ナデナデしちゃうぞ











 あの忌々しい戦争が和平という奇跡の幕を閉じた。

 かつては、互いに憎しみ合っていた地球と木星。

 家族・・・恋人・・・友人・・・財産・・・

 この戦争で様々なものを失った人々。

 許せるはずも無く・・・許されるはずも無い。

 過去の罪を忘れるわけではない。

 しかし、この和平という結末を人々は一生懸命受け入れようとしている。

 そして、宇宙はわずかではあるが平和へと歩み始めていた。

 激戦を戦い抜いたナデシコのクルー達。

 彼らも、今は平和な世界へと溶け込もうとしていた・・・はずがない!!(てゆーか無理!!)















プロローグ・・・再会




 シュン

 部屋の自動ドアが開き、一人の男が入ってくる。

 そして、おもむろに目の前の椅子に座っている男性に、質問をする。


「何の用だ、アカツキ?」

「いや〜、実に久しぶりだね〜テンカワ君。」


 軽い口調の割に、そのアカツキと呼ばれた男の座っている椅子は立派であり。

 目の前に置かれている机も、一目見ただけで高級品だと解る気品を放つ一品だった。


「後一人呼んであるから、話はその人がきてからという事で。」


 そう言われ、部屋に入ってきた男、漆黒の戦神ことテンカワ アキトはしばらくそこで待つこととした。

 そしてしばらくして


「アカツキさん、お待たせしました。」


 2〜3分して入ってきたのは電子の妖精ことナデシコオペレーター、ホシノ ルリである。


「な!!ル、ルリちゃん。」


 アキトは怯えたような目でルリをみていた。


(さてはアカツキ。

 俺を売ったか!そうなんだな!!)


 アキトからの殺気を感じたのかアカツキは冷や汗を浮かべ


「テンカワ君、一応言っておくけど君が考えているようなことはないから。

 今君を呼んだのはこれからの話をするためだ。」

「そうですよアキトさん。」

「これからの話?」


 アキトは少し首を捻り考えた。


(今現在・・・和平は実現され地球と木連は少しずつではあるが、平和と向かって共に歩いている。

 そんな中で俺達がこれからのことを話し合う必要があるのだろうか?

 まあ、俺についてはいろいろと考えなければならないことはあるが・・・)


 沈黙しているアキトにアカツキはさらに言葉を重ねた。


「実はこの話は何もテンカワ君だけの話じゃないんだよ。」


 アカツキの言葉にアキトはますます思考の渦へと落ちていった。

 すると、ルリが事のあらましを話し始めた。


「実は、ナデシコのクルーの皆様の再就職先が決まっていないんです。

 別に能力がないというわけではないんですが・・・(性格の事は置いといて)

 なにせ、地球と木蓮の掛け橋となったナデシコのクルーですから、いろいろと大人の事情に巻き込まれていまして。」


 アキトはそこまで言われると、なんとなく事のあらましがわかった。

 確かに、この戦争の最前線をずっと戦ってきたナデシコのクルー達を快く入れてくれる会社などそうあるはずがない。

 いや、むしろ我先にと企業同士が小競り合いを起こすこともありえる。

 ナデシコのクルーという名は伊達ではないのだ。


「だったら引き続きネルガルで雇えばいいじゃないか。」


 尤もなアキトの意見に


「僕はこれでも会長だ。

 会長であるからには、この会社を・・・ネルガルを守らなくてはならない。」


 その言葉だけで納得したアキト。


「そこで、僕は考えたのさ・・・

 企業の思惑が全くといっていいほどない・・・公務員になろう!!!っと。」


 この時、アキトはアカツキの言う公務員=軍人という考えにたどり着いた。

 ナデシコのクルーはこの戦争中、最前線を戦ってきた。

 だから軍からすれば、ナデシコのクルーの入隊は喜ぶべきものであろう。

 だが、アキトにとって軍は憎むべき存在である。


「じゃあ、また皆にまた軍に入れというのか?そして俺にも・・・」


 アキトが少し不機嫌そうに言うと今度はルリが代弁した。


「違います、アキトさん。

 公務員といっても軍ではありません!!・・・警察官です!!!!!


 まるで、フクベ提督の「我々の目的は火星だ!!!」に似たルリの発言に、アキトの意識はどこか遠くへと跳んでいった。





「・・・で、公務員をやるわけはなんとなくわかったけど、

 どうしてまた警察官なんだ?

 他にも郵便局員、教師、消防士etc…色々あるだろうに。」


 ようやく復活したアキトはなぜ軍と少し似た(似ているのかな?)

 警察官にならなければならないのかをルリに聞いた。


「理由は簡単です。

 まず郵便局員。

 ナデシコのクルーの性格的に事務等という地味な仕事が勤まるわけがありません。

 そして教師。

 確かに皆さんの専門分野の能力はかなり高いですから、その道の教師になら確かに問題無いでしょう。

 しかし、ナデシコのクルーは私とアキトさんとミナトさんを除き能力だけの人の集まりですから、

 そんな人達が人に物を教えるというのはマズイどころかヤバイです。

 そして消防士。

 ナデシコのクルーが火事現場にいったら絶対仕事しないでまず先に野次馬するに違いありません。(特に整備班)

 挙句には、セイヤさんあたりが何軒火事の火が燃え移るかでトトカルチョをすること間違い無しです。

 他の職種についても・・・」


 何故か否定ができない。

 アキトは冷や汗を掻きながらルリのせつめ・・・ゴホン!話を聞いていた。

 さらにアカツキが語り出した。


「それに今は終戦といってもゴタゴタしている事には変わりはない。

 今現在、治安がとても悪い状態なんだよ。

 そのせいでどこも人手不足なんだよ。」


 アカツキの話を聞いてアキトは納得した。

 確かに今はゴタゴタが多い。

 それにたいしての人手は、戦争の後片付けのせいでほとんどないに等しい


「だからこそ、我々ネルガルが戦争の後始末をしている人達に代わり、

 地域の治安に勤めよう、というわけさ。

 勿論、皆の勤め先も決まっている。

 その名もステキ、墨東署

 聞いた話によるとナデシコに負けず劣らずの奇人変人ぞろいだそうだ。」


 ・・・いったいナデシコは世間一般の目でどう見られているのだろうか?

 もしかしたら皆が就職できないのもこのせいでは?

 まあ、考えていても仕方がない。


「まあそれは解ったがどうして俺を呼ぶ必要があるんだ?」


 アキトは結局なぜ自分が呼ばれたのかは解らなかった。


 カパッ・・・ウィーン


 すると、いきなりアキトの立っている正面の床が急に競り上がった。


「床の中からこんにちは〜♪」


 それに答えたのはプロスであった。


「「プ、プロスさん(君)!!

 あんた(君)、一体いつの間にこの部屋に細工したんですか(だい)!?」」

「いやあ、ルリさん・・・お久しぶりです。」

「ええ、本当に。」

 驚いているアカツキの質問を無視してネルガルの大蔵大臣。

 プロスペクターことプロスとルリが挨拶を交わしていた。


「プロスさん。

 俺の質問に答え・・・なくてもいいですから、

 どうして俺が呼ばれたんですか?」


 プロスはのほほんとした態度をとっている。

 おそらくこの件(床から競り上がって来た)については何も触れるな、ということだろう。

 そして、プロスがアキトが呼ばれた理由を話した。


「実はこの話はまだ皆さんには伝えていないんです。

 ですから、それをテンカワさんとルリさんに手伝って欲しいんです。」

「はい?別にプロスさんやゴートさんがいるから、大丈夫なんじゃ・・・」


 アキトの反論にプロスは


「まことに申し上げにくいのでございますが・・・

 実はそこにいる、極楽トンボの手違いのせいで(ギロッ)1週間後には墨東署にいかなければならないのです。

 そうなるとさすがに私とゴートさんだけでは・・・

 だからナデシコのアイドルであるお二人に協力していただければ、

 クルー集めもスムーズに行くというわけです、はい。

 勿論、すでにこの話を了承している方々にも手伝ってもらいます。」

「アキトさんにしか出来ないんです。

 よろしくお願いします。」


 ルリに頭を下げられアキトはなし崩しにクルー集めにルリと一緒に出掛けるのでであった・・・


「歴史はまた繰り返す。  まあ、同窓会のようなものですな。」





 追記・・・

 なぜアキトにクルー集めを手伝わせたかといえば、


 アカツキ・プロスの思惑―――
 1、自分たちよりも、彼らの方がクルー(特にメインクルー)の受けがいい。
 2、ホシノ ルリに脅迫された。


 ルリの思惑―――
 1、アキトと一緒に行動・・・上手く行けばお泊り(ポッ)も出来る。
 2、他の女性人(特に某同盟)に、自分とアキトの関係をアピールする。


 ・・・そしてスカウトは始まった。


 第一話に続く















 後書き・・・メインは自己紹介

 始めましてみなさん。

 上から見ても下から見ても619です。

 ついでに、この作品が処女作です。

 名前は誕生日をもとにしました。

 けれど、ナデシコの話ではその日に、あの事故が起こったというのがちょっと残念。

 せめて、あの二人の結婚記念日に生まれたかった。(けれど個人的にはアキト×ルリ派)

 さて、このタイトルでナデシコと何を合わせたかは一目瞭然ですね。

 答えは「逮捕しちゃうぞ」です。

 現在、他の作品も製作中です。

 今現在、高校は夏季休校なので、なるたけ早めに更新したいと思っています。

 では、この辺で。

 この駄文を読んでくれた人達に感謝と、

 実際にパソコンの前で首を傾け619を本当に逆さで見て「あーホントだ、逆さにしても619だ。」

 とやってのけた人達に「バカばっか」をこめて・・・

 

 

 

代理人の感想

>消防署〜

いや〜、仕事以外では非常に真面目だけど

仕事はそれ以上に真面目にやると思いますよ?>整備班

 

人間を載せる兵器の整備と言う、ナデシコの部署の中でも

最もシビアに人の生死に直結した仕事をしてるんですし。

「自分の仕事が他人の生死を分ける」という緊張感はある意味指揮官以上でしょう。