最初に
 この作品に登場する方々の本来の性別・人格・性格・容姿などは完璧に無視されます。
 
 その辺を了承願います。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「おい、Ben。
 
 早く酒とつまみを出しやがれ」
 
 要求が更に増えたようだ。
 
 未だに暴走を続ける鋼の城を尻目にゴソゴソと何かを探し続けていた。
 
 「おい、Ben。
 
 早く酒とつまみを出しやがれ」
 
 目が据わってきた。何かヤバイかもしんない。
 
 Benの動きがようやく止まった。
 
 目当ての物を見つけ出したようだった。
 
 「はい、これ上げる」
 
 おもむろにそう言って手にしている物を鋼の城に渡す。
 
 「・・・・・・俺の記憶が正しければ」
 
 「蒲鉾だ。でかいだろう。特注だ」
 
 「・・・・・・」
 
 「・・・・・・」
 
 「・・・・・・」
 
 「・・・大蒲鉾命名記念品だが」
 
 酔っ払ってもないのにくだらんことを言ったBenは暴れん坊将軍と化した鋼の城にまたしても吹っ飛んだ。
 
 神戸は血の雨が降りそうです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 アクション大魔王
 
 第十一話 ペンギンパラダイス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「なあ<乙>よ」
 
 「なんだ?<甲>」
 
 影の兄弟の二人が氷の大地でお話をしていた。
 
 南極に着いたばかりだったが、元気満々な<甲>が少し沈んでいる<乙>にある事を聞いた。
 
 
 
 「・・・俺たちここでなにやるんだ?」
 
 
 
 「さあ?」
 
 
 
 見渡す限り氷、氷、氷。
 
 所々ペンギンが滑ってたりする。
 
 ・・・本当にこんな所をどうやれば確保できるんだろう?
 
 昭和基地を征服すればいいのか?
 
 つーか人がいない。
 
 「どうすりゃいいんだろう?
 
 こら!<甲>、ペンギンと戯れるな!!」
 
 現実逃避しそうになるもも<乙>はうすでに現実逃避をしている相方を見てなんとか踏みとどまった。
 
 <甲>は遠くにいるペンギンの群れにちょっかいをかけていた。
 
 一匹のペンギンの子供をボーリングの要領で滑らして遊んでいた。
 
 その先にいる十匹のペンギンが全て倒れた。
 
 
 
 ・・・・・・いつ飼い慣らした?
 
 
 
 あ、ペンギンがスコアを書いてる。
 
 流行るかな?
 
 <乙>がそろそろ現実逃避の入口を開けそうになった時、音が響いた。
 
 
 バシっ!!
 
 
 何か大きな音が起こったので<甲>の方を向くと赤い氷の一面が出来上がっていた。
 
 鼻の辺りを押さえてうつ伏せになっている<甲>。
 
 どうやら鼻を打ったようだった。
 
 「おい、<甲>遊んでないで今後をどうするか話し合うぞ」
 
 話し掛けても動く気配すらない。
 
 しょうがなく近づいて<甲>の肩に手をかけて顔を上げさせた。
 
 
 
 そこには見るも無残な<甲>の顔があった。
 
 
 
 「ど、どうした?何があった?」
 
 「・・・・・・ペンギンの羽、意外に固くて痛い」
 
 どうやら遊び半分でペンギンをからかっていたら羽が顔面に当たったようだった。
 
 当たり前だった。
 
 なんたってボーリングの玉にされていて気分の良い動物なんていない。
 
 「リンチ喰らった・・・・・・」
 
 「はいはい、冗談はいいからそこで待ってな。救急箱持ってくるから」
 
 <乙>はそう言うと愛機のクイーンサイダロンに向かった。
 
 コックピットに向かおうとする。
 
 
 「うぎゃーー!!」
 
 
 ただならぬ悲鳴が木霊したので<乙>が振り返ると<甲>の変わり果てた姿があった。

 
 
 
 簡単に言うならキリスト。
 
 
 
 木の柱に括り付けられて、火あぶりにされていた。
 
 
 
 ペンギン達によって。
 
 
 
 さっきまでは可愛かったペンギンたちが今では腹の減った猛獣のような殺気だった目をしていた。
 
 なんとかペンギンたちを追い払い、<甲>を助けると
 
 「くそっ!命令はペンギンたちを退治しろってことか!?」
 
 「いや、俺が約束を破ったから・・・」
 
 そう言うと気絶してしまった。
 
 「おい!?どんな約束だったんだ!?」
 
 叫ぶがペンギンたちのリンチによってかなり体力を消耗したようだ。
 
 
 ズズーーン
 
 
 ズズーーン
 
 
 何かデカイ音が聞こえてくる。
 
 このSSで幸せな出来事があるはずがない。
 
 こういうことは不幸なことに決まっている。
 
 <乙>は<甲>の体を抱えて、クイーンサイダロンに乗り込もうとした。
 
 しかしそこには二つの機体の影とは別にもう二つ影があった。
 
 
 
 デカイ皇帝ペンギンだった。
 
 
 
 ハードムースの宣伝に出てきそうなフォルムだったがそのでかさが異常だった。
 
 プルトニウムでも喰らったか!?
 
 と言いたくなる。
 
 そしてその足元にはさっきまでのペンギンたちがいた。
 
 どうやらこのペンギンたちが呼んだようだ。
 
 
 「ギャオオオオーーーン!!」
 
 
 ペンギンの鳴き声(?)と共にその羽で二人の機体を掴んだ。
 
 するといきなりそれを持って走って行ってしまった。
 
 「・・・・・・」
 
 何が起こったかまるでわかっていなかったがこれだけは叫ぶことができた。
 
 
 
 「ドロボーーーー!!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「ここは?」
 
 音威神矢が気付いたみたいだった。
 
 ここは中国支部の医務室。
 
 ここの責任者の影の兄弟は今南極で悪戦苦闘している所だった。
 
 音威神矢の隣には天砂、BA−2が寝ていた。
 
 「そういや、おれらは韓国で・・・めちゃ酷い武器喰らった気が・・・」
 
 どうにも体があの時の恐怖で動かない。
 
 あの匂いだけであの威力。
 
 口に入れたら絶対に死ぬだろう。
 
 Enopi議長は何故大丈夫だろう?
 
 一回健康ドックに入れてみようか?
 
 そんなことが頭の中をよぎったが、天砂達とは逆隣の机に手紙らしきものに目をやった。
 
 「ん?なにやろ、これ?」
 
 がさがさと紙を広げてみると影の兄弟からの手紙だった。
 
 こんなことが書かれてあった。
 
 『ど〜も、影の兄弟の<甲>で〜す。
 
 あなた達は今、中国支部にいます。
 
 後十二戦士の三人も洗脳して仲間になっていますので気軽に話してやって下さい。
 
 さてあなた達の指令は中国を征服することです。
 
 ですが中国にはアレがいます。
 
 アレとは分かりますよね?
 
 さてこの指令、やりますか?やりませんか?
 
 でもやらなかったら死がまってますけどね。じゃばいば〜い』
 
 「・・・・・・・」
 
 音威神矢は黙った。
 
 自分は本来なら日本支部なんです。
 
 こんなことを言っても聖教団には通用しないだろうが。
 
 「アレってアレしかないやんか〜〜」
 
 泣きながらそんなことを言った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 後書き
 
 十二の翼です
 
 頑張って書きました。
 
 本来なら土曜に贈りたかったがあることが起こりました。
 
 
 
 足を折りました
 
 
 
 ・・・手じゃなくて良かった。