「我は赤い悪魔 ダークドレアム
 
 またの名を大魔王 Benだ!!!」
 
 「大魔王Ben様。
 
 私の願いを叶えてください」
 
 胸の前で手を組みお願いポーズをしているフィラ。
 
 めちゃくちゃ可愛いのだが真実を知っている人には恐怖の対象でしかなかった。
 
 「ううう、会長。どうしましょう?」
 
 涙ながら話し掛けてくるE.TにドドンパQは震えながら、
 
 「あかん、あかんで〜。なんかめっちゃヤバイ気がしますわ」
 
 恐怖から関西弁らしき言葉をはなしていた。
 
 「で、汝の願いとは?」
 
 「私を永遠の若き乙女にしてください」
 
 「うむ、汝の願いは可能だ。
 
 それでは契約書にサインだ」
 
 そういうなり悪魔らしい格好をしていたのにいきなりスーツ姿になった。
 
 さらに眼鏡に七三分けまでしていた。
 
 いまどきこんなサラリーマンいねえぞってくらいサラリーマンだった。
 
 「はい、ではこの契約事項に目を通していただいまして、
 
 こちらに生贄のお名前と血判を押してもらえませんか?」
 
 ・・・・・・まるっきりサラリーマンだった。
 
 「あなた達の名前ってなんていうの?」
 
 「「言うかーーー!!」」
 
 「やっぱり気がつく前に聞き出しておいて良かったわ」
 
 フィラはそういうとE.TとドドンパQの名前を契約書に書いていく。
 
 「会長〜、俺達何されたんでしょう?」
 
 涙を流してばっかりのE.TはドドンパQにミノムシの状態のまま助けを求める。
 
 「しらんわい。あかん、もうあかん」
 
 何故かまだ関西弁が続いていた。
 
 「さてと、後は血判ね」
 
 フィラがナイフを持って二人に近づいてくると二人は何故か微笑んでいた。
 
 そう、なにかを悟ったように。
 
 「な、なに?どうしたわけ?」
 
 二人の異様な笑顔にビビリまくりなフィラ。
 
 「・・・・・・逃げようとするから力がでなかったんだ」
 
 「意を決して闘おうとすれば人間無限の力が湧いて来るんだ」
 
 「「このようにな」」←二回り大きく、太字で
 
 ロープを糸のように引きちぎり、すぐに戦闘態勢を構える二人。
 
 二人の体の回りには奇妙なオーラが出ていた。
 
 そう、昴気である。
 
 「これでもう好きにはさせねえぜ」
 
 E.Tはごげ茶色、ドドンパQはネイビーブルーの昴気だった。
 
 「く、昴気の使い手が相手では分が悪いわ。さらばだ」
 
 そう言うと一瞬で消え去るフィラ。
 
 「く、逃がしたか」
 
 「ふふ、E.Tくん。いいではないか。
 
 相手はただのオカマ・・・・・・」
 
 「オカマって言うなボケーー!!」
 
 後頭部にニーキックを受け、悶絶するドドンパQ。
 
 「そんな、昴気で覆われているのに。
 
 しかも見えなかった。さすがオカマ・・・・・・」
 
 「だから言うなーー!!」
 
 学習能力がないのか、同じ事をして今度は顔面に回し蹴りを喰らってしまった。
 
 「次オカマって言ったら本気で殴るからな」
 
 また一瞬で消え去るフィラ。
 
 「今、絶対に本気でしたよね?」
 
 「ああ、死にかけたよ」
 
 二人は昴気に目覚めたのに数秒で三途の川を覗きそうになっていた。
 
 「あの〜、契約ってやっぱりダメになったですよね〜」
 
 Benが申し訳なさそうに尋ねてきた。
 
 「ああ、そうじゃないの」
 
 E.Tがそう言うとBenはにっこり微笑み、
 
 「なにさらすんじゃおのれら。
 
 今いい所までいっとたのによ。
 
 また失敗したがな。どうしてくれんねん、あ?
 
 つーかおのれらはE.TとドドンパQやないか。
 
 なにしてんねん朝鮮半島侵略命じていたはずやろが」
 
 二人は言われてやっとそれがBenだと気付き、
 
 「「す、すみませーーん。今すぐに行きますーー!!」」
 
 こうして二人は先発隊と合流することとなった。
 
 
 
 
 
 
 アクション大魔王
 第五話「捕虜の生活 十二の翼の場合」

 
 
 
 
 
 
 かごの中に閉じ込められた時、
 
 音威神矢と天砂の二人は即座に助け出そうとしたが
 
 集中砲火を浴びて退却せざるを得なかった。
 
 「あほかあいつ!!ぼけか!!」
 
 「まあまあ、落ち着いて神矢さん」
 
 韓国の即席基地に避難した二人は十二の翼のバカな行動について議論していた。
 
 避難基地は予想外の事態にほとんどの人が出払ってしまった。
 
 「ナデシコファンなら仕方が無いんですが、作戦行動中でしたからねえ・・・・・・」
 
 「あいつどないしよ?」
 
 「見捨てることも有り得ますが・・・・・・取りあえずここから本部に連絡して指示を仰ぎましょう」
 
 「そうやな」
 
 二人は飲みかけのコーヒーを残し、
 
 ここから唯一連絡可能な場所はここの施設を任された人の部屋にあった。
 
 二人はわりと狭めの廊下を無言で渡り歩いた。
 
 「ここの責任者って誰でしたっけ?」
 
 「いや、オレもあったことないなあ。
 
 どんな奴やろ?挨拶ぐらいした方が良かったかいな?」
 
 「そんな今更・・・・・・」
 
 音威神矢と天砂は何分もかからずに目的の部屋に辿り着いた。
 
 「すんませ〜ん、通信機使わして貰えませんか〜?」
 
 言いながら、扉をドンドンと手荒く叩いたが一向に返事がなかった。
 
 「どうしたんでしょう?
 
 留守にしてるんでしょうか?」
 
 「いいやん。
 
 さっさと連絡してしまおうや」
 
 「あ、だめですよ。
 
 ああ〜もう仕方が無いなあ」
 
 いきなり扉を開けて奥に入ってしまった音威神矢を追って行った。
 
 しかし中は薄暗く辺りを見渡せなかった。
 
 「なんやもう〜ここ。
 
 あ、電灯のスイッチがあったわ」
 
 パチっという音と共に一斉に電灯が着いた。
 
 だが二人の目に映ったのは・・・・・・
 
 大量の血と動かない人の体だった。
 
 「いやーーーー!!
 
 死体や死体ーーー!!」
 
 音威神矢が叫んだ。
 
 この時、いろんなことが頭をよぎったと音威神矢はのちの対談で述べた。
 
 「ええ、あの時は本当に驚きました。
 
 なんせいきなり死体ですよ。驚かない方がおかしいですよ。
 
 あの時によぎったことと言えば・・・・・・
 
 誰が殺ったんだろうか?いつ殺られたんだろうか?
 
 警察に通報した方がいいのか?
 
 あ、あの時はテロリストだったので警察に連絡したら問答無用で逮捕されますからね。
 
 後カーペットに付いた血の後はどうしたらいいのか?
 
 そんな時はこれ、ドイツの科学力が生んだイオンマルチクリーナー3です。
 
 これさえあればドレスについた染みや血の後なんか一発です。
 
 お気に入りのドレスや服を着れなくなったあなた、なんかヤバイことをして証拠をのこしてしまったあなた。
 
 これを一本なんと7800円。
 
 さらに今回特別にもう一本お付けして二本7800円。
 
 すぐにお電話待ってます」
 
 十年後、マダムの喋り方でこんな対談があったとはまだ誰も知らない。
 
 「お、落ち着きましょう。
 
 おすぎはファッションの方でピーコは映画評論でしたよね?」
 
 「おのれが一番混乱しとるわい!!」
 
 オロオロしている天砂に音威神矢が関西で鍛えた突っ込みが決まる。
 
 「そうだ。
 
 人を呼んで来ましょう。まだここに何人か残ってましたよ」
 
 「そうだなそれがいい。早く呼んでこ・・・・・・」
 
 後が続かなかった。
 
 今まさに死体と思われていたものがゆっくりと起き上がろうとしていた。
 
 「うわわーー、じょ、成仏してください。
 
 お参りにわたしの好物の納豆入りのカレーライスを持っていきますから」
 
 「お、おれもオムライスヨーグルト入りをお供えしますから」
 
 二人ともナンマイダブ、ナンマイダブと唱えながら、手を合わせていた。
 
 (ちなみに十二の翼は上の食べ物を食しています)
 
 「待ちたまえ。わたしは死んでないからやめて欲しいのだが」
 
 血を拭きながらすっぱりと言った。
 
 「「えっ?」」
 
 確かに目の前にいる男性は平気そうに血を拭いている。
 
 すぐに一つのものを取り出し、カーペットの血を拭いていった。
 
 それは元祖イオンマルチクリーナーだったことは二人にはわからなかった。
 
 すぐにそれも終わり、自分のイスに座り、
 
 「わたしがここの責任者、BA−2だ」
 
 ふんぞり返って挨拶をした。
 
 「あ、あの〜どうして血まみれで倒れてたんですか?」
 
 「うむ、いい質問だね。
 
 そうわたしは餓えていたのだ」
 
 あくまで高い所から説明しているBA−2だったがそんなことを二人は気にしていなかった。
 
 「餓えてってどういうことやねん?」
 
 「餓えていたのだよ、女性に!!
 
 こんな所でうだうだとやっていたならばナンパをしたくなってね。
 
 おおっと、わたしもいい歳だからね。当たり前のことをしただけだよ。
 
 ここはもちろん日本と違うのでね、頑張ってハングル語を覚えて速攻で街に繰り出したのだよ。
 
 そして手頃な女性をここに連れてきて情事をしようとしたのだが・・・・・・
 
 何故か近くにあった灰皿で頭部を強打されてね。
 
 そのまま気を失ったという訳さ」
 
 「「あほかーー!!」」
 
 二人は綺麗にハモった。
 
 「ここのことを知られては私達やばいんですよ、わかってます?」
 
 「ははは、わかっているとも。安心したまえ、そんなことでばれやしないよ」
 
 「なんや、これ?」
 
 音威神矢は目に付いた紙、いや名刺を手にした。
 
 『韓国特殊諜報部隊 和田 秀昭』
 
 「あ〜それきっと男ですよ」
 
 そう言って名刺を渡す音威神矢。
 
 じっくりと読むBA−2.
 
 「ははは、これは一本取られたね。
 
 しかしバイセクシャルだから男でもOKさ」
 
 とんでもないことを平気を言った。
 
 「んなことはどうでもいいからここの場所ばれてますよ。
 
 早く逃げないと・・・・・・」
 
 その言葉は激しく響く爆発音によって掻き消された。
 
 世界政府が初めて攻撃に打って出たときだった。
 
 
 
 
 
 
 
 「なんでこんなことわたしがしないといけないんだ?」
 
 涼水夢はぶつぶつと言いながら手にいっぱいの古い資料を運んでいる最中だった。
 
 第二資料室は拘置所のすぐそばにあるため第一資料室からかなり離れていた。
 
 「ったく・・・・・・ん?」
 
 拘置所から話し声が聞こえてきた。
 
 「あれ?
 
 テロリストの拷問は明日のはずなのに・・・・・・」
 
 そっと近づいていくとこんな声が聞こえてきた。
 
 「で、韓国の状態はどんな感じですか?」
 
 「ええ、一人捕まえたことで油断していますよ。
 
 軽いものです。後はこのまま内部工作して朝鮮半島は頂きです」
 
 「そうですね、僕の渡した資料が役に立ったですか?」
 
 「いろいろと・・・・・・あれでみんな油断するんですよ」
 
 にやにやと二人で笑っている
 
 「こ、これは・・・・・・裏切り!?」
 
 とんでもない現場に出くわした涼水夢だった。
 
 
 
 
 
 
 後書き
 
 遅刻常習犯の十二の翼です。
 
 勘弁してください、いや本当に。
 
 後、BA−2さんすんません!!!
 
 気にしないでください。気にしたら負けです。
 
 物語はこんな運命によって回っていくのです。
 
 はあ、眠いです。
 
 後、ダークドレアムってわかる人いる?