ナデナデしちゃうぞ












第1話「墨東署へ出向・・・の前に人数集め」




「ごめんくださーい、セイヤさんいますか。」


 ここはセイヤさんの経営する違法改造屋。  アキトさんがセイヤさんの名前を呼んでいます。

 その声に反応して姿を現したのは彼の奥さんであるオリエさんでした。


「あの〜、うちの主人に何か・・・ッ!!!」


 オリエさんはアキトさんを見るなり青ざめました。


「もしや家の主人がまた何かしたのでしょうか!!

 お願いします!見逃してやって下さい!!

 戦争が終わって、やっと家族そろって生活が出来るようになったんです!!!

 今またあの人が連行されてしまったら私や子供達は・・・!!」


 ちなみに今のアキトさんの格好は例の黒いバイザーにスーツとマントです。

 両方ともネルガルの新製品の試作品だそうです。

 バイザーには暗視・赤外線コープ機能。

 それでいて強烈な光から目を守り、果てにはナビ機能搭載。

 スーツとマントのほうは、耐刃・耐弾・耐圧・耐熱仕様で、対人用の銃やブラスターじゃ全く歯が立たないようです。

 おまけに夏は涼しく、冬は暖かくをモットーとして造られたんだそうです。

 それでも、このデザインはどうかと。


「あ・・・あのですね、オリエさん。

 俺達は「母ちゃん(お母さん)!」」


 アキトさんが誤解を解こうとしたところへ、可愛らしい男の子と女の子がやってきました。

 ツヨシ君とキョウカちゃん・・・でしたよね?

 この子達も今にも泣きそうな顔をしています。


刑事さん!!

 父ちゃんがやったことは俺がきちんと俺が責任取るから!!

 だから父ちゃんを連れて行かないで!!

「おねがいします!

 ママもやっとパパと一緒に暮らせて顔には余りださないけれど、本当に喜んでいるの!

 そんなママから・・・パパを奪わないで!!


 セイヤさんの店の入口はもはや感動のメロドラマ状態となっております。

 私はそれを外から優しく見守っています。

 アキトさんが視線で私にSOSサインを送っていますが・・・

 アキトさん・・・そんな格好で来るからこうなるんですよ。

 解ってるんですか?

 もうこうなったらアキトさんに全てを任せましょう。

 間違いなくこれはアキトさんのせいなんですから。


「あ・・・あのですね、皆さん。

 俺達は警察じゃなくて「まさか!」・・・へ?」


 アキトさんの話を奥さんが中断させます。


「もしやあなた方はFBI!

 警察の制服にそんな格好あるはずが無いし。

 そういえば後ろにいる女の子はどう見ても日本人には見えないし。

 ああ・・・とうとうあの人もFBIまでを敵にまわしてしまっんですね!!!

 ということは・・・今度は外国に少なくとも4〜5年は拘留というわけですか!」


 警官を通り越して今度はFBIですか?

 ・・・まあ確かに警察の制服にあの格好はさすがにないでしょう。

 けれどもオリエさん。

 私、少女です。


「けれどもまた・・・主人はここに帰ってきてくれますよね!

 いえ・・・帰ってこれなかったら追いかけるまでです。


 ・・・トリップしていませんか?オリエさん。

 この場合の『追いかける』には二通りの考え方がありますけれど・・・


「だって・・・あの人は・・・・・・あの人は大切な人だから。」


 なにやら恥ずかしい台詞を言っていますが・・・

 しかもなんかバックに『一人歩きのMy Revolution・・・』などという歌が流れていますが・・・いい歌ですね

 私も暇があったらカラオケにでも行ってみようかな。

 それはそうと、アキトさんはもう現実逃避していますね。

 仕方ありません。


「オリエさん、私たちは警察でもFBIでも軍でも暴徒でも宗教団体でも借金取りでもセールスでもなんでもありません。

 ただ少しセイヤさんにお願いがあってきたんです。」


 私の話を聞いてオリエさんは少し落ち着きました。

 そうこうしている内に、物置みたいな所からセイヤさんがやって来ました。


「なんだぁー、騒がしいな。

 一体誰が来たんだよ、オリエ?」


 そこにはいつもと変わらないセイヤさんがいました。

 なにやら全身に黒いススがついていますが・・・まあ、いつもの事でしょう。

 そこへ、復活したアキトさんが話しかけます。


「セイヤさん。

 実はかくかくしかじか・・・という理由で。」


 アキトさん・・・かくかくしかじかで伝わるわけがないでしょう?


「ふーん、成る程ね。」


 伝わっちゃいましたね・・・もう完璧に。

 日本語って便利ですね。


「まあ、どうせこっちも客がこなくて暇だったんだ。

 場所が遠けりゃ引っ越せばいい話だし。

 受けてやるよ・・・その誘い。」


 家族同伴ですか・・・

 けれど、お子さん達の学校はどうするんでしょうか?

 多分あまり深く考えてませんね。

 セイヤさんの子供達・・・きっとたくましくなるでしょうね。


「なあ、アキト。

 ついでに頼みといっちゃなんだが・・・

 今晩泊まっていかないか?」


 セイヤさんの言葉に反応したのは他でもない、彼の子供達である。


「アキトって・・・

 父ちゃん、この怪しいカッコした兄ちゃんが『漆黒の戦神』テンカワ アキト!?」

「ああそうだ。

 この町で見かけたら間違いなく110番される男こそが、あのテンカワ アキトだ。」


 言うようになりましたね、セイヤさん。

 アキトさんしばらくは立ち直れませんよ。

 ほら、もう隅っこで泣きながら「の」の字を書いてますよ。





 ・・・結局、その日の晩はセイヤさんの家で夜を過ごしました。

 セイヤさんの子供達に囲まれたアキトさんの顔は、とてもうれしそうでした。

 そして・・・とても哀しそうな顔をしていました。


「それにしても、あんな子が『漆黒の戦神』だったなんてね。」


 私は今、オリエさんの部屋にお邪魔しています。

 できればアキトさんと一緒に寝たかったんですが、

 セイヤさんが「ついでにツヨシ達と一緒に寝てくれや。」なんて言って、アキトさんも了承しちゃいましたから。


「そうですよ、オリエさん。

 いくら『漆黒の戦神』といっても、普通の人と何ら変わりないですよ。

 ただ、普通の人よりも強いだけですよ。」


 確かにアキトさんは普通の人よりもかなり強い。

 アキトさんにかかれば、小国など容易に壊滅できるはず。

 それだけの力がアキトさんにはある。

 けれど、あの人は望んでその力を手に入れたわけじゃない。

 本来のアキトさんには戦う力なんて必要なかった。


 手に入れなければならなかった・・・

 私達の為に・・・ユリカさんの為に・・・・・・


「けれどあの子・・・とても寂しそうな瞳で私やツヨシ達を見ていたのよね。

 ご両親や兄弟がいないんでしょ?

 やっぱり『家族』ってものに憧れているのかしら?」

「・・・そうかも・・・・・・しれませんね。

 あの人は誰よりも悲しみを抱えてきました。

 私は、あの人から悲しみを取り出してあげたい・・・癒してあげたい。

 けれど、私にはあの人の悲しみを癒してあげられないかもしれません。」

「ふふ、あなたは誰よりもあの子を理解しようとしているのね。」


 アキトさん・・・私じゃダメなんですか?

 私じゃあなたの本当の『家族』にはなれないのですか?

 少なくとも、ナデシコの皆はあなたの事を『家族』として見ていてくれますよ。

 罪が消えた、とはいいません。

 けれど、あなたはもう幸せを手に入れる権利が充分にあるのですよ。







 翌朝・・・

 セイヤさんの家を出て、今度はミナトさんの家に行ったのですが・・・


「今日は月曜日。

 常識がある学校ならば、当然ながら出校日ですね。」

「・・・どうしよっか?ルリちゃん。」


 私達はミナトさんが働いている学校の校門にたたずんでいます。


「仕方ありません、アキトさん。

『オペレーション避難訓練』を発動しましょう」





 そして学校では・・・


「校長!大変です!!

 学校に変質者が現れ警備員を次々となぎ倒しています!!」

「なんだと!!

 今すぐに生徒を非難させろ!!!」


 そして全校生徒が体育館に非難し、私はその足で体育館に出向かい、ミナトさんを見つけました。


「ミナトさん、お久しぶりです。」

「ル、ルリルリ!?あなたなんでココに?」


 驚いているミナトさん。

 それもそうですよね。


「ええ、実はミナトさんにお話があって来たんです。

 けれど、この学校まで来たはいいんですが、

 アキトさんが校門の前に立ったとたん、警備員に人に睨まれまして。

 連行されそうになったのをアキトさんが抵抗して・・・

 そしたら今度は、警備の人が応援を呼んで・・・

 そしたらアキトさんも、いままでにイロイロあったらしくとうとうキレちゃいまして・・・」

「で、こうなっている訳ね・・・」


 ミナトさんが指差している場所の向こうにアキトさんはいました。

 そこは警備員&機動隊の皆さんがアキトさんに向かって攻撃をしています。

 これから警察の方にはお世話になるんですから、やりすぎないで下さいね。

 あ・・・今、機動隊の人が軍隊の出動を要請しました。

 ここまできたら、この事態の収拾がつくのは夕方になりそうですね。


「ルリルリ・・・

 あなた、こうなる事まで予想してなかったでしょ?」


 さて、何のことでしょうか?


 ついでにオペレーション避難訓練は

 1、アキトさんを学校に入れる。

 2、当然、警備員はアキトさんを退場させようとする。

 3、これまた当然、アキトさんは抵抗する。

 4、そして乱闘となり、学校関係者はみんな非難。

 5、そのドサクサまぎれてミナトさんとコンタクト。


 これなら、授業中であろうともミナトさんと話せると思ったんですが・・・

 やっぱり少しやりすぎたようです。





「・・・というわけで、ミナトさんには是非とも私達と一緒に来て欲しいんです。」

 ここはミナトさんのお家。

 ついでに時刻は22:00。

 あの騒ぎは、仕舞いにはアジア諸国の軍隊まで出動するといった事態になってしまいました。

 ネルガルのおかげで、なんとか収まったのですが、学校は廃校になってしまいました。


「まあ、誰かさんのおかげで、あの学校にはいられなくなったわけだし・・・

 ユキナも新しい学校に行かせなきゃならなくなったし。」


 そういって、アキトさんを睨むミナトさん。

 アキトさんはもう何も言えません。

 ついでにオペレーション避難訓練は、

 あわよくばアキトさんに学校を破壊させてミナトさんを半強制的に参加させるという意味がありました。

 ナデシコのクルーを止めるためにもミナトさんの常識はとても役に立ちますし・・・

 何より私も一緒にいたいですから・・・





 その日の晩は、ミナトさんの家に厄介になりました。

 もちろん、私とアキトさんは同じ部屋で同じ布団(ポッ)

 ミナトさん、感謝です。


「おやすみなさい、アキトさん(はあと)」

「何で俺がこんな目に・・・(シクシク)」







「はぁ、またサンドオンリーか・・・先生?」

「アナタダレ?」

「先生?先生!?」

「ワタシハラピス、ラピス・ラズリ。

 ワタシハアキトノ目、アキトノ耳、アキトノ手、アキトノ足、アキトノ、アキトノ、アキトノ・・・」

「ちょ!ちょっと!!せんせーい!!!」

「ルリルリ、ここペタ塗りお願いね。」

「サブロウタさん、ここ187番トーンですんで、後よろしく。」

「あ、ハーリー。

 カレーはチョ〜辛でな。」

「ハーリー君、君なかなか筋がいいね。

 今度よかったら、料理教えてあげようか?

 そんでもって、それをルリちゃんに食べてもらったら?」

「ハ、ハイ!その時はよろしくお願いします!!」





 ・・・ここはヒカルさんの事務所。

 あの時と変わらずにヒカルさんは私達をアシスタントに仕立て上げました。

 けれど助かった事に、ラピス、ハーリー君、サブロウタさんの組が早く終わったことにより、

 私達のほうを手伝ってくれました。

 そのかいもあって、なんとか〆切には間に合ったそうです。

 今現在は、ヒカルさんからのアシスタント代ということで、料理をご馳走になっています。

 まあ、作ったのはアキトさんですけど・・・


「ルリさーーん、僕も手伝っていたのに・・・(シクシク)」

「ハーリー、うるさい・・・」





 夕食を済ませ、皆思い思いにそこら辺に散らかっているマンガを読み始めました。

 私も何か読もうと思ったら、ヒカルさんの同人誌が目の前にあったので読み初めましたが・・・


「ヒカルさん、これ・・・なんですか?」


 私の手元にあるのはアキトさんが載っている同人誌。

 しかも、アキト×アカツキという、いわゆるやおい本でした。(怒)


「え、えーと・・・それは「ヒカルさん!!」・・・ヒッ!!!」

「アキトさんのモノをいつの間にみたんですか!!」

「・・・へ?」


 あっけらかんとしているヒカルさん。


「しらばっくれても無駄です!

 しかも、アキトさんのがこんなにも大きいだなんて!!

 一体どこで見たんですか!ハッキリ言って下さい!!」

「い、いや!それは、想像だから!!」

「・・・本当に想像なんですね?」


 私の確認の言葉にウン、ウンとうなずくヒカルさん。

 ウソは言ってないようです。


「そうだよ、ルリ。

 アキトの大きさはそんなモンじゃない。」

「ラ、ラピス!!!」


 ラピスの一言に過敏に反応するアキトさん。


「アキトさん・・・どういうことですか?」

「い、いや・・・そ、それは・・・・・・」

「言い訳無用です。

 後で、この事についてみっちり聞かせてもらいます!」

「あうぅぅぅ・・・」


 アキトさんはぐったりうなだれていました。

 ラピスは我関せずの態度です。

 ふふふ・・・いい度胸ではありませんか。

 ・・・それにしてもアキトさんって。

 あの本のモノよりも大きいんですね。(ポッ)


「ルリさ〜〜ん。(泣)」

「泣くなよハーリー。

 今はまだ勝てなくても、お前は今から成長期にはいるんだ。

 これから先、あの大きさを超える可能性は必ずある。(ついでにこの二人もあの本を目撃した)

 いつかアイツを越えて、艦長を見返してやろうぜ!」

「そんな問題じゃありませーん。(泣)」







 そんなこんなで、私達のノルマはなんとか達成できました。

 ただ一つ言える事は、何処へ行っても騒動が起こったということです。

「つ・・・疲れた・・・・・・」

 アキトさんは真っ白に燃え尽きていました。


 第二話に続く















 後書き・・・

 ごめんなさい!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!(ユウナ風に)

 ルリルリの台詞オリエさんに使わせちゃった・・・

 けど、いろいろな場面で台詞使いまわしてますね。

 実を言うと、ヒカルの同人誌ネタもとあるナデシコの同人誌に載ってました。

 当然全年齢対象です。(18禁は恥ずかしくて買えんわ!!)

 それと、この作品はあくまでギャグ方面で行きたいと思っています。

 セイヤさんの時みたいなシリアスはかなり難しいかな?

 それでもシリアスも見たいと言う人は感想で。

 それにしても、『逮捕しちゃうぞ』の方々は登場してませんね。

 次回は必ず登場させます。

 それと、アキト達のスカウトの話は三人で終わらせましたが、

 「この人のスカウト場面が読みたい!!」という人はお知らせ下さい。。

 1、5話扱いで書くかもしれませんので・・・

 当然西欧出身者でも可能です。

 それには、オオサキ提督、ヤガミ ナオ、ミリア=テアも含まれます。

 それではまた・・・

 

 

 

代理人の感想

オリエさんにあのセリフ・・・「技あり!」と言う所でしょうか。

残念ながらアイデアはいいんですが使い方がいまいちなので「一本」にはなりませんでしたが。(笑)

 

取合えず気になったことをひとつ。

「スカウトして回ってる」のに結局出てきたのが三人だけというのはさすがに少ないような気がします。

劇ナデをトレスしているんですからイズミは入れるべきでしょうし、

オリキャラ連中のスカウトを素っ飛ばしたのも物足りない印象を受けます。

また、文章とギャグのテンポもまだまだ。

精進してください。