少年

機動戦艦ナデシコ

後書き 「独白 あるいは蛇足」




皆さんはじめまして、Effandrossと申します。 
100%オリジナルとはいえなくても初めて自分で書いた小説を多くの方々に読んでいただける機会を作ってくださった、
管理人さん、代理人さんをはじめとするActionの関係者の方々に御礼を申し上げます。

また、拙作の推敲を手伝っていただいたK−999さん、♪♪♪さんに
百万の感謝を申し上げたいです。

全部で9話というまあちょっとした中篇ですが無事に書き上げることができて何よりです。 

ほんとうに、ありがとうございました。


続いては懺悔のようなもの。

このお話は、正確にはテレビ・映画で放映された機動戦艦ナデシコの二次創作ではなく、
ナデシコSSを数多く読んでいわば帰納法(あるいは演繹法?)的に見出した原作のイメージをもとにする二次創作です。
従って、いくつかある致命的な間違いは(特にヴィジュアル的なもの)は原作を見ていないことに起因します。
たとえば、ハリくんの瞳が金色だったりすることですね。

内情を少々暴露しますが、地理的事情でナデシコをテレビ版、映画版ともにみることが
大変困難な状況で、いままで見るチャンスがありませんでした。
不可能ではないけれども、金銭的・労力的に大変難しい、と言うことです。
多分今後も見ることはかなわないとは思いますが、そんな中でも自分の内より湧き上がる創作意欲を形にさせていただきました。

原作を見ていないのに起因する勘違いなど、見苦しい点がありましたらご指摘くださると大変ありがたいです。
自分自身の日本語のリハビリ、という意味もあって書き始めたので、ここ何週間かとても楽しく創作させていただきました。
少々自己陶酔のような、雅語や奇妙な代名詞を使いまくりの文章で、多少不満の残る部分もあるとはいえ
まずは処女作としては自分なりに満足のできる出来、という自己評価です。
皆さんが少しでも楽しんでいただけたことを真に願っております。





あらすじ、というか作者のコメント

承前(序章と書くべき)「心を削ぐは 言葉の牙、そして電脳の槍」
一種ワンパターンの劇場版後の追いかけっこ。 「テンプレがからりと揚がった」とどこぞで言われたけど、まあ似たようなもの。
気を使ったのは感情のぶつけ合いのような科白の構成。 でも、基本構成がワンパターンだから読み飛ばされていたんだろうな、と思う。
建御雷は八百万の神からです。 思兼が知の神であるのに対し、建御雷は雷の戦神。 
ユーチャリスの頭脳の名前としてはふさわしいかと思って命名。
ラピスの髪の描写は、シリアスに書こうとすると桃色の髪という言葉に拒否反応を示した結果。

第1話 「世界は優しくなく、現実は鋼の如く」
ハリくんって本来すごくいいポテンシャルを持った子供なのに、なぜか情けない。 経験不足とはいえ、弱い。
何故かを考えた。 ・・・あのガキ、すぐ逃げるから強くなれないんだ。 あの有名なハーリーダッシュのおかげで。
ということで、小道具を用意する。 その名も、自動車。 運転中の車の中でクリティカルな会話をさせて、ハーリーダッシュを封ずる。
これでダッシュで逃げられたら僕は死にまふ。 で、現実に直面させてみる。

第2話 「花は咲いてこその花、たとえ我が物とならざるといえども」
ハリくん、覚悟完了。 とはいっても葉隠覚悟のそれではなく、むしろ散に忠誠を誓う強化外骨格、震のおやじさんのそれ。
武士道。 エゴを捨てれば楽になれる。 一種の解脱? あるいは逃避ともいえますが。
第3話でハリが理不尽に格好良すぎるぞと言われないように下準備。 それと、最終話のための伏線作り。
泣きたくなるくらい、短いです。

第3話 「少年は嵐の中 矛を磨ぎ、そして放つ」
テンプレ。 序章そのまんまで視点を変えただけ。 
そのわりにはテンプレだという批判無し(ちょっと寂しい)。 卵でとじたのが良かったのか? ここまでが起にあたる。

第4話 「賞賛の声は 鈍色の牙とともに来たる」
短いけれども承がこの話。 悲劇ってのは、直前に感動シーンやほのぼのシーンがあってこそ良く映える・・・!! 
との推敲を手伝ってくれた方の言葉通り、これから落とすためのほのぼのシーン、と言っていい。
話のラストが転の導入部。

第5話 「全ては 法の下の秩序の為に」
ここからがちょっと長い転の部分。 題名が全てを表してしまいそうだが、この題名は火星の後継者の台詞のぱくり。
とりあえず、この話のおかげで今まであったものが随分崩れていく。 非道、鬼畜な話だが、実は一番書いていて楽しかったお話だったりする。
法律の話を短くまとめるのに少々苦労する。
サブちゃん、すまん。 他に撃てる相手が居なかったのよ。
一つ、大きな悔いが残るのがここ。 この展開を出すための伏線をどうしても書けなかった事。
ハリくんの視点で固定していたから、どうしても伏線をいれる余地が無かった。

第6話 「優しくて 優しくて 優しくて」
ここまで書き込めば、ハリ×ミナトというカップリングに派生させることもできるだろう、とかどうしようもないことを考えさせたお話。 
書いてくれる人が居たらすごく嬉しいかも。 萌えたりしません? こういう組み合わせ。
最初自然にキャラを動かしたときには誰でもいいからすがりつくものが欲しかったミナトがハリを押し倒すことに。 
修正に大苦労。 流石に18禁はまずいもんねぇ?
切れたミナトさんって、新鮮だなぁ。 ハリをもう一回叩きのめして、復帰させるお話。 ルリが怖い。 ウィルスメールは勘弁。

第7話 「杯を交わす二人に 憎しみはすでに無く」
ちょっと余分な話かもしれないけれども、最終話に行く前にちょっと溜めが欲しかった。
ホリの人格の掘り下げと彼からの今後の協力の暗示が目的。 あとはハリ君たちが影で頑張ろうとしているところもなんとか描きたかった。
完全な余談だが、この話でホリの言うような法律用語をつかったジョークは、極めて法学部生の間では普通に交わされるものだったりする。
もう一つ余談。 緑色の瓶のジン、これの僕の大好きなジンの王様、タンカレーだったりする。 お試しあれ。

最終話 「一ヶ月の永遠」
法律話を短くするのに一苦労。 裁判の流れとか、最初はこの5倍くらいあったけれども法律用語になれていない読者が苦労すると思って圧縮しまくり。
それでも要点は掴めてくれれば、と思う。 
ルリの扱いがどうしても悪くなってしまった。 スタート時点から徹底的に情緒不安定な設定にしたから、状況が悪くなるに従ってさらに精神的に悪化。 
ごめんなさい。 本当にもうちょっといい扱いをしたかったんです。 切に。
最後はやっぱりSFっぽく締めることができたと思う。 元ネタは一応存在するけれども、それはSFからではあらず。
この終わり方をハッピーエンドととるかどうかは読者に任せます。 そのくらいの余韻は欲しいかなぁ、と。









蛇足

ここから先、この「少年」を書く上で気をつけていたことを書かせていただきます(飛ばしていただいても結構ですが)。
初投稿の男が何を言っているのか、という気もしなくもないですが、
それでも他の方々に何かしら得るものがあるのでは、と思って書くことにしました。

一番大事だと思ったのが、プライドです。 
アマチュアとはいえ心の中はプロ意識をもって、ということです。
人様に見ていただく以上は無様なものを書きたくは無い、というのがスタートで、そうすると誤字のチェックや推敲を綿密にやるのは必然です。
(承前は気づきませんでした。 代理人さんご指摘ありがとうございました)
また、始めた以上は完結させなくてはいけない、というのも立派なプライドの発露です。

無様なもの、というだけではなくて他人にわかってもらえる文章を書くことも重要かと。
これは実は、一人でやるのはすごく難しいことです。 
どうしても独りよがりの文章になりがちなので、他の方に投降前にチェックしていただきました。
これは誤字チェックをさらに正確、綿密に行ううえで、とても助けになりました。 
それでも数々の誤字が残っていますけれども、相当ましになったと思います。

それから必ず次の分のラフドラフトが書きあがるまでは投稿しない、というのを絶対条件にしました。
これがなかなか書きなれていない僕には大事でして。
何しろ、話の続きを書いている途中で登場人物たちが勝手に動き出す。
そうすると当初考えていたプロットからの修正が必要となって、前の章に手を加えたくなってしまう。
大体、一番最初のプロットではアキト主人公で死に面する覚悟の話でしたし。
ハーリーくんにフォーカスが思いっきり移ってしまいました。
もちろん、投稿してからでもその修正は不可能ではありませんが、楽ではないでしょう。 
鋼の城さんに余計な手間をかけさせることにもなりますし。
まあ、こういうやり方をやったおかげで、随分と作品の修正、向上は楽だったです。
これは締め切りに追われないアマチュアの特権ですね。

あとは、座談会はとってもとっても参考になりました。 特に基本プロットの作成をするにあたって。



蛇足の蛇足ですが、

この話、イネスさんが居なくて本当に良かったです。
よく使い勝手が良いとか言われているのを聞きましたが、もし居たら大変なことになっていたでしょう。
なぜって、あの方が居るとすべてを説明してくれるから。
だから結構きっちりした理論構成を考えないと、説得力が失せてしまう。

その代わりに物理学、心理学、その他の科学に疎いホリ(ホサカ)と
心理学の造詣の無いミナトに説明役を担当させることで、かなり適当な言い方でも話を切り上げることが出来ました。

例:第5話より
「火星の後継者より接収した資料は、
 ジャンプに慣れたA級ジャンパーがCC無しでジャンプできるようになる可能性を示唆している。
 理論的なことはよくわからないが、ジャンプに必要な分子構造だかなんだかが構築されるとか」

「それこそただの石ころをそこらのビルの構造体の中にジャンプさせるだけで
 核爆発だかなんだかを起こすことが原理的には可能らしい」

本人も良くわかっていないけれども、状況を説明するには十分。 そのあたりの説明に関しては違和感が出なかったのでは、と思います。
そもそも本人達が伝聞系、もしくは推測系で話しているので突っ込みにくいでしょうし。
いやいや、使い勝手が良かったです。 イネスさんがいたら、どこまで考えなければならなかったんだろう・・・。 うわぁ、面倒くさ。
手抜き万歳。






最後に、僕の書いたこの「少年」を読んでくださったみなさんに精一杯のお礼を言わせてください。

ありがとうございました。



Effandross 




 

代理人の感想

ああ、面白かった。

綺麗に纏まりましたね。

 

後書きを見て感服しましたが、やはり面白いものを書く人はこれくらいのことが出来ているんでしょうね。

思いつきでものを書くのが悪いとは言いませんが、やはり脇はキッチリ固めないといかんと思います。

 

ルリの扱いに関しては、やはり主人公がハーリーである以上仕方が無かったと思います。

少年にとって最も高い障害はやはり彼女だと思うので。

 

法律用語の羅列は・・・確かにこのくらいが適当でしょうね。

他にも例えば判決のあたり、「結果として判決は但し書きつきの無期懲役。」の前に

 

「平たく言えば地球連合に対する敵意はなかったので反乱ではなく、事情を考慮してラピスの事は見逃してもらえた。

 コロニーの人たちや警備していた軍人を死なせた責任、その他はさすがに免れることが出来なかったが、

 こっちも事情を考慮してかなり罪を軽くしてもらえたと言うことだ。」

 

と言った噛み砕いた説明を入れるのも良かったかと思います。

まぁ、読み飛ばしてもあまり問題は無い部分ではありますが。

 

 

最後にいい物語を読ませてくれたEffandrosさんに対しお礼を述べたく思います。

こちらこそ、ありがとうございました。