時の流れに番外編

 

 

 

ナデシコ的三国志

 

 

十話、劉備南荊州四郡を接収し地盤を得る

 

 

 

前回までのあらすじ

 

 

 

赤壁の後、呉の周瑜は劉備と共に南郡奪取のため、江陵城攻めを開始。

だが守将曹仁の前に攻めあぐね、苦戦を強いられていた。

また赤壁の決着と同時期に起こした合肥攻めも、謀将蒋済の奇策にはまり撤退を余儀なくされ、

赤壁の勢いを活かすせずにいる。

この魏と呉の均衡状態を利用して、劉備は江陵攻めを呉軍に任せて別行動をとりはじめる。

劉表の嫡男、劉キを荊州牧に推薦し南荊州の接収を行おうとしていた。

 

 

 

ネルガル重工(呉)は今日も江陵城攻めを行っていた。

すでに赤壁の決着から数ヶ月が過ぎようとしている。

にも関わらず江陵を落とすことができないでいる。

曹操ユリカの一族である猛将曹仁九十九のふんばりもその原因ではあるが、

雄大なる長江を隔ててという条件が、どうしてもあと一歩のところで手詰まりになってしまう。

赤壁に引き続き司令官を務めている周瑜ラピスの苛立ちはつのるばかりだった。

 

「あ〜、いらいらする!!(怒)。

 なんで?、なんで落ちないの?。

 敵の疲労の方が大きいはずなのに!!。」

 

城攻めにおいては国や時を問わず、攻める側よりも守る側の消耗の方が物資、体力、精神力とも

圧倒的に大きいはずである。

特に赤壁で敗北した敗残兵達も少なからずいるから、ラピスは江陵は簡単に落とせるものだと楽観していた。

だからこそ劉備サラに強制的な要請はしなかった。

同盟した相手と一緒に城を落としてしまうと、どちらが所有すべきだなんだといらぬ揉め事を起こしかねない。

ならばいっそのことネルガルの兵のみで江陵を落としたかった。

それならば文句は言えないからだ。

ところが現状は敵の予想外の辛抱強さと頑強さの前に、くぎ付けにされている。

ラピスの苛立ちは道理であった。

 

「くぅ〜、なんとか江陵をゆさぶらないと。

 もう数ヶ月経っちゃってるし、そろそろユリカが赤壁の傷を癒して、動きかねないよぉ!!。」

 

ぶつぶつと1人ごとを言っていると、魯粛プロスが陣幕に入ってきた。

その顔はどこか冴えない。

ラピスはいい報告じゃあないなと直感した。

 

「ラピスさん、お元気ですかな。」

 

「そう見えるの?、プロスさん。」

 

「見えませんなぁ。

 まあそれはそれとして、あまりよくない報告がひとつ。」

 

やっぱりかとラピスは子供なりの渋い顔を見せた。

 

「う〜、合肥城攻めの失敗だけでもショックなのにぃ〜。

 まだあるの!?。」

 

赤壁と前後した合肥城攻めは、ナデシコA(漢魏)が放った偽情報に騙され、撤退してしまった。

それを聞いたときラピスはすぐに敵の意図を見抜き、地団太をふんだ。

 

「それほど酷くはありませんが、まずい報告ですな。

 朝廷が劉表フクベさんの長子、劉キアララギさんを荊州牧(州の長官)に任命いたしましたぞ。」

 

「!?。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・サラ達だね、やったの。」

 

劉備サラは荊州所有の正当性を銀河に知らしめるべく、朝廷に接触していた。

使者として超一流の能力を持つ伊籍レイナを軸に何度も無心をした結果、

ついにアララギが荊州牧就任に認められたのだ。

当然彼の後見人となっているサラは実権的立場での荊州牧となる。

ラピスは出しぬかれたと感じた。

 

「はい。

 それとサラさんは駐屯している油口に申し訳程度の兵を残して、南へ向かったようです。

 恐らくは江陵攻めで分断され、手付かず状態になっている南荊州四郡を接収するつもりではないかと。」

 

「ま、まずい(汗)。

 できたら邪魔するか先に接収したいけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無理だよね。」

 

「残念ながら。

 江陵城攻めがはかばかしくはありませんがここで撤退するわけにも参りませんし、

 寿春方面からのナデシコAの襲来にも備えてかなりの兵を回しておりまして、とてもそんな余力はございません。」

 

プロスの正論にラピスはうなだれるしかなかった。

ラピスとしては主導権を常にネルガルの手で握っておきたいから、このサラの単独行動には文句をつけたかった。

だがあくまで同盟であり、部下扱いはできない。

ましてやラピスは司令官ではあっても君主ではないのだ。

 

「黙認するしかありませんな。

 同盟している以上は仕方のない処置ですぞ。」

 

「本気で言ってるの!!。

 サラは陰険の相を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・じゃなくて梟雄の相を持ってるんだよ!!。

 ここで豊かな四郡をとられたら後々やっかいな相手になるよ!!。」

 

プロスはラピスの言が正論だとわかってはいた。

だがあくまで敵は曹操ユリカである。

銀河統一(天下統一)を果たすには彼女こそが最大の敵なのだ。

そのためには劉備サラの力もまた必要である。

プロスは割り切ってまたラピスに言葉を返した。

 

「今は江陵城の接収に全力を傾けましょう。

 そうすれば状況も少しよくなりましょう。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。」

 

ラピスは納得はいかなかったが、とりあえず肯定の意思を示した。

 

 

 

 

 

 

 

長沙、南荊州四郡の一つである。

劉備サラは主力と共にここに駐屯していた。

すでに武陵を支配下に置き、今またこの長沙を支配下に置いたのである。

日見よりで形勢を観望していた武陵太守(金旋)と長沙太守(韓玄)はサラの威名に恐れをなしてあっけなく

降伏したのである。

 

「ふぅ、今まで逃避行と長期戦ってきついことばかりしていたから、

 あっさり降伏されちゃうとなんか気がぬけちゃうなぁ(はぁと)。」

 

劉備サラは脱力発言とはうらはらに上機嫌だった。

別にこのニ郡を無傷で接収したからではない。

傍らで困った顔をしている男、趙雲アキトの右腕に抱き着いてデート気分を満喫しているからだった

(それでも君主か?)。

 

「ふふ、アキトもそう思ってるでしょ?(はぁと)。」

 

「え、まあ無駄な争いはするに越したことはないし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はは。」

 

アキトも男、サラに抱き着かれているのはもちろん嬉しいのだが、あからさまにそういう表情はできなかった。

部下達の目が痛いのもある、しかし最大の理由はとてつもない嫉妬の視線を投げかける3人が怖かったからだ。

 

「姉さんずるい!!(怒)。」

 

「私も抱きつきたいのに!!(怒)。」

 

「君主とは思えませんね(怒)。」

 

張飛アリサ、伊籍レイナ、諸葛亮ルリがそれぞれ怒りの声を上げる。

だがサラは余裕で言い放った。

 

「あら、そういう目つきはやめてよね。

 ジャンケンで勝った人が一郡中ずっとアキトを1人占めできるって皆で決めたじゃない(爆)。」

 

ちなみに武陵を落とした時もジャンケンに勝ったのはサラだった。

だから怒りも倍である。

遠くからこの恋模様を見ていた関羽シュンはあきれ果てていた。

 

「やれやれ、ようやっとアララギ将軍が荊州牧に任命されて南荊州の接収にとりかかったってのに。

 あいつらにはここを支配下に置くことの重要性がわかってないのか?。

 なあカズシ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうした?。」

 

浮かない顔をしている関平カズシを見て、シュンはそう質問した。

 

「あ、いや、本編のほうでまずい事態になってるんじゃないかと(爆)。」

 

「な、なるほど(汗)。

 まあいいじゃないか。

 その分ここで3倍増量の活躍を見せれば。」

 

「な、慰めになってませんよ、隊長(涙)。

 それはそれとして、どうです募兵の成果は。

 大分志願者が増えました?。」

 

カズシの問いにシュンは嬉しそうな顔を見せた。

 

「ああ、武陵よりもずっと多い。

 期待していいぞ。

 先だって廬江から豪族出身の武将(雷緒)がかなりの兵を率いてきて支配下に入ったろ。

 これなら四、五万くらいに規模を大きくできるかもしれないな。」

 

無骨武将の彼らは嬉々としている。

だが彼らには兵士とは別に優秀な武官と文官をとり立てるという仕事もあった。

本来ならルリどころか主君のサラも一緒に参加しなければならない。

なのにアキトをめぐって騒ぎを起こしている(笑)。

二人は喜びつつも頭痛がしていた。

 

「で、見所のある人物はいましたか?。」

 

「これも期待していい。

 武官、文官共に優秀のようだ。

 さて、そろそろ宮殿に戻って彼らを見なければならないな。

 カズシ、サラ君達を引っ張ってきてくれ。

 頼んだぞ、息子よ。」

 

「了解しました。

 って、隊長、いやな役目の時だけ息子扱いはやめてくださいよ。」

 

「だって関平は関羽の息子だから(笑)。」

 

それから、サラ達を宮殿まで連れてくるのに三十分以上かかった。

 

 

 

 

長沙の宮殿、サラが上座について、ルリを右隣に文官、シュンを左隣に武官という並び順とした。

ちなみにアキトは護衛としてサラのすぐ近くにはべっている。

アキトは周りの視線が痛かった。

シュンはそのいやな雰囲気を無視して目をつけた武将達の合否に入った。。

 

「では紹介していこう。

 まずは君、一歩前へ。」

 

促されて金髪に髪の長い軽そうな男が前に出た。

武将の名は魏延三郎太、私兵を率いての志願者だった。

 

「いや〜、かの曹操ユリカ艦長でさえ恐れはばかる人物にお仕えできるなんて大変光栄です。

 お役に立つと思いますんで、ひとつよ・ろ・し・く!(はぁと)。」

 

なんとも軽い男である。

だが身のこなしに隙はなく、できる印象はあった。

特にアキトは三郎太を凝視していた。

武人アキトはどうしてもできる人間に興味が沸く。

三郎太の方もアキトの視線に気付いて、ふっと笑った。

 

「な、なんか軽そうね、あなた。

 でも腕は確かそうだし、採用するわ。」

 

「ありがとうございます!!、美人君主さん(はぁと)。」

 

「まっ!!(赤面)。」

 

だがルリが口を挟んだ。

 

「待ってください、サラさん。」

 

「え、何ルリちゃん。

 まさか反骨の相があるなんて言うんじゃないでしょうね。」

 

「まさか、召抱えるのは構いませんが、一つ条件があります。」

 

そう言って三郎太の頭を指さした。

 

「あの金色の長髪はうざったいです。

 あれを切って短髪の黒髪が条件です。」

 

 

「はあ!?」×全員

 

 

三郎太も含め、全員があっけにとられた。

なぜ髪を切らねばならないのか、よくわからないからだ。

 

「べ、別にいいんじゃない。

 トレードマークじゃない。」

 

「だめです。

 いいですね、三郎太さん。」

 

三郎太は納得がいかないようで、ルリに反論した。

 

「な、なんで切らなきゃならないんスか?。

 それならまだ反骨の相って言われた方が(汗)。」

 

「本編の三郎太さんは短髪です、それに合わせなければなりません(なんだそりゃ)。」

 

口論になったが、結局三郎太が折れた。

おかげでさわやかになったが、三郎太はしばらくいじけたらしい(笑)。

こうして魏延三郎太が配下となった。

次の男は細身で長身の男だった。

彼は志願者ではなく、シュンが招聘した武将である。

名は、黄忠ナオ、長く荊州の守備についていた武将である。

 

「黄忠ナオ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あなた偽者でしょ。」

 

「!?、なんでそうなるんだ?。」

 

サラにそう言われてナオは焦った。

なぜ自分が偽者よばわりされるのか理解ができないからだ。

 

「だってあなた老人じゃないじゃない!!(爆)。

 黄忠がそんな若いわけないわ!!。」

 

「おっしゃるとおりで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ってちがう!!。

 あのなぁ、そういう噂を信じるなよ。

 若い方が活躍する期間が長くていいだろう!!。」

 

意外だが黄忠は正史において生年がわかっておらず、また老人だという記述もない。

老人だとか馬鹿にされて奮起したりするのは演義の脚色である。

しかも中国で建てられている黄忠の像は老人というイメージはわかない。

でもどうしたわけか中国では老いてますます盛んなというのを老黄忠と言うのだ。

 

「と、とにかくだ。

 俺はあんたに将来性があると見た。

 一つよろしくお願いしたい。」

 

「う〜ん、アキトはどう思う?。」

 

傍らにいるアキトにサラは聞いてみた。

アキトはまた興味深そうなめナオを見ている。

ナオも同じ想いでアキトをみやった。

アキトの答えは一つだった。

 

「採用しかないと思うよ、サラちゃん。」

 

「よし、採用決定!!。」

 

こうして、黄忠ナオが配下となった。

後に彼は蜀攻略、そして漢中争奪においてその武勇を銀河(天下)に知らしめることになる。

その後更に数人を、武官として配下に加える形となった。

そして今度は文官の合否にうつることになった。

今度はルリが紹介を始めた。

 

「ではお二人とも前へ。」

 

前に歩み出二人は、1人は黒く長い髪が印象的な女性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ではなく男性。

もう一人はハリネズミのような頭をした子供だった。

前者の名は馬良ユキ、後者は馬謖ハーリー、二人は兄弟で共に荊州の名族である。

 

「初めて御意を得ます。

 馬良ユキと申します。

 この度はルリさんの御紹介でやってまいりました。

 弟ともどもどうぞよろしく。」

 

「(馬良って確か眉毛が白かったから白眉って呼ばれたのよね)。

 眉白くないのね。」

 

どうでもいい質問だったがユキは真顔で答えた。

 

「ええ、どうしてもとおっしゃるのなら眉毛だけ白くしますが。

 それと補足しておきますと馬良は眉毛がまるっきり白かったのではなく、白髪のように白い毛が

 混じっていたというのが正しいのですよ、ふふ。」

 

「そ、そう(汗)。

 ありがと(ホントに男の人なの?)。」

 

男性とは思えない容姿と雰囲気に周りは少々引き気味だった。

とはいえ、名族であり評判の高い彼らを追い返すつもりもない。

サラは二つ返事でオッケーを出した。

 

「やっ、やっと僕の出番だーーーーー!!。

 ラピスどころかダッシュやブロスにまで先を越されて。

 最後まで出してもらえないかと思ったよ(嬉し涙)。

 しかも役はなんと馬謖!!。

 諸葛亮の愛弟子らしいし、ここでも僕とルリさんとの絆は深いんだーーーーーーーーーーーーーーー!!。」

 

場所柄もわきまえずわめき散らすハーリーをよそに、周りは哀れみの表情をしていた。

 

「確か馬謖って劉備が生きているうちは出番ほとんどないんだよね。」

 

「ハウッ!?(ダメージ1)」

 

「そうそう、しかもいつも馬良の弟扱いしかされないし。」

 

「グハ!?(ダメージ3)。」

 

「で、でも諸葛亮の南征の時は見事な智謀を見せたし、郡の太守だって務めるほどの人物らしいよ。」

 

「ホッ(回復4)。」

 

「でも姜維が出てきた途端一気に霞んだよな。」

 

「ゲブ!?(ダメージ6)。」

 

「極めつけが街亭での命令違反と大敗。

 んで斬られちゃったな。」

 

「う、う、う、

うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!(戦闘不能)。

 

必殺ハーリー泣きをかまして彼は宮殿から姿を消した(笑)。

ルリは気に止めるでもなくユキに質問をした。

 

「ユキさん、どうしてハーリー君を連れてきたんです?。

 私はあなただけを招聘したのですが。」

 

「え、だって寂しいから(はぁと)。」

 

ユキの発言に周りはまた引いてしまった。

それはおいとくとして、更に十人近くを新たに文官として登用することとなった。

ルリはまだ意見があるらしくサラを見た。

 

「サラさん、実はここにはいないのですが採用が決定している人が三人いるのですが。」

 

「え、誰と誰と誰。」

 

「一人目は費緯エリナさんです。

 非常に有能な人物なのです。

 ですが彼女は現在蜀の国に遊学をしているそうです。

 とはいえ、いずれは出会うでしょう。

 そしてもう一人は蒋エンミリアさんです。」

 

そう言った時、ナオが口を挟んだ。

 

「申し訳ないが、彼女は今療養中ですぐにここにはこれない。

 万全の状態になったら俺が一緒に連れてくる。

 それでいいよな。」

 

「え、ええ。

 いいけどあなた知り合いなの?。」

 

「ああ、マイハニーだからな。」

 

「そうなの。

 じゃああなたにお任せするわ。」

 

サラはナオに一任はしたが、なぜそんなにもナオが厳しい顔をしているのかよくわからなかった。

それがわかるのはもっと後の話。

そして最後の一人に話にうつる。

 

「で、最後の一人は誰?。」

 

「今はいません、ですがいずれ私達の力になってくれるでしょう。」

 

「だからだれなのそれ?。」

 

「秘密です(はぁと)。」

 

ルリの言葉にサラは首をひねるだけだった。

 

 

 

この後更に南下して零陵郡と桂陽郡の接収になんなく成功。

こうして優秀な人材と豊かな地盤を得て、劉備サラは面目を一新することができた。

当然このあっさりとした荊州豪族の反応に多額の資金が動いていたのは想像にかたくない。

サラの得た地盤は、武陵、長沙、零陵、桂陽、そしてアララギの領地である江北(江夏)を加える形となった。

そして諸葛亮ルリを長沙、零陵、桂陽三郡の徴税監督に任命して軍需物資をおおいに潤わせた。

最後に本拠地を江陵から南に位置する公安へと定めた。

ここに劉備の飛躍への土台が固まった。

そしてこの2年後、益州を我が物とすべく行動を開始するのである。

 

「ねえルリちゃん、ラピス達は江陵を落とせたかな。」

 

アキトの問いにルリ微笑して曰く、

 

「いずれは落とすでしょう。

 落としてもらわなければなりません。」

 

 

ルリの微笑にはいささか曇りがあるように思えた。

アキトはそれを見て、なんとなく不安を感じていた。

サラ達が南荊州四郡全ての接収を完了した頃、

江陵を包囲するネルガル陣営に不穏な空気が流れていた。

 

 

11話に続く

 

 

ドクターイネスの三国志講座

な、なんという扱いなの(汗)。

木連の高杉君やハーリー君さえも出てきたのに私はまだここで待機状態(怒)。

この怒りをどこへぶつければ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハ!?、あらやだ、本番じゃない(?)。

皆さんこんにちは、ドクターイネスです。

今回は、きっとここでしか説明する機会がないと思われるので、

ハーリー君演ずる馬謖の真実について語ろうと思うわ。

興味のある人は読んでみてね。

 

実は逃亡していた男、馬謖

”泣いて馬謖を斬る”、諺になるほど有名な言葉ね。

大切な部下ではあるが責任をとらせるために涙を飲んで処罰すること、というような感じの意味ね。

正史蜀書馬謖伝によれば有名な諸葛亮の北伐の際、馬謖は要地である街亭の守備を任されながら命令に

背いて稚拙な陣を敷いたがために、曹操世代の名将張コウに撃破され大敗を食らってしまったの。

戦後諸葛亮は命令に背き大敗の原因を造った罪は重いと、愛弟子である馬謖を涙ながらに処刑したの。

この時彼は古の言葉を引き合いに出し、罪は自分一人にあるので家族のことをよろしく頼むと諸葛亮に懇願、

諸葛亮も後のことは心配するなと彼を安心させて冥土へ旅立たせたというわけ。

諸葛亮伝にもほぼ同様の記述があるようで、北伐の成功の可能性はこの街亭の大敗をもって事実上皆無と

なってしまったわ(あくまで結果論)。

大変美しい話であるし、諸葛亮が涙を流したというのも記述にあるわ(馬謖が諸葛亮に家族を託す個所はは

っきりしませんでした、3104)。

けれどどうも馬謖は素直に処断を受けたわけではないようで、実は牢獄から抜け出して逃亡をしたのではない

かという疑惑が持たれているの。

疑惑の出所は意外にも正史からで、向朗という蜀に仕えた武将の伝から出てるわ。

正史蜀書向朗伝によれば、平素(日常)馬謖と仲がよかった彼は事実を知りながら馬謖の逃亡を黙認した、と

あり諸葛亮の手で免官の憂き目を見たらしいの。

この意味深にして謎めいた記述、もちろん街亭とはっきり書かれてはいないものの大変信憑性が高く、馬謖伝

に街亭以外でミスをして投獄されたり同僚にはめられて投獄されたという具体的記述がないのがその理由。

このような記述が正しいとすれば、馬謖当人はこの処置には納得いっていなかったということになるわね。

とはいえ命令無視は逃れようのない罪であるし、処刑が行き過ぎの処置としても逃亡したということは犠牲にな

った兵士達に対して罪の意識を持ってないということにもなるので無条件に同情できないのもまた然りといった

ところかしら。

そもそも街亭の守備を馬謖にするという決定には反対の声が多く、経験豊富で信頼の高い魏延や呉懿(正史で

は司馬懿と字が重なるとして呉壱となってる)を推す声が多数を占めたの。

でもどうしたわけか諸葛亮は引かず馬謖を司令官に推し通したわ、つまり名実ともに罪を背負うべきは当人であ

る馬謖とその馬謖を登用した諸葛亮であって至極当然といえるわけ。

また諸葛亮は自らも三階級格下げを自ら行ってはいるものの、緒将の反対を押し切った形での大失態である以上

当然の償いであり、むしろ格下げは少々甘い処置なのではないかしら。

更に言えば、この時処刑されたのは馬謖のみにあらず、張休、李盛といった人物も連座する形で処刑されてるわ。

馬謖の罪の大きさがどれだけのものかわかるというものであり、諸葛亮がどれほど厳しい処置を行ったかがよくわ

かる事実ね。

最後に、”泣いて馬謖を斬る”を見越すようなことを死に際に諸葛亮に告げた人物がいたわ。

誰あろうそれは劉備、”馬謖の言、その実を過ぐ、大用すべからず(馬謖は言うことは大きいが、言葉どおりに実現

できるような能力はない、重大事は任せられない)”。

恐るべし、劉備といったところかしら。

ではまた次回で会いましょう。

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

3104さんからの連載第十話の投稿です!!

何となくですが・・・イネスさんの役が予想出来ました。

ま、ルリちゃんに張り合うには丁度良い役じゃないでしょうかね?(笑)

着々と力を蓄えるサラ、そして他の2国。

今後の話の展開はどうなるのでしょうか?

 

最後に一言・・・

カズシ、存分にこの三国志で活躍してくれい!!(爆)

 

では3104さん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

感想のメールを出す時には、この 3104さん の名前をクリックして下さいね!!

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