時の流れに番外編
ナデシコ的三国志
七話、黄蓋周瑜に火攻めを提案し、曹操に偽りの手紙を送る後編
前回までのあらすじ
初戦で勝利を飾った呉であったが、曹操は守りを固め長期戦を展開。
物量に劣る呉はこの膠着に焦燥の念を募らす。
一方曹操側でも風土と水軍生活の不慣れさから疫病が発生。
大量の兵士達が病にかかり、士気がおおいに低下していた。
曹操は少しでも長期戦を維持できるよう、船どおしをつなげ揺れの減少をはかった。
だが船どおしを繋げた”連環”は、呉に火攻めの好機を与えようとしてた。
一艘の船が白旗をあげて烏林へ近づこうとしていた。
その船には水夫が1人と編み笠をかぶった釣り人が1人乗っている。
「・・・・・・・・・・・・・・寒い。」
編み笠かぶっているのは關沢サユリ。
ホウメイガールズ(呉の幕僚陣)の一人、弁舌巧みで心優しい女性である。
「はあ〜、大分寒くなってきたわ。
空気も乾燥してるし、確かに火攻めではもってこいの時期ね。
でもお肌に悪いなぁ(笑)、もう!!、ゴートさんたら少しくらい気を使ってくれてもいいのに!!(怒)。」
黄蓋ゴートにそんな気の使いようができるならば陳羣ミナトと破局したりはしないだろう
(ナデ三では関係ないだろ!!BYゴート)。
実はサユリには曹操ユリカを説き伏せるよりも不安なことがあった。
ゴートにぼやいたのはそれである。
「ゴートさんたら1人で行ったほうが怪しまれないですまからそうしろですって!!。
私女の子なのよ!!。
もし、その、なんていうか、襲われちゃったりしたら責任とってくれるのかしら。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴートさんに責任とってほしいとも思わないけど(爆)。」
1人ごとを言っていると、みすぼらしい格好をした水夫が話しかけてきた。
「その時は俺が君を守るよ。」
「!?、え・・・・・・・・・・・・・・・・あ、アキトさん!?。」
顔を覆っていた汚らしい包帯のような物を外したその青年は紛れもなく趙雲アキトであった。
サユリが驚きの声を上げるのも無理はなかった。
なぜならアキトは劉備サラや諸葛亮ルリと共に夏口にいるはずだからである。
「あ、アキトさんどうしてここへ?。
どうして水夫に化けてるんですか?。
あ!!、もしかして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「うん、まあ自分が降伏の手土産にされ「私のことを妻として認めてくれたと
言うことですか?(はぁと)。」
サユリは寒空の中大声でアキトを制した(つーか話を聞いてない)。
アキトの本心を言えば計略とはいえ自分が手土産にされたのはやはり納得のいくところではない(ばればれ?)。
また使者となる人間が何を言うのかわからず不安になったので秘密裏に夏口から大急ぎで陸口へ到着。
ネルガル(呉)の水夫に化けて(本物にはしばし眠ってもらっている)こっそりついてきたのだ。
ちなみにこの事実を知っているのは関羽シュンただ1人である。
「そうですよね、将来自分の伴侶となる女性をいくら任務とはいえ単身敵地へのりこませるなんて不安ですよね。
アキトさんって優しい人なんだ(ぽっ)。」
「い、いやそうじゃなくて。
確かに不安ではあったけど理由は全然違うんだよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・怖い顔しないで。」
理由が違うという言葉のみ反応したサユリの表情を見て簡単に落ちたアキト。
本当に長坂の英雄なのだろうか。
「お、俺にだって言い分はあるだろ(汗)。
降伏の手土産にされてるんだから。」
「手土産?。
なんのことです?。」
2人の話がかみ合わない。
アキトが先に気づいた。
「もしかして手紙の内容知らないの?。」
「え、ええ。
ゴートさんからは秘中の秘だから私にも教えられないって。
その場で判断して有利に進めてくれって。」
「どういうつもりだあの人。
内容をサユリちゃんに教えないなんて。」
他の人間ならゴートがサユリに言わなかった理由はすぐに察せれたろうが、
自分のこととなるととんと朴念仁の彼にはわからなかったようだ。
「偽の投降文の内容はね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
まあいっか。
そのうちわかるし。」
アキトはなぜか悪寒が走って何も言わなかった(本能?)。
ゴートが何も言わなかったのはなにか考えがあってのことだろうとも判断した。
・・・・・・・・・・・・・・・・先送りしただけなのに(笑)。
ユリカとの会見でとんでもない事態になるのを自らお膳立てしたようなものである。。
「?、サユリちゃん、寒いの?。」
「え、ええ・・・・・・・・・・。」
サユリはがたがたと振るえていた。
無理もない、もう11月も下旬(暦は現代で解釈)、季節はすでに冬に入っている。
北西からの身を切るような風と朝方の行動というダブルパンチがサユリの体を振るわせた。。
それにくらべアキトは別段寒そうにはしていない、鍛え方が違うのか、それともただ単に鈍いだけか
(大きなお世話だ!!BYアキト)
「困ったなぁ・・・・・・・・・・・・・・・。
サユリちゃんちょっとごめんね。」
「え?、あ!!・・・・・・・・・・・・・・・・(うっとり)。」
そういうなりアキトはサユリを引き寄せた。
そして船をとめてあつ〜い抱擁をはじめた(積極的だなおい)。
突然一方的に自分を抱きしめるアキトの行動に声も出ないサユリ、だが表情を見るだけで至福の絶頂にあ
るのは理解できる(笑)。
対してアキトは真剣そのもの。
アキトにしてみれば寒さに参っているサユリを気の毒に思っただけで他意はないのである。
だが周りから見れば10人中10人が恋人どうしの戯れだと察するだろう。
「古典的な方法だけど少しは寒くなくなるだろ。
少しあったまってから船を走らせよう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って聞いてる?。」
ムードとは程遠い男のアキトは無神経な発言をしたが、その声も届かないほどにサユリはトリップしていた。
「(し、幸せーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!(はぁと)。
思えばいつもハルミ達と5人1組にされて誰が誰だかわからないなんて不遇を囲ってたけど、
これなら作者に、ひいては管理人を含める全ての作者達へのお仕置き(皆さんごめんなさいBY作者)も
帳消しにしていいくらい!!(はぁと)。
女難体験記にさえなかった幸せをじっくりと堪能しなきゃ!!。
と、とりあえずメグミさんの真似しよう!!(爆))。」
サユリは切なそうな表情をしてアキトにしがみついた(サユリは清楚なのでそれほど色っぽくない)。
「ア、アキトさん、私本当は1人でナデシコA(漢魏)に行くの心細くて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「ちょ、ちょっとサユリちゃん!?、
そんなに押さないで、バランスが崩れる・・・・・・・・・・・・・・・・・うわ!?。」
ぼっちゃーん!!
お約束どおり船は転覆した(笑)。
「むっ!?、何か来るぞ!!。」
ナデシコA守備兵の1人が近づいてくる船に警戒の声をあげた。
見ると釣り人と水夫の2人だけだった。
「気をつけろ、ネルガル(呉)の間者かもしれない!!。」
船は白旗を挙げている、敵意のない印である。
「おい、どうする?。」
「どうするってったって白旗挙げてる連中を無差別に攻撃できないだろ。」
「ネルガルからの降伏者か?。」
「そうだぜ、きっと。
よし、蔡瑁ムネタケ都督に報告を・・・・・・・・・・・・・・・あのキノコはヒステリックだからな(汗)。」
「じゃあ張遼リョーコ蕩寇将軍に・・・・・・・・・・・・・・・・あのお人は血の気が多い(汗)。」
「じゃあ無難なところで許チョイツキ将軍に報告しよう。」
「了解!!」×兵士達
各人手際よく散っていった。
船を見ていた兵士達があることに気づいた。
「おい、あの2人さぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんか濡れてないか?。」
「あ、そういえば。」
「つーかびしょ濡れって感じだなぁ。
なんかがたがた震えているみたいだし。
もしかして船からおっこちたとか?。」
「そんなドジな奴なら敵の降伏にふさわしいな。」
ずばり大当たりであった(笑)。
夏口、玉座の間で1人の武将が逆さ釣りとなっていた。
それはシュンだった。
サラは猛将であり義兄妹である彼を決戦前に処罰する気なのだろうか。
当然そこにいるのはサラだけではない、ルリ、そして張飛アリサがいた。
彼女達は冷たい目で彼に詰問しはじめた。
「シュン隊長、いい加減吐いて楽になったらどう?。」
「そうです、たった一言いえばすぐにも開放しますのに。」
「アキトさんはどこに消えたのですか?。」
目だけが笑ってない、それは言葉では言い表せないほどの恐怖である。
だがシュンはとぼけた。
「だから知らないって(汗)。
いい加減降ろしてもらえないかな。
決戦に備えて兵達の士気向上のも兼ねて練兵しなきゃいけないだろ。
アキトの分までやるからさ。」
シュンは何も答えないが本当は言っても言わなくても同じだと思っている。
どちらにせよ勝手に陣を離れた上浮気(?)をしたアキトに対するお仕置きは決定的だからだ。
とはいえ、アキトが突然消えたのが兵に知られると長坂の時同様敵に下ったのではないかなどとデマが
飛び交いかねない。
サラは主人だし本当のことを言ってもいいが追っかけていくなんてことを本気でいいそうだ。
ルリやアリサも同じ。
なので黙っている、だが黙っているのも限界かもしれない。
シュンは本気でそう思いはじめた。
彼女達の表情はすでに鬼となっているからだ。
「え、えっとだなぁ・・・・・・・・・・・・・・・アキトは泳ぎに、そう!!、泳ぎにいったんだ。
寒中水泳したいとかいいだして。
全くタフな奴だよ、はは!!・・・・・・・・・・・・・・ルリ君、なんだ、そのローソクは!?(焦)。」
「心配しなくていいですよ。
私はラピスと違ってSではありませんから(詳しくは前編をお読みください)。
ただそんな見え透いたうそをつく将軍にはきつい処罰が必要ですよね。」
ルリはローソクに火をつけはじめた。
誰もとめる者はいない。
シュンはいよいよ参って口を割ろうとした時、助け舟が出た。
「アキトの奴なら諜報活動に出たぞ。
ルリ君落着きけよ。」
「あ、カズシさん。」
アリサがカズシの名を呼んだ。
彼は関平カズシ、関羽シュンの息子である。
「おおー、わが息子よ!!、ナイスフォローを・・・・・・・・・・・・・・・・っておまえ俺の息子なのか!?。」
「そうですよ。
作者が周倉にするか関平にするか迷いにまよった挙句関平にしたんですよ(作者苦笑)。
正史準拠ということを貫くらしいです。」
「妙に自分を貫きおってからに。
ま、まあいい、カズシ、縄を解いてくれ(いい加減頭に血が上っている)。」
「はいはい。」
呆れながらシュンの縄を解くカズシ。
だがまだルリ達は納得してないようだ。
「それ本当なの?。
ならそう言ってくれればいいじゃない。
君主の私にまで黙っているなんて。」
「諜報活動は隠密だからな。
君主にさえ言わない方がやりやすいのさ。
な、ルリ君。」
「え、まあそうですけど。
如何にアキトさんとはいえ勝手な行動は控えていただきたいのですが。」
そ知らぬ顔でカズシはルリに同意を求めた。
ルリはまだ釈然としない様子。
どうも女の勘(笑)が何かを警告しているようだ。
後にサユリと抱き合っていたことがバレてこれが当たっていたことが判明するのだが。
「もうっ!!、アキトったら後でお仕置きね・・・・・・・・・・・・・・ってそれはいいとして、
ルリちゃん、皆を呼んでもらえる。
群議をするから。」
「はい。」
群議に集まったのは次の面々。
劉備サラ、諸葛亮ルリ、張飛アリサ、関羽シュン、関平カズシ。
それに加え、久々登場の麼方サイトウと最近幕僚になった伊籍レイナである。
「な、なんか俺すげー久しぶりの登場のような気がする。
嬉しくて涙でてきた・・・・・・・・・・・・。」
「サイトウさん贅沢ね。
私なんて今回初登場よ。
サラやアリサが毎回出張っているのに、これって贔屓じゃない。」
サイトウとレイナがひそひそ話をしている。
ルリがわざとらしく咳払いをして二人に私語禁止のジェスチャーをした。
その後おもむろに話を切り出した。
「さて、我々が艦長から逃げはじめたのが9月の頭頃、それから呉と同盟を結んで早2ヶ月が過ぎようとしてい
ます。
敵方に疫病が蔓延し、士気が低下してはいるものの、私達も、そしてネルガルも状況を打開できずにいます。」
ルリの状況説明に皆沈黙している。
それは誰もが認識していることだからだ。
兵士達の中にも長期戦による疲労が大分たまっており、サラ達にとってある意味長坂の逃避行並みにつら
い状況に陥っていたのだ。
「しかし、敵は士気低下の原因の一つである、水上での戦闘及び生活の不慣れを解消するため、
船と船を鎖で繋ぎ、安定化をはかってきました。
この、”連環”こそ艦長達を撃退する光明です。」
ルリは更に続けた。
「艦長への偽投降文を送ることは先だって密書で確認しました。
私のアキトさんを条件にして!!(怒)。」
これに周りが抗議を始める。
「ちょっと、何が私のよ!!。」
「ルリちゃん私物化しないでください!!。」
「初登場の私の立場がないじゃない!!。」
呆れ顔のシュン、カズシ、サイトウ。
「それはまたの機会にして、
その後はルリ君・・・・・・・・・・・・・・・・・・って聞いちゃいねえ(怒)。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15分後。
「し、失礼しました、ちょっと感情的になりすぎましたね(まだ決着ついてないんですが)。
密書にこの投降文からどのような策につなげるかまではまだ報せられないとありましたが、
策はわかっています。」
ルリの自信みなぎる態度。
再び口を開く。
「ずばり火計です。
投降してきた一瞬の隙をついて、枯草などを敷き詰めた船を突っ込ませ火を放ちます。
簡単に取れないであろう”連環”の船団にあっという間に燃え広がるでしょう。
例え艦長に逃げ延びられたとしても、私達かあるいは、ラピス達が追撃します。」
ルリの推理に周りから感嘆の声が上がった。
恐らくこの作戦が成功すれば、仮にユリカをしとめ損ねたとしても荊州から撤退させられそうである。
周りに安心の色が浮かんだ。
「で、でもルリちゃんさ・・・・・・・・・・・・・・。」
レイナが意義を申し立てた。
「風はどうなの?。
今は北西の風じゃない。
東南からの風が吹かなきゃ燃え広がらないかも。」
「ごもっともな意見です。
しかしこの時期にもちゃんと東南の風が吹くそうです。
ラピス達はこのあたりの気候を熟知しているはず。
計算しているでしょう。
恐らく変わりやすいと思われる12月の頭。
その前くらいに必ず追撃の要請がでるはずです。」
サラが大きくうなずいた。
「わかったわ。
じゃあ皆、来るべき日に備えてゆめゆめ怠りのないよう頼むわ!!。」
「御意!!」×軍議参加者
こうして、決戦に向けて劉備達は一致団結の意志を再確認した。
「隊長、さっきは適当に言いましたけどアキト本当はどこ行ったんです?。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・知らないほうがいい。」
シュンは劇場版の台詞でしめくくった(笑)。
烏林本陣、曹操ユリカは許チョイツキからの報告を受けて使者、關沢サユリと出会っていた。
「ふ〜ん、この人がネルガルからの投降の使者なの?。」
相変わらず緊張感のないユリカにイツキは呆れた。
「は、はい。
黄蓋ゴート将軍の使者で關沢サユリさんです。」
「はっ、はっくしょん!!。
す、すいません、サユリです。
初めて御意を得ます。」
「ねえ、最初びしょ濡れだったっていうけど長江におっこちたの?。」
ユリカは興味深そうに質問した。
対してサユリは恥ずかしいらしく顔を真っ赤にしていた。
「は、はい。
ぼおっとしてまして(はあ、せっかくアキトさんといい感じだったのに失敗しちゃった。
そんなとこまでメグミさんと一緒になるなんて(爆))。」
沈んでいると、程cメグミが睨んできた。
「どうも、軍師のメグミです。
どこかでお会いしました?(怒)。」
「い、いえ(あ、メグミさんの真似って誰の真似?)。
と、とりあえず事情を説明させてもらっていいですか?。」
「いいよ、遠慮なく。」
ユリカからの同意を得るとサユリは語り始めた。
「実は当初は私もゴートさんも開戦派でした。
でも実際戦ってみて艦長達の恐ろしさがわかったんです。
疫病にもびくともしてないし。
なのに周瑜ラピスちゃんや魯粛プロスさん達が強弁に決戦を主張してるんです。
寝返るのは心苦しいですけど、天下の平穏のため、あえて書状を携えてきました。
決戦には寝返って先陣をしますから、どうか信じてください。」
長期化があまり進めばやはり不利なのは守る側である。
敵が寝返ってくるのはわからない話ではない。
だが3代に使えている重臣がなんの前触れもなく投降してくるというのはやはりひっかかるものがある。
「もちろん、それなりの手土産は用意してあります。
この書状を。」
イツキはそれを受け取りユリカに渡した。
ユリカはその書状を読んでいたが、その表情はみるみる明るくなっていった。
「この内容は間違いないんだよね・・・・・・・・・・・・・・・・(はぁと)。」
満面の笑みでサユリに問い掛けるユリカ。
サユリは内容を知らないのだが機嫌をそこねないためにもうんとうなずいた。
「か、艦長、どんな内容なんです。」
メグミがたずねるとユリカは書状を渡した。
それを見てメグミも表情が見る見る変わっていく。
「えー、本当にアキトさんをもらえるんですか!!(はぁと)。」
「えっ!?、うそ!?。」
思わずサユリが驚きの声をあげた。
彼女はようやくアキトが言っていた意味を理解した。
そしてゴートがなぜ言わなかったのかも。
「なに、サユリちゃん。
今の、うそ!?、って。」
ジト目でサユリを睨むユリカ。
サユリは失言だと思った。
これではまるで段取りが違うと思われるかもしれない。
どうすべきか迷ったが、あくまで偽なのでアキトをとられる心配はないと思い直し、得意の弁舌を発揮させた。
「実は艦長、これには私達ホウメイガールズの意志でもあるんです。」
「ど、どういうこと?。」
「はい、劉備サラ側と同盟を結んだ時、使者として諸葛亮ルリちゃんとアキトさんが来たんです。
アキトさんってとっても強くて優しくて、初めて会ったばかりの私達にも優しくしてくれて、
こんな人といっしょにいられたらなぁ、って思えました。
でも、それを独占しようというのがルリちゃんなんです(怒)。
ルリちゃんは君主のサラさんさえ出し抜いてアキトさんを自分のものにしようとしているんですよ。
毎日べったりと!!、その上ラピスちゃんまで同盟側に協力させるなんて都合のいいことばっかり言って
アキトさんを1人占め!!(怒)。
2人の我侭でアキトさんいつか倒れちゃうかもしれません!!。
私達、アキトさんを助けたいんです!!。
その時艦長のことが頭に浮かびました。
艦長ほどの人ならきっと私のアキトさんをあの2人の毒牙(笑)から救ってくれるって!!。
艦長、降伏すれば私は艦長の家臣です。
でも、心の中では同志です!!。」
サユリは長いポニーテールを振り乱しながら日頃の不満を・・・・・・・・・・・・
じゃなかった、息もつかせぬ怒涛の弁舌を炸裂させた。
「同志・・・・・・・・・・・・・・・、そう!!、私達は同志なのよ!!。」
「ですね!!。」
ユリカとメグミが熱く燃え上がる。
ここに1人の男を守り通すため(手に入れる)女達は互いに手を取り合うのを確約した。
「メグちゃん、リョーコちゃんにも連絡!!。」
「はい!!、あ、それとサユリさん。
さりげなく私のって言ったでしょ!!(怒)。
貴方は投降する側なんだから少し遠慮してください!!。」
めざとく聞いてたメグミはサユリに牽制して消えていった。
サユリはちょっとノリすぎたと自己嫌悪に入った(笑)。
「(つ、つい日頃の不満がでちゃった。
で、でもあれくらい真剣に言わないと信じてもらえないよね。
なにはともあれ任務は完了!!)。
か、艦長、それじゃあ投降の日取りなどの相談を。」
「あ、そうだ、それ決めなきゃね(それが主題だっての!!)。
えっとね、じゃあ賈クヨシサダ提督を呼んで。
メグちゃん戻ってきたら始めましょ!!。
サユリはその名を聞いて少し焦った。
賈クヨシサダといえば外様だが切れ者として名高い。
見ぬかれはしないかと心配になってきた。
だが、ここまで来た以上押し通すしかない。
このままでアキトが敵の手に・・・・・・・・・・・・・じゃなくネルガルは降伏を余儀なくされる。
サユリは覚悟を決めたのだった。
「アキトさんは絶対渡さない!!(おいおい)。」
一方アキトは水夫なので適当にその辺を歩いていた。
一応腕の立つ人物に見えないよう素人のようなそぶりはしている。
ふと見ると、見なれた女性がいた。
なんと徐庶チハヤだった。
一時期江陵で監禁状態だったがようやく許され、烏林に滞在していた。
「チ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?。」
とっさに口をつぐんだ。
へたに大声出してばれればえらいことである。
水夫のふりをしてちかよっていった。
「チハヤちゃん!!。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アキトさん!?。」
仮にも敵陣内にアキトがいることに驚いたチハヤ。
微笑もうとしたがそうはしなかった。
冷たい表情でアキトに返事を返した。
「いい度胸ね、こんなところにいるなんて。」
「まあね。
それよりちょうどよかった、無事だったんだ。
一緒に帰ろう。」
嬉しそうな態度をとるアキトと正反対にチハヤは特別反応せず拒絶した。
「悪いけどいかないわ。」
「え、どうして?。
監視がついているのか。
そんな奴俺が!!。」
「違うの。
貴方達と行動するつもりはもうないの。
ナデシコAから離れるつもりもないわ。
ちょうど監視が別件でいないし、今なら見逃すわ、早く行って。」
「そ、そういうわけにはいかないよ!!。
皆心配してるし、それにもうじきネルガルが攻撃を・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ!?。」
アキトはしまったと思った。
彼女はナデシコAで行動すると言っている、目を見れば本気かどうかわかるのに不用意な発言をしたのだ。
だがチハヤは微笑するだけだった。
「そう、やっぱり使者の手紙は偽りね。
恐らく火計で”連環”状態の船を焼き払う。
安心して、言ったりしないわ、まだ日も浅いし、信じてもらえないでしょうしね。」
「チ、チハヤちゃんまさかここに残るつもりじゃ。」
「まさか、でも焼き殺されるのはごめんだからとりあえず襄陽へ戻るわ。
・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい、アキトさん達が憎くて敵についたわけじゃないの。
それだけはわかって。」
それだけ言うとチハヤは歩いて消えていった。
アキトは呆然と見渡すしかなかった。
「チハヤちゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?。」
突然殺気めいたものを感じたアキト。
だが今は水夫でいなければならない。
とりあえず間抜けなふりでごまかす作戦にでた。
少し時が経つと気配は消えていった。
「なんだ、今の?。
すごい殺気だ、明らかに俺狙い。
芝居に引っかかってくれたのかな。」
そうして再び船に戻っていった。
近くの木の上に人影が。
アキトを見ていたのは夏候淵テツヤだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺の勘違いか。
あの水夫ただものではないと思ったんだが。
まあいい、戦いが始まればもっと楽しみが増える、くくく。」
真紅の牙と呼ばれた猛将は、勝っても負けても楽しめればそれでいい、そんな笑いを浮かべていた。
いよいよ、赤壁もクライマックスへと突入しようとしている。
果たして火計は成功するのだろうか。
ドクターイネスの三国志講座
皆さんこんにちは、イネスフレサンジュです。
前回に引き続いて演義の赤壁の名場面を正史とのへだたりをふまえてお送りするわ。
これで赤壁の真実を知ってもらえたら幸いね。
華麗なる赤壁前哨その二
まずは苦肉の策。老将黄蓋は状況を打開すべく火計を提案。
周瑜も同じことを考えていたが、曹操に火計を食らわすために投降させる武将を決め兼ねていたの。
黄蓋は自分が引き受けると主張、周瑜はあなたでは敵は信じないというと、狂言で自分達が仲が悪いように
みせかけようと言ったわ。
黄蓋は次の軍議で周瑜を侮辱、周瑜は罰として黄蓋を棒たたきの刑にしたの。
これに気づいた關沢を使者にして曹操に投降するとうそをついたわ。
こうして枯草を敵船団に突っ込ませる段取りはできたってわけ。
正史では曹操は簡単に信じているわ、演義はこれとは逆に疑うのだけど關沢がうまくきりぬけたと言うわけ。
どうして曹操が簡単に信じたのかここらへんは不明ね。
次はホウ統来訪。周瑜は船が散らばらないような策を練るため、ホウ統を招く。
彼は連環の計を画策し、ショウ幹をつなぎとしてたくみに曹操に近づく。
諸葛亮に匹敵する知略を持つホウ統に感激の曹操、陣内をよく見せた上、船酔いの多いこともあってか連環を
採用してしまう。
策に成功し、悠々としているホウ統をびびらせたのは徐庶。
真意を見ぬく徐庶に震え上がったホウ統だったが、策を実行されると自分も焼き殺されてしまうのでいい手を
考えほしいとびびらせたのはいたずらだったということを徐庶は話すの。
ホウ統は北の馬超が謀反を起こすと流言を流して、長安へ赴けと指示したというわけ。
ホウ統の知略が垣間見得る話なのだけど残念なことにこれはまったくのフィクションね。
ただホウ統が少しだけ周瑜に仕えていた時期があったからこれを採用したのではないかしら。
次が東南風。準備が整ってはいたが、東南の風が吹かないという事態で怯える周瑜に諸葛亮は東南風を
吹かせると宣言。
七星壇なる祭壇をつくらせて怪しいおどりをすると、なんと東南風がふいたの。
周瑜は諸葛亮は人間ではないと恐れ、抹殺を指示。
だが諸葛亮はなにもかもおみとうしで、趙雲の迎えの船で逃げ去ったと言うわけ。
実は諸葛亮はこの辺のことを熟知しており(貿易風のことだと思われる)それに会わせて怪しい真似をしたの。
ようするに詐欺に近いやりかたで周瑜に恐怖心を植え付けたの。
当然フィクション、恐らく呉の人間達は長年の経験からある程度東南の風が吹く時期を熟知していて、その時を
狙ったのではないかといわれているわ。
最後に曹操の三笑。船団を焼き払われて、陸路で逃げる曹操。
彼は劉備はだめな奴だ、ここらに伏兵を置けば自分を打てるものをと笑っていると突然敵襲が。
諸葛亮はあらかじめ曹操が逃げそうなところに兵を置いていたの。
こうして同じことを言って逃げ惑い、最後の華容道でついに関羽に追い詰められてしまう。
曹操はかつての恩で関羽に見逃してもらい、命からがら江陵にたどりついたというわけ。
正史での曹操追撃は今一つ曖昧だけど、劉備は陸路で曹操追撃を、周瑜は水路で江陵へ向かったようだわ。
ただ武帝紀(曹操)に似たような記事があり、曹操は劉備を認めつつも、策を決めるのが遅いといってるわ。
まあ劉備はかなりの追撃をしたらしく曹操も命からがらだったのは事実みたいだけど。
どうだったかしら、演義でこれだけ話が大きくなってるの。それだけ正史がそっけないってことかしら。
ではまた、いい加減私も出番欲しいわ!!。
管理人の感想
3104さんからの連載第七話後編の投稿です!!
いや〜、何だか意外な人物が活躍してます。
しかし、まさかサユリとはね〜
シュン隊長は隊長で、逆さ吊りにされてるし(苦笑)
でもカズシが息子ね・・・年齢的な差は無視だね、無視(爆)
さて、第八話では火計は成功するのでしょうか?
そして、完全に話から取り残されているアカツキの出番は?(爆)
レイナちゃん、初登場おめでとう!! イネスさんよ早かったね!!(笑)
では3104さん、投稿有り難う御座いました!!
次の投稿を楽しみに待ってますね!!
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