HAPPY★NADESICO






第3話・・・お兄ちゃん!!



「それにしてもかれこれ・・・何年振りになるんだろうね。」


 今、俺の目の前でデラックスジャンボパフェ(定価¥3000円)を食べている少女・・・

 彼女は一体何者なんだ?


「・・・で、君は一体誰何だい?

 どうして俺の事を知ってるんだ?」


 見たところ彼女からはこれといった危険な感じがしない。

 おそらく、一般人であるのは間違いないだろう


「え・・・もしかして、覚えて・・・ないの?」


 とたんに、彼女の瞳から涙が零れそうになる。


「ぐすっ・・・ひぐっ・・・」


  ・ ・ ・ヤバイ。


 え・・・こんな娘俺が今まで会った中でいたっけ?

 さらに俺、この娘を泣かせてしまうようなナニかをしたのか?

 俺は気を紛らわす為、コーヒー(もちろんブラック)を口に含む。


初めてだったのに・・・ぐすっ・・・」


 ガハッ!!ゴファ!!ゲヘェ!!ゴホッゴホォ!?


 いきなりの核弾頭発言に俺はむせてしまった。


 ジト〜〜〜〜・・・


 う!!周りの視線が冷たい・・・


「ヒドイよぉ・・・お兄ちゃん・・・・・・


 ・・・・・・ガチャ〜ン!! (コーヒーカップが落ちて割れる音)


 お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・


 ”お兄ちゃん”・・・いい響きだなぁ(喜)

 俺はもう引き返せないところまで来てしまったんだな・・・

 なんか店中の人がこっちに集まってるし・・・


「てめぇ!!この鬼畜野郎!!」

「あなた!!この娘を何だと思ってるの!!」


 こちらに浴びせられる罵声と


「泣くなよ・・・人生まだこれからじゃないか・・・」

「かわいそうに・・・あんな男に騙されるなんて・・・」


 彼女を慰める声。


「え?・・・ぐすっ・・・皆さん・・・何言ってるんですか?・・・・・・ぐすっ・・・」

「はい?」 (その場にいた全員)


 思わず面食らう人々。


「でも”初めて”って・・・」

「施設にいた頃・・・初めて友達になってくれたの・・・」

「じゃあ、”お兄ちゃん”は?」

「私・・・家族が欲しかったの・・・・・・

 その時・・・お兄ちゃんが、「俺がお兄ちゃんになってあげる」って言ってくれた・・・のに・・・・・・ぐすっ・・・」


 施設・・・ってことは火星だよな・・・・・・あっ!!


「もしかして・・・みなちゃん?」


 そうだ・・・思い当たる娘は一人しかいない。

 俺が施設にいた頃、よく俺にくっついて来た娘・・・六祭 みなづきちゃんだ。


「お兄ちゃん!!思い出してくれたんだ!!」





 ようやく店内が落ち着き始めたところで、俺達はまた他愛のない話をしていた。


「それにしても久しぶりだね!!

 あれから元気してた?」

「まあ、それなり・・・かな?」


 そういえば、こうして昔の知り合いに会うのは何年ぶりだろう。

 待てよ・・・彼女は俺がテンカワアキトだって事を知っているんだから、その名前を口走らないように注意しておかないと!!


「ねえ、お兄ちゃん。

 ターミナルを見てみたんだけど、こよみ学園に”テンカワアキト”って名前が載ってないんだけどどうして?」


 ・・・時すでに遅し・・・

 またもこの場に沈黙が漂う


「そこのキミ・・・テンカワアキトって・・・」

「うん・・・そこにいるのがアキトお兄ちゃんだよ。」

「何〜!!」


 再び騒がしくなる喫茶店・・・


「サイン下さい!!」

「強くなるように特訓してくれ!!」

「握手して下さい!!」

「どうすれば女にもてるのか教えてくれ!!」


 ・・・当然俺はみなちゃんを抱き抱えて即座にその場を去った・・・(会計も俺が即座に済ました)






「ふんふん・・・へぇ〜、そういう事なんだ。」


 とりあえずみなちゃんには、なぜ俺がテンカワでなく仁歳と名乗っているのかを嘘を交えて簡単に説明した。


「お兄ちゃんも大変だよね〜。

 あのテンカワアキトと同姓同名なんだから。」


 幸か不幸か、みなちゃんは俺があの漆黒の戦神のテンカワアキトだという事に気付いてないらしい。


「でも、まさかお兄ちゃんのお友達にあのネルガルの会長さんがいたなんてね。

 ここ最近何者かに襲われたってニュースで特集やってたけど大丈夫なのかな?」

「大丈夫だよ。

 アイツは体が丈夫なんだから。」


 大丈夫じゃないだろうな・・・

 彼女達のお仕置きを受けるアカツキの姿が目に浮かぶ・・・

 だがアカツキ・・・もしも俺の居場所を彼女らに伝えでもしたら・・・

 今度は俺がお仕置きしてやるからな・・・フフフ・・・・・・


「お兄ちゃん、いいでしょう?」

「え、何が?」


 おっとっと・・・どうやら考えに夢中になっていたらしい。


「だ〜か〜ら〜、お兄ちゃんの料理が久々に食べたいからご馳走してよ。」

「え、あ、ああ・・・いいよ。」


 それじゃあ今からみなちゃんの家に行こうか・・・

 そう続けようとしたら


「やったぁ!!

 じゃあ、今からお兄ちゃんの家にお邪魔するね!!」


 ガン!!


「お、お兄ちゃん!?大丈夫!?

 電柱が凹んじゃってるよ?」

「ははは・・・大丈夫じゃない・・・・・・かも。」


 ドキドキドキドキ・・・・・・


 お、落ち着け俺・・・
 もしここでみなちゃんの誘いを断るのも何か怪しい。
 けれどみなちゃんが家にいる時にママ達が帰って来たらみなちゃんがなんて言うか・・・
 「う、嘘だよね(何が?)・・・お兄ちゃん?」
 「ち、違うんだ(だから何が?)!!みなちゃん!!」
 「お兄ちゃんの不潔!!○○!!××!!(自主規制)」

 そしてその話はまたたく間に学校中・・・はては街中に広がっていって、
 俺は道ゆく人々に○○とか××(自主規制)とかを永遠に言われ続けるんだ・・・
 ・・・でも待て、教師ってのは帰宅が遅いってのが世間一般の常識だから
 6時に食事して8時までに返せば万事OK? (ここまでで約2秒)


「じゃあ、簡単なのしか作れないけどご馳走するよ。」

「やったぁ!!」


 願わくばママ達の仕事が早く終わりませんように・・・





「「「「「お帰りなさい!!アキトさん!!」」」」」 (仕事を一足早く終えたママ達) 


 世の中ってのは自分の思い通りにはいかないものなんだな・・・


「なんたって今日はアキトさんの初登校。

 ママとしてはお祝いしないと・・・て、この子は確か・・・え!!うちの学校の生徒!?」


 むつきママがみなちゃんに気付き、あたふためいている。

 当のみなちゃんは


「先生?ママ?それも五人?

 あわわわわわわわ・・・・・・」


 相当パニックに陥っている様子だ。

 勿論、俺もかなり慌てている。

 そして


「う、嘘だよね(何が?)・・・お兄ちゃん?」

「ち、違うんだ(だから何が?)!!みなちゃん!!」

「お兄ちゃんの不潔!!○○!!××!!(自主規制)」


 そう言って走り去っていってしまった・・・あ、コケた・・・


「ああ、待ってくれ!みなちゃん!!」


 俺は急いでみなちゃんの後を追った。





「大丈夫でしょうか、アキトさん。」

「大丈夫よ。見たとこ彼はこれまでに様々な女難にあっていそうだからこの位どうって事ないでしょう。」

「男の子は様々な困難を乗り越えて大きくなっていくものです・・・

 それよりも私達のほうも、もはや人事ではないのですが・・・」

「大丈夫!!何事もなるようになれだ!!」

「さすが!!頭より先に体が動く人の言う事だから説得力があるね!!」


 続く・・・















 後書き・・・待ってくれた方々・・・お待たせしました。

 ハピナデ、やっと3話が書き終わりました。

 ここ数ヶ月、自動車学校通ったり進学先を考えたりで本当忙しかったんです。

 決して、友達から借りた”○が望む永○(○C版)”にはまっていた訳ではありません。

 久しぶりの更新で次回予告も書く余裕がなくなりましたが、多分、もう書くことは無いでしょう。

 とりあえずは、次回も期待して待っていて下さい。

 2003年も619をよろしくお願いします。

 ”君○望む○遠(PS2版)”・・・発売日延期・・・くぅ(漢泣き)

 

 

 

代理人の個人的な感想

・・・・・・・カンベンして。