(僕の名前はマキビ・・・ルリ!?「その2」)

とーとつだが、ナデシコ艦内にて

『ホシノ・ルリ』はプロスペクターに連れられて、ナデシコにやって来たのだが、その直後のこと


「ルリさん、支給しておいた制服にまだ着替えていなかったのですか?」


とはプロスの言
ルリは、どうやら支給されたナデシコオペレータの制服を着るのが嫌なのらしい
今はまだ私服姿で、その制服に着替えてはいなかった。

ちなみに今のルリの服装は、Tシャツにキュロットというラフで動きやすい格好で、
その仕草や言葉遣い、雰囲気のせいもあってか、
一見相手にボーイッシュな女の子といった印象を与えるようだ。


「・・・あの制服、本当にボクが着なきゃなんないんですか? カンベンしてくださいよぉ〜〜っ!!」(半泣)


まあ、上はオレンジ色のベストにブラウスにネクタイ姿まではいいとして、下はタイトのミニスカート
ルリちゃん、どういう訳かこれを着て人前に出るには抵抗があるみたいで、特にミニスカートは凄く嫌なのらしい
だから、せめてスカートだけは何とかならないかとプロスと交渉、というか泣き言を言っていたのだが・・・・・・


「そうは言われましても、制服の着用はちゃんと契約書にも明記されてますし、契約書にサインした以上は・・・」


そんな訳で、ルリの抗議というか、要望はあっさりと却下されたのだった。


「そういう訳ですから、制服はちゃんと着用してくださいね。

 心配なさらずともその制服、きっとルリさんにはよく似合いますとも」



「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんん!!」



要望が却下されたせいか、それともミニの制服がよく似合うと言われたのがショックだったのか?
ルリは泣きながらどこかに走り去っていったのだった(爆)
そんなルリのあまりな様子に、プロスはあ然としながらもつぶやいた・・・・・・


「ルリさん・・・・・・、一体どうしてそこまで嫌がるのですかね?」


とはいえプロスさん、ルリがこの件でこんなにもこだわるのは『制服のミニスカートが恥ずかしいから』
などと言う、そんな簡単な理由だけではないような気もするようだ。
もっとも、その理由までは皆目見当もつかないようですが・・・・・・。



まあ、それはそれとして・・・・・・ルリのあれ『ルリダッシュ』とでも命名しましょうか?(苦笑)





ホシノ・ルリは、数日前にコンピュータへのアクセス実験中に事故に遭い、

その事故のショックで意識を失っていたが、

幸いな事に、すぐに意識が回復して事なきを得ていた。・・・・・・・・・表向きには



事故後に意識が回復したはずの少女ルリは困惑していた・・・

正確には、ルリの身体の中で目覚めた少年の心は困惑していた。



そのルリの中の少年の名前はマキビ・ハリ、愛称はハーリーくん

五年後の世界でランダムジャンプの事故に巻き込まれ、

次に目が覚めたら、ここは彼にとっては過去の世界であり、

おまけに今は、そのハーリーにとって姉のように慕っていた憧れの人、

ホシノ・ルリ (11)の姿になっていたのだから

困惑するなと言う方が無理かもしれない。



何故こんな事になったのか?

この後どうなるのか? どうすればいいのか?

ルリの中のハーリー(愛称は、ハリルリ、笑)は、

明確な答えを出せずにいたのだが・・・



プロスペクターのスカウトを受けたのを幸いに、

ハリルリはナデシコAに乗り込む決意を固め、今ここにいる

彼女(彼?)はこのナデシコで、一体どんな答えを見つけることになるのだろうか?









機動戦艦ナデシコ

僕の名前はマキビ・・・ルリ!?



〜その2「気になるあの娘は?」〜



By 三平







まあ、そんな訳で・・・・・・

先ほど冒頭で制服に関する要望を却下され、泣きながらナデシコ艦内を走っていたルリだったが、
やがてすぐ息切れして立ち止まっていた。

廊下の壁に手を当てて身体を支え、肩で大きく息をしながらルリは少しばかり息が苦しそうだったりして(汗)


ぜーな、なんでぜーぜーこの身体はぜーこんなにすぐ息がぜーぜー切れるんだよ・・・ぜーぜーぜー


それは、あきらかに運動不足のせいでしょう
まあルリの場合、人間開発センターの施設の中だけでずっと英才教育だけを受けていて、
あまり外に出ることもなく、運動する事もあまりない環境で生活してりゃそうもなるわな

もっとも、ハリルリちゃんは、その事を自覚していなかったようです。
ハーリーくん、まだルリの身体に慣れていないようだから無理ないかもしれませんが(苦笑)





とはいえ、そうやって少し休んで呼吸も落ち着いた頃、ルリ(ハーリー)ちゃんの気分も落ち着いてきたようで・・・・・・





ふと気が付いて辺りを見回せば、どこをどう走って来たのか、ルリはナデシコ艦内の奥深くに来ていたようだ。
・・・ここはどこだろう? ナデシコBと艦内構造は似ているから、多分ブリッジ近くの廊下だろうと思うけど


「・・・そりゃあ、ボクもあの制服はルリさんにはよく似合うと思うけど、でもボクは・・・・・・」


どうも、ハリルリはこの件では複雑な心境らしい
自分があの制服着るのは嫌だけど、ルリさん(自分?)には似合うと思っているようだし???(あれ?)


「はあ〜〜っ」


ため息を吐きながら、すぐにプロスの元に戻る気にもなれず、ハリルリは当ても無くとぼとぼと歩いていると


ぱふっ♪


歩く時、前方をよく見ていなかったため、顔が何か柔らかい物にぶつかってめり込んだのであった。(笑)
どうやら誰かが屈んでいる所に、前方不注意のルリが偶然、その女性の豊満な胸に顔を突っ込んだようで・・・
ルリ(ハーリー)はとっさに思った・・・以前に何処かで似たようなシュチュエーションがあったような・・・・・・まさか!!?
ルリは慌てて飛び退くと、目の前にいる今ぶつかったその人を見た


「ご、ごめんなさい・・・ぼ、ボクはあの、その・・・・・・」


ルリは顔を耳まで真っ赤にしてあたふたと謝りつつも、その人はルリの思ったとおりの人、あの時と同じ人だった。



『やっぱり、ミナトさん・・・』



そんなルリを不思議そうな顔で見ながら、その女性『ハルカ・ミナト』は、優しく声をかけてきたのだった。


「見かけない子だけど、一体どうしたの? ベソかいたりして・・・」


そのミナトの言葉に、ハリルリは心の奥から込み上げてくるものを感じ、どうにも我慢ができなくて



うっうっうっ・・・うわあぁぁぁぁぁぁ〜〜〜ん!!」



ミナトに取りすがってまた泣き出したのだった。


「えっ?えっ?えっ?・・・本当にどうしたの?」


本当に何が何だか分からないけれども、ミナトは思った・・・『このコかわいい♪』と、(ヲイ)
ミナトは自分に取りすがって泣く少女を優しく抱きしめながら、その子の頭をそっと優しく撫でたのだった。







「どう? 少しは落ち着いた?」


「はあ、もう大丈夫です。心配をかけてどうもすみませんでした・・・」


そう言って、少女はペコリと頭を下げた。

ここはナデシコ艦内にあるハルカ・ミナトさんの私室
その部屋にいるのは、部屋のヌシのミナトさんと、先ほど廊下で出会った少女
ミナトさん、その少女を落ち着かせるために、自分の部屋に連れてきたようですが・・・。


『このコがいきなり泣きついて来た時はビックリしちゃったけど・・・』


でも、そのせいか却ってミナトはその子の事に興味を覚えたようで、
改めてその少女の事を見た。

蒼銀の長い髪、髪型はツインテールにまとめてあり、
その肌は、白すぎるくらい病的なまでに白い肌で、
どこか神秘的な金色の瞳をした、年齢は十歳くらいの小柄な少女

外見は女の子らしくてとても可愛いと思うが、
ミナトはこの少女に、どこかアンバランスというか、違和感も感じていた


『どこがどう?・・・と言われても困るけどね』(苦笑)


それはともかく、ミナトが出したジュースを飲みながら、少女の表情は綻んでいた
そして、そんな少女の嬉しそうな表情を見ていて、ミナトも嬉しく感じていた


「そういえばあなたの名前を聞いていなかったけど、もし良かったらお姉さんに教えてくれないかな」

「ええ〜っ!!? ぼ、ボクの名前って・・・?」


少女は名前を聞かれて一瞬戸惑いの表情を見せ・・・・・・
直後に少しだけ寂しそうな表情を見せたが、すぐ気を取り直して自己紹介を始めた


「ボクは、ボクの名前はマキじゃなくて・・・・・・ホシノ・ルリです。

 今日からこのナデシコの、コンピューターのメインオペレーターを任される事になっています。」


ミナトは、少女が自分の名前を言う時に、とちったり少し間があった事にも何か引っかかりを感じたものの、
この少女がこれからナデシコに一緒に乗り込む事を知り、その事は置いておいて、自分も自己紹介を始めたのだった。


「ホシノ・ルリちゃんか・・・いい名前ね♪ ルリちゃんもナデシコのクルーだったんだ

 私の名前はハルカ・ミナト、私もナデシコの躁舵手として乗り込む事になっているわ、よろしくねルリちゃん♪」


「よ、よろしく・・・・・・ミナトさん」



ともかくも、意外な形でだがルリとミナトはお互いの自己紹介を果たしたのだった。



「ところでルリちゃん、さっきは泣いたりしていたけど、何かあったのかな?

 よかったらお姉さんに教えてくれないかな」


「えっ、それは・・・・・・」



ミナトさん、早速世話好きお姉さんの本領を発揮し始めたようで(笑)

訳を聞かれ、初めは躊躇していたルリだったが、ぽつりぽつりと話し始めた
なんだかんだ言っても、誰かに話を聞いてほしかったのだろう

ミナトは知る由も無いが、少女の中にいる少年の心は、
この世界に来てから誰にも何も話す事も相談する事も出来なかったのだから


ルリは話し始めた・・・今日、ナデシコに来てからの事を、
そして、あの制服を着るのが嫌だ!という事を!!



「制服が嫌って・・・ルリちゃんは制服が嫌いなの?」


「・・・制服が嫌いって訳じゃないんです。だけど、

 ボクはあのミニスカートだけは絶対嫌なんです!!」


「・・・なるほど、本気で嫌みたいね」



そのルリの答えに、ミナトは考え込んだ・・・今までのやりとりや雰囲気、仕草や言葉遣いなどから、
男の子みたいというか、この子はボーイッシュな子だと感じていたが、どうやら筋金入りらしい。
それどころか、ルリは女の子の自覚が無いどころか、自分が女の子であることを否定しているようにも感じられた・・・。



『ルリちゃん、せっかく外見は可愛い女の子なのに・・・・・・』



この子にはどうしてあげればいいだろう?
プロスさんに交渉すれば制服の事はどうにかなるだろうけど・・・・・・
それが果たしてルリちゃんの為になるのだろうか?



「それならルリちゃん、こんなのはどうかな? 制服はしょうがないからその代わり・・・」


「その代わり?・・・・・・」


「制服のミニの下にスパッツを着用するの、これなら恥ずかしくないでしょ?

 それに、それなら規定の範囲内だからプロスさんも文句は言えないし言わせないわ、どう?」


「スパッツ?・・・それは・・・・・・」



ミナトがルリに示したそれは妥協案である

実は、制服着用は規定されているけれど、規則は緩やかで
制服に手を加えたりアレンジするのはある程度は黙認してもらえるのだ

実際、ミナトは制服のミニスカートのスリットを大きく入れたり露出度を大きくしたりしているし、
通信士のメグミ・レイナードなどは制服の上にスカーフをしたりしているのだ
また、後で乗り込む艦長のミスマル・ユリカなどは、制服の上に上着を着用したりする事もあった。


はっきり言って、スパッツくらいならどうってことないのだ


それでもルリは渋っているようだったが、
ミナトが好意で言ってくれた事を無下にも出来ないと思ったのだろうか?
それに、ナデシコに乗り込む以上、どうやらその辺が現実的な落とし所と判断したのだろう。


ルリはしぶしぶと妥協案を受け入れたのであった。



「それじゃ、その事は私からプロスさんに伝えておくわね、ルリちゃん」


「はい、よろしくお願いしますミナトさん」



この辺り、ミナトには抜かりは無かった

ミナトは、プロスとの交渉次第ではルリの制服はミニスカートではなく、
男性用のスラックスの制服に切り替えさせる事も出来ると見ていた。
でも、それではルリちゃんの意識は、女の子である自分を否定したままだろう、それでは駄目なのだと思う
ミナトは、ルリちゃんには荒治療も必要かとも感じたのだ。

だから本当なら、ルリちゃんにはスパッツも無しでそのままミニの制服を着させて
自分が女の子だという事を常に意識させたほうがいいのでは? と思うのだが、それは無理とも思った
今のままでは恐らくミニスカートの制服着用はルリに断固拒否されるのは目に見えていたから。

そういう訳だから、ルリがギリギリで受け入れてくれそうな妥協案を出したのだし、
ミナトはルリが妥協案を受け入れてくれた事にホッとしていたのであった。
後は、ルリが余計な事に気づく前にこの路線で行くように仕向けてしまう事だろう。



『決めた!! とりあえず、ルリちゃんには私が色々な事を教えてあげるわね♪

 少しづつでもいいから、ルリちゃんが女の子の自覚をもてるように・・・

 だから、これからよろしくねルリルリ♪』





そんな訳で、ミナトさんの挑戦が、今始まったのであった。
どこか放っておけない気になるあの娘の為に・・・・・・。







『・・・なんでこんな事になったんだろう?』


ハリルリは、恥ずかしさのせいで顔を耳まで真っ赤にしてそんな事を考えていた
ちなみにここがどこかと言うと、ミナトの部屋に備え付けられたユニットバスの中である(笑)



話は少しだけさかのぼる

あのあとルリは、ついうっかりジュースの紙パックをひっくり返して頭から被ってしまい、
おかげでジュースでぬれてびしょびしょで、おまけにベタベタになってしまったのだ。


「大変! 早く身体を拭かないと風邪ひいちゃうわよ・・・ううん、いっそシャワーでも浴びた方が・・・」


そういわれてルリは自分の部屋に戻ってシャワーを浴びるつもりだったが、
早い方がいいとミナトさんにこの部屋のユニットバスを使う事を進められ、
結局、ルリは仕方なくミナトさんの部屋にあるシャワーを借りたのだが・・・・・・


『気持ちいい』


ハリルリは思う
デリケートな女の子の身体でシャワーを浴びる感覚は心地よく感じる
女の子がシャワーやお風呂を好む気持ちもわかる気がするかも

はじめはシャワーを渋っていたハリルリも、
こうやって気持ちよくジャワーのお湯を浴びていると、細かい事はいいような気もする

なのだが・・・・・・



「ルリちゃん、入るわね♪」


「!!み、ミナトさんどうして・・・!?」(汗)



ルリがシャワーを浴び始めてわりとすぐのタイミングでミナトさんも入ってきたのであった
もちろん、タオルを身につけているとは言っても、それ以外は何も身につけていない生まれたままの姿で(笑)
どうやらこの機会を逃すつもりはないらしく、ミナトさん積極攻勢をかけてきたようだ。


「ご、ごめんなさい・・・ボクすぐ出ます・・・・・・」


「遠慮しなくていいわよルリちゃん、お姉さんが身体を洗ってあげるから♪」


「そ、そういうことじゃなくて・・・」(滝汗)


ハリルリはあまりの展開に完全に舞い上がってしまい、
主導権を完全にミナトに取られてしまっていたのだった。
つい、ミナトのナイスバディが目に入り、それを見ておもわず息をのみ
直後、ハッと気づいてルリは恥ずかしそうに目を背けたり(苦笑)


『ボクは本当は男なんだよ・・・それなのにミナトさん・・・』


身体は女の子だけど、心は思春期の男の子なハリルリちゃんには、どうやらあまりに刺激的すぎるようだ。
ハーリーにすれば、まだ未発達なルリの身体でさえ刺激的なのに・・・・・・


「さっきからこの髪の毛が気になっていたのよね」


そう言いながら、ミナトはルリの長い髪を洗い始めた・・・それこそ丁寧に優しく


「ルリちゃん、せっかく綺麗な髪なのに、手入れが悪くて・・・これじゃ髪が可哀想よ」


「えっ、髪の毛って!?・・・」


ミナトに髪をあらって貰い、どぎまぎしながらハリルリはミナトの話に答えていた。

ようするにハリルリは、昔の男だった時と同じ感覚でがしがし髪を洗っていたのだ、
デリケートでしかも長いルリの髪は、そんな事すればいっぺんに傷付いてしまうのに

そんな感じでミナトはルリに髪の洗い方を教えながら洗っていたのだが、それも終わったようだ。
ルリの髪を丁寧に頭の上にまとめてタオルで巻いてあげたようだ


「じゃあ、次は身体を洗ってあげるわね♪」


「あうう〜〜」


スポンジに石鹸をつけて優しく泡立ててルリの身体を洗っていく
この頃になるとハリルリちゃん、すっかり大人しくミナトさんになすがままに洗われていた。
洗われている途中に、ときたまルリの背中に柔らかくてボリュームのある何かが押し当てられたり・・・


『ひゃあ・・・今のって、もしかしてミナトさんの・・・』


かくして、少女の身体の中の少年の心は、ますますのぼせ上がっていくのであった。







このあと、シャワーが終わってからハリルリは、
ミナトさんから髪の毛の拭き方とか、ブラッシングの仕方とか、丁寧におそわっていたのであった。


『本当のことを言うと、ボクはこの髪うっとおしいから切っちゃいたいくらいだけど』


でも、同時に思う
これはルリさんの髪なんだから、切れないよなあ・・・・・・と


ハーリーにとって、ルリさんの、憧れた人のイメージを壊したくないという想いもあり
いまだにそれを大事にしているのだった。









ルリがナデシコに乗り込み、
ミナトたちに出会ってから数週間が経過したある日の事



「ちょっとそれどういう事!!」


ここナデシコブリッジでは、連合宇宙軍の派遣軍人が、キーキーとわめいていた


「フクベ提督を呼んどいて私達はいらない〜〜っ!!!」


このわめいているキノコ頭の派遣軍人の名前は『ムネタケ・サダアキ』
素人ばかりの民間戦艦に、わざわざ来てやってるんだ!! と、態度が実に偉そうである


もっとも、ナデシコのブリッジ勤務の女性クルー達は、少し離れた位置から冷ややかにその様子を見ていた


「あの人たちですよね、火星でコロニーに戦艦落としたのは・・・」

そう言うのは、通信士の『メグミ・レイナード』 (17)
三つ編みの可愛い系の顔の少女で、元声優という経歴の持ち主である。


「まあ、キャンキャン吠えたくなるのもわかるけどさあ」

改めての紹介は、躁舵手の『ハルカ・ミナト』 (22)
元社長秘書の経歴を持つ、ナイスバディの大人の魅力の女性である
今現在ハリルリが一番信頼している人でもある。


で、そのハリルリだが・・・・・・ムネタケを見てショックを受けていた(苦笑)


『ウソだろう? あの人がムネタケ参謀の・・・息子さん!!?』

ハリルリにとって、五年後の世界でのムネタケ・ヨシサダ参謀の印象の方が強いようで
その息子のサダアキは、今日始めて見かけるのであるが、どう評価したものか悩んでいるようだ

これがオリジナルのルリだったら『バカ』、の一言で済んでしまうのだけどねえ(苦笑)



その間にも、ゴートー・ホーリーがムネタケ達を相手に辛抱強く事情説明をしていたのだが・・・・・・そこへ



「みなさーん、私が艦長のミスマルユリカで〜す。ぶいっ!!」



にこやかな笑顔とVサインで登場したのはナデシコ艦長のミスマル・ユリカさん、(20) であった


「「「「ぶい〜〜っ!!?」」」」


あまりの軽さに、そこにいた皆さん声がハモッて呆れているようだ
そのノー天気な艦長の隣でだくだく涙を流すのは副長のアオイ・ジュン、(20) やはり苦労人であった(涙)


「この人が艦長!? な、・・・なんだか頭痛がしてきたような気が・・・・・・はあ〜っ」


生真面目なハリルリは、まだこのノリについて行けないようで、頭を押さえながらそっとため息をつくのだった。





現在、敵機動兵器と地上軍が交戦中!
ブリッジ要員はただちに戦闘艦橋に集合せよ!! 繰り返す・・・・・・




サセボドックに敵木星蜥蜴の攻撃があり、ナデシコのブリッジでは主なメンバーが集まっていた。


「敵の攻撃は頭上に集中している」

「敵の目標はナデシコか!!」


ゴートの状況説明に、フクベ提督は確信をもってそう判断した


「そうと分かれば反撃よ!!」
とはムネタケ・サダアキ、本来なら彼はお呼びで無いのだが、当然のように口出ししていた。

「どうやって?」

「ナデシコの対空砲を真上に向けて、下からまとめて焼き払うのよ!!」

ムネタケのあまりといえばあまりの発言に、ブリッジ要員達から次々ブーイングが起こった。

「上にいる軍人さんたち吹き飛ばすわけ!!」

「ど、どうせ全滅しているわ」

「それって非人道的って言いません?」

「うきーっ、いいから言われた通りにすればいいのよ!!」

ミナトやメグミの指摘に、ヒステリックに反応するムネタケ
しゃべればしゃべるほど嫌われて、信用もがた落ちになっていくのだが、彼にはその自覚はないのだろうか?



『・・・・・・この人は駄目だな』


今や、ハリルリもムネタケの事を見限ったのか、ジト目で冷たい視線を送っていた

『ムネタケ参謀(キノコパパ)には悪いけど、こんな人には命は預けられないよ』・・・と、無理はないが



「艦長はなにか意見はあるかね?」


その状況を見かねてか、フクベ提督は艦長のユリカに話を振り、
先ほどまでの軽さはどこへやら、ユリカは何の迷いも無くはっきりきっぱりとそれに答えたのだった。


「海底ゲートを抜けて一旦海中へ、その後浮上して背後より敵を殲滅します!!」


その意見に、ブリッジにいたメンツは皆感心していた・・・キノコ(ムネタケ)を除いて
さすがは戦略科を主席で卒業した逸材だ! とか紹介されるだけの事はあるかもしれない。







一応感心しつつも、ハリルリは改めてユリカの事を見ていた・・・どこか品定めをするような目で

向こうの世界では、艦長(ルリさん)は、ユリカさんには艦長として自分はまだまだ足元にもおよばないと言っていたけど
だけどボクはまだ納得しているわけじゃない・・・ボクにとって最高の艦長は今でもルリさんなんだから・・・。

ともかく、ユリカ艦長の言葉を切っ掛けに事態が動き始めたその時、ボクは気が付いた!

エレベーターで地上に上がっていくエステバリスに・・・エステバリスに乗っているアイツに!!!


「・・・誰か不審者がエステバリスに搭乗して、エレベーターで地上にむかってます」


アイツは!! あの男は!! 何でこんな所に!!!
ボクは、感情的になりそうな自分を抑えながら、ともかく報告はした。

フクベ提督が、そのエステの搭乗者しているアイツに詰問をして
アイツはそれに気圧されたのか、あっさり名前を明かした。


「テンカワ・アキト、コックです」と・・・・・・



『やっぱりアイツがテンカワ・アキトか!!
 どうしてアイツがここにいるんだよっ!!!』




ハリルリは、ウインドウに映るテンカワ・アキトの映像を、火の出そうな目で睨み付けているのだった。


『一体どうしたのルリルリ・・・そんなに怖い顔をして?』


そんなルリの只ならぬ様子にミナトは気づき、心配そうに見やっていたのだが
当のルリは、エステの搭乗者に気を取られていて、この時はその事に気づいていなかったのであった。





つづく





あとがき



ともかくも、「僕の名前はマキビ・・・ルリ!?」第二話、ようやく出来たのでお届けします。

うーん、前回もそうだったけど、確かにこのシリーズは書くのにエネルギーが要るなあ

同時進行で書くはずだった『砂沙美の航海日誌』のほうもすっかり止まっちゃっているしね(苦笑)

航海日誌のほうは、この後続きを書きます。(多分来週には投稿できるのではないかと・・・、汗)



実はこの話、何度か書き直しているうちに、最初に考えていた話と少し違ってきています。

特に、『ルリダッシュ』をさせてから話の流れ、変わったなあ(爆)

でも、多少強引な展開になったけど、話がうまく流れてくれたから良いかな? とも思っています。

(特に、ミナトさんの所でシャワーなんて強引だった気もしますが・・・まあいいでしょ、汗)

それと、時ナデや、他の逆行モノと違って、表向きルリがアキトに対して反感を持っているというのはどうですかね?

まあ、中身がハーリーくんのハリルリちゃんだからしょうがないけど、次回からはどうなるかなあ(楽しみだなあ)



あ、そうそう、某所でのアドバイスありがとうございます。(Kさん、仮名)

キュロットとかスパッツとか、こういう感じで出してみましたがどうでしょうか?



ふと思ったのですが、木連の舞歌さんだったらハリルリの教育はもっと徹底したものになるのかなあ、と(苦笑)

北斗ほどではないけど、ハリルリちゃん女の子の自覚の無いからね・・・今の所

このシリーズでは、ハリルリちゃんと舞歌さんが出会うことはまあ無いとは思うのですけどね



一応このシリーズのゴールは、ハリルリがナデシコBの艦長になるまでと考えてます。

とはいえ、あくまで予定は未定なのでどうなるか書いて見なければわかりませんけどね

ボクは帰ってきたんだ・・・このナデシコBに・・・イメージはこんな感じになるのだろうかな?

ハリルリちゃん感慨深げにね、帰って来たといっても、かつてと立場が逆ですけどね(笑)



そんな訳で、今回はここまで、次回をお楽しみに







 ゴールドアームの感想。

 第2話、ご苦労様でした。
 パワー……いるでしょうね。この話を書くのには。
 なにしろハーリー君の男の子としての心理状態を維持しつつ、あこがれの女の子に宿った少年のとまどいをエミュレートしなければならないのですから、作者の内面を5重くらいのマルチタスクで動かさないとまともな文章になりませんし。
 でも苦労した甲斐はあったようです。
 ミナトさんという人物をうまく使い、ハリルリちゃんを巧みに『萌え』の状態へと持っていく手腕はなかなかお見事。ハーリー君の男の子心理と、周りから見れば紛れもない女の子であるルリルリとの、いろいろな意味でのギャップこそが『萌え』の原点ですし。
 そしてラス前、あのテンカワアキトの存在がハーリー君の『男の子心』に『燃え』の炎を点火するあたりが実に憎いです。
 引きもいいし、ハーリー君の男としての嫉妬とライバル心が、ルリルリという女の子フィルターを通じてどう変換されて受け取られていくのか。実に興味深いです。
 そしてまたその逆も。どんなに男の子心理を持っていても、どんなにまだ未発達でも、ハーリー君の今の体はルリちゃん11歳。女の子として見られ、扱われていくことが、彼の心にどんな影響を与えていくのか。
 思考実験として、興味は尽きません。
 まあそれ故に、並ならぬパワーを、この作品は作者に要求するのでしょうが。



 この作品は、あくまでも『ハーリー君の男の子心』がメインテーマになります。
 彼の内面と視点を、徹底的に追及して初めて書ける作品です。
 それは作者をぎりぎりと追いつめていくでしょうが、それに負けずに頑張ってください。
 突き抜ければ一気に筆の進む作品だとも思うので。

 では、次、お待ちしています。