第8話「銀行強盗、犯人はアキト!?・・・最強メンバー」
「お前達は完全に包囲されている!!おとなしく出て来い!!」
中嶋さんがスピーカーを使って、銀行に立てこもっている二人に警告をする。
まあそれでおとなしく投降するような人はいないだろう。
「隊長!!犯人達からのメッセージです。」
「よし!!回せ!!」
「ねーアー君。
このお仕事いつになったら終わるのかな?」
「突入隊が来て、俺達を逮捕したら終わるんだよ。
「え〜、それじゃあ絶対終わらないんじゃないの?」
「大丈夫だよ。
俺達が突入隊を全員やっつけるか、ここにあるたくさんのお金を持って遠くへ逃げても終わるみたいだから。」
「な〜んだ。
それじゃあすぐに終わっちゃうね。」
「アキトさん、枝織さん。
お菓子ありますけど食べます?
私とラピスが作ったんですけど・・・」
「あの〜、もう映像送ってるんだけど・・・」
「「「え?」」」
「ほら、ラピスちゃんも。
ゲームなんてやってるんじゃないの。」
「は〜い。」
「・・・何やら和んでいるようですが・・・」
「 ・ ・ ・ 」
・・・事の発端はこうである。
「今日は演習を行う。」
「「「はぁ?」」」 (その場にいた全員)
「だから・・・いつ起こるかわからない大事件を想定した演習を行うといってるんだ。」
「「「はぁ・・・」」」 (その場にいた全員)
「近頃、クリムゾングループの解体が話題になったよな。
どうやらあれはハッカーの仕業らしい。
しかも犯人はまだ見つかってはいないようだ。」
犯人はあなたの目の前にいる瑠璃色の髪と桃色の髪をした少女と女の子です・・・
そういえば課長はあの宴会にはいなかったんだよな・・・
皆の視線がルリちゃんとラピスに集まる。
ルリちゃんは知らん顔。
ラピスに至っては、口笛まで吹いている。
「それでだ・・・これからもこういう事が起こる事も十分にある。
だからこそ、不意の事態に対応できるようにするのが今回の演習の目的だ。
おまけにここには一癖も二癖もある者が多いからな。」
そしてその舞台になったのが、ネルガルが経営している銀行。
カゲキ派が銀行に襲撃。
その鎮圧を本庁並びに数々の所轄の人達が集まって担当するという話だ。
犯人は俺と北斗(枝織ちゃん)とハッカーとしてルリちゃんとラピス。
おまけで、零夜ちゃんが北斗にくっつく形でこちら側に入った。
これだと戦力差があまりにもありすぎる為、俺と北斗は昂気の使用不可。
「勿論、犯人をやる方も全力でやって欲しい。
場合によっては、見事現金を強奪して逃走してもよろしい。」
そして現在にいたる。
とりあえず俺はプロスさんに渡された台本を読んだ。
「人質の命が欲しければ逃走用の車を用意しろ(棒読み)
車はカッコいいのだ(棒読み)
色は黄色と黒(棒読み)」
「無理ですよね?」
「知らん!!
あいつらは一体何様のつもりなんだ!?
今日の演習の重要さを全く理解しておらん!!」
本庁の突撃部隊隊員の方々は怒り心頭状態になっている。
この台本書いたのはプロスさんなのに・・・
それにこのメンバーが本気になったらすごい事になるぞ。
世界恐慌を起こしたり、軍を壊滅させる事なんて余裕で出来るんだからな。
「さてと・・・そろそろ突入部隊がやってくるんじゃないのかな?」
俺はリ○インを飲みながら枝織ちゃん達にそろそろ準備をしておくように促した。
密かに”あの車”を狙っていたりするのは余談である。
とにかく、俺達と突入部隊の戦いは今まさに始まった・・・と言いたいのだが・・・・・・
「ダメです!!
第一部隊、全滅しました。」
「狙撃班からの応答ありません!!」
突入部隊は零夜ちゃんと枝織ちゃんによってことごとく打ち倒され、
「銀行内部の監視カメラの映像が擦り換えられています!!
こ、この映像は!?グハァ!!」
「なんだというんだ!?ひでぶ!!」
こちらの様子を見られないようにと、ルリちゃんとラピスが監視カメラの映像をとあるビデオに置き換えていた。
タイトルは”男教師〜男子校での禁じられし愛〜”・・・
何でこんな物持ってるんだ?
おそらくこれを見た人はトラウマになっていることだろう・・・
「ふっふっふ・・・
ようやく我の出番か・・・」
「久しぶりだねぇ、台詞がもらえたの・・・」
「行くわよ夏美。」
「最近体動かしてないからなー。」
とうとう、北辰やナオさんが動くようだな・・・
夏美さんたちも侮れない。
「皆、ナオさん達が攻めて来るぞ!!
気を抜くなよ!!」
「「「「了解!」」」」
外を見ると、どうやらこっちに来るのは北辰とナオさんと美幸さんと夏美さんのようだ。
ナオさんは素手だが、北辰はこん棒を、美幸さんは拳銃(ペイント弾)、夏美さんは訳のわからないスーツを着ている。
何だあれは?
「説明しましょう!!
アーマードマッスル
夏美さんが着ているものはA.Mスーツと呼ばれるものよ。
原料はオリハルコンと呼ばれる希少金属を様々な金属と合成する事によって生まれた世界最強のスーツ。」
イネスさんは中嶋さんから取り出したスピーカーを使い、俺に話し掛けてきた。
オリハルコン・・・ネルガルが発見した新たなるC.Cの用途。
C.Cを触媒としてつくられたこの金属は、様々な金属と合成する事によりその特性が発揮される。
例えばチタリウムと合わせると硬度が飛躍的に上がり、ニッケルと合わせると特殊な形状記憶合金となる。
「おまけに常人の30倍以上の筋力を引き出す事が出来ちゃうの。
あまく見てたら怪我するわよ。」
30倍って・・・反則じゃないですか?
「どうしますかアキトさん?
向こうの方は中々の戦力のようですけど・・・」
ルリちゃんが俺に聞いてくる。
「仕方ない・・・ナオさんは俺が引き受けて、枝織ちゃんが北辰。
零夜ちゃんが美幸さんと夏美さんを頼む。
ラピスは銀行の電子マネーを指定の口座へ。
ルリちゃんは脱出ルートの確保。
・・・てな感じでどうかな?」
「あの・・・ちょっといいですか、アキトさん?」
零夜ちゃんがおずおずと俺に聞いてきた。
「何だい?」
「北辰の相手・・・私がしちゃダメですか?」
「「「「へ・・・?」」」」
全員がその事を聞いて唖然とした。
「北辰はこん棒を持っています。
私、こん棒って嫌いなんです。
大丈夫です。
あんな棒にとげとげをつけた邪道な武器に私は負けません。」
バットに釘を打ちつけるのも充分に邪道だと思うんだけど・・・
俺達はその考えを口にする事はなかった・・・
アキトVSナオ
「うおおお!!」
「ちぃ!!」
ナオさん!!かなり手ごわくなっている!?
昂気を使っていないとはいえ驚くべき事実だ。
ナオさんもナデシコで遊んでいたわけではなかったんだ。
「お前・・・なんか失礼な事考えてなかったか?」
「 (ぎくっ)
まさか・・・いやだなぁ、ナオさん。」
なかなか鋭くなったなナオさん。
・・・ととっ、余計な考えは危険だな。
俺はナオさんの攻撃を避けながら、なんとかこの事態を打開する策を考えていた・・・
枝織VS美幸&夏美
強い・・・夏美お姉ちゃん・・・・・・
いくら行動に制限をつけたとしてもここまで私と渡り合えたのはアー君だけだったのに・・・
「もらった!!」
「甘い!!」
ガシッ!!
私は夏美お姉ちゃんの攻撃をいなす。
あんな一撃をマトモに受け止めでもしたら体の骨が粉々に砕け散ってしまう・・・
バランスを崩した夏美お姉ちゃんに一撃を加える。
「はっ!!」
「ぐぅ!!」
手ごたえなし・・・反則だよぉ、あのスーツ(泣)
けれど今は泣き言を言ってる暇はなし。
早く追い打ち掛けて美幸お姉ちゃんの相手をしたいんだけど・・・
パン!! パン!!
「わあ!?」
私が夏美お姉ちゃんに追い打ちをかけようとするといつも美幸お姉ちゃんが援護射撃をする。
ペイント弾だから、打つ瞬間の殺気があまり伝わってこない・・・
なんとか勘だけで避けている状態なんだよなぁ。
・・・北ちゃんに代わろうかな?
零夜VS北辰
「北辰!!あなたをこのバットのサビにしてあげるわ!!」
「笑止!!ゆくぞ!!」
ガン!! ガキ!! ガコ!!
私と北辰は互いに打ち合っている状態である。
けれど私は負ける気がしない。
なぜなら私の今使っているバットは”羅苦゛無呂躯”
ちなみに書いてある文字は”嗚呼面”
このバットは私が持っている中でトップクラスのバットである。
あんなもの
こん棒なんかに遅れをとるはずがない・・・と思ってたんだけど・・・
バキッ!!
「あ〜〜〜!!!」
「ふっ・・・未熟。」
北辰の昂気をのせた一撃が私の”羅苦゛無呂躯”を粉砕した。
「・・・昂気の使用は禁止じゃなかったの?」
「それは我が娘とテンカワアキトだけだ。」
キレた・・・
こいつだけは絶対に許さない。
北斗VS美幸&夏美
「北斗神拳奥義”百裂拳”!
あたたたたたたた〜!!!」
ドガガガガガガ・・・
「な、何なのよそれ〜!?」
夏美のやつは気を失ったようだ・・・
いくら急所を外したとはいえ、あの連打には耐えられなかったようだ。
・・・それにしても俺が開発した”北斗神拳”はなかなかのものだな。
これでアキトとの再戦が楽しみになったというものだ。
「!!」
ダン!! ダン!!
キュン!! キュン!!
そういえばもう一人いたな・・・
さっさと片付けるか・・・
俺は銃を乱射する美幸へ向かっていった。・・・
「ちょっと!!
何で当たんないのよ!?」
「・・・北斗神拳究極奥義”無想転生”」
無想転生とは”無より転じて生を拾う”。
どんな攻撃も”無”の前では意味を持たない・・・
勿論、不都合なところもある。
「終わりだ・・・」
トン・・・
俺は美幸に手刀を当て気絶させた。
「ん?」
どうやら頬に掠ったらしい・・・
やはり無想転生は俺には不向きだな・・・
俺にはどうも戦闘中に”無”の状態になるというのが苦手だ・・・
・・・枝織ならおそらく出来ると思うが・・・
「加勢が必要なところは・・・やはり零夜か。」
俺は零夜の所へと向かって行った。
あいつに親父の相手が務まるとは思えんからな・・・
アキトVSナオ
ラスト ・ シンフォニー
「”最後の交響曲”!!」
ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!・・・
俺はリポルバーを二丁持ってナオさんに向け連射した。
「甘いぜ!!」
ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!・・・
ナオさんは両手を後ろに回しながら状態も後ろに倒し、俺の銃撃を全て避けた。
「何ですかそれは!?」
「ふっ・・・ミリアの為にカッコイイ男を目指し、”マト○ックス”を徹夜で観た事があるのさ。」
「 ・ ・ ・」
ナオさんもどんどん人外の道へと進んでいってるな・・・
まさか映画のワンシーンをそのまま再現させてしまうなんて・・・再現?
「ナオさーん。
確かマトリッ○スのあのシーンでは銃弾掠りませんでしたっけ?」
「え!?ホント?」 (本当です)
ナオさんが考え込んだ・・・チャンス!!
「ていっ!!」
「あ〜!!汚ねえぞアキト!!」
抗議ををしているナオさんを俺は窓から放り投げた。
「さてと・・・ルリちゃん達の所へ行くか。」
零夜VS北辰
俺は零夜の元へ何とか着くことが出来た。
途中で3回ほど迷ったが・・・
そして俺が見たものは・・・
「喰らえ!!
バット(ウ)
紫苑式抜刀術”愚乱怒素羅無”!!」
「ぬがぁ!!」
ガシャ〜ン!!
あの飛び方だと飛距離にしておよそ160Kmといったところかな・・・
という事は落ちる場所は太平洋か。
「ふぅ・・・我ながら見事な歩宇夢乱だったわ・・・・・・」
そう言った零夜の右手にあった釘バット・・・
あれは確か”ベーブ・ルース”が病気の子供の為に打ったホームランの記念バット(サイン入り)。
紫苑一族がそのバットを譲り受け(強奪とも言う)たと言う話だ。
俺が昔見た時は釘なんて刺さってなかったはずだが・・・
「このバットは私が自ら釘打ちした物・・・
怨念・・・懺悔・・・喜び・・・・・・様々な感情を込めたこの一振りはまさに最強の武器!!
釘の本数もあの感動が起こった1926年にちなんで1926本!!」
そう言ってバットを天に向けかかげる零夜。
サイン
書いてある文字をさり気なくチェック・・・”愛亜無茶夢非゜怨”?
誤字がどうとかと言う以前にどこか間違ってないか?
さらに言うなれば偽物じゃないのか?それ・・・
「北ちゃん、早くルリちゃん達のところへ行こう。
アキトさんならきっと終わらせてるよ。」
「あ、ああ・・・そうだな。」
この事はナイショにしておこう・・・
ルリ&ラピス
「終わりましたか?ラピス。」
「うん・・・ちゃんとここにある金額を指定の口座に振り込んでおいた・・・」
今時銀行に現金なんてありませんからね・・・
お金を預けるのも落とすのもカードを使うのが主流になってますから。
「逃走ルートの方はどうなってるのルリ?」
「大丈夫です。
後はアキトさん達が来るだけです。」
そう言っていると
「お待たせー。」
「待たせたな。」
零夜さんと北斗が入ってきました。
「早かったですね・・・
アキトさんは一緒じゃないんですか?」
「あれ、まだ来てないの?」
アキトさん・・・もしやナオさんごときにてこずってるなんて事は・・・・・・ないですよね?
「あれ、皆来てたのか。」
どうやらそうでもなかったようですね。
どうやら皆集まったようだな。
後は脱出だけだ。
「ルリちゃん。
どうやって脱出するんだい?」
昂気が使えればどうって事ないのだが・・・
「この方法で大丈夫だと思っています。」
「どれどれ・・・」
「犯人からのメッセージです。」
「よこせ!」
「衰弱が激しい人質を数名解放します。
今現在そちらに向かっております。」
それにしても・・・
「それと逃走用の車はまだですか?
この際贅沢は言わずにリムジンで手を打ちますけど・・・」
ルリとラピスは本当にスゴイ。
人工知能に自分の声を入れてあたかも今ここにいるようにしているんだからな。
「さて、AIルリルリがねばっている内にここから離れましょう。」
「わかった。」
今俺達がいる所は下水道。
地上ではルリちゃんとラピスが製作したAIルリルリが交渉を始めている。
上の人達がこの事に気付いた頃には俺達は遠くへ逃げているだろう。
この勝負は俺達の勝ちに終わった。
翌日・・・ナデシコ長屋
「昨日の演習は確かに大成功でした。」
プロスさんがこめかみに青筋を浮かべている。
「けれど、我が社の銀行を壊すなんて一体どういう神経してるんですか!!」
いや・・・だって・・・・・・
ナオさんは手ごわくなってるし、北辰もいるし、夏美さんはA・Mスーツを着ていたし・・・
むしろ全壊にならなかっただけ奇跡だと思うんですけど・・・
「いいですか?あなた達は仮にもネルガルの出向社員なんですよ!!
その自覚をきちんと持ってですね・・・」
その説教は1日中続き、俺達はその日墨東署には行けなかった。
後書き・・・というか近況状況
お久しぶりです皆さん。
やっとガンパレードマーチが一区切りつきました。
そして次にやるのはグローランサー(また買っちゃいました・・・テヘッ)
はぅ!!・・・またまた更新が遅れがちになる予感・・・
それはさておき(おくな)、零夜の誤字の修正を行いたいと思います。
今回のはさすがにめちゃくちゃ読みにくいと自分でも感じたもので・・・
羅苦゛無呂躯−ラグナロク
嗚呼面 −アーメン
愚乱怒素羅無−グランドスラム(直訳は満塁ホームラン)
歩宇夢乱 −ホームラン(ほうむらん)
愛亜無茶夢非゜怨−アイアムチャンピオン(夢の”む”を”ん”と発音)
といった感じです。
当て字についてですが、作者の赴くままに行っておりますので、”む”が”無”や”夢”になったりとします。
その点ご了承下さい。
北斗が使った無想転生ですが、もう一つ不都合なところがあります。
それは昂気を使用した状態ではできないと言う事です。
理由は昂気を使用すると自分を無にすることなんて出来ないはずだからです。
またまた零夜のバットを使わせてもらいました。
この場を借りて感謝の言葉を申し上げます。
代理人の感想
・・・普通のバットに千本以上も釘打てるかなぁ(爆)?
と、まあ野暮な突っ込みはなしにして。
そう言えばGS美神で似たような話がありましたね〜。
やはりもうちょっとひとひねりあった方が(枝織がAMスーツの隠し芸に負けるとか)よかったでしょうか?