あの、忌々しい戦争が和平という奇跡の幕を閉じ。
激戦を戦い抜いたナデシコの面々も、今は平和な世界へと溶け込もうとしていた。
しかし、その平和を享受できぬ不幸な男が一人・・・ これは、その男の愛と戦いの話である。
プロローグ
「アカツキ・・・頼みがある。」
「何だい、テンカワ君?」
ここはネルガルの会長室。
アカツキと呼ばれる者の正面にはあの『漆黒の戦神』テンカワアキトが立っていた。
「俺に平穏をくれ!!」
そういって土下座をするアキト。
アカツキもネルガルの会長であるため、立場もかなり上のものである。、
しかし、そのアカツキに土下座をしている者は、今世紀最強のカリスマを持つ『漆黒の戦神』である。
その『漆黒の戦神』が、恥も外聞も捨て、額を地面にこすりつけてアカツキに土下座をしている。
これにはアカツキも困ってしまった。
「おいおい、一体何があったというんだい?」
何とか平静を保ちつつ、アカツキは理由を聞いた。
アキトはいまだ、頭をこすりつけながら事情を説明した。
「もう嫌なんだ・・・
朝起きれば同盟の子達が口には出せない格好で俺のベッドに寝ている。
そして朝食が済めば、結婚書類を片手に全員が追いかけてくる。
夜寝る時になれば夜這いをかけられる。
知らない女性と目と目があっただけでおしおきを受けてしまう。
こんな生活にはもう耐えられないんだ!!」
その話を聞いてアカツキはこめかみに青筋を立てた。
確かに、おしおきは嫌だろう・・・
しかし、その代償にあんな美人総勢17名(北斗、舞歌含む)に追いかけられて何が不満なんだ?
第一、そのおしおきだって、はたから見れば普通の男なら喜ぶべきものじゃないか(怒)
しかし、彼もアキトの親友を名乗る者の一人。
せっかくその親友が土下座をしてまで頼んできたのだから聞いてやらない事もない。
「ならテンカワ君。
君、もう一度学園生活ってものをエンジョイしてみないかい?」
「学園生活?」
アキトが聞き返す。
「そうさ。
君が確か高校中退なんだろう。
つまり、ろくに高校生活をエンジョイしていないって事じゃないか。
高校生活はいいよ〜。
部活に恋愛、なんでも自由だ。
失われた青春を取り戻してみたくはないかい?」
アカツキの提案にアキトは即答で答えた。
「ああ・・・頼む、アカツキ。」
そしてアカツキはどこの学校に入学したらよいかを30分程検索していた。
「よし・・・ここがいいな。
明後日から君は『こよみ学園』に行ってもらおう。
学年は3年で、転入生という事にしといた。」
「明後日?随分と早いな・・・」
「入学式が明後日なんだよ。
手続きは今日中にすませるから、早めに現地に行ってみたらどうだい?
ひととせ
そうそう、君の偽名は仁歳アキトだ。
プロフィールは幼い頃に両親が事故で他界、天涯孤独の身。
火星の施設に預けられたが、18歳になった為地元に戻ってきた。
という事になっている。」
「すまないな・・・何から何まで。」
「いいって事さ・・・君には幸せになる権利があるんだからね。
これは僕から君の親友としての贈り物さ。」
アカツキがそういうと、アキトは一礼をして会長室を出るのであった。
「いいのですか?」
聞いてきたのはプロスペクターであった。
「なに、かまわないさ・・・
テンカワ君ならきっと自分の幸せを見つけられる。」
今のアカツキは何かとてつもなく”いい男”になっていた。
エリナもアキトに会う前に今のアカツキを見たのならば、きっとアカツキに惚れていただろう。
「いえ、そうではなくてですね・・・
下手をすれば会長が同盟の方々に闇討ちにあいそうでして・・・」
「・・・あっ!!」
プロスの言葉にすぐさま元のアカツキに戻ってしまった。
「テンカワく〜ん!!
カムバァ〜〜ク!!!」
アカツキの叫びは届かなかった・・・
「ここが師走町か・・・」
翌日、俺は師走町についた。
時間はすでに午後5時を回っていた。
明日からはこよみ学園の3年生としての学園生活の始まりだ。
俺はアカツキに言われた住所に俺の住む家があるそうだ。
何でも、俺の両親が昔住んでいた家だそうだ。
つまりは、俺の両親の唯一の財産がこの家という事になるわけだ。
「・・・・・・」
何ともいえない気持ちになってきた。
不意に皆の顔が恋しくなった。
「たった1日でもうホームシックか・・・
俺はこんなにも弱かったんだな。」
ガチャ・・・
俺はドアを開けて玄関に入ろうとした。
誰もいない大きな家・・・
それがさらに寂しさを増すと思うと気が重かった・・・
「お帰りなさい。」
「!!」
玄関に入ってみると、そこにはメガネをかけたメイド服の女性が三つ指立てて出迎えてくれた。
アカツキ・・・本当にここは今現在誰も住んでいなかったんだろうな?
「うふふ・・・お風呂にしますか?
それともご飯にしますか?」
俺に向かって微笑を投げかけてくる女性。
この様子だと俺の事は知っているようだ。
「あの〜、あなたは一体誰ですか?」
俺は恐る恐る聞いてみた。
「そういえば自己紹介がまだでしたよね。
始めまして。
私、一文字むつきといいます。
今日からあなたのママになります。」
ママ・・・ママ・・・ママ・・・・・・ママ!?
「何〜〜〜〜!!!!!」
俺の叫びは夕暮れの空にシャウトした・・・
後書き・・・
やってしまいました・・・HAPPY★LESSONです。
知ってる人いるよね?
理由は単純。
Actionでは今まで年上、年下、ロリ・・・果てには血のつながっていないお姉さん、妹という属性(!?)がありましたが、
「母親という属性がないのではないか?」と思い書いてしまいました。
あくまでこれは作者の暴走ですので、続くかどうかは読者の皆様の反響を見て考えたいと思います。
TVもあまり見れなかったわけだし・・・(DCソフトは持ってますが、あまりやる暇がありません。)
代理人の感想
・・・・・母親ってナニよ母親って。