時を翔け抜く双天使
第1章 第2話 the
view of JUN
目が覚めると、そこはベッドの上だった。
慌てて周りを見回す。
そこはどこかで見た風景・・・
小学校入学の時に買ってもらった大きな机・・・
様々な種類の本が並んだ棚・・・
そう、ここは僕の部屋だ!
しかし、なんでこんなとこに?
んっ?
周りの光景がいつもより大きく見える!?
あらためて自分の体を見てみる。
・・・体縮んでるし・・・
確か僕はテンカワを追いかけていて・・・
・・・ランダムジャンプをしたんだ。
過去に戻ったのかな?
ということは今何年だろう?
・・・2186年0月X日・・・
・・・と言うことは僕は10才か。
そういえばジャンプする直前、テンカワのイメージが見えたような・・・
もしかするとテンカワもこの時間にいるかもしれない!
とすると、ユートピアコロニーか。
どうやって会いに行こう・・・
・・・父さんたちを説得して火星に行かせてもらうしかないか・・・
じゃあ早速実行だな・・・
「父さん、僕火星に行きたいんだ。大事な友達に会うために。」
「ん、いいぞ。」
父さんの答えを聞いて驚いた。
「えっ、本当にいいの?」
「ああ、でどのくらい火星にいたいんだ?」
「まだわからないんだけど・・・もしかしたら長くなるかもしれない。」
テンカワがこの時間に跳んできているかどうかで決まるから・・
「そうか、母さんどうする?」
「そうねえ〜。いくつか条件をだすから、それを守れるんならある程度はね。」
「条件ってどんなの?」
「1〜つ、火星にいられるのは15才までとします。」
5年間はいられるのか。
「2〜つ、3日に一度は連絡をいれること。」
うん、大丈夫だな。
「3〜つ、私たちの友人の家でお世話になること。」
これも大丈夫だな。
「うん。わかったよ。でも、なんでそんなに簡単に許してくれたの?」
疑問に思ったから聞いてみる。
「そうだな。・・・これがお前のはじめてのわがままだからかな?」
「そうね。今までジュンは私たちの言うことをきちんときいてわがまま言ったことなかったからね〜。」
「それに、そんな真剣な顔をして頼まれると余計にな。」
嬉しさと感謝の気持ちが一緒に湧き上がった。
「ありがとう。父さん、母さん。」
「ああ、で滞在先なんだが・・・父さんの大学時代の友達でな。名前はクオン アキマサ。お前も2、3年前に1度会った事があるはずなんだが。」
少しだが思い出した。
「たしか7才の時、家族で何日か家に泊まっていたよね。体格のいい人だったね。」
「そうそう。で、そのアキマサさんだけど、確か何かの武術をやってらっしゃってとっても強いのよ。」
「そうだな、父さんと互角に戦ったのもあいつだけだったからな。」
父さんが遠い目をしながらそんなことを言った。
「父さんもつよいのよ〜。確か甲賀忍軍の頭りょ「おおっと、母さん目玉焼きがこげてるぞ。」
「あら大変。」
トットットット
何か今、母さんがすごく大事なことをいっていたような・・・
「あのー、父さん母さんが言ってた続きはなに?」
「んー、ジュン何を言ってるのかな。母さんは何にも言ってなかったよー?」
父さん、いつもと口調が変わってますよ。
「いやでも確か甲賀忍ぐ「そうそう、で父さんの友達のことだが、これがいいやつでなー。」
あやしい。
「いや今は父さんが甲賀に「父さんの親友なんだよー。」
絶対あやしい。
「だから甲「おまえもよくなついていたよなー。ん、どうしたジュン?」
「もういい・・・」
そう言いながらも心の中では確信していた。
父さんは絶対に甲賀忍軍の頭領だと。
そう考えれば、時々見せる不審な行動の説明がつく!
そう、天井に貼り付いたり、体から煙を出して消えたりしたことの。
「そうか。ああ住所を教えなければな。」
なんか、もういつもの父さんに戻ってるし・・・
「街からちょっと離れている場所にある神社を経営しているそうでな、神主をしているらしい。はいこれが住所だ。」
そう言って住所を書いたメモ用紙を渡してくれた。
「後で連絡しておこう。ついたらあちらさんにもよろしく言っといてくれ。」
「うん、ありがとう。父さん。」
「お祖父ちゃんとお祖母ちゃんにも、ちゃんと報告しておくのよ〜。」
いつの間にか戻ってきていた母さんが言う。
「うん、母さんわかってるよ。」
そんなこんなで火星のユートピアコロニーに着いた。来るまでにいろんなハプニングがあったが・・・
どんなことが起こったかはご自由に想像してください。(泣)
まあ、それはさておきテンカワの家はっと・・・
あらかじめ調べておいたメモを見る。
ふむふむ、こう行くのか。
メモから目を上げた瞬間、誰かとぶつかった。
ドンッ
「きゃっ!?」
ドテッ
僕より少し年上くらいの女の子が、尻餅をつく。
僕は慌てて駆け寄り助けおこした。
「大丈夫ですか?すいません前を見てなかったものですから・・・怪我はありませんか?」
今のは完全に僕に非があるので申し訳なく思った。
「ええっ、どこも怪我はしていませんよ。」
「そうですか。それはよかった。」
ほっとして相手に笑いかける。
一瞬相手が驚いたような顔をしたけど、すぐに元の表情に戻って、
「こちらも申し訳ありませんでした。では・・・」
そう言って足早に去っていく。
その後姿を見ながら思った。
前を見ろ 下向き歩くは 事故の元
テンカワの家に着いた。
チャイムを鳴らす。
ピンポーン、ピンポーン
「はいはい、今出ますよっと。」
ガチャ
ドアが開きテンカワが出てくる。
テンカワは一瞬だけ僕の姿を観察し
、 「あの・・・どちらさまでしょうか?」
と、問い掛けてきた。
もしかしてテンカワはこの時間に跳んできてないんだろうか?
そんな不安が広がったが、とりあえず聞いてみた。
「テンカワ、僕だよ僕。わかるかい?」
一瞬間が空き、
「もしかしてジュンか!?」
よかった。テンカワもこの時間に跳んできてたみたいだ。
「ああ、そうだ。」
ほっ、と安堵の息を吐きテンカワに微笑みかけた。
テンカワにすすめられて家の中にお邪魔した。
「おじゃまします。・・・テンカワ、家には誰もいないのかい?」
「誰もいないのは両親を地球に逃がしたからだ。それと前から言おうと思っていたんだがテンカワはやめろアキトでいい。」
「わかったよアキト。・・・そうかこの時間ではご両親は助けられたのか。よかったな。」
過去を変えられた。その事実に驚きと共に期待が生まれた。
「ああ。・・・なあジュン。俺はこの時間の未来を変えようと思うんだ。」
その言葉を聞き、アキトがあの時のように絶望してないことがわかった。
それだけで、例え偶然であろうと、この時間に跳んでよかったと思える。
全てが変わったアキトとユリカの新婚旅行・・・
2人が乗った旅客機が目の前で爆発し・・・
僕は自分の無力感を感じた・・・
ナデシコの誰もが認め祝福した2人の結婚・・・
そして、今から始まるはずだった幸福を一瞬にして壊された2人・・・
ナデシコの中心だった2人の死・・・
僕もナデシコの皆もその事実に打ちひしがれた。
一番2人の身近にいたルリちゃんはどんな気持ちだっただろう・・・
それから2年・・・
僕は2人の死を忘れようと仕事に没頭した。
そして起こった火星の後継者の反乱・・・
その最中、ルリちゃんからアキトとユリカが生きていると聞いた時・・・
言い表せない程の嬉しさが込み上げてきた。
しかし、2年ぶりにあったアキトはあまりに変わっていた。
復讐の念にとりつかれ、大量殺戮までやっていた・・・
火星の後継者の反乱を鎮圧し、復讐を終えたアキトは去っていった・・・
そして始まったナデシコCとユーチャリスの追いかけあい。
ルリちゃんから話を聞いた時、僕はナデシコCに乗ることをすぐに決めた。
乗るために出された条件は、ジャンパーであること。
そして、ジャンパー手術を受けB級ジャンパーとなった。
アキトにユリカの元に戻って欲しかったから・・・
自分の心をそれ以上傷つけて欲しくなかったから・・・
ランダムジャンプをする直前のあの時、アキトは死ぬことを決心していたのだろう。
だが、今のアキトはこの時間の未来を変えるために生きようとしている。
自分のためではなく、皆のために・・・
今はそれでいい・・・
いつか、自分のためにも生きようとする思いが生まれるかもしれない・・・
僕はその手助けをしよう。
アキトがほっとした表情になる。が、すぐに顔を引き締め、
「ジュン、頼みがある。」
「なんだい?」
僕も顔を引き締め、答える。
「俺は未来を変えるためにあの時以上に強くならなければならない。だが、復讐人となったあの時から、俺の心の中には狂った闇がある。
戦闘の時には全てを壊したい衝動が押し寄せてくるんだ。自分を抑えきれる自信が、俺にはない・・・身勝手な頼みなのはわかっている。
もしもの時は俺を止めて欲しい・・・だから、強くなってくれ!もちろん俺の知りうる全ての技を教える。」
僕はテンカワの復讐を知っている・・・
あの力はとてつもなかった・・・
「もちろんOKだよ。たとえ血反吐を吐くような修行だってね。」
「・・・ありがとう。」
僕は強くなってみせる。自分のために・・・
アキトのために・・・
ナデシコの皆のために・・・
そして、アキトが抜き身の刀となったとき、僕は彼を納める鞘となろう・・・
下宿先に行かなければならないため、修行は明日からになった。
テンカワの家を出て3時間後、山を登り頂上近くにきてようやくメモに書かれた住所と同じ場所にたどりついた。
・・・久遠神社・・・
なかなか立派な神社だ。荘厳な感じがかもしだされている。
神社の裏手にある母屋のほうにまわり、玄関のチャイムを鳴らす。
ピンポ〜ン
タッタッタッタ
ガラッ
扉が開き中から体格のいい30前半くらいの男の人がでてきた。
「どちらさまですかな?」
「アオイ ジュンといいます。父からここでお世話になるよう言われたのですが・・・」
「おうおう、ジュン君か。大きくなったの〜。確か会ったのは1度だけだったか。リョウマは元気にしとるか。もう1年も会っとらんからの〜。」
「はい、元気にしております。今日からよろしくお願いします。」
「おお、こちらこそよろしく頼むぞ。サクエ〜、ジュン君がきたぞ〜。」
奥から気立ての良さそうな女性があらわれる。
「あらあら、久しぶりねえ。覚えているかしら。それにしても大きくなったわねえ。前に会ったのはあなたが7才のときだったかしら?」
この人には可愛がってもらった覚えがある。
「お久しぶりです。以前はどうもありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそ。ああ、私のことはサクエさんってよんでね。」
「わかりました、サクエさん。」
「あと娘がいるんだけど、まだ帰ってきてなくてね。つかれたでしょう。さあさあ中に入って。」
「お邪魔します。」
家はなかなか広く清潔な感じがする。
僕は居間に通され、アキマサさんたちに今後の事を話し始めた。
「明日からのことなんですが・・・」
「ああ、どうするんじゃ?」
「ちょっと事情は言えないんですが、たぶんここに戻るのは3日に1度くらいだとおもうんですが・・・」
「なんでなんじゃ?」
「う〜ん、平たく言うと山にこもって修行です。友達と。」
「おお!そうかそうか。あいわかった。おおいに修行に励むとよいぞ。」
「そうね。修行がんばってね。その友達にもよろしく言っておいてね。」
2人とも何故かすんなり納得してくれた。
しかも、応援までしてくれてるし・・・
さすが父さんの親友なだけのことはある。
そう納得した時、扉の開く音がした。
「ただいま帰りました。」
「おお、帰ったかアヤノ。ジュン君がきておるよ。」
「ええ、知っていますわ、お父様。今日お会い致しましたもの。」
そう言って、姿を見せたのは僕より少し年上くらいの女の子。
長い髪を一まとめにして前に垂らしていて、とてもおしとやかそうだが、意思の強そうな目をしている。
あっ!この子は・・・
「君は駅前でぶつかった・・・」
「ええ、あの時はすぐに逃げ出してしまって申し訳ありませんでした。あなたが突然現れたものですから心の準備ができていなくて・・・」
「本当にすみませんでした。アオイ ジュンです。アヤノさん、お久しぶりです。」
「お久しぶりです。これからもよろしくお願い致しますね、ジュンちゃん。」
ジュ、ジュンちゃん・・・
そうだ、この人にはそう呼ばれていたんだ・・・
・・・・to be continued
後書き
こんにちは、こんばんわ。暁の明星です。
やっと2話目です。
風邪の体に鞭打って書き上げたんですが納得がいかない出来です。
いつか改訂版だします。
それはさておき、ジュン書いてみました。
この話は、ジュン最強化計画の第一歩です。
ふっふっふ、Benさん見てろ!!私はジュンを漢にしてみせる!!!(Benさん、ごめんなさい)
プロローグの時の謙虚さはどこへやら、ちょっと(?)暴走気味です。
誰か私を止めてくれ〜〜〜(泣)
そして、でてきたオリキャラ、その名もクオン アヤノ。
これからの話にどう絡ませよう。
実はまだ決まってなかったりしちゃいます。(汗)
それはそうとジュンのエステの色、何色にしよう?
ご意見受付中です。
感想出してくれると嬉しいですが・・・
ジュンは10才なのに学校はどうする気だ、とか・・・
ジュンが10才のふりをしてねー、とか突っ込まないで(泣)
では、次のお話の後書きで・・・
代理人の感想
う〜む、ここのところジュンをプッシュする動きが少しずつ目立ち始めてますね。
やっぱり時ナデのジュンに対するアンチテーゼなんでしょうか(爆)?
個人的には最強でも目立たなくてもいいから
隅っこの方でこっそり幸せになっていてほしいのですが(笑)。