第1話「私達が、あなたのママになります」
「「「「「「いただきま〜す。」」」」」」
うん・・・この料理はコックの俺から見てもかなりおいしい。
俺は目の前にある料理をおいしく食べ・・・てる場合じゃない!!
「ちょっと待った〜〜!!
なんでママなんですか!?
しかもここにいる人達は一体誰!?」
そうなのである。
今ここには俺の知らない人が4人もいる。
「ん〜、それじゃあ自己紹介でもしましょうか?」
「そうですね。」
巫女の服を着た女性の意見にむつきさんが賛成する。
「一応私からもう一度。
一文字むつきといいます。
あなたが通う”こよみ学園”の国語と古典を担当している教師です。
趣味はガーデニング。
家事一般は任せてください。」
「二ノ舞きさらぎです・・・
理科系が私の担当です・・・
後で実験・・・してみませんか?」
「三世院やよいです。
校医をさせてもらっています。
実家が神社をやってますので、除霊なども少々・・・」
「四天王うづきだよ。
担当は美術。
よろしくね♪」
「五箇条さつき。
体育を受けもってる。
とりあえずはよろしくな。」
一通りの自己紹介が終わった後、
「「「「「私(俺)達が、あなた(お前)のママになります(なるぜ)。」」」」」
え〜と・・・つまり俺は・・・・・・
この家で学校の女の先生と暮らすって事になるのか?しかも5人も!?
なんかこれじゃいつもの生活と全然変わらんぞ!!
しかも教え子と教師って関係が微妙にデンジャラス!!
アカツキ!!お前の言う青春とは5人もの教師が押しかけママに来る事なのか!?
マズイ・・・早急に何とかせねば・・・・・・
「あ、あのですね・・・皆さん。
教師が教え子の家に住み込むってのはどうかと・・・
それに俺も一応は男なんだし・・・」
俺は何とか説得しようとしたが、
「大丈夫大丈夫♪
私達家族なんだから♪」
「そうそうその通り。
細かい事は気にするなって。」
うづきさんとさつきさんは大丈夫でも、俺にとっちゃ一大事なんだけど・・・
「家族は・・・一緒にいるべきだと思います・・・」
「そうよ、アキト君。」
きさらぎさんとやよいさんも、どうやら折れる気はないらしい・・・
「と言う訳で、これからよろしくお願いしますね。
仁歳アキトさん。」
この人達にはもう何を言っても無駄なのだろう。
「わかりました・・・しばらくの間、よろしくお願いします。」
「「「「「はい(おう)!」」」」」
「そうだ、アキトさん。」
「何ですかむつきさん?」
むつきさんの口から出た言葉は、衝撃的なお願いだった。
「私達の事はきちんとママと呼んでくださいね♪」
「マジ・・・」
「マジです。」
俺は何とか「母さんじゃだめかな?」とお願いしたが、多数決によってママと呼ぶ事が決定された。
勿論、多数決の結果は5:1だ。
こうして俺と先生達の同居は決まった・・・
夕食が終わり、家事の当番も決め、後は風呂に入って寝るだけとなった・・・
「お風呂使っていいですよ〜。」
むつきさんから風呂を使ってもいいと言われたので、俺は早速入る事にした。
かぽーん
「ふう・・・」
俺は風呂に入っていろいろな事を考えた。
突然押しかけてきた女性達。
ママになると言われた時は本当に驚いた。
理由を聞くと、
「家族がいない寂しさはきっと辛いものだと思うんです。
だから、私達はあなたを寂しさから救ってあげたい。
けれどこれは同情なんかじゃありません。
あなたに”家族”というものを教えてあげたいんです。」
そう言われた時は思わず苦笑してしまった。
これでも一応、ラピスの保護者なんだけどな・・・
とは言ったものの、俺の方が保護されるなんて事はあまりなかったな。
ナデシコでは父親みたいな存在ではシュンさんがいた。
けれど、母親と呼べるような人はいただろうか?
ミナトさんやホウメイさんもどちらかと言うと頼りがいのある姉さんって感じだったし。
という事は、俺は母親の愛情ってものをあまり受けてはいなかったということなのかな・・・
実際母さんが生きている時も、家にいる事はあまりなかったしな・・・
だからだろうか?あの人達を受け入れたのは・・・
「ママ ・ ・ ・ か。」
その日の夜、俺は悪夢を見た。
場所はユリカと別れた、あの空港。
炎上する研究所
「父さん!!母さん!!」
俺は必死になって研究所の方へ走ろうとした。
しかし、子供の頃の体の為、思うように動かせない。
「くそっ!くそっ!!くそぉ!!!!」
俺は走り続けていた・・・
研究所につくと、そこにはもうすでに死体となっていた父さんと母さん・・・
「父さん・・・母さん・・・」
そして俺は泣き叫んだ。
「うわああぁぁぁぁ・・・!!!!!」
慌てて起き上がり辺りを見渡すと、そこにはまだ荷物の入ったダンボールだらけの俺の部屋だった。
「夢か・・・なんでこんな夢を・・・・・・」
・・・あの時の俺にもっと力があれば・・・
父さんと母さんは救えたのだろうか・・・
ナデシコに乗る事もなく、幸せに家族と過ごすことが出来たのだろうか・・・
そう思うと、なんだか泣きたくなってきた・・・
「泣かなくていいんですよ・・・ママが側にいますからね・・・」
「!?」
気が付くと、俺のベッドの隣でむつきさんが座った状態で俺の手をしっかり握ったまま寝ていた。
おそらく、俺がうなされているのに気付いて来てくれたのだろう。
その目にはうっすらと涙が浮かんで見えた。
「んん・・・」
(さっきのは・・・寝言?)
そうだとは思えない。
きっとこの人は俺の悲しみを感じたてくれたんだ。
何故そう思うのかはわからない・・・
でも、これがきっと”母親”というものなのだろう。
俺は、むつき”ママ”を自分のベッドに寝せ、リビングに向かった。
そして、寝袋に入って眠りについた。
今度は、悪夢にうなされる事はなかった。
俺はこの人達の事を”ママ”と呼べるような気がしてきた・・・
次回予告・・・(ガン○ム]ふうに)
アキトは、家に押しかけてきた女性達をママと呼ぶ事を決意した・・・
それは、アキトが久々に感じた母親の愛情があったからだろう・・・
しかし、彼は忘れてはいなかった・・・
自分達が”教え子”と”教師”の関係であるということを・・・
彼の気持ちは、新たに出来た母親を歓迎する気持ちと・・・
学校にバレ、それらが奪われる恐怖が混ざりあっていた・・・
様々な希望と不安を抱え・・・
彼の学園生活は今、まさに始まろうとしていた・・・・・・
HAPPY★NADESICO 第2話 「皆には内緒にしておいて下さいね」
後書き・・・
まずこの作品ですが・・・
ナデシコのキャラはしばらくの間は出ません。
出るとしても、今の所予定があるのはルリ・ラピス・ハーリーの3人だけです。
これ以上キャラが増えても、自分ではとても書ききれません(泣)
次回予告は”ガン○ム]”をマネしてみました。
好評であれば、このまま次回予告も続けていきたいと思っております。
さて、次回からはいよいよギャグ突入。
後先考えずに話を書き続ける作者ですがどうかよろしく。
代理人の感想
え〜〜〜〜〜〜〜〜〜と。
つまり〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
早い話が〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
(読者の人はここで「全然話が早くない!」とツッコミをいれる事が推奨されます)
それはともかく「ママ」と名乗る五人は精神カウンセラーであって、
心を病んだ黒尽くめの変態の社会復帰を支援する
精神治療の一環なわけですね!?
なるほど、それならなんとか(爆)。