(月の女神「第三話」)
先のターミナルコロニー襲撃(?)
いや失礼、謎のコロニー爆発調査の為に、連合宇宙軍第四艦隊所属のナデシコBが派遣されていた
艦長はカワイ・ササミ少佐(16)
で、その副長はというと・・・・
『『『サーブちゃん』』』
『最近ご無沙汰じゃな〜い』
『『『ツケ払えよ』』』
「あはははは・・・」
女の子達の突っ込みに軽く笑うサブロウタ
と、そこで映像が切り替わり・・・
『こらーっ、サブーッ、なんで電話くれないの?
本当にもう、他の女とイチャイチャしてたら許さないんだから〜〜っ』
ほかの娘の厳しい突っ込み・・・(汗)
どうやら副長のタカスギ・サブロウタ大尉(25)は留守番電話サービス(映像付き)を見ていたようだ
映像に出ているのは客商売の女の子達で、そんでもってタカスギ副長、そういうお店のお得意さんらしい
どうでもいいがサブロウタ、両足をコンソールの上にどかっと投げ出して座っててお行儀が悪いぞ
「・・・モテモテですね、サブロウタさん」
そのように苦言を呈しているのは副長補佐のマキビ・ハリ少尉(11)愛称はハーリー君である。
「あ、見てたの?」
「見たくなくても見えるでしょ!」
「あ、そうか」
その口調に苦い物が含まれているハーリーに対し、
サブロウタのそれは、実に緊張感のないお気楽なものだ
「僕は・・・・・・木連の軍人さんは真面目で勇ましい人たちばかりだと思っていました・・・」
「・・・あー、それはど〜も〜」
「タカスギ大尉!!」
ハーリー君、根が生真面目だね若い若い(実際若すぎますが、笑)
まあ、普段からへらへらしてやる気の無さそうに見える副長に言いたい事はあるのだろうけど
(だけど仕方がないか、まだ経験不足のハーリーにサブロウタの本質を見ろと言っても無理だろうし)
まだお子様なハーリー君がサブロウタに突っかかり、それをサブが軽く受け流すという
それはこのナデシコBではよくある、ある意味微笑ましい光景であった
とまあ、ハーリーがサブロウタにじゃれ付いていたその時
「前方にターミナルコロニー『タキリ』を確認」
艦長席のササミの前にウインドウが開き、女性オペレーターから報告が入ったのだった
そのせいばかりではないだろうが、ハーリーとサブロウタの日常漫才はここで中断し、それぞれ持ち場に戻ったようだ
「艦長、何か?」
サブロウタはふと視線を感じ、その先を見ると、艦長のササミがこちらを見つめていた
「いえ、たいした事ではありません・・・それより副長、ジャンプの準備の方を」
「了解」
いささか艦長の、いやササミの視線に冷や汗を流しつつ、サブロウタはジャンプの準備にもどった
その時、ササミがちいさくつぶやきを発したのだが、幸い(?)な事に誰も聞いている者はいなかったようだ
「サブロウタのバカ・・・・・・」
ササミさん何か思う所があるのでしょうか(汗)
ちなみに、ナデシコBのブリッジは大雑把に言って二層構造になっていて
一般的な躁舵手やオペレーター達のフロアーと
そのフロアーよりも一層高い所にある艦長、副長、副長補佐用の特殊な指揮席となっている
中央艦長席には艦長のカワイ・ササミが
その艦長席の右後方が副長のタカスギ・サブロウタの席
左後方が副長補佐のマキビ・ハリことハーリーくんの席となっているようだ
「ディストンションフィールド出力最大!」
「ルート確認、タキリ、サヨリ、タギツを通ってアマテラスへ!」
次々と、各オペレータなどから最終チェックの報告があがり、最終的には艦長からGOサインが出される
「ジャンプ」
ターミナルコロニー、タキリ設置のチュ−リップから
A級ジャンパー、カワイ・ササミのナビゲートでナデシコBはジャンプした
目的地は、ターミナルコロニーアマテラス
そこでは一体何が待ち受けているのだろうか?
砂沙美の航海日誌(正史劇場バージョン)
月の女神
〜第三話「招かれざる客、アマテラスへ」〜
By 三平
「何だ貴様らは!!?」
とーとつだが、ここはターミナルコロニーアマテラスである
そんでもってその応接室では、このコロニーの警備の最高責任者
統合軍司令官アズマ准将の怒声が響いたのであった
司令官といってもこのおっさん、外見ははげ頭のタコ親父と言ったかんじでありますが・・・
「私は連合宇宙軍少佐、ナデシコB艦長のカワイ・ササミです」
「同じく連合宇宙軍大尉、タカスギ・サブロウタ」
アズマ准将が騒ぐのを別に気にするでなくササミは淡々と自己紹介をした
穏やかな口調で、穏やかな微笑みを浮かべて・・・
ああそうそう、あと自己紹介していませんが、ハーリー君もこの場にいますよ
この様子にはらはらしてるみたいですが(苦笑)
「そんな事を聞いているのではない! 何で貴様らがここにいる!!」
「宇宙軍が地球連合所有のコロニーに立ち入る事自体は問題はないはずですが・・・?」
アズマの頭ごなしの剣幕に困惑しつつも常識的な返答をするササミ
統合軍や開発公団、事故調査委員会あたりの反発やいやがらせなどあると思って覚悟はしていたのだが
ここまでストレートに罵声をあびせられるとは思ってはいなかったようだ
「ここはヒサゴプランの中枢だ!、開発公団の許可は取ってあるのか!!」
どうやらこのアズマ准将、何か感情的に思う所があるようで形式上の礼儀すら守るつもりはないようであります
ここまでのやり取りで、その事をしっかり認識したのか、タカスギ副長殿も形式上の礼儀を放棄する事にしたようだ
「取ったからいるんじゃん」
「何ィィッ!!」
「い、いえ、ただの横浜弁です。じゃんじゃん・・・はは・・・・・・」
タカスギ副長の言い草に激高するアズマ
ハーリーは思わずフォローしようとしたのだが・・・フォローになってないよなあ(汗)
「先日のシラヒメ事件ではボソンの異常増大が確認されています
ジャンプシステムに異常がある場合、付近の航路およびコロニー群に影響がある事が予想されます
したがってこの場合はコロニー管理法の緊急査察条項が適用されますので、よろしくご協力をお願いします」
「ま、ひとつガス漏れ検査だと思っていただければ」
「ヒサゴプランに欠陥は無い!!」
ササミの話した査察に関する主張も、サブロウタの入れたチャチャも、アズマ准将のお気に召さなかったようです
もっとも、アズマ准将のこの様子からすれば、何をどういった所でお気に召すことはないでしょうけれどね(苦笑)
「まあまあ准将・・・」
このままほっといたらアズマ准将が自分自身の湯気でゆでダコになる・・・と危惧した訳ではないだろうが
アズマのすぐ横に控えていた開発公団の次官、ヤマサキ・ヨシオが取り成すように話に割って入ってきた
「宇宙の平和を守るのが我らが宇宙軍の使命・・・・・・ここはひとつ使命感に燃える少佐に安心して頂きましょう」
そう言ってヤマサキ氏は、にこやかにササミ達に笑いかけたのだった
『何?この不快な感覚は何なの!!?』
この時、ササミはこのヤマサキに対して理由のわからない生理的嫌悪感を感じていた
表面上はヤマサキ氏のそれは爽やかな笑顔なのだが、その笑顔が気に障るというかなんと言うか
その絡みつくようなねっとりとした視線に、ササミは本能的に得体の知れない何かを感じたようだ
これに比べたら、ただ大声で怒鳴るだけのアズマ准将のごときはたいした問題ではない
・・・・・・この時ササミは初めてヤマサキという人物を認識したのであった
ササミはまだ知らない・・・ヤマサキと自分の間にどんな因縁があるのかを
この男に自分の大切な人たちがどんな目にあわされていたのかを
あるいは、この時点で知らずにいられるのは、幸いな事なのかも知れない
ともかくも、この時ササミは不快感を感じつつも、それを表に出す事無く穏やかに受け流していたのだった
「グワーッハッハッハッハッ・・・
子供と一緒に臨検査察か、愉快愉快・・・グワーッハッハッハッ」
先ほどまでとは打って変わって機嫌のよさそうなアズマ准将
床にゴザひいてヤマサキ次官と一緒にお茶を飲んでいたりするようだ
「ははは・・・・・・しかしあの少佐さんには可哀想な事をしましたな
宇宙軍も最近の事件に関してはメンツもあるんでしょうが・・・・・・」
「宇宙軍にメンツなどない! なんだあの小娘は!?」
どうもこのアズマ准将は宇宙軍に対して個人的に含む所があるようだ
道理で先ほどのササミ達に対する態度が必要以上に高圧的かつ頭ごなしな訳だ
「嫌がらせですよ、宇宙軍の・・・子供の使いだと思えば・・・・・・」
「使いはとっとと返すに限る!」
そう言ってアズマ准将、豪快に茶菓子のかきやまを鷲づかみにして口の中に放り込んだのであった
呆れた表情をしながらヤマサキは、ふと今思い出したと言う風にアズマに断りを入れた
「ああ准将、申し訳ありませんが、私のほうも溜め込んだ仕事が残っておりまして、お先に失礼させて頂きます」
アズマ准将のもとを辞したヤマサキは、すぐ側近の一人を呼び寄せてそっと耳元に何かをささやいた
その側近はその指示を聞き終わるとすぐその場をはなれた、ヤマサキの指示の内容を実行させるためだろうか?
『ああササミ君、この二年間君に恋焦がれて想わない日は無かった・・・やっと僕の手の届く所に来てくれたんだね』
今更だが・・・・・・ササミが聞いたらなんと言うやら(汗)
ヤマサキが何の指示をしたのか知らないが、こちらはこちらで動き始めたようであります
さて、どうなりますやら
話を少しだけ戻しまして、ここはヒサゴプランの見学コースであります
そこにはコンパニオンのマユミお姉さんとヒサゴン、それと見学の子供達がいた
ちなみに、マユミお姉さんピンク色のSFなコスチュームに髪の色もピンク色をしているようだが・・・どうでもいいかな
「今日は特別ゲストです。 皆さんと一緒に見学コースを回ってくださるのは、あの!」
「そうあの!!」
「史上最年少の天才美少女艦長、連合宇宙軍のカワイ・ササミ少佐でーす」
コンパニオンのマユミお姉さんとマスコットのヒサゴンがササミの事を見学の子供達に紹介していた
「・・・みんなよろしくね」
「「「「わ〜〜い!!」」」」
子供達の歓声に包まれながら、ササミは苦笑していた
『美少女艦長と言われてもねえ・・・』
さすがに子供達相手にそういう紹介のされかたをしたら少し気恥ずかしく思うのだろうか?
そんな訳で、ササミは子供達と一緒に見学用のカートに乗って見学コースを回っているのだった
見学コースにはチュ−リップやジンシリーズなど、
先の蜥蜴戦争当時の模型などが展示され、ジャンプシステムなどの解説がされているようである
と、そこで子供の一人が何かに気が付いたようだ・・・・・・
「わあ〜っ、あれは青空戦隊クウレンジャーのレッドだあ!!」
「えー本当?」
「おいおいマジかよ!?」
主に男の子達を中心に騒いでいるようだ
おもわずササミもそちらの方を見た、まさかそんなバカな?
ここはヒサゴプランの見学コースであって戦隊ものの見学コースではないのだから
だが、そこにいたのは紛れもなく青空戦隊のレッド(の赤いコスチュームを着た人物)だった
ちなみに、レッドは青空戦隊クウレンジャーのリーダーだったりする
「・・・・・・なぜ五人一組の戦隊モノなのに、レッドが一人だけ?」
そういう問題ではないでしょうがササミさん(笑)
ちなみに、ササミさんは子供の頃は戦隊もののシリーズが大好きで、
火星ではパパ(銀二)やママ(ほのか)やお兄ちゃん(アキト)達と一緒によく見ていたらしい
(ちなみに、案外女の子でも戦隊ものは見るらしい・・・ロボットアニメよりはとっつき易いのかも?
もっとも、ササミの場合ナデシコA時代にガイさんの件でゲキガンガーも見てたらしく、そっちのほうも詳しいらしいが)
そんな訳だからではないだろうが、ササミはそのレッドから目がはなせなかった
このレッドを見ていると、何故だか胸騒ぎがする・・・何故だろう?
そんなササミの疑問に答える事は無く、レッドは子供達の歓声に答える様に手を振っていたのだった
やがてその場から遠ざかり、レッドが見えなくなったあと、マユミお姉さんぽつりと一言つぶやいた
「・・・・・・あんなアトラクションあったっけ?、新しく演出したのかしら!?」
コンパニオンのお姉さんにすらわからない事がササミにわかる訳はない(苦笑)
・・・だがササミは何故かあの青空戦隊のレッドの事が気にかかっていたのだった
ササミはこの時点では知る由もない
このあとで起きるドタバタの際、そのレッドが大きくそれに関わってくる事になる事を・・・そして・・・・・・
「・・・・・・ふむ、領域11001までクリアー・・・・・・そろそろ行こうか?」
ハーリー君、オペレーター席でウインドウボールを展開させて何やら作業中の模様です
どうやらハッキングのようですが、どういう事なのでしょうね
「データー検索絹ごし、出来たスープを順次僕に・・・スピードはわんこの中級・・・・・・」
「よっ!」
「うわあ〜〜っ!!!」
何事か? と言うと、ハーリー君がウインドウボール内で作業中
いきなりタカスギが顔を突っ込んできたために驚いて悲鳴をあげたようだ
「はあ、はあ、はあ、・・・」
「何騒いでんだ、お前?」
ハーリーを驚かせた張本人のくせに、悪びれもせずそうのたまうサブロウタ・・・いい性格してます(笑)
「ウインドウボールの中に・・・無断で入らないでください・・・・・・」
「いいじゃん、別に知らない仲じゃないんだから♪」
「なっ、何言ってるんですか、エッチ〜〜〜ッ!!」
さすがにこの剣幕には気圧されたのか、サブロウタ危うく転落しかけたようだ
もっとも、うまく足を引っ掛けてこらえた様だが・・・・・・
でもって、サブロウタは何事も無かったかのように体勢を立て直しているようである
そんでもって、その光景を他のブリッジ要員はこっそり笑いながら見ていたりする
それは、ハーリーとサブロウタの、ある意味ナデシコBではよくある風景なのだった
ハーリー君、生真面目だからねえ・・・
まともに相手をせずに軽く受け流せるようならもう少し違うのだけど、でもハーリーらしいかな?
「はあ〜〜っ、でもいいんですかね?」
「何だよ、色々忙しいヤツだなあ・・・」
「だってこれってハッキングですよ・・・いくら協力してくれないとはいえ・・・・・・」
「しょうがねーさ、調査委員会も統合軍も何か隠してるみたいだしナ」
「でも・・・艦長がかわいそうじゃないですか・・・・・・
と、ここでサブロウタ、急に落ち込み気味のハーリーのほっぺたを引っつかみ
「なあにいきなりおセンチになってるんだよ、この口が、この口がぁ・・・」
「ヴ、ヴーヴー・・・・・・」
ハーリー、言葉にならない抗議の声をあげるが・・・
口を引っ張られたり鼻の穴に指突っ込まれたり、まるで半分オモチャだね
周りのクルーたちもその光景に笑いをこらえるのに必死のようだ
だが、サブロウタは改めて気を引き締めて言葉をあらたにする
「その艦長が折角間抜けを演じてくれてるんだ、その隙に掴める物は掴んじまおうぜ」
「ヴヴ・・・」
その言葉に、ハーリーは気分をあらたにしたのだが・・・
ほっぺを引っつかまれたままだったので、少し間抜けかも
ともかく、ハーリーはアマテラスのメインコンピュータに対するハッキングを開始したのであった
「以上、超対称性やら難しい話をしました!」 「わかったかな?」
「「「「わかんな〜〜い」」」」
「要するに、このチューリップを通ることによって非常に遠い距離を、
それこそ地球から火星まで一気に移動できるのです」
そのマユミお姉さんの解説に合わせてヒサゴンが手品を見せてやり
子供達はそれをみて喜んでいた・・・・・・どこまで理解したのかはなはだ疑問ではありますが
「えー、ただしですね、今の段階では普通の人は使えないのですね
生身の人間がこれを利用するとですね、その身体をですね・・・・・・」
「改造しちゃうんですか?」
赤い帽子をかぶった男の子が発言した
子供はこういう発言とかには遠慮しませんからねえ
「そ、そこまで露骨なものじゃなくてですね、そのDNAをですね調査して・・・」
マユミお姉さん必死にフォローしようとしているのですが
別の女の子がまた発言
「そういやテレビでも言っていたよ、反人道的とかなんとか」
「へえ〜っ」
一部の子供の視線がササミに集まる
こういう場合、子供達は遠慮がないのは仕方なかろう
ササミは笑顔を崩さず内心で肩をすくめていた
そんな子供達の発言や、その様子にうろたえているマユミお姉さんに、ササミは助け舟を出した
「私の事は気にしなくても大丈夫ですよ」
「あ、はい」
マユミお姉さん、その言葉に少しホッとしつつ説明を再会した
「今の段階では、ボソンジャンプに生身の人間が耐えるには・・・DNAをいじらないと駄目なんです」
「「「「ええーーっ!?」」」」
「少佐、改造人間?」
「コラッ」ポカッ
「いたっ」
改造人間発言した妹をお姉さんがしかったようだ
「すげー、まじかよ」
子供達の反応に苦笑しつつもササミは諭すように話をした
「私は火星生まれだから、そういう意味ではDNAをいじってはいないけれど・・・・・・
でもね、DNAをいじったからと言っても普通の人とは何も特別な違いはないわ
だから、みんなはその人がジャンパーだからと言って特別な目で見たりしないで仲良くしてあげてね」
「「「「はーい」」」」」
子供達の返事に、少しだけ嬉しそうに微笑みかけるササミ
・・・でもその金色の瞳は、どこか悲しそうでもあった
悲しいかな・・・現実には遺伝子操作をされた人間は差別されたり偏見の目で見られたりしているのだ
願わくは、この子供達が大人になる頃にはそんな偏見が無くなっていますように
「そうそう、あと高出力のディストーションフィールドなどを持つ戦艦などの宇宙船を使えば
普通の人でもジャンプできますよ・・・・・・そうね、もし機会があったらみんなをナデシコに乗せてあげるわね」
「「「「わ〜〜い」」」」
「ちょと少佐、そんな安請け合いなんかして・・・・・・」
ササミの言葉にマユミお姉さん慌ててます・・・そりゃあ無理もないが
でも、皮肉な事にその言葉は意外な形で、それもすぐ後で現実のものとなるのだった
「あー、やっぱり公式の設計図にはないブロックがありますね」
どうやら先ほどから、アマテラスに対してハッキングを仕掛けていたハーリー君、一応成功のようだ
「襲われるなりの理由ってやつかな・・・さあ続けていってみようか?」
「む・・・・・・!」
それは、表向きは存在しないはずのもの、存在しないはずの事
ブラックボックスの奥に隠されていたそれは・・・・・・
「ボソンジャンプの人体実験?・・・・・・これみんな非公式ですよ・・・」
ブラックボックスのデーターが示す物・・・それはおびただしい犠牲者の記録だった
そのリストに載っている名前の人物で生きている者は誰もいないのだから・・・・・・
その大部分がA級ジャンパーとよばれる火星出身者達で、
一部にはB級ジャンパーも実験台にされていたようである
(犠牲者の中には旧木連優人部隊のB級ジャンパーもいるのである・・・まさしくそこまでやるか!! であろうか)
「おいおいこいつは・・・・・・」
さすがにサブロウタもとっさには言葉も出ないようだ、その表情からも何時ものへらへらが消えていた
と、そこへ・・・・・・
『注意』
ウインドウ上にオモイカネの警告が発せられた
「あっ!?」
「ばれたか?」
「モード解除、オモイカネ、データブロック! 侵入プログラムバイパスへ!!」
「なに!?・・・・・・これは一体!!?」
サブロウタ達が見たもの・・・・・・それは、
ウインドウいっぱいに表示された『OTIKA』の文字のオンパレードだった
OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA
OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA
OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA
あー書くのがめんどくさい(苦笑)
それはそれとして、この文字のおかげでアマテラスの各所でもパニックがおこっているのであった
「何だこれは!? 早く何とかしろ!!大至急だ、そう!!」
例のアズマ准将も受話器に向かって怒鳴り込んでいるようです
「こんな所を襲われたらどーする!?」
襲われたら不味いんでしょうね、やっぱり・・・というよりお約束で言えば来る事になってるんですけれどね(笑)
電話の向こうでは作業員達が現状を回復すべく作業をしているのだが、かなり手こずっているようだ
「・・・こちらも早く回復すべく作業中でして・・・・・・ぐええっ・・・あ、いや何でもありません・・・」
・・・・・・結構お茶目な作業員もいるようで
(いちいち身体を突き抜けたウインドウに反応してたようです。それ無害なんですけどね、苦笑)
「ウインドウが身体に触れても人体に影響はありません。落ち着いて行動してください」
オペレータのアナウンスでもそんな事言ってますね
もっともそのオペレーター嬢も、『OTIKA』のウインドウに表情が引きつっているようですが
周りはすっかりパニックに陥っているようで、
折角ウインドウが人体に無害とアナウンスされてもそれを聞いてる余裕はないようです
あるいはそうとわかっていても、多数のウインドウに囲まれたり追い掛け回されたりして
あるいは回りがパニックに陥っていて、多くの人たちは冷静な判断が出来ずにいるようであった
そして、ササミ達のいる子供達の所でも混乱が生じてパニックに陥っているようであった
「わ〜〜い」
「きゃー、きゃー、きゃー」
「落ち着いて皆さん、落ち着いてください! 一列に並んで、ほら静かに!!」
・・・・・・どうも子供達は怖がったりパニックに陥ったりとか言うよりも面白がっているようですね(苦笑)
ウインドウを逆に追いかけたり引っ張ったり(ウインドウって引っ張れたんだ、笑)
マユミお姉さん、子供達の統率が取れなくて四苦八苦しているみたいですね
「静かにせんか! 落ち着けオラァ!!」
・・・・・・マユミお姉さんキレて地が出たというかなんと言うか(汗)
「・・・・・・さ、並んでくださいね♪」
怒鳴って地が出ちゃった事に気づいたマユミお姉さん、ネコかぶりなおしますが・・・もう遅いかな
(ただ、そのせいか子供達はその後は大人しくいう事聞いてくれているようですけどね)
その、お姉さんや子供達から少しだけ離れた地点では・・・
「・・・・・・しくじりましたねハーリーくん」
ササミさん、ハーリーに対してコミュケ越しにそうのたまったのであった
その表情はにこやかであったが、目はちっとも笑っていなかったりして(汗)
「ぼ、僕じゃないです(大汗) アマテラスのコンピュータ同志の喧嘩です!」
「喧嘩・・・ですか?」
「そうなんです、そうなんですよ!!」
何か責任回避に必死に見えるのは僕だけかなハーリー君?
とまあ、じょーだんはともかくとして、ハーリー君は現状の報告を行うのだった
「アマテラスには非公式なシステムが存在します。
今の騒ぎはまるでそいつが自分の存在をみんなに教えていると言うか
単にけらけら笑っていると言うか・・・」
そのハーリーの報告にササミは思考を巡らせ・・・
「・・・!?」
その時、例のウインドウがササミの目に入り
ササミは気づいた、『OKITA』を逆から見て逆向きにそれを読んだらなんと読むのか!!
『AKITO・・・アキト!?・・・兄さん・・・』
これはどういうことだろうか? もし予想が正しければ・・・・・・ササミは走り出した
「あ、艦長どこ行くんですか!? 艦長ちょっと待ってください、艦長!!?」
ハーリーのウインドウが慌ててササミの後を追う
「私はナデシコに戻ります」
「え?」
「敵が来ます。 だからハーリー君、私が戻るまでにナデシコの準備の方お願いね」
そんな訳で、ササミはナデシコBへ急いでいたのだが、その時!!
「カワイ少佐ですね? 申し訳ありませんが、我々と一緒に来ていただけませんか?」
黒服黒メガネの怪しい男達数名が、ササミの前に立ちふさがったのであった
つづく
言い訳という名の補足事項
月の女神を書き始めたのはことしの初め(一月)で、第二話まで書いたのは二月の半ばでした
この時点では劇ナデの資料、特に空白の三年間を埋める資料は劇場版のパンフレットしかなく
第二話までは、これに載っているタイムスケジュールを元に第二話まで書いてました。
2199年六月、テンカワ夫妻シャトル事故で死亡
同年十二月、試験戦艦ナデシコB就役、艦長には軍に戻った元ナデシコのオペレーター、ホシノ・ルリ少佐が選出された
とまあ、こうなっていたので、これを元に話を組み立てたのですが、
その後手に入れた『GEKINADE ZENBU NEWTYPE 100% COLLECTION』劇ナデ全部では・・・
六月十九日にシャトル事故に遭った・・・という所まではいいけれど
八月、研究所奇襲アキト救出、 同八月、ルリ、オオイソシティへ(ミナトさんに引き取られる)
ここで時間が一年飛んで、2200年七月ラピス救出
同七月、ルリ、タカスギとの出会い(タカスギ、ルリの護衛に付く、彼はお姫様を守る騎士のようであったとか)
暗殺者に命を狙われたルリを、タカスギが助け、その件を切っ掛けに暗くふさぎこんでいたルリは前向きに生きる気持ちを取り戻す事ができた・・・とか
でもって、同年の八月にルリは宇宙軍に復帰してハーリーとも出会っているのですが・・・・・・
どうしてタイムスケジュールが違うんだ? わかっていたら考慮したのに(苦笑)
とまあ、後で言ってもどうにもならないですね・・・うーん、仕方が無いからSSで書いた通りにいきますけどね
劇場版の所まで話が進んだら、たいした差はないですし(少し気分的に引っかかったので、ここに言い訳がましく書いてみました)
ところで、どうしてパンフレットと資料集とに時間的内容に(半年以上もの)ズレがあるのでしょうか?
思うに、パンフレットが出来た時点(劇場版公開時)には空白の三年の設定は大雑把にしか出来ていなかったのではないか?と
その後、佐藤監督が小説版書くためにその辺の設定をしっかり決めたのではないかと思うのですが、どうでしょう?
もっとも、結局今に至っても肝心の小説版は書かれていませんけどね・・・お蔵入りするのかなあ(苦笑)
まあいいや、そんな訳でこの後このシリーズの細かい所突っ込まれてもどうともなりませんのであしからず
(それだけと言えばそれだけのはなしですけどね)
でもってあとがき
まずは、第二話から三ヶ月も遅れてしまいましたが、ようやく出来ました・・・いかがだったでしょうか?(汗)
何か最近スランプだったのか全然書けませんでしたからねえ、ようやく書くペースがあがってきてくれました
とはいってもお話は劇場版ストーリーなので、そんなに差別化はできてませんけれどね
オリジナルのエピソードはアマテラスの件がおわったら何とか挟めないかなあ、と思っているのですが
今回のラストで砂沙美は黒服の一団に足止め食らっちゃいましたけれどどうなりますやら(護衛のサブいませんしね)
ここでアニメや特撮の世界だったら、正義の味方が助けてくれるのでしょうけれど、現実ではそうは行きませんからねえ(ニヤリ)
ところで、正義の味方と言えば、青空戦隊クウレンジャーというものを少しだしちゃいましたが
これはTV版『魔法少女プリティサミー』第十二話に出て来たやつからいただきました
少しおふざけがすぎたかな? (読者の皆さん、それと代理人さん、わからないもの書いてすみませんでした)
もっとも、わからない人知らない人でも、普通に戦隊モノを想像してくれればイメージはむずかしくないかと思います(笑)
ちなみにサミーでは、砂沙美が出合ったこの回のゲストキャラの柾木天地さん(笑)がこれの助監督やってました
また、サミーの二十二話と二十三話だったかな?この青空戦隊のレッドのコスプレでお魎さん(天地無用でいう所の魎呼)が登場してます
ジュライヘルムのお庭番(そういう設定なんよ)であるお魎さんが表立って動けないから正体隠すための変装でしたが
このSSでのレッドは誰が何の目的でコスプレしているのでしょうね?・・・それとも単なるコスプレイヤーかな?
砂沙美は黒い妖精・・・前回の代理人さんの表現ですが
せめて灰色の妖精くらいにしてちょ(涙)
でも、灰色の妖精、灰色の女神・・・・・・いいかもしれないなあ、灰色の魔女はさすがに不味過ぎますが(苦笑)
「・・・・・・しくじりましたねハーリー君」おもわず砂沙美のこの後の台詞で「あとでおしおきです♪」
などと書きたい気分になったのはActionに毒されたかな(苦笑) そんな事書きませんけれど
僕はハーリーの事をいじめるつもりも迫害するつもりもないですから(チャットでも言いましたが)
今回の感想は誰に貰うか・・・少し迷ったけれど何時もの通り代理人さんに貰う事にしました
管理人さんの感想も一度もらってみたい気もしたけど、また今度にしよう
それにしても、指名制ができてからも代理人さんの感想の方が多いのかなあ(苦笑)
折角の指名制度なのでいずれは使いたいと思っていますけれどもね
そんな所で、今回はこの辺で・・・次回もまたよろしくお願いします
代理人の感想
残念ながらみなさん感想の逆指名は全然使ってくれてないのが現状です(苦笑)。
そこのSS作家さん、ちょっと気分を変えてプロフェッサー圧縮さんやゴールドアームさんを指名して見ません?
>灰色の魔女
そ〜か、某氏の正体は電子少女ダーティサミーだったのかッ!(核爆)
……嫌だ、嫌過ぎる……