西暦2196年 ネルガル本社 会議室


「第一次火星会戦敗退から一年あまり、いまや火星と月は完全に敵の制圧下だ・・・地球も時間の問題にすぎない」

説明するのはメガネを掛けた中年男 プロスペクター

「質問があります」
「何だね、ゴート君?」

ゴートと呼ばれた強面のごつい大男の問いに重役の一人が聞き返す

「要するに、私に何をしろと」

「スキャパレリプロジェクト、聞いたことがあるね?」
「はあ」

「我々の中でも従軍経験がある君を推薦する者が多くてね」

「私が?、それは軍需計画なのですか?」

かわるがわる用件を切り出す重役たちにゴートが聞き返す

「まあそれはともかく、今度の職場はおなごが多いよ・・・」
ゴートの問いに言葉を引き取って答えるプロスペクター

「で、ボーナスも出る。ひい ふう みい よう・・・と、コレ位」

プロスは電卓たたいて出た数字をゴートにしめした

「ひとつ聞いていいですか?」

「なんだね」

「・・・・・・それって税抜きですか?」

まじめくさった顔をしてボケをかますゴート・・・いや、ボケてるつもりはないだろうが


「まあ、それはともかくとして人材が必要だねえ」

「人材?」

ともかくも、この日からプロスペクター氏とゴート・ホーリー氏(32)のコンビによるナデシコのクルーとなる人材集めが始まったのだった。

「そう人材、最高の・・・多少性格に問題があってもね」

多少人格に問題があったとしても能力を優先するその方針は

後のナデシコの性格を決定づけたのかもしれない








機動戦艦ナデシコ

「Takuyaの戦い」



〜第一話『男らしく』でいこう!〜



By 三平




西暦2196年 12月 サセボシティー郊外

黒髪の少年 テンカワ タクヤ (18) がすっかり暗くなった道で、とぼとぼ自転車を走らせていた

「はあ〜〜っ」

出て来るのはため息ばかりだろうか? 少しばかり落ち込んでいるようだ
ここ一年ばかりお世話になっていた食堂を、喧嘩別れのように飛び出して来たのだから無理は無いかもしれないが

「落ち込んでいてもしょうがない、これからどうするか・・・・・・」

少し気を取り直したのか、まず今夜の寝床をどうするかペダルを漕ぎながら考えをめぐらせていると・・・・・・


ブオオオォ〜〜〜ン


大型高級セダンがすぐ脇を通り過ぎていく・・・・・・それだけなら問題ないのだが

計ったようにトランクが車から落ちてきて、タクヤ目がけて襲いかかったのであった

「なあああっ?」 どっかーーん

考え事をしていたためか、直前まで気づかず直撃を食らったのだった

「何でこうなるんだ・・・・・・」

路上にぶっ倒れながら涙するタクヤ

「済みません 済みません」

車から降りてきた変わった白っぽい制服を着た髪の長い女性が、申し訳なさそうに声をかけてきた

後ろで同僚らしい青年も頭を下げている

「ほんとに済みません、申し訳ありませんでした・・・痛いとこありませんか?」

「うう、何とか大丈夫・・・かな」

答えるタクヤ、さいわい怪我はないようだ






「おーいユリカ、今更だけど荷物減らそうよ」

「駄目、ユリカが三日かけて選んだお気に入りグッズばかりなんだもん、全部持ってくの」

「はいはい・・・」

ユリカと呼ばれた女性と青年の会話を聞きながら、タクヤは成り行きであたりに散らばった荷物集めを手伝っていた


やれやれ、育ちのいい苦労知らずのお嬢様ってところか・・・これからピクニックにでもいくのかねえ

まあ、性格が悪く無さそうなのが救いだけどね・・・・・・どっちにせよオレには関係ないか

などと失礼なこと考えながら手を動かすタクヤ、ふと顔を上げると・・・


「だああああああっ」


すぐ目の前にそのお嬢様の顔があり、タクヤの事をじっと見つめていた

なんだ? オレの考えてることでもわかるのか?

「あの、ぶしつけな質問で申し訳ありませんが、あなたどこかでお会いしました? 」

「えっ」

「なんか、そんな気がするんですけど・・・」

「・・・気のせいじゃないか・・・たぶん」
自慢にもなんないけど、オレはお嬢様の知り合いはいないはずだ

「そうですか・・・」


「ユリカ〜」

そうこうするうちにあの青年のお嬢様を呼ぶ声がする

「ご協力感謝します、では」

二人は荷物を後部座席に乗せかえると、再び車を走らせて行ってしまった

「やれやれ、行ったか・・・おや?」

ふと見ると、あのお嬢様が忘れていったらしい写真立てがあった・・・しょうがないなあ

「えっ!?」

そこに並んで写っているのは、ちいさな女の子と男の子・・・

「ここに写っているのはオレ? いやちがう・・・」

これはたぶんタクヤの双子の兄のアキト、その子供の頃の・・・じゃあこっちの女の子は・・・

その写真とタクヤの古い記憶、そしてさっきの女性との会話・・・それが導き出す答えは・・・・・・


「ユリカ・・・・・・ミスマル ユリカッ !!」


会わなきゃ、もう一度あの女に会って聞かなきゃならないことがあるんだ

タクヤはさっきユリカの乗った車の走っていった方向を見て・・・そして自転車を走らせた





「と、言うわけで入り口付近で大騒ぎをした不審者を保護しました」

警備員に報告を受けたプロスペクターは、その不審者尋問のため警備員詰め所にきた

そこに居たのは黒髪で十八歳の少年、手錠を掛けられ椅子に座らされていた

どこで知ったのかユリカに会わせろと、あばれたらしい

「ほお〜、パイロットかね?」
プロスは目ざとく少年の手にあるIFSを見つけて言う

「ちがう・・・おれはパイロットじゃあ・・・」

「と、先ほどからこんな調子で・・・」

少年と警備員のやりとり聞きながらプロスは何か器械を取り出す

「あなたのお名前さがしましょ〜 ふむふむ」

少年の舌に器具をあて、その遺伝子情報のデーターをモニターでみると・・・

「なっ」 その内容にプロスの表情が厳しいものに変わる・・・・・・

(テンカワ博士の息子さん、双子の・・・弟の方、タクヤくんですか・・・・・・)

そう考えつつ、プロスの口から出たのは別の言葉

「全滅したユートピアコロニーからどうやってこの地球へ・・・」

少年、タクヤは一瞬口ごもり・・・再び口を開く

「よく覚えてないんだ、あの時何があったのか・・・気が付いたら地球にいた・・・」

「そうですか」

(言いたくないのか、それともほんとに覚えてないのでしょうか・・・いずれにせよ・・・・・・)

「ユリカさんとはお知り合いで?」

「子供の頃となりだった・・・ あいつは俺の両親や兄さんがなぜ死んだのか知っているはずなんだ・・・」

(やはり両親の死に疑問をもっておられたのですか・・・タクヤくん・・・・・・)

「あなたも大変ですねえ・・・・・・ところでここに来るまでに仕事は何をなさってましたか?」

「ある食堂で、住み込みで働いてました・・・。 首になっちまったけど」

「ユリカさんはわが社のプロジェクトの重要人物です。簡単に会わせる訳にはいきませんが・・・・・・」

プロスは、いちど言葉を切りタクヤを見て再び言葉をつづける

「あなたさえ良ければ、ナデシコで働いてみませんか?」

「ナデシコ?」

タクヤはいきなり話が変わってとまどっているようだった

「そうです ナデシコです」

そう言って後方のスクリーンに白い戦艦を映し、営業スマイルをうかべるプロスぺクター

タクヤはしばらく考えていたようだが・・・

「ユリカのことは・・・」

「ユリカさんのことは確約できませんが、ナデシコに居れば会う機会はあるでしょう」

迷っていたタクヤも決意がついたようだ

「よろしくおねがいします。 正直これからどうする当ても無かったんです・・・」

「よろしい、それでは今からあなたはナデシコのコックさんです。バリバリ働いてもらいますよ」

と、言いつつどこからか契約書をとりだすプロス

「さっ、これにサインを」

「はあ・・・・・・」

 

 

 

 

「ちょっと、それどういうこと?」

そのころブリッジでは、キノコ頭(笑)の軍人ムネタケがきーきー喚いていた

「フクベ提督を呼んどいて私たちはいらない〜?」

ムネタケわめくわめく、民間人の素人たちでは戦艦を動かせないだろうから来てやったんだ・・・といわんばかりに
ホントはフクベ提督以外の軍人は、招かれざる客なのだが・・・・・・


それを横目にブリッジ勤務の女性たちは少し離れた所で・・・

「ばかばーっか」

感情のあまりこもらない声で容赦なく言い放つのはオペレーターのホシノ ルリ(11)
ネルガルの研究施設の出身らしいが、生白い肌に蒼銀の髪、金色の瞳、のちに電子の妖精と呼ばれることになる
どこか神秘的な外見も特徴であるが、特筆すべきはコンピューターの処理能力であろうか

「あの人たちですよねえ?、火星でコロニーに戦艦おとしたの」

そう言うのは通信士のメグミ レイナード(17)
三つ編みの少女でここに来る前は声優をやっていたという経歴のもちぬしである

「まあ、きゃんきゃん吠えたくなるのもわかるけど」

この大人の魅力の女性は操舵手のハルカ ミナトさん(22)
社長秘書という変わった経歴の操舵手である・・・ほんとに変わっているなあ(汗)


と、女性陣が好きなこと言っているあいだムネタケ相手に辛抱強く説明しているゴート ホーリー

「彼らは各分野のエキスパート、そして艦長は地球連合大学在学中、統合戦略シュミレーションの実習において無敗
を誇った逸材です」

「でっ!、その逸材はどこにいるの?」

「それは・・・・・・」


などとやっていると遅れてやってきた女性と青年がひょっこりとブリッジに現れた
どうやらさっきタクヤとトラブルおこしていた二人らしい

「わあっ〜ここだここだ、みなさ〜ん私が艦長のミスマル ユリカで〜す。 ブイッ」

と、にこやかな笑顔とブイサインは艦長のミスマル ユリカ(20)


「「「「ぶい〜〜っ!?」」」」 「またバカ?」

さすがに皆あきれているようだ


(これでみんなのハートをキャッチ)
と、ユリカは思い込んでいるようだが、かるい艦長のイメージはこのとき決まったともいえる

となりでは副官の青年アオイ ジュン(20)がだくだく涙をながしていた・・・苦労するね・・・・・・これからもっとだよ(爆)

 

 

 

 

 

あのあとタクヤはナデシコの案内をされ、その格納庫まで来ていた
タクヤは火星で整備士の見習いをしてたこともあり、すこし思い入れもあるようだ


「レッツゴーゲキガンガー」


少しばかり騒がしい(少しか?)男がロボットを動かしているようだ

「ゲキガンガーじゃなくてエステバリスだろうが・・・・・・」
メガネをかけた整備班のチーフらしい男がぶつぶつ文句を言っていた


「ちょっとちょっとあんた〜何なんだ、パイロットは三日後乗艦だろ〜」
そのチーフらしい男がメガフォン片手に怒鳴る


「だっはっはいやあ〜、本物のロボットに乗れると聞かされちゃあ〜
一足先に来ちゃいました・・・いやんばかん、どっか〜ん」


なんか知らんがノリのいいやつのようだ


「諸君らだけににお見せしよう! 俺の超グレートな必殺技〜!」


『ガァイ・スゥーパー・ナッパーー』


と、格好だけ決めたのはいいが


ごがしゃ


着地に失敗してそのロボットを派手に転倒させたようだ


タクヤはその光景をあきれてみていた・・・

「ゲキガンガー・・・か」

娯楽の少ない火星での、子供のころ見てた覚えがある・・・
とは言っても、いい年してあそこまではやれないよなあ・・・・・・とも思う


「だはははっ すげえよなあ、ロボットだぜ手があって足があって、思ったとおりに動くんだぜ・・・・・・」

このパイロット、いい気なものである

「最新型のIFSつけてりゃあ、子供だってうごかせるけどな・・・」

整備班長ウリバタケのつっこみに

「ふん、俺の名はガイ、 ダイゴウジ ガイ・・・ガイって呼んでくれ」
と、言い放つ

「おたく、ヤマダ ジロウってなってるぞ?」

「だあああっ それは仮の名前、ダイゴウジガイは魂の名前、真の名前なのさ」

そう言ってこの自称ガイという名のパイロットは、立ち上がってカッコをつける

「木星人め、来るならこい・・・」ぐきっ

「どうした?」

「いや、足がね・・・すごく痛かったりなんかして・・・」

「おたく、足折れてるぞ・・・」

「だーーっ痛ててててて〜〜っ」

さっきロボットで派手にこけましたからねえ・・・

「おーい、そこの少年」

「おれ?」 どうやらタクヤのことらしい

「そのロボットのコックピットに俺の宝物があるんだ、すまんがとってきてくれ」



「あいつ、年いくつだ? これが宝物だって・・・」
ゲキガンガーの超合金合体ロボットらしい・・・・・・

しょうがないな、と思いつつタクヤはそのゲキガンロボをもってエステバリスを降りようとしたがそのとき・・・・・・

艦内にエマージェンシーコールが鳴り響き、太い男性の声で艦内放送が入る

「現在、敵機動兵器と地上軍が交戦中、ブリッジ要員はただちに戦闘艦橋に集合せよ。繰り返す・・・・・・」

 

 

 

 

地上では、守備隊が対空砲火を打ち上げ応戦していたが、敵の数が多く戦況は不利だった





ブリッジではおもだったクルーが集合して作戦会議中である

「敵の攻撃は我々の頭上に集中している」
ゴート・ホーリが状況の説明する

「敵の目的はナデシコか」

「そうと分かれば反撃よ」
ムネタケがほえる

「どうやって?」

「ナデシコの対空砲を上に向けて下から焼き払うのよ・・・」
その、ムネタケの発言にたちまち非難の声があがった

「上にいる軍人さんとか吹き飛ばすわけ〜?」
との、発言は 躁舵手のハルカ ミナトさん 

「どうせ全滅してるわよ」
怯みつつ言い返すムネタケ

「それって、非人道的って言いません?」
これは三つ編みの少女、通信士のメグミ レイナードの発言

「うきいいいい〜〜」
小娘たちに反論されムネタケがうなる


「艦長は何か意見はあるかね?」

ナデシコに顧問として乗り込んでいたフクベ退役中将は、ナデシコ艦長のミスマル ユリカに意見をもとめる
ユリカの意見ははっきりしていた

「海中ゲートをぬけていったん海中へ、そのあと浮上して敵を背後より殲滅します」

何の迷いも無く言い切ったのだった

「そこで俺の出番さあ、おれさまのロボットがおとりになって地上に出て敵を引き付け、その間にナデシコが発進
くう〜燃えるシチュエーションだ」 
ヤマダくん、もといガイくんははりきってますね・・・・・・

「おたく骨折してるぞ」
「しまったあ〜」

ウリバタケのつっこみに現実に気づくガイ・・・・・・

「おとりならでてます」
感情のこもらない声でそう言うのは、オペレーターのホシノ ルリ


「えっ」
その言葉に皆注目する

「いま、エレベーターのロボットが」

 

 

 

 

「冗談じゃあない、こんな所で戦いに巻き込まれてたまるか・・・」

タクヤであった。
先程のロボットのエステバリスに乗り込んだまま、どうやら逃げるつもりのようだ

「それに・・・・・・あんな思いはもうごめんだ・・・」

ふと、脳裏によぎるのは一年前のこと・・・
なぜかあのとき助けることができなかった少女の姿がよぎる
あんな、思いはもう・・・・・・

「誰だきみは? パイロットか」
ウインドウが開き、連合軍の制服を着た老人・・・フクベ提督が詰問してきた

「え、お 俺は・・・」

いきなりの事でとまどうタクヤ。 そのため名前を聞かれとっさに答えてしまうのはしかたあるまい

「所属と名前を言いたまえ」

「テンカワタクヤ、コック・・・・・・見習いです」


ブリッジの約一部ではヤマダとプロスがこの件で会話している

「なんでコックが俺のロボットに乗っているんだ」
「彼は火星出身でね、コックとして採用したんだ」
「だからなんで・・・」



そんなやりとりを尻目にこの艦の艦長のユリカはモニターを見ながら
ひとつの言葉を呪文のように繰り返す

「テンカワ、テンカワ・・・・・・テンカワ!!」
何かに思い立ったようだ


「アキト・・・アキトだあ」


一瞬ブリッジの時間が止まった


「なつかしい、 そうかあアキトか、 何でさっきは知らん振りしてたの? そうか相変わらずてれやさんだね・・・」

一気に言い放つユリカ

で、アキトと呼ばれてしまったタクヤは、コクピットのなかで盛大にひっくりこけていた・・・


「あの人、たしかタクヤって言ってませんでした?」

「言っていたも何もあの人はタクヤさんですよ」

メグミの問いにプロスが答える

「ばかばっか・・・」
某オペレーターがぼそりと言い放つ・・・・・・

「ちょっとまて、何でお前がそこに居るんだ・・・」
そう言うタクヤの顔はやや引きつっていた・・・無理ないか

その、タクヤの質問にプロスが答える

「彼女はこのナデシコの艦長なんです」

「か、か、か、艦長?おまえが・・・」

「そうだよ、ユリカはこのナデシコの艦長さんなんだよ、えっへん」

「ちょっとユリカ、あいつ誰なの?」
不安になったジュンがユリカに話しかける


「アキトはユリカの王子様なんだよ」


ユリカははっきり言い放った。そりゃあもうすごくうれしそうに

「「「「王子様〜? 」」」」 「ばか?」

みな、あきれたように言う・・・・・・ジュンは・・・かわいそうに沈没していた

タクヤは頭痛がしてきた気がしたが、 ふと訂正の必要を感じて口を開きかける

「ちょっとまて、俺はアキトじゃあなく「でも、アキトを囮になんてできない。危険すぎる」

あのなあ・・・ふたたび口を開きかけるタクヤだが・・・

「分かっているわ、アキトの決意が固いこと、女の勝手でどうこうできないよね・・・分かった、

ナデシコと私たちの命あなたに預ける・・・かならず生きて帰ってきてね」





ほんとに勝手に話が進んでいるよこれ・・・・・・

そうこうするうちにエレベーターは地上にでた

「作戦は十分間、とにかく敵を引き付けろ、健闘を祈る」
ゴート氏が簡潔に作戦を伝えウインドウが閉じると

そこは大量の虫型機動兵器にかこまれた戦場だった




「・・・・・・どいつもこいつも・・・勝手なことばっかり言いやがって・・・」

うふふふふふふ・・・・・・       タクヤ怪しく笑ったかと思ったら

「やってやろうじゃあないか・・・こんな所で死んでたまるかあ」

どうやら切れて開き直ったようだ


まずはジャンプして敵をかわした

意表? をつかれたのか虫型の機動兵器たちは対応がやや遅れた・・・
が、すぐ逃走するタクヤのエステバリスを追う

「う〜 ど、どうすれば・・・」

このまま逃げてばかりじゃ、いずれ捕まる・・・・・・十分もたないだろう
タクヤはコントロールパネルを見回す・・・何か武器は

「これか? 」

エステバリスは振り向きざまロケットパンチのようにワイヤー付きのパンチを打ち出した
先頭を追跡していた敵機動兵器に命中し後続を巻き込んで転倒する

「ゲキガンパンチみたいだな・・・」

そんな感想を抱きつつコツが分かったタクヤは、そのあとは逃走しつつ敵を引き付けパンチで敵の足止めをかけた

攻撃の効果は薄いものの、囮としての役目はりっぱに果たしていると言えるだろう

もっともタクヤにとっては、初の実戦であり無我夢中でそんな判断どころではないだろうが・・・・・・






ナデシコのブリッジでは

「逃げてばかりいないでもっと反撃しろよな・・・」

「コックに戦闘なんて無理よ・・・・・・」

「いや、彼は良くやっていますよ」

「うむ、立派に囮の役を果たしている・・・」

外野はみんな好きなこと言っているのであった・・・本人はそれ所で無いと言うのに


「アキト、あなたを死なせやしない」

艦長のユリカのこのセリフは悪くないのだが
前提条件が根本的に間違えてるし・・・・・・(汗)


何にせよドックの注水が終わり、ゲートが開く・・・発進準備完了

「エンジンいいわよ」

と、ミナトの報告
ユリカは最終的な命令を下す

「ナデシコ発進です」

「ナデシコ発進」

 

 

 

いつまでも逃げ回れない と、感じたタクヤはバッタやジョロなどの敵機動兵器に反撃していたが、逆に追い込まれ
岬に追い詰められていた

「えーい、ちくしょう・・・」

敵の攻撃をジャンプをしてかわしたが、もう後が無い
逆噴射をしてなんとか海面で姿勢制御していたそこへ・・・


「な、なんだ? 」

エステバリスの足元の海面がせり上がりそこに浮上したナデシコが現れた

「おまたせ〜アキト」

「おまたせ〜って、まだ十分たってないぞ?」

助かった〜、 なハズなのにタクヤはそう聞き返していた

「あなたのために急いできたの」

そう言うユリカの声はとてもうれしそうだ


オペレ−ターのホシノ ルリが状況を説明する

「敵、残存兵器、ほとんど射程に入ってる」

「敵まとめて全〜部撃て〜」

ユリカの号令にナデシコの主砲 グラビティーブラストが発射され、敵は一気に消滅した







「そんな・・・こんなの偶然よ・・・」
ムネタケは目の前で見たことなのに、この現実を認められないようだ

「認めざるおえまい、良くやった艦長」
フクベ提督は素直にユリカを賞賛した

「まさに逸材」
プロスペクターも賞賛する


で、当のユリカは、と言うと・・・

「アキト、すごいすごい、 やっぱりユリカの王子様だね」

こんな調子である

「ちょっとまて、さっきも言ったが俺はアキトじゃ、兄貴じゃないぞ・・・」

「アキトじゃない?・・・またまたそんな事いって・・・相変わらず照れ屋さんだね」

「ちがうっ、だいたい俺はこれを見てだなあ・・・・・・」

と、言ってタクヤが取り出したのは例のユリカの落とした写真

「ああっその写真!!、そうか〜それを届けるためにわざわざ来てくれたの、ユリカもう感激!」

「・・・・・・」

ユリカに話のペースを狂わされ 脱力するタクヤ・・・


うれしそうに一方的に話すユリカを見て

(しょうがない、こうなったら人の話など聞きゃあしない・・・落ち着くまで待つか・・・)

と、ユリカとは逆にさめた目で見ていたのだった


そんな様子見てルリはあの一言

「ばか ばっか」






つづく




あとがき


と、いうわけで やっと第一話おとどけします

最後あたりはダレテきたのと、うまくまとまらなかったせいで中途半端な引きになっちゃいました。

その辺は、次回にフォローしようと思いますが、今回の話どうだったでしょうか?


さて、タクヤの名前ですが、こういうときナデSSではカイトという名前が良く使われるし、初めはカイトも候補で

考えたりしましたが・・・・・・ いろんなSSにいろんなカイトがいるんですよね・・・

サブキャラでならともかく、主役級ではどうかなあ・・・ と、思ったんですよ

で、平凡かつSSであまり出ない名前をさがし・・・・・・タクヤにしました(語呂も悪くないですし)

ただ、SS書いてて思ったのですが、アキトとかの名前にくらべてやっぱり存在が弱いですね

ただ、こういうのは書いてくうちに、存在感が強くなるだろうし頑張ってみます



さらに修正版あとがき

気に入らないところもあったし(特に後半)加筆と手直ししてみました。

正直まだ気に入らない所もありますが、あまりいじりすぎてかえっておかしくなってもいけないしこれでどうでしょう?

 

 

代理人の疑問

 

う〜む、逆行物再構成物を問わずにアキトが「少年」と表現される度に思うんだけど・・・・・

十八歳って「少年」じゃないよなぁ(笑)。

十六〜七歳は微妙なところだけど十八歳以上なら「青年」と言うべきような気がしますね。

「二十歳をもって成年とする」と憲法に明記される日本ではともかく

大概の外国では十八歳で選挙権が与えられますし、

そも労働どころか結婚できる年にもなって「少年」扱いはへんだよなぁ、と。

皆さんはどう思います?