「OVER AND OVER AGAIN」

 
                         青夜
 
 
 
 流れる音色。
 「セイ・イット」の調べにのせて、グラスに淡いカクテルが揺れる。
 そこは他の街とは少し毛並みの違ったプールバー。
 カウンターや、バーテンが違うのではなく、揺れるカクテルが極度に強いわけでもない。
 広すぎないバーの一角、小さな人垣を作るテーブルが今宵の中心であった。
 
 大理石のテーブルにラシャを張り、色とりどりの球たちが、小気味よい音を立てて、弾け、
飛ぶ。
 たった一本のキューから生み出される、芸術。
 そして、最後に残ったボールが鮮やかな余韻を残し、ポケットに吸い込まれる。
 人垣は歓声を上げ、ウィナーを見つめる。
「優勝はリナ=インバース!」
 小さなプールバーで開かれた、ビリヤードの小さな大会。
「昔は「球撞きのリナちゃん」と呼ばれたものよ♪」
 とリナが参加したのをガウリイはあえてとめなかった。心配するほどの理由はなかったし、
その目は自信に満ちあふれていたからだ。
 そして実際、彼女の腕は素晴しかった。もともと、ビリヤードに力はいらない。だから、
彼女の細い腕でも、正確なねらいと、ポジショリング、それを維持する集中力があれば、そう
やすやすと負けはしない。
 さほど大きいとは言えないこの街にいる腕自慢では、荷が勝ちすぎたと言うことだろう。結
局、何回かのマスワリ(組まれたボールを失敗することなく、全て落とし切ること)を含め、リナは一度も負けることなく、決勝までコマを進め、優勝してしまったのだ。
「ま、こんなものね」
 にんまりと笑みを浮かべて、リナはピースサインをガウリイに向ける。
 いやに嬉しそうなのは、勝ったと言う事実よりも、彼にそれを見てもらったからだろう。
 ガウリイも、「おう」と微笑を返す。
 リナはいつもの魔導師姿を止め、サテンのシャツにパンツ姿だ。ボーイッシュな感じの中に、そこはかとなく色気も漂っている。もっとも、本人は気付いていないだろうが。
 ガウリイも剣士の姿をラフな服装に替え、好ましげに目を細めている。周囲には何人かの女
の子達が、上目遣いに彼を見ているが、あえて何かしてきそうな雰囲気はない。その美貌に押
されてしまったのと、リナの存在のせいだろう。
 リナを怖がってというのではなく、二人の間には入りがたかったというのが正解であろう。
 リナがハウスキューをキューケースに返すと、マスターがカウンターから、声をかけた。
「見事だったぜ、お嬢ちゃん。賞金は出ないが、約束通りサービスに今日の酒代はタダにして
やるよ」
 それが、大会の景品であった。
「やたっ。じゃあ、まず「モッキン・バード」ね」
 リナは嬉しそうにオーダーを伝え、ガウリイのところに戻ってくる。途中、大戦相手から肩
を叩かれ、握手を求められた。
「あんた、強かったぜ」
「ありがと、あんたも強かったわ」
 ガウリイの前には、すでにいくつかの空のグラスが並んでいたが、彼がその程度で酔う道理
はない。いつも通りの笑みを浮かべ、リナを迎えた。
「おめでとさん、やるもんだなぁ。ほんとに勝っちまうんだもんなぁ」
「言ったでしょ、昔「球撞きのリナちゃん」って呼ばれてたって」
 リナは自慢げに胸を張り、スツールに腰を下ろす。
 それを見越したかのように、カクテルが彼女の前に置かれた。
「モッキンバード、だ。おめでとうさん」
 マスターが賞賛を込めて、笑いかける。
 ラシャの色によく似たエメラルドグリーンのカクテル。ミントが香る爽やかな色と香りは
ゲームを終えたリナを優しく包み込む。
 ひとくち口に含むと、涼風のごとくミントが口の中に広がる。
 上出来といえた。
「おいしい」
 満足そうにリナが呟く。ガウリイが隣で水割りを注文した。
「そう言えば、兄さんはやらないのかい?」
 マスターが氷を砕きながら尋ねかける。
「おれかい? おれは・・・・」
 吹き抜ける風が、ガウリイの答えを中断させた。バーの入り口の扉が、開かれたのだ。
 そこから、新しい客が入ってくる。
 大会の余韻をわずかに残すプールバー。
 流れる「セイ・イット」は最後の章に入りかけ、新しい脈動がゆっくりうまれる。
 錆びた服装と、長い髪。折れた帽子はポリシーによるものだろう。
 その客にリナは覚えがあった。
 汚れたマントや、ハウリングソードこそ手にしていないが、ザングルスという男であった。
「探したぜ、ガウリイ」
 ザングルスは店内を見回すと、すぐにリナの隣に座る金髪の青年を見つけた。
 いわくありげな口調に店内が緊張する。
 ガウリイは入り口に立つ男に振り向くと、怪訝そうに眉をひそめた、
「誰だっけ?」
 ずりっ
 店内の数人が、椅子から落ちた。
 リナがガウリイの襟をつかんで、かくかく揺すりながら説明する。
「ザングルスでしょう。覚えてない訳? ほら、あんたをライバル視している」
「あー、覚えてる、覚えてる」
 うそばっかり
 店内の数人がそう思った。
 当のザングルスはそれほど答えた様子もなく、会話を続ける。意外と大物なのかも知れない。ガウリイの横まで歩み寄ると、
「あんたとの決着は、まだついちゃいない。ってことで勝負だ!」
「勝負って、あんた剣も持ってないじゃない」
 リナが不審げに突っ込むと、ザングルスはにやりと笑みを浮かべた。
「マスター」
 ザングルスが意味ありげにマスターに声をかけた。
「まだ、とってありますよ」
 マスターは面白そうに、棚の裏側からケースを取り出すと、ザングルスに受け渡した。
「ここはおれのなじみの店でな、こんなものを用意してあるのさ」
 おもむろにケースを開くと、そこには見事なキューがおさめられている。
 ということは、
「ってことは、勝負ってビリヤードで?」
「ああ、そうさ。こういうのも面白いだろう」
 リナの質問に、愉快そうにザングルスは笑みを浮かべ、ガウリイに向き直った。
「さあ、どうするガウリイ。自信がなければそう言いいな」
 マスターがしかめっ面をしてたしなめる。
「兄さん、やめときな。このザングルスさんは、強いよ」
「なんですと?」
 リナは驚きに目を見張りながら、マスターの首を引き寄せて、
「どーいうことよ?」
「この店のナンバーワンだよ。多分、お嬢ちゃんより強いだろうね」
 ひそひそとマスターも、リナに答える。
「ガウリイ、やめ・・・」
 そこまで言いかけた時、ガウリイがゆっくりと立ち上がった。
 いつもと少し違う、不適な笑みを浮かべながら。
 そして、
「いいぜ、やろう」
 そう言い切ったのだ。
 

 店内に流れる曲が変わった。
 「チェニジアの夜」
 緩やかな中に、アップテンポの混ざる、暑い国を思わせる曲。
 これからのゲームに曲すら興奮しているようだった。
 誰もがテーブルを取り囲み、ふたりの試合を見ようとしていた。ザングルスの一方的な試合
になると、思っているのは明らかだった。
 リナも、テーブルの一角に手をついて、ガウリイを見つめていた。
 ザングルスとは違い、ガウリイはプールバーのハウスキューを手にとった。
「兄さん、それは止めときな」
 1人の男がそれをとがめ、ガウリイに近寄る。よく見ると、リナが先ほど握手した男だ。
「これを使いな」
 自分のキューを彼に差し出す。
「ここのハウスキューよりは、ましだ。ま、それでもお嬢ちゃんには負けちまったがな」
 苦笑混じりに、男はリナに視線を向け、ウインクをひとつ送った。
「ああ、ありがとう」
 キューを差し出した男が思わず、赤くなって照れた。
 テーブルにはすでに九つのボールが組まれ、弾け飛ぶ瞬間を待っている。
 ザングルスがテーブルの前で、手玉を持ち上げた。ヘッドスポットにボールを置き、腰を落
とす。鮮やかなフォームであった。
「余興を見せよう」
 わずかな音とともに、手玉は軌跡を描いた。
 組まれたラックにあたった瞬間、手玉は、高々と宙に舞い、一直線にリナへと向かった。
 リナにぶつかる瞬間、手玉は軌道を変え、手前のクッションにあたる。
 そしてそのまま跳ね上がり、ラックの向こうへと帰っていく。
 手玉が返り、とまった場所は、先ほどと寸分違わぬ場所であった。
 ラックはわずかに乱れただけ。人間離れした技術といえた。
 リナが驚きに目を大きくさせていると、後ろからぽんっと頭に手が置かれた。大きくて暖か
い。そして安心できる手だった。
「大丈夫だ、リナ。下がってろ」
 ガウリイがリナを下がらせて前に出る。長い髪を後ろでひとつにまとめて、流している。
テーブルにかからないようにするためだろう。
 一房の金髪が彼の歩みに連れて、微かに揺れる。
「さあ、始めようか?」
 声をかけたのはガウリイ。
「おう」
 ザングルスが不適に応え、ゲームが始まった。
 

 後になってマスターは語った。
「あんなすごいゲームは見たことがない。二人とも、人間じゃねぇよ」
 そう語り継がれるほど、二人の技術は素晴しかった。
 ゲームはナインボール。先に10本とった者の勝ち。
 初め、ザングルスの優位を確信していた観客も、ガウリイのバンクショットでそれが間違っ
ていたことを思い知らされた。
 二人ともショートクッションには戻さず、ポケットのほんの手前でボールをとめた。
 先行はほんのわずかな差でガウリイ=ガブリエフ。
 ブレイクショットに入るそのスタンス(構え)の美しさ。金色の髪を後ろに垂らし、上目遣
いにラックを見据える。その横顔は天上の化身のように美しく冴え渡っている。
 そしてショット。
 強すぎない音を立て、流れるようなストロークとともに、手玉はラックに吸い込まれる。
 くだけ散る色鮮やかなボール達は、まるで糸に引かれるようにポケットに落ちていく。
 そしてそのまま、ガウリイは第一ゲームをとりきった。
「すげぇ」
 9番を鮮やかにポケットに落とした瞬間、周りから歓声が湧いた。
「やるな、ガウリイ」
 ザングルスが面白そうに笑った。そこには、残念そうな響きはない。本当に愉快なのだ。ビ
リヤードでも互角の勝負が楽しめる。そんな喜びが声にはあった。
 交代でブレイクをするため、第2ゲームではザングルスがブレイクした。
 ガウリイ同様、鮮やかにラックを割り、的玉を落としていく。
 手玉はまるで意志があるかのように、とまり、進み、跳ねる。
 第2ゲームをとりきるまで、時間がさほどかからなかった。
「おまえこそ」
 ガウリイが笑い返す。
 その後も二人は、順調にマスワリを続けていった。
 とある、配置が残った時、
「悪いなガウリイ。おれの勝ちだ。・・・これが、ザングルス・スペシャルだ」
 手玉をつく。それから、何があったかは誰にも分からなかった。
 気がつくと、手玉だけを残し、すべてのボールはポケットインした後だった。
 一体どのような腕なのだろうか。
 しかし、ザングルス・スペシャルの恐ろしさは、まだそれだけで終わらなかった。
 次順、ガウリイのブレイク。
 鮮やかなフォームで、手玉をつく。
 カシッ
 信じられない音を残し、手玉は外れた。
 キューの先端が手玉をとらえ切れなかったのだ。
 ミスキューであるが、もちろんガウリイレベルになればそんなことになるはずがない。はず
がないのになったのは、やはりザングルス・スペシャルのせいだろう。
 待席でザングルスが勝利の笑みを浮かべているのが何よりの証拠だ。
 ガウリイのミスの後、当然のようにザングルスがマスワリをとり、ガウリイに一歩差をつけ
た。
 しかし、2回目のザングルス・スペシャルは発動せず、ガウリイもミスをすることはなかっ
た。
 そしてそのまま、ガウリイ9本、ザングルス9本で迎えた第20ゲーム。
 これをとり切れば、ザングルスの勝利が決まる。
 ブレイク。5つを落とす順調な滑り出し。
 第2ショット。ひとつだけ落とし、奇妙な配列になる。
 これまで、そんな場所に手玉を導いたことがなかったザングルスに初めてのミスであった。
 店内に流れる曲は「グッド・バイ」
 さすがにセーフティーで逃げるだろう。
 誰もがそう思った。
 当人と、ガウリイ以外は。
 ガウリイが何の準備もしないことにリナは気付いた。
 そして、テーブルの上の配置をよく見る。
「これは・・・」
「そう、ザングルス・スペシャルだ」
 最後はザングルス・スペシャルで決めたいという意志なのだろう。あえて、難しい配置に組
み直したのだ。
 ザングルスは高らかに笑った。
「これで、おれの勝ちだ」
 ガウリイは無言。
 リナが祈るように目を閉じる。
 ショット。
 手玉が消え、的玉が跳ねる。
 しかし----
「まさか・・・・・」
 ザングルスの声にリナは目を開けた。
 手玉は、中央に残っている。それは、先ほどと同じだ。
 違ったのは、的玉がひとつも落ちず、残っていたのだ。ザングルス、痛恨のミスであった。
 しかし、すべてが、クッションに張り付くように残り、難しいことに変わりはない。
 まして、ザングルス・スペシャルの後である。
 ミスキューにならず、落としきれると誰が言えようか。
「リナ。おれの勝ちだ」
 それは、ガウリイの声だった。
 いつものようにのほほんと、柔らかく。
 ザングルスが顔を赤くさせるのを後目に、鮮やかなスタンスをとり、手玉をつく。
 微少さえその目に浮かべて。
 手玉は外れることなく、7番にあたり、ポケットに叩き込んだ。
 そのまま流れるように、8番へとカーブする。弾かれた8番は9番へと当たり、ポケットに
吸い込まれ、9番はポケットのすぐそばまで転がった。
 手玉の位置も申し分ない。
「・・・これが、ガウリイ=ガブリエフ」
 後ろでザングルスが呻くように呟いた。ガウリイが笑って応える。
「ザングルス、グッド・バイだ」
 そして----
 手玉は確実に9番をポケットに沈め、ガウリイの勝利を決めた。
 

「おれのザングルス・スペシャルが・・・・」
 茫然とザングルスが呟いた。
 これ以上ない自信を込めて打ったボールが何故外れたのか。いや、それ以上に、ガウリイは
何故その後外さなかったのか。
 ザングルスには不可解きわまりない事実であった。
 テーブルを挟んでガウリイは一躍、時の人に祭り上げられている。キューを貸した男が、ガ
ウリイと握手を交わした。マスターががっはっはと笑いながら、酒を全員に振る舞いはじめた。
「すげぇ試合だったぜ。いいものを見せてもらった。今日はおれのおごりだ、みんな、パーっ
と飲みな」
 それから、ガウリイに寄っていくリナに向き直り、
「お嬢ちゃんのいいひと、いい男だねぇ。今日の大会のおごりはなしだが、次に来た時、また
おごるから、勘弁してくれ」
 リナは少し考えるポーズを作り、軽やかに笑みを返した。
「仕方ないわね。いいわ。次を楽しみにしてるわね」
 いいひと、とガウリイを言われたことに反論せず、素直に頷く。それから、軽く髪をかき直
し、ガウリイに向き直ると、とびっきりの笑みを見せた。
 そんなリナを見て、ガウリイも少し誇らしげな笑みを浮かべる。
「やるじゃない、ガウリイ」
「驚いたか?」
「ま、ね。ちょとだけ」
 ここらへんはいつものリナだ。しかし、ちょっと違う。いつもより、ほんの少し素直になっ
て-----
 ザングルスはそんな二人を見て肩をすくめた。
「まぁ、いいか・・・」
 そしてガウリイに声をかける。
「負けたよ、ガウリイ。しかし、何故、ザングルス・スペシャルを返せた?」
 ガウリイは黄金の髪を揺らし、ザングルスに向き直ると、
「ああ、あれのことか」
 と、頷いた。
「リナ、ラックを組んでくれないか」
「うん、いいけど・・・」
 それから、リナがラックを組み終わるとガウリイは手玉をヘッドスポットにおいた。
 ザングルスが余興を見せた時と、同じ配置。
 違うのは、リナの位置にザングルスがいることだけ。
 目にもとまらぬスピードでガウリイはキューを出す。
 ラックにはね、手玉は白い軌跡を描いてザングルスの目の前に迫ってくる。
「うおっ」
 それは自身のボールよりも確実に、迫ってきた。しかし、計算し尽くされた手玉は鮮やかに
弧を描き、クッションに跳ね当たり、ヘッドスポットまで戻ってくる。
 そして、ラックは微塵も崩れていはいなかった。
 この技術の応用がザングルス・スペシャルであると、ガウリイはいつ気付いたのか。初めか
ら知っていたのかも知れない。だとすれば、破る方法もすぐに見つけたことだろう。恐るべし、
直感と技術であった。
「・・・完敗だ」
 がっくりと膝を落とす、ザングルス。
「しかし、分かっていたなら、何故今になって、こんなことを見せつける? そんな必要はな
いだろう」
 ザングルスの言葉にガウリイは少し人の悪い笑みを浮かべて、
「他意はないぜ。ただ、お前、余興の時にリナを驚かせただろう。それだけさ」
 それって、他意じゃ・・・と店内の数人が思ったが、あえて言うものはいなかった。
「は・・・はっはっはっはっは・・・」
 かえって、それが気持ちよかったのだろう。ザングルスは大きな声で笑った。
「いいいぜ、ガウリイ。そうでなきゃ。女のために怒れなきゃ、男じゃねぇ。嬢ちゃん、あん
た、幸せもんだぜ」
「うううっさいよ」
 さすがに赤くなって怒鳴り返すリナだが、いかんせん迫力に乏しい。照れまくった恋人を見
ているようだ。
「はっはっはっはっは・・・」
 ザングルスはひとしきり笑い尽くすと、よれよれ帽をかぶり直した。
「今日は、おれの負けだ。だが、次は勝つ。また、会うぞ。ガウリイ=ガブリエフ」
 孤高の剣士(今回はハスラーだったが)、ザングルスはそう言い残して、店を後にした。
 マルチナのもとに帰るんだろうか、とリナが思ったかどうかはよく分からない。
 

 
 流れる音色。
 「セイ・イット」が再び店内に溢れ出す。
 店は、また小さな喧噪と、静寂に包まれて。
 
 宿への帰路、リナが言う。
「ねぇ、ガウリイ」
「なんだ?」
「あたしのこと好き?」
「お前、酔ってるな」
「別に、酔っれなんかいませんよ」
「・・・ろれつがすでに回っていない」
「うっさい。で、どうなの? あたしは、ちょっと見直したんだから・・・・」
 後半は下を向いて、こちょこちょと呟くように話す。
 ガウリイは楽しそうに笑った。
「リナ」
「なによ?」
「好きだよ」
 ぼっと、リナが耳まで真っ赤になる。
「あ・・たしも、好きだよ」
「知ってるよ」
「ガウリイも酔ってるでしょ」
 夜風を浴びてガウリイのリナの髪が僅かに揺れる。
 大きな手がリナの頭に優しくのせられ、
「多分な、だから何度でも言える。愛してる、リナ」
「あたしも知ってるよ」
 柔らかい微笑みは夜に照らされ、ガウリイにだけしか届かない。
 
 今宵はプールバーでの興奮が未ださめやらぬ、帰路であった。
 
 
                       「over and over agein」 終
 
 
 
 

 
 コメント
 
 初めまして、青夜と言います。
 人様のHPに投稿するなど、初めてのことで、ちょっと、いやかなり緊張してます(^^;
 ビリヤードを題材に書いたつもりだったのですが、気がつくと、ジャズ漂う、よく分からな
い作品になってしまいました。
 
 タイトルの「over and over again」は「セイ・イット(SAY IT))」の副題みたいなもので
す。
 訳は「もう一度、何度でも」見たいな感じだと思います(違うかもしんない)。
 何を、もう一度、何度でも言わせたかったのか。御想像にお任せします。
 
 
 それでは、つたない文章に最後までおつきあい願い、ありがとうございました。
 
 
 
 
 では、このへんで失礼をします。
 
 
 
  平成11年8月2日 「チェニジアの夜」を聞きながら。
 
                                青夜
 
 
 
※ 最後に、このような駄文を掲載していただき、Ben様には大変ありがたく思っていま
す。
 
 
管理人の一言(蛇足なだけじゃないのか・・・俺・・・)
青夜さんの作品の雰囲気を壊したくないので真面目に書きます。
青夜さんの得意な分野がギッシリ詰ってますね。
ビリヤードはBenもやりますが・・・酒はやりません(笑)だからいい勉強になりました。
それにバックミュージックにもこだわられていますね。
その点を踏まえても実に良い味を出している作品でした。
Benも頑張って青夜さんに投稿小説を送りますね。(駄文ですけど・・・)
それでは。
あ、後、青夜さんに感想のメールを是非ともお願いします。
メールアドレスはこちらです!!
seino2@mail7.dddd.ne.jp
では、さようなら。 

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