それはもう見ていて面白いくらいに(苦笑)
さて、どこまであの作者の意地が持ちますかね?(謎)
では、また次回でお会いしましょう。」