テンカワアキトの女難体験記K
朱に交われば赤くなる
この話は1人の男の、女心を解さない軽率な行動が起こした女難体験のお話・・・・・・・・
私の名はシオン・パラディン。
地球連合軍元中佐で、アメリカ方面において参謀の地位にいたものだ。
”元”、というのは最近少佐に降格したためである。
先に言わせてもらうが変な理由で降格されたのではないぞ(例えば子供に猥褻行為をするとか)。
その辺はまたの機会ということにして、今回は私が遭遇したある奇怪な体験をお話ししたいと思う。
もしその気があったら是非拝聴願いたい。
ある日私は上から辞令を受けた。
なんと大企業のネルガルが私のアメリカ方面での戦略能力を高く評価しており、話題の新造戦艦ナデシコへの
乗艦を要請してきたというのだ。
正直私は迷った、実は私はナデシコという戦艦があまり好きではなかったからだ。
いや、軍人なら普通ナデシコに好意は持てないだろう。
宇宙に出るために軍の包囲網はずたずたにするし、行方不明になっていたと思えば突然チューリップから
出てきてグラビティブラストで軍に被害を及ぼすし、メインコンピュータが暴走したとかで軍と木星蜥蜴の
区別も付けず攻撃をする。
私にだって軍人としての誇りがある、小さな奴だと思われるかもしれないが軍人のテリトリー(領域)に平気で足
を踏み入れるナデシコを認めるわけにはいかない。
だがそんな自尊心とは裏腹に私はこの辞令を受けた。
降格されて間もなかったので、少し軍から離れて見るのもいいかなと思ったのだ。
それ以上に気になる存在が2人いた。
1人はやはり漆黒の戦神と呼ばれる伝説的エステバリスライダー、テンカワアキト。
ただ彼には稀代の女たらしという前述の二つ名とは相反しそうな異名も持っている。
それも気になった。
もう1人は軍の重鎮(と思われる)ミスマルコウイチロウ提督の息女にしてナデシコの艦長、ミスマルユリカの
存在である。
ネルガルの要請の正確な内容としては、現在木星蜥蜴との戦闘に際し戦略能力を有するのは実質彼女だけ
なのでそのバックアップ、場合によっては自ら作戦を練って欲しいというもの、彼女の手助けをしろというのだ。
連合大学での戦略シミュレーションで無敗と言う話は聞いている、是非とも勝負してみたい。
まあ他にもうひとつ重要な理由があるのだがそれも別の機会にしよう。
かくして傷心旅行のような感じで私はナデシコに向かったのであった
(長ったらしくてごめんなさい)・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ナデシコは現在某ドックで待機状態となっているらしい。
なんのために待機となっているのかは不明だった。
この時は恐らくメンテナンスと武器その他の補給のためであり、私の乗艦の日はそれにあわせたものだろうと
思っていた。
だがそれは大きな間違いだということを後で思い知らされることになる。
ナデシコとは常識ではくくることができない戦艦だったのだ。
「パラディン少佐、そろそろドックに到着いたします。
お支度のほうを。」
「え、もう着いたのか。」
普段は軍服を着ているが、今日は一応スーツを着ている。
リムジンなどという高級な車に乗ることができるとは、ネルガルは本当に企業なんだなとつくづく感じた。
「以後はナデシコに乗艦している人事担当のプロスペクターと戦闘指揮官のゴートが案内役を務めますので。」
運転手は義務的にそれだけ言った。
私は軽くうなずいて了解を告げた。
私を降ろすとリムジンはさっさと出ていってしまった。
もう少しかわいげがあってもいいと思う、そんなことを考えていたら後ろで誰かが声をかけてきた。
「いやーこれはこれはパラディン少佐、お待ちしてましたよ。」
振り向くと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・目が点になった。
夢を見ているのか、それとも幻か、そう思った、いや、そう思わずにはいられなかったのだ。
私に声をかけてきたのはメガネをかけ、ひげを生やしたサラリーマン風の男だった。
そしてその右脇には長身でがっちりとした大男(笑)が立っていた。
恐らく彼らがプロスペクターとゴートなのだろう、だが、なぜ、どうして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
「あ、あの、なぜはっぴを羽織ってらっしゃるのですか?(焦)。」
私はこれでも日本のことを知っている。
はっぴと呼ばれる服は夏に行うお祭りで着るもののはずだ。
あれを着て日本独特の踊りを踊り、太鼓というものを叩き、ずらずらと並ぶいろんなお店で買ったり売ったり
するのだ。
しかしナデシコは戦艦のはずである、お祭りなどとはなんの関係もないはずだ。
にも関わらず彼らははっぴを着て、布を頭に巻き(はちまき)、白い妙な半ズボンをはき、おかしな靴下(足袋)
をはいている(よく考えたらこの姿って祭りというよりお神輿を担ぐ格好か?)。
ま、まさか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
「まさか近くにお祭りがあってそれに参加するために待機してるわけではないですよね?(マジで焦る)。」
「え、あー、いやいや、そうではありませんよ。」
にっこりとして私の質問を否定するメガネの人物。
そ、そうだよな、そんなはずないよな、まさかお祭りのためだけに待機するなんて。
なんか恥ずかしいことを質問してしまった、わびなくてはならない。
そう思った矢先、先ほどの人物から発せられた言葉で私は石化した。
「お祭りに参加するために待機したのではなく、お祭りをしているため待機してるのですよ。」
「は?。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この時すでに私は脱力状態だった。
先ほどの言葉の意味を簡単に言えば、ナデシコでお祭りをやっているということになる。
そのために待機しているというのだ、自分の耳が腐ってしまったのではないかと自問自答を繰り返したくらいだ。
最も、意味はなかったが(そりゃそうだ)。
呆然としながらドック内を歩く私に彼、ミスタープロスペクターが事情を話してくれた。
「実はですねぇ、かねてより一部のクルーからお祭りをやりたいとの提案がありまして。
まあいわゆるたいくつしのぎの大掛かりなイベントですな。
実際にナデシコの中にいくつも店を出して、金魚すくいや射的ゲーム、綿飴などを出したいと、
おや?、知っておられる、いやいや、日本通なのですなぁ。
当初はそう言ったものを用意するのにも何かと手間が掛かりますし、軽く受け流していたのですがだんだん
提案が抗議にエスカレートしていきまして、休みが少ないんだからせめてこれぐらいは多めに見ろとデモの
真似事まで起こる始末でして。
まあ予算もそんなにはかからないし良しとするかということになりまして、今日、明日、明後日の3日間行いま
す。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そ、そうですか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(絶句)。」
何か夢を見ているような気にさせられた。
確かにこの戦艦は軍人はほとんどいない、それに企業のものだから職務規定以外は普通の生活をしている
だろうし軍に比べれば多少だらけたり抗議自体起こるものかもしれない。
だが戦艦の中で祭りをするとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
しかもネルガルの社員であるこの2人、正直言ってはっぴは似合っていないような気もするが、しっかり順応
している。
「わからないことがあれば遠慮なく質問していただきたい。」
ゴート・ホーリーと名乗る大男が私にそう言ってきた。
気遣いはありがたいのだができれば黙っていて欲しい、心の整理がつかないから。
「もちろん少佐のことはすでに紹介済みです。
そしてこの祭り、いや、ナデシコ祭りとでもしておきましょう、この祭りがあなたの歓迎会にもなりますので、
どうぞ楽しんでいってください。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・(絶句)。」
本当に言葉も出なかった。
ナデシコにはつくづく驚かされる。
出入りがカードひとつ、監視する人間もいない。
どうなってるんだ、私の考えは古いとでも言うのだろうか。
放心しながら館内に入った途端突然コミュニケが開き、子供のような笑顔と着物を着た女性が大声で叫びはじ
めた。
「皆さん!!、今日から待ちに待ったナデシコ祭りの始まりでーす!!。
この日のためにいろんな出し物を用意したと思います!!。
悔いのないよう精一杯楽しみましょう!!。
ブイ!!。」
ピースサインをしてにっこりと微笑む彼女。
だがそれに見とれる心の余裕は私にはなかった。
「か、彼女は一体誰なのです?。
祭りの司会進行役か何か・・・・・・・・・・・・・あ、いや、待てよ、彼女は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ミスマルユリカ艦長?(汗)。」
「ずばり当たりです。
彼女が機動戦艦ナデシコの艦長、ミスマルユリカさんです、はい。」
がーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!
ま、まさか今の女性がミスマルユリカ(汗)。
戦略シミュレーション無敗の実力者、戦艦の艦長。
ただの大学生にしか見えなかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
予想と全然違う彼女を前にがっくりうなだれる私に、ミスタープロスペクターはぽんと肩を叩いた。
「パラディン少佐。
この艦において大切なことはですねぇ。
早く慣れろということです。
目の前にある現実は現実だと受け止めてください。
そうすればすぐに溶け込めます。
よく言うじゃないですか。
朱に交われば赤くなると。」
「赤くなりたいとは思いませんが・・・・・・・・・・・・・・(脱)。」
「いやいや、口ではそうおっしゃっても後のことは誰にもわかりません。
あ、時間だ、申し訳ありませんがちょっとイベントの打ち合わせなので少し外させてもらいます。
とりあえず祭りを楽しんでてください。
では。」
ミスタープロスはそれだけ言うとミスターゴートと共に行ってしまった。
入り口付近で取り残された私・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「とりあえずぶらぶらしてみよう。」
独り言を呟くと私は力なく歩いていった。
「さー、いらはいいらはい、お祭りといったら射的ゲームだ!!。
だがそんじょそこらの射的とはわけが違う。
この銃、このセイヤさんがこの日のために作ったオリジナル!!。
これを使えば100発100中間違いなし!!。」
やけに祭り姿が似合う男性が射的を開いていた。
後で知ったのだが彼はウリバタケセイヤ。
敏腕のメカニックでこの企画を最初に持ち上げたのは彼らしい。
企画から実行まで全て彼が携わっていたそうだ。
それにしてもあの銃、射的をするためとは思えないほど性能がよさそうに見える。
本当に射的のために作ったのだろうか?。
偶然彼と目が合った。
彼は私に目をつけたらしく大声で遠くから見てた私に声をかけてきた。
「そこのスーツ姿のあんた!!。
どうだい、騙されたと思ってひとつ勝負してみたら。
最初に限り無料サービスだ!!。」
「わお!!、うりぴー太っ腹!!。」
メガネをかけた女性(ヒカル)が茶々を入れてきた。
周りも私を注目してくる。
仕方なく私は彼のところまで近づいていって銃を手に持った。
的を見ると紙がはってあるやや小さめの板のような物が立っていた。
なるほど、商品そのものではなくあれを打って商品を渡すというわけだ。
私は右上にあるのに目をつけた。
何が当たるかお楽しみと書いてあった。
これでも銃は得意な方である。
もしかしたらいいところを見せられるかも、そう思って撃鉄をおこして狙いを定め・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どぐぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!
すさまじい勢いで玉が飛び出した。
反動で私は後方へ吹っ飛んだ。
本物の拳銃より威力があるのではなかったろうか。
ちなみに玉は命中した。
だが当たったらしい痕跡はあるが商品はびくともしていない、鉄板だったのだろうか(汗)。
そして玉の方も材質がおかしい、どうも特殊な金属のようだった。
「は、班長。なんかすさまじかったっスよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(汗)。」
「あったぼうよ!!、ただの射的じゃ意味がないだろうが!!。
的もちょっとやそっとじゃ倒れねーよう工夫してるのさ。
あんた、やるじゃねーか。
良し、商品としてこれを進呈しよう!!。」
普通じゃない銃と異様に硬い的の説明は具体的ではなかったが(笑)、彼は私に二枚の封筒を手渡してくれた。
まあ当たったのだから賞品は当然もらえるわけだし。
だが誰一人として私がここにいることに不審をいだいていない。
紹介されてるのだから新入りかぐらい言ってもいいのに、まるで以前からここにいるかのような気安さだ。
悪い気はしないが。
とりあえずそこから離れて歩きながら封筒を破いて中を見渡した。
一枚目には写真が入っていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女性の着替え姿だった(爆)。
とはい言っても欲情してしまうような過激なものではなく少し下着が見える程度、とはいえこれは犯罪ではない
だろうか(汗)。
後にこれがナデシコの操舵士、ハルカミナト氏だということがわかった。
この写真をどうするかは別の機会ということにして、まっ私も男だし。二枚目の封筒を破くと一枚の紙切れが
入っていた。
「えー、なになに、テンカワアキト抹殺同盟へのご入会用紙?。
ご希望の方は名前、担当部署、年齢、性別をご記入の上、血判にて証明をお願いします・・・・・・・・・・・・・・。
抹殺?、どういうことだ?、彼は狙われているのか?。
素性を記入することに何か意味はあるのか?、なぜ血判なのだ?、
判子ではなぜいけないのだ?。」
頭が壊れそうだった。
犯罪まがいの写真とこの意味不明の入会用紙、共通点がつかめないまま私はまたぶらつき始めた。
歩き回るとそこかしこでいろんな店や出し物をやっている。
音楽を流して正にどんちゃん騒ぎ状態だった。
ふと目をやると焼きそば兼たこ焼き屋を発見した。
店の周りで十数人の人間が円のように囲んでいる。
どうももめているようだ。
「ちょっとアキトさん!!、どうしてこんなところで店なんかやってるんです!!。」
「そうよ!!、私と展望台で花火を見る約束してたじゃない!!。」
「何言ってんだばっきゃろー!!、アキトは俺と太鼓を叩くって約束を!!。」
「違うわ!!、アキト君は私と盆踊りを一緒に踊るのよ!!。」
「違います!!、アキトさんは私と優雅に金魚すくいをするんです!!。」
「違うよ!!、アキトはここで私と屋台やるんだもん!!、ね、アキト!!。」
「アキト、私との約束は!!(怒)。」
・・・・・・・・・・・・・・・えー、上からポニーテールをした銀髪の女性、次に金髪の女性、緑の短髪の女性、
次に黒髪のキャリアウーマン風の女性、髪を二つに束ねた女の子、次が・・・・・・・ミスマル艦長で、
最後が桃色の頭をした女の子・・・・・・・・・・。
その後にもいろんな女性が、美しい着物を着て似たような発言でアキトと呼ばれる男性に文句を連発していた。
するとあの男性がテンカワアキト、漆黒の戦神と呼ばれる人物なのか。
稀代の女たらしと呼ぶにふさわしい現場を見てしまったようだ(脱)。
中央でたじたじになっている彼はじーっと見ていた私に気づき、助けてくれというような視線を投げかけてきた。
だからどうして初対面の人間にそういう親しい人間に対するようなことをする!?。
どうしようか迷ったが・・・・・・・・・・・・・・・・不憫なので助けることにした。
それにしても彼は10人以上の女性と何がしかの関係と言うことなのだろうか。
そのうち2人は子供だぞ。
「あ、あの、焼きそばひとつ。」
「!?、あいよ!!、焼きそばひとつね!!。
ほらみんな、お客さんが来たからどいてどいて!!。」
私の参入により彼はとりあえず最悪の事態を回避できたようだ。
彼女達の視線が私に集中しているのがわかる、すごい殺気じみたものだ(汗)。
特に子供2人が何か鬼の目で私を睨んでいるような気がするのは気のせいだろうか。
歴戦の軍人の自負を持つ私だが怖くてずっと彼の方をむきっぱなしだった。
手際よく焼きそばを焼いている。
報告では彼はコックも兼任していると聞いたが本当らしい。
おいしそうな焼きそばをパックに、なぜかたこ焼きも入れて私に手渡してきた。
「お客さんいい人だからサービス、半額でいいよ!!。」
彼はお礼のつもりなのかたこ焼き付きでサービスしてくれた。
予想していたよりもずっと優しい好青年のようだ。
軍が危険視しているのはもしかして彼の戦力よりも金銀や権力の意のままになりそうもない優しさと言う
人間性なのかもしれない。
後に私の予想が的中していることをあの女の子、ホシノルリから聞くことになるが、それはともかくいい人なんて
余計なことを言ったのは大きな間違いなのは私でもわかることだ。
「ちょっとアキト君、今の発言なに!!(怒)。」
「なんです!!、私達が邪魔だっていいたいんですか!!(怒)。」
「酷い!!、アキトの方から約束してきたのに!!(怒)。」
「「「「「私達の抗議は正当です!!(怒)。」」」」」
・・・・・・・・・・・・・上から、金髪の白衣の女性、紫髪の三つ編みの女性、黒髪のつなぎを着た女性、それに
五人組の印象を受ける女性達。
彼はまたしても私に懇願の視線を向けてきた。
う〜ん、また助けるか。
「皆少し落ち着かれたらどうだ?。
彼にも都合というものがあるだろう?。」
「ああ!!(怒)」
「シーン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(全員絶句)。」
不良まがいの台詞と顔で(笑)紫色の髪の女性、メグミ・レイナード氏が私にメンチをきってきた。
あまりの迫力に私のみならず周りも、テンカワアキト氏さえも震え上がっていた。
はたと我に返った彼女は開口一番、
「や、やだ私ったら、下品な真似を・・・・・・・・・・・・・・・・・テヘ!!(はぁと)。」
テヘ!!(はぁと)、じゃねーよ、誰もがそう思ったに違いない。
私は正直びびってしまったが口を挟んだ以上引くこともできないので更に言葉を続けた。
「わ、私は一般論を言いたいんだ。
貴方方はこの彼と約束したと主張しているがよほど忘れっぽくても10人以上の人間と約束したなら
むしろ全部覚えてるんじゃないか?。
それに貴方方はちゃんと彼の了解の返事を聞いたのか?。
もしかして返事も聞かず聞いたと思いこんでさっさとその場から離れていったのではないか?。
そんなことでは彼に嫌われてしまうぞ!!。」
私は精一杯の威厳を持ってこの状況で考えられる予想を踏まえた上で正論を唱えた。
後ろを見るとテンカワアキト氏が涙を流しながらも不気味な笑顔で私を拝んでいる。
それにしてもなんとも予想とかけ離れた人物だ、自分の色恋沙汰(色恋沙汰を超越している)を初対面の人間に
仲裁してもらうとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(脱)。
思っていたよりずっと情けない人物なのだろうか。
ふむ、一応私の中では彼と言う人物は・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
思っていたよりもずっと穏やかな好青年であるが
身持ちは極めて悪い(笑)
に位置付けた。彼が付き合っている女性は女性クルー全体の6割にも及んでいるというし。
それはともかくミスマル艦長をはじめとする女性達は私の言葉がこたえたのか、顔を下げて沈黙している。
ほっ、少しは私も面目を保ったかな・・・・・・・・・・・・・・・・・・と思うのは間違いだった。
ナデシコのクルー、いや、恋に盲目的な女性達に理屈という名の諫言は無意味だった。
「何言ってるんですか!!、私とアキトさんの深い繋がりも知らないくせに!!。
私が頼み事を言えばアキトさんは二つ返事で聞いてくれます!!(怒)。」
瑠璃色の髪をした女の子、ホシノルリが猛烈に反論してくる。
「ちょっとルリ、何勝手なこと言ってるのよ!!、アキトと一番繋がりが深いのは私よ!!(怒)。」
桃色の髪をした女の子、ラピス・ラズリが彼女に文句を言っている。
「お子様なんて眼中(正確には眼中に無し)よ!!、私はアキト君から了解を受けたんだから!!。」
「姉さん!!、それは幻覚でしょ!!、アキトさんの了解を受けたのは私です!!。」
姉妹と思しき2人が口論している、姉妹は好みが似るというのはどうも本当らしい。
「さ、アキトさん、他の人はほっといて一緒にかき氷を食べに行きましょ(はぁと)。」
「ちょっとメグちゃん!!、どさくさに何してるのよ!!。」
先ほど私にメンチをきってきた女性とミスマル艦長が互いに牽制している。
他の女性も互いにもめ始めた、もう収拾がつかない(汗)。
ふと私の左腕を掴んでいる人物がいる、テンカワアキト氏だ。
彼は自分の口に一指し指を当てて、しー、のジェスチャーをした。
私は彼にいざなわれ、ゆっくりとその場を離れ始めた。
しかし運が非常に悪かった。
「なんだ、アキト、めずらしくヤロー(男)と腕組んで、どこ行くんだよ。
ハナコちゃんと焼きそば屋開くんじゃなかったのか?。」
細身で長身の男性(ナオ)がタイミングを見計らったように話し掛けてきたのだ。
彼はハナコなる女性と焼きそば屋を開こうとしていたのか。
その瞬間女性達がこちらを向いた。
「やっぱりハナコ(ちゃん)と約束してたのね(ですね)
(だな)!!(怒)。」×女性陣
そうか、彼女達は確信犯だったのか、それであそこに集まってずっと彼に付きまとっていたのか。
彼がそわそわしてたのはハナコなる女性がこないから心配してたんだな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんて
予想してる場合じゃない!!、彼は私の手を掴んだまま走り始めた!!、私まで巻き添えじゃないか!!(汗)。
「すいません、これも何かの縁と思って一緒に逃げて・・・・・・・・・・・・・・・いや、お仕置きを受けてください!!。」
「ちょ、ちょっと、お仕置きって一体何?、なあ君!!。
大体どうして1人の女性に絞らないんだ!?。
1人に決めてればこんなことには・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「そんなことできるくらいなら、
もうしてますよーーーーーーーーーーー!!(涙)」
彼の絶叫が艦内に響き渡った。
心の叫びとはこういうもなのか、と私は思うのであった。
「逃がすわけないに決まってます!!。
皆さんお仕置きの時間です!!(怒)。」
「了解!!。」×女性陣
なんかすさまじい早さで女性陣が追いかけてくる。
この瞬間私は死を覚悟した(笑)。
そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
私は実は助かった。
あの後結局捕まってお仕置きなるものをうけるものかと覚悟していたが、ちょうど運良くこの艦で数少ない
常識人と言われるハルカミナト氏が通りかかり、私が艦に赴任する軍人であることを語ってくれたのだ。
おかげで私は九死に一生を得たが、テンカワアキト氏に助けの手はなくそのまま連行されていった。
どういうお仕置きかは不明だったが次の日彼は姿をあらわさず、ナデシコ祭りの最終日に焼きそば兼たこ焼き
屋をやっていた。
当然周りには女性陣が囲んで手伝っていた・・・・・・・・・・・・・・・・邪魔しているだけだった。
で、彼と約束していたらしい女の子は実は監禁されていたらしい(笑)。
テンカワアキト氏は涙ぐんでる彼女を慰めて今度の休暇で映画にでも行こうと約束したらしい。
後にその約束は成就させたのだが当然ばれた。その時の女性陣の怒りは尋常ではなかった。
軍への報告書に書いたくらいだ(ウソ)。
一方私のほうも少しだけ人悶着あった。
この時助けてもらったハルカミナト氏にお礼をしようとすぐにコーヒーをおごった。
しゃべっているうちに親しくなり、テンカワアキト氏の女性問題を教えてもらった。
なんと2人の女の子は思慕ではなく純粋に彼を愛しているというのだ。
その上、別の隊の女性エステバリスライダーや未亡人にまで手を出していると言う
(詳しくは黒貴宝さんの小説をお読みください)。
もはや鬼畜といっても言い過ぎではないのだろうか?(脱)。
「ま、そういうわけだから考え過ぎないで慣れてほしいわ。
よく言うじゃない、朱に交われば赤くなるって。」
「だ、誰かに同じ事を言われたよ。
赤くなれるかどうか自信がないな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そんな話をしていた時、私の懐から一枚の紙切れが、あ、いや、例の着替え写真が!!。
しかも目の前に本人がいるし!!(焦)。
「あら、何が落ちたの?。写真?。
写ってるのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(怒)。」
彼女が私を睨んでいる。
言い訳しても無駄だろうから謝ろうとしたが、意外にも彼女はいたずらっぽく私を見やっていた。
「なかなか面白い写真を持っているのね。で、誰からもらったの?。」
「ど、どうしてそう思うんだ(汗)?。」
「だぁって貴方が来たのって今日じゃない。
そもそも私のこと知らないみたいだし。」
「あ、射的で景品として・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヒ!?。」
その瞬間優雅な彼女の顔が般若となった。
「ありがと(はぁと)。犯人がわかったわ(怒)。
この写真は・・・・・・・・・・・・・・・・上げるわ(はぁと)、一応景品だし。」
そう言って彼女は姿を消した。
う〜ん、器量の大きい女性だ、見習わなければならないな。
この写真は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大事にとっておこう(笑)。
この後射的屋はなくなっており、例のメカニックマンはぐるぐる巻きで逆さ釣りになって発見された。
・・・・・・・・・・・・・・・前言撤回、ナデシコのクルーは普通じゃない!!。
しかも彼は次の日、傷が回復していたし!!。
どうなってるんだこの艦は!!、私はやっていけるのか!?。
その上木星蜥蜴の正体が実は人間だったという衝撃的な事実も何か日常の会話のように話してきたし。
本当に朱に交わって赤く染まれるのか、これにて私の機会な体験談を終わりにする。
いずれまた会う機会もあるだろうからその時にまたいろいろ語ろう、では。
作者からの教訓・朱に交わるのはいいけどそのまま染められるのはいかがなものかと(笑)
作者の話(たわいないけど)
テーマは一般常識!!、というわけで女難体験記復活第1弾の3104でございます。
今回は初の自分で作成したオリキャラをメインにしてみました。
一般的な常識を持つ人間がアキトとそれをとりまく女性陣達の常識はずれは女難体験をどう感じるかという
ものをギャグタッチで書くつもりでしたが、どっちかって言うとナデシコクルー全体をどう感じるかになって
しまいました。
長ったらしい前置きやウリバタケの射的、ミナトとの絡みなど余計なものを数多く書いてしまったので、少し
アキト達が浮いてしまったようです。
でも女難は女難としてちゃんとやってるし満足していただけるかと思います。
私が作成したこのシオン・パラディンについてですが、はっきり言って苗字は適当です。
どうも外国の苗字はよくわかりません(爆)。
名前の方はといいますと、はるか昔にジャンプでやっていたセイントセイヤに出てきた前教皇、アリエスの
シオンからとりました。
すっげーマニアックですいません(謝)。よく考えたら木連の紫苑零夜とかぶってます。後で気づきました(爆)。
曖昧な設定だからちゃんとした設定を考えてみようかな。でも、キャラが一般常識人だから人気でないだろう
しな。
誰かに考えてもらうとか。う〜ん。
次回ですがまたもオリキャラ出します。神威さん提供のキャラです。神威さん覚えてらっしゃいますよね?、
かなり前から戴きましたが遅くなってすいませんです(謝)。
ではまた。
管理人の感想
3104さんからの投稿です!!
久々の女難シリーズです!!
相変わらず、囲まれて苛められてます、テンカワ アキト!!(爆)
そして、今回のオリキャラのコンセプトは一般人!!
・・・
・・・やっていけるのか? ナデシコで?
いや、題名から考えるに朱に染まるんだろう(笑)
今後壊れていくパラディンさんに期待大だ!!
では3104さん、投稿有り難う御座いました!!
次の投稿を楽しみに待ってますね!!
感想のメールを出す時には、この 3104さん の名前をクリックして下さいね!!
後、もしメールが事情により出せ無い方は、掲示板にでも感想をお願いします!!
出来れば、この掲示板に感想を書き込んで下さいね!!