覇王大系・AKITOLEGEND
第七話
「運命の交点」
コロコロコロ・・・・・・
森の中の街道を進む一台の”馬車”のようなものが、とある方向へと進んでいる。
そこには、一組の男女が乗っていた。
暫くすると、女性の方が男性に向かって、懇願するような顔で話しかける。
「ねぇ、アキト。」
「どうした?」
「・・・・・・お腹すいたぁ〜」
ズザザッーーー!!
「わ、わっ! どうしたの、アキト? しっかり操縦してよ。」
突如として、彼らの乗り物がよろめく。
手綱を握っている男性 ― アキトは、声を発した女性 ― レオーネの方を向き、
(またなのか・・・・)
と、心の中で呟いた。
俺は、現在レオーネと共に、ナジーから貰った”ワゴン”と呼ばれるもので移動をしている。
平たく言えば馬車みたいなもの。
ただ、牽引するのがメカのようなものになっていて、大気魔力がエネルギー源。
正確には、大気魔力を含んだ”ミスト鉱石”と呼ばれる物を使用している。
”リュー”とは違い、定期的にエネルギーを供給してやらなければいけないという難点があるものの、
燃費はそこそこ良い。その為、アースティアにおいては、旅をする時に使用する移動手段として
一般的なモノの一つだそうだ。
「・・・さっき携帯食を食べたばかりだろ。一体どれだけ食べるんだ?」
ナジーと別れて、レオーネと行動を共にして数日になる。
その僅かな期間の中で、様々な出来事があった。挙げればきりがないが、
中でも驚いた事の一つとして次の様な事があった。
人間生きていればお腹が空き、食事をするのが当然。
その食事で、俺はある事を理解させられる事になる!
それは彼女が、かなりの大食いであるという事と食事の回数が常人よりも多いという事に・・・・・・
俺が持っていた非常食だけでは足りないだろうと言う事で、ナジーから
食料を貰っていた。貰った時”二人分にしてはかなり多すぎるのでは?”
と疑問に思ったものだが、その疑問が氷解するのに、然したる時間は掛からなかった・・・。
〈ねぇ、アキト兄。このままじゃ、食料が底をついちゃうよ。〉
《ほんと、底なしだね。彼女の胃袋は・・・。》
(・・・確かにどうにかしないとな。)
二人の呟きを聞きながら、どうしようかと真剣に俺は悩んでいた。
「少しは我慢しろ。このままのペースだと、目的地に着く前に食料がなくなるぞ。」
「えぇ〜、・・・分かったよ。でも、ボクお腹空きすぎると、また”野生”に帰っちゃうけど。」
その言葉を聞き、冷や汗が流れる。そして、
「・・・・・・・はぁ、しょうがない。少しだけだぞ。」
結局、要求通りに、俺は左手にある”宝玉”からある程度の食料を出す。
「ほんと? ありがとう、アキト!」
そう言うな否や、もの凄い勢いで食料を食べ始める。
〈確かに、アレは凄かったね・・・。〉
〔それ以上、言うな。思い出してしまったじゃないか・・・。折角、忘れかけていたのに。〕
俺は、右腕を見ながら呟いた。
《処でアキト兄、目的地までは遠いの?》
〔あぁ、地図を見た限りではもう少しある。真っ直ぐ行けば2,3日で着くだろうが・・・、〕
ちらっと、レオーネの方を見ながら、
〈先に、食料の方が尽きちゃうと・・・。〉
ディアが心情を察し、代弁を兼ねて返答してくれた。
〔・・・そうだ。だから、近くの街で食料調達しないといけないから、
到着には更に一週間かかるだろうな。〕
そう答えつつ、俺は数日前の事を思い出していた。
彼女 ― レオーネから挨拶をされた後、お互いに握手をしながら、
「俺の名前は知っている様だが、改めて自己紹介させてもらう。
名前は、テンカワ・アキト。この世界流で言うと、”アキト・テンカワ”
になるかな。呼び方はアキトで構わないよ。」
「いいの? じゃあ、これからはそう呼ばせて貰うね。
後、ボクの名前も呼び捨てで構わないから。」
とは言われたものの、流石に呼び捨ては良くないと思った。
そこで、以前の世界と同様に、敬称に”ちゃん”を付けて呼ぶ様にしようとした。
ナジーも同じような敬称を付けていたので問題ないと思っていたら、
彼女が何故かそれを嫌い、「呼び捨てがいい!」と言ってくる。
そして、終いには・・・・・・、
「どうしても、呼んでくれないの?」
と、半ば涙目で言われてしまい、結局、俺が折れる形での決着となった。
互いの自己紹介が終わった後、ナジーが体中土まみれで俺たちの所にやってくる。
実は、レオーネが自己紹介した後に、互いに握手をしようとしたところ
ナジーが性懲りもなくちょっかいを出してきた。
その為、再び”フリージア”の怒りを買う事になってしまい、剣の腹の部分で
殴り飛ばされる・・・という出来事があったのだ。
もっとも、ナジーが殴られる直前に、障壁のようなものを展開したのを、
二人で見ていたので”大丈夫だろう”と思い、別段心配していなかった。
決して、「忘れていた」という訳ではないのだが・・・・・・
「う〜、酷い目にあったもんじゃ・・・」
身体に付着した土を払いながらナジーが言う。
「自業自得でしょうが、ナジーの場合は。」
「何を言う! 儂はただ、レオーネちゃんに挨拶しただけじゃぞ。それなのに!」
”自分には非はない”とばかりにナジーが言うが、どう見ても・・・
「・・・それ以上は言わない方が身のためだと思う。」
俺は、ある所に視線を移しながら答える。
「どういう事じゃ? ・・・っ!!」
ナジーも、俺が向けている視線の先を追いながら見ると、その先には・・・
「フリージア!! 押さえて押さえて。」
剣を振り上げているフリージアの姿と、なだめようとしているレオーネの姿があった!
・・・付け加えるならば、ナジーに振り下ろされそうだった剣の向きは”腹”ではなく、
きちんと”刃”の向きになっていた事に、怒りの度合いが見て取れる。
「ナジーもよけいな事言わない! 本当に斬られるよ!!」
レオーネの注意を浴びながら、ナジーは必死でフリージアに謝っていた。
〈・・・・・・カッコ悪いね。〉
《なんか、僕の中で”大賢者像”がもの凄い勢いで崩れていっている。》
(・・・・・・といっても、秘めた実力は相当なものだな。
あの振る舞いは、自分の”力”を隠すためのものだろう。)
これまで見せた”力の一端”から、俺はそう思っている。
・・・もっとも、今見ている光景からは想像は付きにくい事は確かだが。
その後、何とかフリージアの機嫌を宥めたナジーは俺の方を向き、話しかけてくる。
「いや〜、見苦しい所を見せてしまったのう。それにしても、久しぶりじゃの、アキト。
しかも、身に付けているのも以前のとは違うのう。どこで買ったのじゃ?」
「”久しぶり”といっても、貴方と別れてから3日程しか経っていませんが・・・。」
「何を言っておる? あれから既に一ヶ月程経っておるのじゃぞ。」
「なっ!!(一ヶ月だと、そんな馬鹿な! )」
ナジーの発言に驚いた俺は、質の悪い冗談だと思った。
が、ナジーを見る限り嘘をついているようにも見えない。
「ん〜、一体どうなっているのかのう? アキト、お主は此処までどうやって来たのじゃ?
それに、お前さんと一緒にいた二人は何処におるのじゃ?」
その疑問に対し、俺はこの地に来る切っ掛けとなった”地下神殿”。
そして、”地下神殿”でおきた出来事―武具を手に入れるまでの
経緯をナジーに全て話した。
話を聞いたナジーは、顎に手を当てて悩んでいる。
どうやら、ナジーにとっても不可解な事であるのが見て取れた。
「ふむ。お主がいた”地下神殿”は儂も知らぬ。が、過去の魔法文明の遺産である事だけは確かじゃな。
しかし、破滅の巨像が封印されている場所で、儂が知らない場所があったとはのう・・・。」
(一体、あの神殿は何だったのだろうか?ナジーも知らなく、
また外界との時間がこんなにもずれているなんて。)
地下神殿のことを考えている最中、ディアとブロスが話しかけてくる。
〈ねぇねぇ、アキト兄。あの事を話してみたら。〉
〔なんだ? ”あの事”って。〕
《アキト兄が、この世界に来て聞いた”声”についてだよ。》
〈もしかしたら、元の世界に帰れる切っ掛けになるかもしれないし。〉
俺は少し迷った。その時の記憶が曖昧であったのに加え
口の出してしまえば、何となく後戻り出来なくなるような気がしたからだ。
そんな俺の様子を見て、レオーネが心配そうな顔をして話しかけてくる。
「大丈夫? 何か悩んでいるみたいだけど・・・。」
「・・・ん、大丈夫だよ。」
そう答えながら、俺は頭の中ではどうしようか考えを巡らせていた。
が、元の世界に戻りたい気持ちが強かったために、”声”について聞いてみた。
すると、二人の顔が、特にレオーネが驚きの表情となる!
「ねぇ、それほんと? 本当にその声聞いたの?!」
レオーネが俺の両肩を掴み、勢いよく聞いてくる。
流石に俺もこれには面食らった。まさかこんな反応をされるとは思っても見なかったからだ。
「あぁ、うろ覚えだが”声”を聞いた。が、何か心当たりでも?」
すると、レオーネはナジーの方を振り返ると、その意図が分かったのか
ナジーは頷いている。すると、
「ボクもその”声”聞いたんだよ。この世界で目覚めた時に・・・ね。細部は違うけど。」
《この世界って、もしかして彼女も・・・》
ブロスが”まさか”といったような口調で話しかけてくる。
俺も、半信半疑のまま彼女に聞き返した。
「もしかして、君も俺と同じく”異世界の住人”だというのか?」
すると、少し悲しそうな表情をしながら
「正確には違うんだけどね。実は・・・」
「まあ、その話は二人でいる時にした方がよいじゃろう。な、レオーネや。」
ナジーが、至極真面目な顔で会話に割ってはいってきた。
「アキトもそれでよいじゃろ?」
俺の方も異論はない。何よりあんな悲しそうな顔を見ては・・・な。
「さて、本題に入ろうかのう。お主に手紙で伝えたように知りたい事を話そう。」
そう言うと、ナジーは様々な事を語り始めた。
その語り方は、先程までの情けない様子とは違い、ナジーの”本質”の一端をかもし出している。
ナジーの話す内容に、俺は元より、二人も驚かされるばかりだった。
何故、最初に出会った時に話せなかったかというと、俺がナジーの”大いなる予知”に関わっているか分からず、
よけいな事に巻き込みたくなかったからだ。という事だった。
そして、
「お主等が聞いた”声”の内容も、儂の”予知”もこの世界の危機を示唆している。
更に、札のリューの乗り手が、儂が知る限りでもこの2,3年の間に増えている事も
”予知”が確かである事の証じゃからのう。」
俺は、手元の札を見つめつつ、
(まさか、コレを持つ事にそんな大きな意味があったとは。)
そんな事を考えていた。
「アキトよ、恐らくはその”声”の望みを叶えない限り、本来の世界には帰る事は出来ないじゃろう。
過去にこの世界に来た人物も、事の大きさの違いはあれど、何かを成し遂げた時に帰る事ができたからのう。」
「そうですか・・・。しかし、世界に起こるかもしれない【危険な事】って何ですか?」
「それなんだよね。ナジーと供に行動していたけど、そういった兆候は見られなかったよ。」
レオーネも不思議に思っていたらしく、俺と同じ事をナジーに聞いた。
「儂も分からん。言ったであろう? 儂の予知は曖昧じゃと。」
何故か、胸を張ってナジーは言う。
「はあ〜、でこれからどうするんです? 3人で行動するんですか?」
「いや、儂には他にすべき事があるのでな。アキト、レオーネと一緒に行動してくれ。
レオーネも良いな?」
レオーネも頷きながら「分かった」と言った。
「何処に行けばいい?ただ当てもなく旅をする訳にはいかないだろう。」
「お主達には、此処・・に行って、ある人物に会ってきて欲しいのじゃ。」
そう言うと、一枚の地図そして、人物の名が書かれた紙を渡された。
地図を見ながらレオーネは、
「大陸を越えて行かなきゃ行けない場所じゃない。ここからだとかなり遠いよ。”リュー”で飛んでいけって事なの?」
「良く地図を見るのじゃ。ここからそう遠くない所に、門があるじゃろ。それを使えば大丈夫じゃ。
・・・と言っても、そこそこの距離がある事には変わりがないがのう。」
「これだと、一週間から10日って所かな?」
納得といった感じでレオーネは頷いているが、俺にはさっぱりで、
「門って何?」
と聞き返すしかなかった。が「途中で話すよ。」の一言で、詳しくは教えてはくれなかった。
「それと、アキトや」
と、不意にナジーが先程とは打って変って、真剣な面持ちで話しかける。
「ん、何ですか?」
「お主も薄々は気づいておるじゃろうが、先程の戦闘を見ている限りでは、完全に”リュー”を扱っているとは言えない。
どちらかと言えば振り回されている様に儂には見えた。今のままでは、破滅の巨像以上の敵に遭遇した時に
生き残れるかどうか分からんぞ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
ナジーに指摘されるまでもなく、その事は十分に理解している。
現に先程の戦闘で追いつめられていたのは俺の方なのだから。付け加えるならば、
相手をしていたレオーネには、かなりの余裕があった事も感じ取っていた。
「そこでじゃ、彼女らに扱い方を教えてもらうがいい。
そうすれば、まだまだ強くなるぞ、お主等は。」
「私たちも出来うる限り協力するから、頑張ろうね!」
「・・・・・・あぁ、宜しく頼む。」
”暴力”が全てとは勿論思ってはいない。しかし、生き残り元の世界に戻るためには、
それ相応の戦闘力が必要なのも事実である。その為、ナジーの申し出とレオーネの協力は、大変有り難かった。
「一応言っておくが、レオーネちゃん自身もかなり強いぞ。彼女も特殊な”力”を持っているからのう。」
「えへへ、そんなに大した物じゃないんだけどね。」
〈ふ〜ん、特殊な力ってどんなだろうね?〉
《アキト兄のように昂氣みたいなものかな。どう思う?》
〔どんなって言われてもな。実際に見てみない事には何とも言えない。ただ・・・。〕
〈”ただ・・・”って、何か気になる事でもあるの?〉
〔・・・いや、何でもないよ。彼女の力も旅を続けていけば分かる事だから、今は気にするな。〕
そう言い、俺はレオーネの”力”についての話題を終わらせた。
”特殊な力”― 言い換えれば、それは常人が決して持ち得る事ができないというモノ。
そういった類のモノは、周囲の人間から見れば【異端】に見られる事が多いという事を知っている。
そして、ソレが本人にとっては大きな”枷”若しくは”重荷”になりうるという事も・・・・・・。
俺は、周囲の多くの人間が理解してくれていたからそうならずに済んだが、彼女も同じとは限らない。
そんな考えが浮かんだために、先程の会話の最後で、俺は言葉を濁したのだ。
「それじゃ、アキト。早く行こう!ナジーも頑張ってね。」
その後、ナジーから必要な物資と移動手段の”ワゴン”を貰い、目的地に向かって俺たちは移動を始めた。
そして、数日の間、旅の合間を見計らい、ディアとブロスからは”リュー”の扱い方を聞き、
彼女らに相手をして貰いながら、”リュー”の扱い方に慣れる訓練を重ねてきた。
それでも、俺はまだ完全には扱えないでいた。何故よりも、アレがまだ発動出来ないでいる。
他には、俺たちが知らない知識を、レオーネから教わったり等、色んな事をしてきた。
そして、ある事が切っ掛けで、彼女に関する事も知る機会があったのだが・・・・・・・・・
〈にしても、レオーネってあんな”過去”を背負っていたなんて・・・・・・〉
《可哀想だよね・・・。》
二人が話している通り、レオーネの過去は考えられない程に壮絶だった。
以前の世界でも似た様な存在と会い、そして戦いはしたが、彼女にはまた違った事情があった。
それを乗り越え、幾多の奇跡が重なり、現在俺の横で、楽しそうに食事をしている。
「・・・・レオーネ。」
「ん、なーに?」
彼女の食事が終わったのを見計らって、寄り道する事を伝えると、
「何故?」と不思議そうに聞いてくる。
「食料が足りなくなるんだよ、目的地に着く前にな。」
「なんで、あんなにあったのに?」
〈もしかして、レオーネって自覚ない?〉
《そう・・・みたいだね。返事を聞く限りでは。》
「君が人一倍食べるからだろうが・・・。」
レオーネは「そうなの?」といった様な顔で首を捻っていた。
・・・・・・・・・本当に、自覚が無かったらしい。
「だから、異界の門に到着するのは一週間は掛かるぞ。」
「うん、わかった。アキトにまかせる。」
彼女の返事を聞き、目的地から少しばかり離れた、”エルゴ”と呼ばれる町に向かう事になった。
ほぼ同時刻、とある街道を進む一団 ―― ワゴンに乗っている男性と少女、
更に、二本足の鳥のような大きな生き物―通称”ギャロップ”と呼ばれるのに乗っている少年の3人組がいた。
男の方は、かなりの背丈がありそれに応じた体躯をしている。一言でいえば巨漢である。
更に服の胸には、何かしらの”文様”が一つ描かれている。目は開けているのか分からない程細い。
一方、少女の方は男性とは対照的で背は低く、見た目はかなり華奢で、細身の印象を受ける。
そして、カナリア色系の長い髪を後ろで一括りにしている。将来、かなりの美人になる事が
容易に想像できる程の容姿を持っていた。また、彼女の脇には先端に大きな”球”が付いた杖が置かれている。
・・・・・・余談だが、胸は体型と比較するとかなり大きい。
また、ギャロップに乗っている少年の最大の特徴として、顔がマスクで覆われているという事!
体型はというと至ってスマートで、装備も身軽そうなモノを身に付けている。
背中には、外見上は”直刀”に見えるやや細身の刀を背負い、両肩のアーマーの背中部分には
同型のブレードが一つずつ装着されている。
その中で、顔をマスクで覆っている少年が、少女に向かい話しかける。
「パッフィー姫、この後どうなさります?」
「どういう事ですか、サルトビ?」
「この街道は途中で分かれる出ござる。一方はそのまま街道が続くでござる。」
「しかし、その反対側の街道を進むと町があるという事だな。」
サルトビと呼ばれる少年の言葉に続くかのように、男性が言葉を発する。
「その通りでござる、イズミ殿。」
「ふむ、食料等に関しては問題ない。無理して寄る必要もありませんが、
いかがなさいます、パッフィー様?」
「う〜ん、あ、そうですわ!」
少女は、少し悩んだ後に[ポンッ]と胸の前で手を合わせる。
「サルトビ、イズミ。町に行きましょう。もしかしたら、
ナジー様が仰っていた、”伝説の勇者様”が見つかるかもしれませんし、ね!」
「そうですな。我々の目的はパッフィー様の仰る通りで、”勇者を探し出す”のが最大の目的ですから、
色んな町を巡り歩けば、見つかる確率が高くなるのも道理。それと、ここの処野宿が続いたからな。
姫に野宿ばかりさせる訳にもいくまい。サルトビも異論はないな?」
「異論はありませぬ。パッフィー様の仰せの通りに。」
暫くして、一団は分かれ道にさしかかり、当初の目的通りに”エルゴ”に向かっていった。
「う〜、腹減ったぁ・・・」
ギャロップに乗っている否、運ばれている形となっている少年が呻く。
背中に、身体には不釣り合いな大きな剣を背負い、決して重装備とはいえないが、
それなりの身を護る程度の鎧甲を身につけている。
「どっかに町はないのか? このままだと飢え死にしてしまう〜。」
なんとも、情けない声をだす少年。頭だけを起こしてあたりを見回す。
「それに、この買った地図もでたらめだし。一体ここ何処なんだ?」
それでも、何とか上体を起こし、一枚の地図を広げている。
どうやら、道にも迷っている様子だ。
「くっそー! あのインチキ商人に騙されるとは!!
”音速のアデュー”ともあろう者が・・・」
あまりの悔しさに大声を出す。が、結果としてその行為は
空腹に止めを刺す形となり、敗北を告げるかの様に身体からある音が漏れる。
ギュルルル〜〜〜・・・
「お、お腹が・・・・・・・・・。このままじゃ、ん?」
遠くに何かを見つけ、急いでそこに駆けつけてみると、
「これは、町への標識だ。という事はこの街道を進めば食い物にありつける!
そうと分かれば、善は急げだ。走れ、ギャロップ!!」
手綱を引くと、ギャロップは進む速度を上げ町へと向かっていく。
しかし、アデューは見落としていた。標識に書かれている町までの距離を。
そして、その距離はかなり遠いという事を・・・・・・。
”エルゴ”からかなり離れた遙か上空、雲の上にはあるモノが浮いていた。それは・・・
ゴォン、ゴォン、ゴォン・・・
あたりに不気味な機械音を響かせて、その場に佇む巨大な物体。
その音を発している正体は・・・・・、
一機の巨大な飛行艇!!
その飛行艇は、暫くすると転進し、ゆっくりと行動を開始する。
飛行艇の向かう先には・・・・・・・・・・・・。
アキト達が立ち寄った町で、起きてしまう望まざる戦い。
その戦いの中で、アキトが出会った相手とは・・・・・・・・・
次回:
覇王大系・AKITOLEGEND
第8話 「接触!(仮)」
後書き(という名の言い訳)
どうも”時の番人”です。『アキトレジェンド』第7話をお送りします。
予告とは違う形になってしましました。色々と理由はあるんですけど・・・ね。
ただ、予告通りにするとまた物語が進まなくなる様な気がしてこの様な形になったんですけど・・・。
それでも、”進んでいるのか?”と聞かれると、何とも言えないのが現状で・・・・・・。
自分では進めたつもりなんですけど、これ以上は(泣)。 中々、物語を展開していくというのは難しいと痛感しています。
最後になりますが、感想を下さった、
トールさん、satoshiさん、ビッグさん、彼のΣさん、ケインさん、yuukoさん、
ミーティアさん、ノバさん、零さん、、創竜さん、ピョロ弐式さん。
誠に有り難うございました!!
稚拙なSSで読みにくい所があるかとは思いますが、よろしければ次回も読んでやってください。
では、これにて失礼いたします。時の番人でした。
管理人の感想
時の番人さんからの投稿です。
おや、とうとう本来の主人公達の登場ですかw
それにしても、集まった目的が空腹のためとは・・・いや、食べないと人間生きていけないんですけどね(苦笑)
アキトなら狩りでも十分に食料は補給できると思うんですがね?
そこらへん、どうなんでしょ?