時の流れに番外編
ナデシコ的三国志
六話、周瑜初戦を勝利で飾り、陸口への布陣に成功する後編
前回までのあらすじ
周瑜は精兵3万を率いて樊口に布陣していた劉備と合流。
手始めに要地となる陸口をとると強気の姿勢を見せる。
魏軍40万に対して3万しか率いてこない周瑜に不安を覚えた劉備は関羽、張飛と共に2千で後方へ布陣。
推移を見守ることに決めた。
一方魏軍も荊州降伏軍の将、蔡瑁を派遣して陸口制圧のため長江を下る。
果たしてどちらが先に陸口を制圧するのであろうか。
ネルガル(呉)の左都督周瑜ラピス率いる船団が長江を西へ遡っていた。
無論陸口に布陣するためである。
だが速度は以外にも遅かった。
逆流を遡っているからではない、霧が出始めたため慎重に進んでいるのだ。
霧が出たことによる長江での被害をよく知らない趙雲アキトは、自分の左腕にしがみついて嬉しそうに、
だが落ち着き払っているラピスに不安を口にした。
「ね、ねえラピス。」
「何(はぁと)?。」
「随分とゆっくり進んでいるみたいだけど大丈夫なのかい?。
こんなに遅いんじゃ先に陸口を取られるんじゃないかな。
霧だってまだそんなに濃くはないし、もっと早く動いた方がいいと思うんだけど。」
心中穏やかでないアキトとは対照的にラピスはにんまりとアキトを見つめていた。
「うふふふ、長坂の英雄も霧の怖さは知らないのね。
アキトは霧が薄い内に早く進んだほうがいいって言うけど、この時期一度出たらもうだめ。
すぐに濃くなってきて動きがとれなくなるんだから。
一度濃い霧に包まれてからじゃあ遅いの。
焦って下手な動きをすると今度は逆流にとられて収拾がつかなくなっちゃう。
今のうちに動きを遅くして現状の位置を把握、確実に進んだ方がいいの(はぁと)。」
それでも納得いかないアキトにラピスは更に続けた。
「いいアキト、大切なことは霧が濃くなりだしたらいち早く陸に停泊した方がいいの。
霧が晴れてからでも遅くはないといってもいいくらいなんだから。
一番いけないことは霧が出ても大丈夫とたかをくくって進軍しつづけること。
特に下っているときが危ないの。
流れに任せれば大丈夫なんて思ってるととんでもない方向へ流されたり目標を通り過ぎたりするものなんだから。」
「そういうことだ。
無礼だが水上のことを知らない君には我らの手並みを拝見していてもらいたい。」
突然いかつい男が声をかけてきたのでアキトはびっくりした。
隙のない構え、なかなかの腕前の持ち主、アキトはそう見た。
「ラピス左都督、こちらが趙雲アキト殿か?。」
「そうだよ、ゴートさん。」
ごつい男の名は(笑)黄蓋ゴート。ネルガル3代に仕える重臣にして剛の者。
この戦いにおける先鋒であり、役職は丹陽都尉である。
「お初におめにかかる、黄蓋ゴートだ。
水上には大分慣れたかな。」
以外にも気を使う男だということにアキトは少し親近感を覚えた。
「ええ、心配してもらってありがとうございます。
でも俺のことはアキトでいいですよ。」
「そうか、ではそう呼ばせてもらおう。
長坂での活躍は聞いている。
大したものだ、子供を抱いたままナデシコA(漢魏)の中を駆け抜けたそうじゃないか。」
「はは、生きていたのが不思議なくらいですよ。」
誉められたのでアキトはちょっと照れくさい態度をとった。
『謙遜しなくてもいいよ。
君みたいな人物が船に乗ってるなんて頼もしいからね。』
ゴートの後ろからまた1人武将が出てきた。
名は程普ダッシュ。ネルガルの右都督(副司令官)を戴く同じく3代に仕える重臣である。
文武に優れる彼をラピスも一目おいており常に礼を示している。
『程普ダッシュだよ。
以後お見知りおきを。』
「趙雲アキトです。
よろしく。」
アキトはネルガルに来てからは文官にしかあっていない。
なので少しネルガルの武将というものを侮っていた感があった。
だがここで初めて彼らと会い、それを改めねばならないと思い直した。
そしていずれ手ごわい敵となるとも認識した。
「ゴートさん、用意しててね。
蔡瑁ムネタケの軍が確認できたら先陣をきってもらうんだから。」
「承知している。
我が軍に伝令、霧に注意しつつ戦闘準備も怠るなと。」
「は!!」
兵士に指示をする迅速な対応。
アキトは改めてネルガル侮り難しの印象を持った。
だが胸中にはまだ不安があるようでラピスにまた質問した。
「ラピス、ムネタケはどう出るかな?。
こっちと同じようにゆっくり進軍してるのかな?。」
「そうだと思うよ。
向こうだって霧のことはよく知っていると思うし。
あ、でももしかしたら功を焦って霧が多少濃くても進むかもね。
だとしたら大馬鹿だよ。
この霧の中で加速させるなんて水軍提督失格といってもいいくらいなんだから。」
「そ、そうか。そう言われるとなんか安心・・・・・・・・・・・・霧が・・・・・・・・・・・濃くなっていく!?。」
「もうだめだね。
全軍停止〜。
ゴートさん、ダッシュも今のうちに自分の船に戻って!!。」
ラピスは霧が深くなるのを見て全軍に停止を命令。
陸沿いに遡っていたためすぐに停泊(と言っても一時的に船を置くだけ)ができた。
だがそれでもアキトは落ち着かなかった。
ムネタケは今どのあたりにいるのだろう、そればかりで頭がいっぱいだった。
長江を東へ下っているナデシコAの大船団。
ネルガルの船団が濃い霧に包まれたように彼らもまた濃い霧に包まれていた。
ただネルガルと違うところは彼らはすでに引くも進むも出来ない状態にあった。
彼らは霧が薄い内に陸口へ急ごうと流れに任せ猛進していた。
そして長江の中央を進路にしていたので停泊もできない。
ラピスが言った霧の中を進む愚を犯したつけが回ってきていたのだ。
「ムネタケ都督、霧が濃すぎて味方の船さえ視認できなくなっております。
とりあえず動きを止めて霧が晴れるのを待つべきでは。」
「そんなことわかってるわよ!!。
でもこの流れで中央にとどまるなんてできっこないでしょ!!。」
兵士の報告を聞いて怒鳴っているのは蔡瑁ムネタケ。
荊州降伏の将でありナデシコAにおける実質的な水軍の司令官である。
曹操ユリカの命を受け陸路と水路のアクセスポイントとなる陸口の制圧のため長江を下っていた。
だが霧が出始めたにもかかわらず功を焦るあまり、霧の中を猛進するという危険すぎる賭けを敢行。
だが案の定濃い霧に包まれてしまい今いる位置さえもわからないという状況下にあった。
「く!!、冗談じゃないわよ!!。
予想よりはるかに霧が濃いわ!!。
で、でもこれはワタシのミスじゃないわ。
船酔いなんか起こしてる中原の兵士なんか置いてけばもっと早い速度で・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
みじめったらしい言い訳をぶつぶつ言っていると弓を背中に抱えた武将らしき男がムネタケに近づいてきた。
「おいおい、霧ってこんなにも濃くなるものなのか?。
味方の船さえ見えやしないじゃないか。
あんた水軍に長じているくせにそんなことも知らないで長江を下りつづけたってのかよ。」
皮肉を言われて激怒しようとしたムネタケだったが相手の顔を確認するなり冷や汗が出た。
「な!?、なんであんたがここにいるのよ!?。」
狼狽するムネタケを見ながら武将はにやにやしながら答えた。
「なんでって目付けだよ、めーつーけ。
そりゃああんたは荊州から降伏してきたばかりの武将なんだから、なにもかも信頼してもらおうなんて
虫がよすぎるんじゃねーか。」
「わ、わかってるわよそんなこと!!。
ワタシが言いたいのはなんであんたが目付けなんだということよ!!。
大体、あんたは襄陽方面の担当(後軍)じゃない!!。
こんなところにいるなんて聞いてないわ!!。」
虚勢を張ってカナきり声を上げるムネタケだったが目の前にいる武将に恐怖を持っているのか、覇気はなかった。
「まあ公はな。
でもあんなところで後詰めってのもつまらないだろ、
だから艦長どのに志願して目付けにしてもらったわけだ。
もちろん極秘でな。
それにしても参ったねぇ、この霧。
味方の船も見えないときてる、すぐ近くにいるはずなのに。
これってもしかすると出始めあたりで待つべきだったんじゃねーの。」
男は水上でのことは素人だがそんな素人に的を得た意見をされムネタケはぐうの音も出なかった。
「(じょ、冗談じゃないわよ!!。
なんでよりにもよってこいつが目付けなわけ!?。
こいつの目を見ると寒気がするのよ。
戦争を快楽にしてるような危ない目は・・・・・・・・・・・・・・・・。)
こ、この程度の霧なんてすぐに晴れるわ!!。
あんたは黙って見てるだけにしてもらうから、いいわね!!。」
「へいへい、獲物はお預けか。
出来うるなら白銀の戦乙女(燕人)の張飛アリサやそう、うちの軍中を我が物顔で駆け抜けてくれた
ええっと、なんだったかな名前は。
まあいいや、そういう猛者を討ちたいもんだぜ。」
功名心に燃える男を見ながらムネタケは心の中で侮蔑を感じていた。
「(何が討ち取りたいよ、殺したいの間違いでしょ!!)。
あんた達もいつまでもおろおろしてんじゃないわよ!!。
せめて陸ぐらい見つけなさいよ!!。」
苛立ちを部下にぶつけて少しでも早く陸に停泊を試みるムネタケだったが、
すでに進路から大きく外れていることにも気づいていなかった。
「あーあ、こりゃあ陸口は取られちまったかな。
艦長どのに大目玉食らわなけりゃいいけど。
くくく、それにしても作者も物好きだぜ。
あのお嬢ちゃんやこのこうるさいおっさんに続けて俺まで復活させてくれるなんてよぉ。
ま、お礼に十分暴れてやるがな。」
背中の弓をとって調節している男の名は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・時は経ち、長江に広がっていた霧はすっかり晴れていた。
ネルガルの船団はすでに行動をおこしており、予定通りに進路を進めついに陸口が肉眼で確認できる程の
距離にまで迫っていた。
「よかった、陸口の方に軍隊の気配もしないし肉眼にも入ってきていない。
俺達の方が早く着いたんだ。」
アキトほどの丈夫ならばある程度は”敵の気配”を感じ取ることができる。
それが大人数ならばなおさらである。
周りにそういったものを感じないので心底ほっとしたようである。
「ね、言ったでしょ(はぁと)。
霧を侮らずにネルガルの操船能力を駆使すれば逆流なんてたいしたことないんだから。」
ほこらしげに胸を張るラピスを見ながらアキトも笑みを返した。
「そうだね(アキトスマイル炸裂!!)。」
後に各地の武将達を恐れさせることになるアキトスマイルがこの長江に炸裂する(なんだそりゃ)。
まずラピスがその餌食となった(笑)。
「う・・・・・・・・・・・・・・・・アキト最高!!(はぁと)。」
そう言って思い切り抱きつきラピス、アキトはわけがわからず(マジかよ!!)おろおろしていた。
「お、おいおいラピス。まだ安心は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヒ!?(冷や汗)。」
「どうしたの、アキト?。」
「あ、いや、どこからかすさまじい視線が・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「気のせいだよ、そんなの。」
そう、当然気のせいである。
夏口にいる某軍師や船団の後方にいる某群雄や某将軍が今の状況を知り得て殺気を送るはずがないの
だから(笑)。
「そ、そうだよな。そんなはずないよな(でも何か不安だ)。」
怯えるアキトに目もくれずラピスは矢継ぎ早に命令を下した。
「ええっと、後方にいる劉備サラに連絡して。
私達ネルガルはこのまま遡ってナデシコA迎撃にあたるから、貴方達はここで分かれて陸口に布陣された
しって。
ゴートさんとダッシュにはこのまま遡るから戦闘態勢を崩さないように伝えて。」
「は!!」
ラピスの命令を聞いて兵士達が伝令に向かう。
この会話を聞いてアキトはぎょっとした。
「ラピス、このままナデシコAと当たるつもりか!?。」
「そうだよ、いったでしょ、一戦交えるって。
それに先につけば別に小数で布陣しても問題ないもん。
どうせアキトのご主人は3万って数が信用できなくて後方についたんだから別に戦ってくれなくてもいいよ。」
確かにサラは3万というナデシコAの実働兵力の10分の1しかないラピスの軍に不安を覚えたのは確かである。
とはいえムネタケ率いる船団はかなりのはずである。
サラが率いる2千の兵だっていないよりはいたほうがいいはずである。
そもそも陸口で防備を整えるのが普通であるのに初戦で勢いづけるためにそのまま敵に向かうとはよほど
水戦に自信がなければできるものではない。
アキトは改めて恐るべし周瑜ラピスとの印象を持った。
ナデシコAの水軍はかなりの早さで急いでいた。
霧の中を走ったため前後がわからなくなり全然別の方向へ迷い込んでいたからだ。
かなりのタイムロスである。
ムネタケは金切り声を上げて兵達に怒鳴り散らしていた。
「もっと!!、もっと急ぎなさいよ!!。
こうしている間にもネルガルに先を進まれているのかもしれないんだから!!。」
「かもじゃなくてもうおせーよ。
ムネタケさんよ、速度を落としな、これ以上は無駄な行為になるぜ。」
先ほどの武将がムネタケに命令口調で声をかけてきた。
いや、明らかに命令である。
なぜなら先ほどのような笑みはまるでなく冷徹な顔をしているからだ。
「ぐっ!?、あ、あんたに指図される言われはないわ・・・・・・・・。」
武将が一段と恐ろしくなったムネタケだがそれでも精一杯抗議をした。
「間抜け!!。
もう遅いといってるだろうが。
見ろ、前を。」
「えっ・・・・・・・・・・・・・・・・、な!?。」
ムネタケが前方を見るとなんと遠くから船団が近づいてくる。
旗印には”火星”の文字が。
「ネ、ネルガルの水軍・・・・・・・・・・・・・・・。
ま、まさかもう陸口はとられた・・・・・・・・・・・・・・・・・!?。」
「そのまさかだよ。
そのうえ一戦交えるつもりらしいな。
ムネタケさんよ、せめてあの軍を叩かねーと面目丸つぶれだぜ。」
「くっ!、ワタシの戦功が・・・・・・・・・・・・・・・・。
全員戦闘準備!!、なんとしてもあいつらだけは蹴散らすのよ!!。」
ムネタケの怒鳴り声を受けて、前線が動き出した。
一定の時を置き・・・・・・・・・・・・・・・・・・前線が矛を交え始めた。
彼らが初戦を交え始めた場所、そこは赤壁と呼ばれる場所である。
戦闘開始から20分前後、すでに決着はついたといってもいい。
先に陸口を制圧して活き上がるネルガルに比べ、中原子飼いの兵がすでに船酔いで戦力にならず、
陸口をとられたことにより士気は激減しムネタケは押されまくっていた。
「二手に分ける、敵を両面より殲滅しろ!!。」
ゴートの号令に迅速に反応する兵達。
瞬時に二手に分かれ右往左往しているムネタケ軍の右側に攻撃する。
「ぐわ!?。」
「ぎゃあ!?。」
悲鳴を上げて次々長江へ落ちていくナデシコAの兵士達。
ゴートは船をナデシコAにぶつけすぐさま敵の兵に乗りこむと、重層な槍で次々と敵を突き殺していた。
「むんっ!!。」
「あべし!?。」
「ひでぶ!?。」
一突きで軽く2、3人が絶命していた。
『ゴートやるなぁ。
こっちもうかうかしてられない!!。』
ダッシュの軍もムネタケ軍の左側に突っ込み攻撃を開始。
功を競い合う緊張感が彼らに絶好調をもたらしていた。
これを後方から見ていたラピスは自らもこれに加わろうとしていた。
「う〜ん、私も行く!!。
全速前進。ムネタケ軍の中央に突っ込むわよ!!。」
号令一下、ラピス本隊も動きはじめた。
アキトはラピス自ら動かずとも勝利できると思っていたが、これはラピスの戦なので黙っていることにした。
だが口を挟まなかったことがラピスを危うく死なせるかもしれなかったことになる。
中央に突入したラピス軍はすぐさま攻撃を開始。
ムネタケ軍の中央を貫いた形となり士気系統を完全に遮断。
ナデシコAには反撃の余地はなくなった。
「く!?・・・・・・・・・・・・・・・撤退よ。撤退!!。
北方の烏林へ退くわ。早く全軍に通達しなさいよ!!。」
ついにムネタケは撤退を決意した。
ひとつの船が退きはじめたの見て他の船も退き始める。
だがラピスはそれを見逃そうとはしなかった。
「逃がすわけないでしょ!!。
追撃よ!!、私自ら追うんだから!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?。」
その瞬間一本の矢がラピスに飛んできた。
明らかにラピスに狙いを定めたものである。
矢の鋭さがそれを証明していた。
ラピスを貫くかと思われたその矢は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
びぃーーーーーーーーーーーーーーーーん!!
矢はラピスの正に目の前で停止した。
そう、アキトが掴んだのだ、素手で。
左手で造作もなく矢をつかんだアキトは顔色ひとつかえてない。
対してラピスはその場にへなへなと座り込んでしまった。
「すごい使い手がいるな。
この混乱の中ラピスに狙いを定めるなんて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そう言って矢が飛んできた方角を見ると、引いていく船団の中に弓を持っている男がいた。
男は矢を止められたことが意外だったのかずっとアキトを睨んでいた。
そしていやらし笑みを浮かべてそこから姿を消した。
ラピス個人への攻撃を懸念したネルガルは追撃を止めて、サラ達に布陣させた陸口へ戻っていった。
一方ナデシコAも破れた兵を立てなおすため北岸の烏林へと布陣を敷いた。
その直後ユリカらも烏林に到着、相手の出方を伺うことにした。
こうして初戦はネルガルの大勝に終わった。
だが初戦は初戦、ナデシコAはすでに40万近い大軍で烏林にいるのである。
この状況を打開する手立ては見つかるのだろうか。
そしてラピスを狙った人物、彼こそナデシコAの重鎮夏候淵テツヤ。
赤い牙と異民族から恐れられた猛将にして弓の名手である。
「まさか俺の矢を素手で掴みやがるとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
とんでもない野郎だ。
恐らくあれが趙雲アキトだろう。
楽しみだぜ。
あの桃色頭をしとめられなかったのは痛いが、奴にはそれ以上の価値がある。
今後なにかとつきまとって俺の邪魔をしたことを後悔させてやるさ・・・・・・・・・・・・・・・・くくく。」
結局テツヤの放った弓が追撃を食い止めた。
だが彼にとってそんなことはどうでもいいことだった。
新たな獲物を得た喜び、テツヤはそれで心がいっぱいであった。
電子の妖精の三国志講座
皆さんこんにちは、皆さんのご希望にお答えして(?)臨時講師となりましたホシノルリです。
今回はこれ以前にすでにこの世から去っている三国志前半の群雄達の真実について語ります。
興味のある人は是非読んでいってください。え、どうして私が講師なのかって、
出番がなかったからです!!(怒)。ラピスばっかり優遇して!!(怒)、作者は押し置きです!!(怒)。
後漢群雄列伝1、独善の虜、呂布
ナデシコ的三国志では、呂布役はなんと草壁春樹です。
アキトさんの人生をめちゃくちゃにしてあのにっくき男です。なぜ呂布が草壁な
のか、それは呂布の行動理論が草壁によく似てるからです。
正史によれば198年、曹操は篭城を決め込んだ呂布を水攻めで破り彼を虜にしました。
呂布は、もう少し縄をゆるめて戴けないかといい、曹操は、え〜、虎を縛るんだからこれでも足りないくらい
なんだけどなぁ、ねっ、アキト!!(?)というやり取りがあったそうです(ナデ三的会話ということで)。
呂布は、艦長殿の歩兵能力と私の騎兵能力があれば銀河(天下)はもうとったも同然だな、とこの後に及ん
で自分を売りこみはじめたのです。曹操は本気で悩んだそうです。
呂布は裏切りが多く、癖のある人物ではあるが、騎兵能力は捨てるには惜しい、才能重視の曹操は決断が
つかなかったようです。その曹操に諫言したのが、当時呂布に責められたため曹操に身を寄せていた劉備。
ちょっと艦長!!、こいつが董卓と丁原を裏切ったのを忘れたの!!、次は艦長の番よ!!、と言われて、
曹操ははたと思い出し、処刑を決めました。
呂布はあごでしゃくって劉備を指し、この金髪外国人が一番信用ならんのだ!!
(本当は大耳野郎)と負け犬遠吼をして斬られたのでした。
演義の劉備が善人であるため正史の劉備は冷酷だと思われるかもしれませんね、しかし呂布の行動を吟味
すれば、彼は劉備にそれだけのことを言われても仕方のない理由があったのです。
呂布は曹操に敗れ劉備に身を寄せたことがありました。
当時劉備は徐州の主で呂布を厚遇し城まで与えたのです。所が劉備が敵と戦っている間に徐州を任されていた
張飛がいざこざを起こし、徐州譜代の臣を殺してしまったのです。動揺が走り浮き足立った徐州をなんと呂布は
攻めたのです。
恩義は仇で返すこの手口、張飛は逃げ延び劉備も仕方なく呂布に降伏しました。
劉備にとっては屈辱だったでしょう。
その後呂布は自分に与えられた城を劉備に与え、自身は徐州の主に収まりました。
所が強引に城から追い出された劉備を哀れんで多くの人物が劉備の元へ集まりました。
呂布は劉備をねたんだのです。
我慢が限界を超えたとき、呂布は再び劉備を攻撃、劉備は仕方なく曹操の元へ逃げ込みました。
しかし、呂布はまたしても独善をふりかざします。
呂布は徐州牧(州の長官)を望みましたが皇帝を奉戴していた曹操は、この強引な手口を認めるわけにはい
かないと将軍の位は与えても牧は与えませんでした。
所が曹操は劉備の底知れぬ器を気に入り徐州牧の称号を劉備に与えたのです。
呂布はまたも妬み劉備を攻撃したのです。
呂布は人のいざこざに突けこんで恩人を裏切った挙句に一方的な妬みで2度も攻撃し撃破したのです。
乱世には乱世の倫理があり、裏切りが間違いだとは言い過ぎでしょう。
しかし、呂布の行動は乱世における倫理ではかばいきれないほど酷いものがあります。
劉備にあんな負け惜しみを言ったということは彼には劉備を裏切ったという認識がないということでしょうか。
呂布に言わせれば、自分の裏切りは正義であり、他人の裏切りは裏切りということなのでしょう。
呂布のこの態度には独善や自分勝手を超えて寒気すら感じさせます。
まさしく白鳥さんを殺しても顔色ひとつ変えず、正義とさえ思っている草壁そのものです。
月臣さんは草壁に徳はないと断じましたが、それは呂布にも言えるでしょう。
この時代に限らず、独善だけでは天下はとれないということですね。
では終わります。そろそろ出番がほしいです。特にアキトさんとの(はぁと)。
管理人の感想
3104さんからの連載第六話後編の投稿です!!
どうも掲載が遅れてすみません、3104さん。
一応、管理人もチャランポランでも社会人なので・・・(苦笑)
ま、それはそれでおいといて。
とうとう始まりましたね、赤壁の戦い!!
なんと、あのテツヤまで復活してます!!
う〜ん、今後はどうなるんでしょうね?
それにしても、イネスさんと、ナオは?(苦笑)
では3104さん、投稿有り難う御座いました!!
次の投稿を楽しみに待ってますね!!
感想のメールを出す時には、この 3104さん の名前をクリックして下さいね!!
後、もしメールが事情により出せ無い方は、掲示板にでも感想をお願いします!!
出来れば、この掲示板に感想を書き込んで下さいね!!
ナデシコのページに戻る