テンカワアキトの女難体験記F

 

 

 

あちらを立てればこちらが立たず

 

 

この話は1人の男の、女心を解さない軽率な行動が起こした女難体験のお話・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「まずいよ、絶ーーーーーーーーーーーーーーーっ対にまずい!!。」

 

のっけから泣き言をほざいているのはテンカワアキト。

今彼は自室の畳に座り込んで腕組みしながら考え込んでいた。2人の女性からデートに誘われてしまったのだ。

ことの始まりは2時間前、トレーニングルームにて・・・・・・・・・・・・。

 

 

「アキト君?、ちょっといいかしら。」

 

トレーニング中のアキトにエリナが話し掛けてきた。

 

「あ、エリナさん。何か用ですか、実験台ならお断りですよ(笑)。」

 

「んもう、いきなり牽制球投げないでよ。今日はプライベート。君定時後暇?。」

 

「え、(なんかやな予感が)。まあ暇ですけどなんですか?。」

 

「実はデートにでも誘おうかと思って(はぁと)。君朴念仁だからちっとも私を誘わないし。

 だからこっちからリードしてあげようと思って。まあ手ごろに楽しめるVRでってことに決定したから。

 というわけで定時後に来てね。あ、コミュニケから通信、え、それくらいそっちで対処しなさいよ!、もう。

 ごめん、ちょっと急用入っちゃったから。それじゃ定時後にね(ウインク)。」

 

エリナはアキトの意志を聴きもせず足早に消えて行った。

 

「だ、誰がリードしてくれって頼んだんだよ。俺の意志は関係ないのか?。

 でもデートか、前回の世界でユリカとして以来だったな。はぁ、なんか懐かしいな・・・・・・・・・。」

 

感慨にふけっていると妹のレイナがトレーニングルームに現われた。後ろからアキトの肩を叩いてきた。

 

「やっほーアキト君。突然なんだけどデートに誘いに来たわ(はぁと)。

 西欧方面にいる時はいろいろあってこういうことできなかったけど今のナデシコはある程度余裕もあるしさ、

 ここはひとつこっちからリードしてあげようと思って。」

 

「え!、デート!?(驚)

 

「なんでそんなに驚くの?。私が誘っちゃおかしいわけ?(怒)。」

 

アキトの表情が驚きだけでなく拒否に近いものが見られたのでむっとするレイナ。アキトは必死にごまかした。

 

「い、いや、そんなことないよ。ははははははは(乾いた笑い)。」

 

「何その乾いた笑いは?。まあいいわ。じゃあ定時後にVRね。」

 

「え!、定時後!?、それはちょっと・・・・・・・・・・・。」

 

エリナの誘いと重なったことに焦るアキト。やはり姉妹は考える事が似ているという事だろうか。

ナデシコ内にれば時間はある程度融通がきくにも関わらず姉妹そろってあえて定時後を選んだのである。

 

「何?、なんかあるの?。まさか誰かと約束でも(怒)?。でも私を優先してくれるわよね。あ、仕事に戻んなきゃ。

 それじゃ(ウインク)。」

 

姉同様アキトの意志を聴かずに、ウインクをしてその場を立ち去るレイナ。やはり姉妹は考えがよく似ている。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(絶句)。」

 

その場に1人残されたアキトは、これ以上誘われるのを恐れてとりあえず自室に引っ込んだというわけである。

 

 

 

 

「参ったなぁ。どっちを断ればいいんだ?。姉妹だからどっちか断れば、姉か妹かってことでまたもめるだろうし。

 正直言ってエリナさんの誘いを断りたくはない。だってあの人プライド高いし(笑)。

 もしレイナちゃんを選べば、妹に負けるなんてって言ってヒステリックが始まるに決まってる。

 かといってレイナちゃんを断れば、へそまげてメンテしてくれなくなりそうだし、しかもエリナさんに対しての

 競争心が強いからなあ。はぁ、あちらを立てればこちらは立たず、どうしたもんかなぁ。」

 

うらやましい悩みでずーっと頭を使っているアキト。するとコミュニケから通信が来た。相手はホウメイだった。

 

「こら!、テンカワ!!、なにやってんだい!!。早く厨房で仕込みしな!!。」

 

「あっ!、いけね。すいませんすぐ行きます。そうだな、まだ時間はあるし仕込みしながら考えるか。」

 

そう言ってアキトは自室を出ていった。ほどなく食堂につくとホウメイとホウメイガールズがすでに仕込みの準備

をしている最中だった。

 

「遅れてすいません。」

 

「アキトさん遅い!。」

 

「ハハ、ゴメン。」

 

ミカコの発言に苦笑してごまかすアキト。

 

「もしかしてデートの約束してたとかそんなんだったりして。」

 

ジュンコが冗談めかして笑っていた。だが正にその通り(笑)。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

「な、何アキトさん、その間は。もしかしてジュンコの言ったの図星なの(怒)。」

 

図星をつかれたのでしばらく思考が停止したアキトにサユリ達が問い詰める。その目は本気の目だった。

 

「い、いや、ちがうんだよ。そんなことはないよ。」

 

「うそ、なんか思いつめてたもんね(怒)。」

 

「分かった!!。2人くらいにいっぺんに誘われてどっちを断ろうかとかそんなこと考えてたんでしょ!!(怒)。」

 

「うっ!?、するど・・・・・・・・いや、そんなことないって。」

 

ハルミの鋭すぎる発言に焦りまくるアキトだが、ホウメイがナイスなフォローを入れる(あくまでアキト的にだが)

 

「ほらほら、あんた達、喋ってばかりいないで仕事仕事。」

 

「「「「「はーい。」」」」」

 

「ほっ。」

 

「「「「「アキトさん、話は終わってないからね(怒)」」」」」

 

「・・・・・・はい。」

 

なんとかしのいだ所へ今度はホウメイが近づいてきた。

 

「で、ホントの所はどうなんだい?。」

 

「な、なんですかホウメイさんまで。」

 

「いやぁ、誰の目から見ても図星をつかれてるのは明らかだからね。ちょっと個人的興味で聴いてみたのさ。」

 

めずらしく色恋沙汰な話に首を突っ込むホウメイ。アキトはマジな顔をして悩みを打ち明けた。

 

「ふぅーん、キンジョウ姉妹にねぇ。」

 

「どっちを断ればいいか思案していて。ハハ、さっきはずばり言われて参っちゃいましたよ。」

 

ホウメイはこれが本当に大企業さえ恐れさす天才的なパイロットなのかと苦笑した。ここにいるのはどう考えて

も優柔不断な女たらしなのだから(笑)。

 

「ホウメイさん、なんか失礼なこと考えませんでした?(ジト目)」

 

「いやいや、そんなことはないよ(ちょっとびっくり)。しかしあんたもその場で断ればいいのに。」

 

もっともな意見にぐうの音もでないアキト。

 

「そうすりゃエリナとデートして終わりだったのに。」

 

「それはそうなんですけど・・・・・・・・。」

 

「まあ姉妹だからね。後でお姉さんとデートしてたのがばれたらえらいことだしねぇ。」

 

「でしょ、でしょ。それにあの2人俺の意志を聴かずに仕事に戻っちゃうし。」

 

「(無意識なんだろうけど断らせない一種の策略なんだろうね)。そうだねぇ。いっそ2人とも断ったらどうだい?」。

 

 玉ねぎをむきがならホウメイが呟く。

 

「え!、でも結局怒るんじゃぁ・・・・・・・・・。」

 

「だからさ、本当の事話してさ、どっちかを取るなんてできないとかさ。」

 

「な、なるほど!!。」

 

ホウメイが仏にでも見えたのだろうか。アキトは彼女を拝み始めた。

 

「やめなよ、とにかく定時になったらそう言ってきな。演技は白々しくないようにね。」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

途端仕込みのペースが上がり始めた、よほど悩んでいたのだろう。

 

「全く、うらやましい悩みだねぇ。整備の連中が聞いたら怒るどころじゃ済まないだろうに。」

 

 

 

 

 

「ピーンポーンパーンポーン。」

 

定時のベルが食堂に響いた(ないとは思うけど御都合主義ということで)。

 

「それじゃお疲れ様。」

 

閉店になり人がいなくなった食堂からアキトは風の速さで消えた。

 

「うまくいくといいがねぇ。」

 

「デートのことですよね?、ホウメイさん(怒)。」

 

エリが肩を震わせながらホウメイに話し掛けた。

 

「ホウメイさんがアキトさんとひそひそ話してるのちゃんと聞いてたんですよ(怒)。」

 

サユリの尋常じゃない目にびびるホウメイ。完全に誤解しているようだ。

 

「か、勘違いだよ。あたしがアドバイスしたのはどうやってことわ・・・・・・・・。」

 

もう彼女たちは姿を消していた。アキトって女難の相なのかと思いつつホウメイは片付けを終わらせた。

一方VRには当然のようにエリナとレイナが顔を合わせていた。

 

「あ、姉さん。何してんのよ。」

 

「それはこっちのセリフよ、レイナ。」

 

2人はお互いの理由を察したのかおもむろに睨み始めた。

 

「いっとくけど私はちゃ〜んとアキト君の了解をえたんだからね。姉さん邪魔しないでよ。」

 

「何いってんの。それは私のセリフよ。あなたさっさと帰って寝なさいよ。メカニックの睡眠不足はパイロット

 の命に関わるのよ。」

 

「それは操舵士だって同じでしょ。とにかく、先約はわたしなんだから。」

 

口論を続ける事5分、アキトが姿を現わした。

 

「ごめん、遅くなって。2人とも先に言っとくけど俺はうんともいやとも言ってないからね。」

 

「あら、そうだったかしら。」

 

「変ねえ、聴いたと思ったんだけど。」

 

どうして姉妹ってのはこうも考えが同じなのだろうか、それともキンジョウ姉妹だけ特別なのだろうか。

ちょっと間をおいてアキトがしゃべりだそうとしたが2人の声でもみ消された。

 

「で、どっちとVRでデートするの?。まさかレイナを選んだりしないわよね、私を差し置いて。」

 

「なに言ってるのよ。姉さんより私とにきまってるじゃない!!。」

 

「それなんだけどさ・・・・・・・・・。」

 

「「私よね!!」」

 

「ごめん!!、どっちも選べないよ。」

 

「えっ!?」×2

 

アキトの返答は意外だったようで2人は目が点になった。

 

「最初はどちら断ろうと思ったんだけどさ、それじゃあどっちかを傷つけることになっちゃうだろ。あちらを立てれば

 こちらが立たずなんて迷うよりは、いっそ2人とも断ったほうがずっと2人に失礼にはならないと思って。」

 

「アキト君・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

この時アキトは頭を下げながらも心の中ではしてやったりと思っていた。

これだけ面と向かって本心を言えば2人とも気を悪くしないでここは引いてくれると確信していた。

だがそれは根拠のない確信だった。なぜなら2人に言わせればそんなのは単なる優柔不断にしか映らなか

ったからだ。すなわち女性陣の誰の目から見てもそう映るのだから。

どっちか傷つけることを拒否した時点でアキトの女難は決定してたのだ(笑)。

 

「何いってんのよ!!(怒)」×2

 

「えっ・・・・・・・・・・・・。」

 

「そんなことで引き下がるとでも思ってんの!!。どっちか選びなさいよ!!、もちろん私を(怒)。」

 

「ちょっと姉さんさりげなくアピールしないでよ!!、アキト君!、そんな発言が通ると思ったら大間違いよ!!。

 まさか姉さんを選ぶなんて言わないでしょうね!!(怒)」

 

「(ホウメイさん、思い切り逆効果ですよ〜〜〜〜〜)(涙)。」

 

「さあアキト君、逃げは許さないわよ!」

 

詰め寄られて焦るアキトに更なる女難が降りかかった。

 

「あーーーーーーーー、やっぱりアキトさんだ。」

 

「ほら、私が聴いた通りデートする約束してたんだ!(怒)。」

 

「あ、ホウメイガールズ。誤解だよ。俺は断ろうとして・・・・・・・・・・・・。」

 

「断らせるわけないでしょ。ア・キ・ト君(はぁと)。」

 

「そうそう(はぁと)。」

 

進退がいいかげんやばくなってきたアキトは奥の手をエリナに提示する。

 

「エリナさん、今度ボソンジャンプの件付き合うから。」

 

「残念、プライベートの時に取り引きは馬の耳になんとやらよ。」

 

そして次の一言で進退は極まった。

 

「ミカコ、ルリちゃんに連絡よ。あとラピスちゃんにも。」

 

「げっ、それだけはやめて(焦りまくり)。」

 

「ちょっとあの2人を呼んだらせっかくのデートが邪魔されるじゃない!!。やめなさいよ。」

 

「抜け駆けするから悪いのよ。」

 

「誰か助けてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!。」

 

おかげでデートは流れたけどルリ達にばれて大騒ぎになったとさ。

 

 

 

 

 

 

 

作者からの教訓 意思表示ははっきりとしましょうね。

 

 

 

 

 

作者の話(たわいないけど)

 

どうも3104です。今回のゲストはキンジョウ姉妹です。

「こんにちは、ネルガル会長秘書のエリナよ。」

「こんにちは、メカニックのレイナです。」

「いやぁお2人ともよくにてらっしゃいますね。」

「よく言われるわ。(姉)」

「でも私達別に双子じゃないのよ。(妹)」

「そうなんですか。」

「所で今回私達姉妹がメインなのよね?(姉)」

「はい、それが私の趣旨なので。まあすでに失敗してますけど」

「その割にはホウメイさん達の出番が多いじゃない。どういうことなんですか?(妹)」

「いやぁ、話を続ける流れの中で偶然出番が多かったというわけです。はい。それに今回は

ホシノルリさんやユリカさんが出てないしいいじゃないですか。」

「まあそれはそうだけど(姉・妹)」

「でしょ。それに実を言いますと私3104はエリナさんがお気に入りのキャラなんですよ。」

「あ、あらそう、ありがと(真っ赤)(姉)。」

「だって冷静すぎて話の種になりにくい同じ秘書、操舵士の経歴を持つミナトさんより感情的な貴方の方が

 話作りやすいですからね。」

「なにそれ、誉めてるの(怒)(姉)。」

「誉めてはないわよね(妹)。」

「それともう一つ、ルリさん達を出さなかったわけですが、彼女が出るとあなた方がメインなのに影

 が薄くなってしまいそうだからっていうのが本音でーーーーーす。」(3104逃走)

「何ですってーーーーーーーーーーー!!、待ちなさーーーーーーーーい!!(怒)」

次は誰ですかね、逃走中の3104でしムグ!?

「逃げ切れると思ったわけ?(怒)(姉)」

「イネスさんとこに連れてこ、姉さん(妹)」

「み、みなはん、はようはら〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(みなさんさようなら〜〜〜〜〜〜〜〜。)」

「では私エリナから一言。お気楽艦長や無表情小娘にアキト君は渡さないわ。最後に笑うのは私よ。覚

 えておいて(はぁと)」

「私レイナからも一言。やっぱアキト君が最後に選ぶのはメカニックとして最高腕を持つ上、妻として

 の資格を持つ私に決まってるわ。だってパイロットにとってメカニックは女房だものね。姉さんには

 絶対負けないから応援してね(はぁと)。」

 

 

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

3104さんから七回目の投稿です!!

今回はキンジョウ姉妹ですか。

ふむふむ・・・

Benも近頃はエリナの描写が多いぞ、と指摘を受けていますね(苦笑)

確かにそうなんですよね〜

結構書きやすいですよ、エリナって。

レイナはちょっと性格を軽くした(ちょっとか?)人柄ですしね。

でもブッキング・・・アキトには発生する可能性が高い事件だ(爆笑)

だって、ねえ?

その度に、こんな目に会ってるのだろうか?

・・・まあ、優柔不断で不器用な男ですからね(笑)

 

それでは、3104さん投稿有難うございました!!

 

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