サモンナデシコ

 

 

 

 

第八話 屍人の砦 〜 Outsider 〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あたしは今、再び金の派閥に足を運んでいた。

 例の海賊を、あたし達が撃退した事を知ったファミィさんが、お礼を兼ねて報酬をくれるらしい。

 此方としても、段々と仲間が増えてきたので、その申し出は嬉しい事だった。

 

 ただ―――何故かあたし一人で、この金の派閥に来てるんだけどね。

 

 その理由は以下の通りだった。

 

「・・・おお、アキト殿ではござらんか!!

 あの後、何処に消えたのか皆して心配していたでござるよ!!」

 

「あはははは、本当に久しぶりですね、カザミネさん。

 いや、例の事件の後ね・・・あの時は、俺もちょっと他に用事があったから」

 

 意外にも面識があった、行き倒れサムライ怪しいコックの二人。

 会話の内容も怪しいのは、やはりお約束なのか?

 

「とにかく、金の派閥の議長が呼んでるから、アキトも来るでしょう?」

 

 一応、海賊船に止めを刺したのはこの男だ。

 というより、生身で船を沈めるなこの非常識男。

 

「いや、俺はケーキ屋のバイトと、ユエルの調子を見に行くのと、モーリンさんの稽古相手と、ハサハちゃんと釣りに行くのと・・・」

 

 延々と今日のスケジュールを述べるアキト。

 時々、この男は自分があたしに召喚された、護衛獣というべき存在である事を忘れているのではないかと思う。

 ううん、絶対に忘れてる。

 

 ま、その件は横に置いとくとしても・・・

 

「・・・・・・・・・・・・相変わらずでござるな、アキト殿。

 武術の腕前は天下無敵!!

 そして、女性関係ではまさに天下無双!!

 

「・・・・・・・・・・・・そんな事で感激すんな、この行き倒れサムライ」

 

 何故か感激して涙を流しているカザミネさんを残して、痛む頭を抱えながらあたしは金の派閥に向かった。

 アキトの手を引いてご機嫌なハサハちゃんだけが、手を振ってあたしを見送ってくれた。

 

 ・・・寂しくなんかないもん。

 

 

 

 


 

 

 

 

「あらあら、トリスさんお一人で来たのですか?」

 

「はぁ、ちょうど仲間が不在でして」

 

 そういえばフォルテ達は何処に消えたんだろう?

 ・・・あ〜、確か街の人達が昨日、開いてくれた戦勝パーティで、無茶な飲み方してたもんね。

 まだ部屋で潰れてるんだな、フォルテにロッカ。

 ということは、ケイナは看病、ネスは隣でお小言か・・・いい気味だわ。

 

 ちなみに、あたしはネスの監視が強すぎて殆ど飲めなかったのだ。

 せっかくのタダ酒がぁ〜

 

「まあ、殊勲者の一人には違いないわけですし。

 トリスさんにこの名誉勲章と、サモナイト石各種をお渡しします」

 

「あ、有り難う御座います!!」

 

 ある意味、あたしの所属している蒼の派閥の議長から、褒美を手渡されているのに等しい。

 その事に今更ながら気が付いたあたしは、少々緊張をしていた。

 

 そんなあたしの姿を、ファミィさんは穏やかな目で見ていた。

 あたしには両親の記憶なんて殆ど無いけれど、その視線はとても心地よいものだった。

 きっと子供を見守る親の視線って、こんな感じなんだろうな・・・

 

 その後、堅苦しい事は終わりということで、あたしはファミィさんの執務室でお茶をご馳走になっていた。

 テーブルを挟んで対面に座るファミィさんから、ミニスが今何をしているのかなど、色々と笑い話(?)を聞かせてもらった。

 

「そうそう、それと一つお願いなんですけれど。

 ミニスちゃんを、貴女達の旅の仲間に加えてもらえないかしら?」

 

「え? ミニスをですか?

 ・・・ですが、あたし達はちょっと複雑な理由でパーティを組んでますから」

 

 まさか、国の軍隊の一つに追われています・・・何て言えないわよね。

 内心でそんな事を思いながら、あたしはミニスの件について、何とかファミィさんの意見を変えようと返事を濁した。

 

「黒の旅団の件は、ミニスちゃんから聞いてます。

 あの娘にも良い経験になるでしょうし、何より将来有望なコック兼戦士が居るとか。

 実際、目の前で海賊船を沈めてましたしね」

 

   ゴン!!

 

 ガラス製のテーブルに頭を打ち付けるあたし。

 近頃こんなパターンが多いな・・・と思いつつ、一応反論をしてみる。

 

「あの、確かにアレ切れすぎるくらい切れてる男ですが。

 ミニスには悪い影響しか与えないと思いますよ?」

 

「あら大丈夫ですよ、家のミニスちゃんも元気な娘ですから」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・済みません、どう解釈すればいいのか、あたしには分かりません。

 

 ころころと楽しそうに笑うファミィさんを前に、あたしは冷たい汗を背中一面にかいていた。

 

 

 

 


 

 

 

 

「と言うわけで、ミニスのパーティ復帰が決まりました」

 

「よろしくぅ♪」

 

 あたしの背中から飛び出たミニスが、元気一杯にピースサインをする。

 

「・・・・・・・・・・・・僕も一緒に行くべきだったな。

 たまには子供の使いくらい出来るだろうと、淡い期待をしたんだが」

 

 引き攣った笑顔のあたしと、満面の笑みを浮かべるミニスを見て、ネスがそんな感想を述べた。

 ネスのジト目に耐えるあたしを残して、ミニスは他のメンバーと楽しそうに再会の挨拶をしていた。

 

 ・・・この裏切り者がぁ

 

 

 

「アキト、今日の魚料理はまた変わってるな?」

 

 魚の身と、色々な野菜の混じったソースを一緒に口に運びながら、フォルテがアキトにそう尋ねる。

 今までこの地方の料理を主体に作っていたアキトにしては、確かに珍しい料理だった。

 

「ああ、それは俺の一番得意な中華料理ですよ。

 こっちの商店街で、俺の世界の料理に必要な材料が手に入ったので作ってみたんです。

 揚げた魚に、甘酢を掛けただけの料理なんですけどね。

 いや〜、火力の調整に手間取りましたけど、結構自信作です」

 

 料理の事を語るときは、本当に嬉しそうだな、コイツ。

 フォルテの隣では、モーリンも珍しい料理の数々に驚きながらも、その美味しさに舌鼓をうっていた。

 

「どうも足りないみたいだから、新しい料理を作るね。

 今日は知り合いのシオンさんから小麦粉を貰ったから、色々と面白い料理が作れるんだ」

 

 アキトはそんな二人を嬉しそうに見た後、新しい料理を作るために厨房に戻った。

 ・・・何時の間にか大所帯になってるもんね、あたし達も。

 それにしても、シオンさんもファナンに来てたんだ。

 

「おお、これも美味いじゃないかい。

 フォルテ、自分ばっかり食べてないで皆にも分けないと駄目だよ」

 

 モーリンのその忠告に、口一杯に料理を頬張ったフォルテが、首を左右に振って嫌がる。

 って・・・・あんた幾つだよ。

 そうそう、モーリンも武者修業を兼ねて、あたし達に同行すると言ってくれた。

 その腕前は既に知っているので、あたしには強く断る事が出来なかった。

 

 まあ、心強い仲間が増えるのは良い事だ・・・現在のあたし達の家主でもあるし。

 

「・・・まったく、子供と行動が一緒なんだから」

 

 ハサハちゃんのために、取り皿に料理を取り分けながら、ケイナが呆れた声で呟く。

 その皿を受け取り、ハサハちゃんは美味しそうに食べている。

 

「・・・・♪」

 

「あ、私も私も〜」

 

「はいはい」

 

 ミニスはハサハちゃんに何か盛んに話し掛けながら、ケイナから料理を受け取っていた。

 なんかお姉さん役が板についてるな〜、ケイナって。

 

「そうそう、今日広場で吟遊詩人に会ったんだけど。

 どうも、きな臭い話をしていたよ・・・」

 

「きな臭い話って?」

 

 ロッカの発言に、あたしは思わず聞き返した。

 

「・・・戦争が始まる気配がある、ってさ。

 今後、どう動くんだ?」

 

 その発言を聞き、あたしの動きが止まる。

 直接的な関係は無いと思うけど、自分達がその開戦理由に関わっているような気がして仕方が無い。

 

 ・・・いや、まさか、そんな馬鹿な事は無いと思うけど。

 

「そうね、そろそろ騒ぎも一段落したし。

 明日には、アメルのお婆さんの家に向かって出発しよう!!」

 

 ロッカの言葉を受けた後、あたしは料理を食べる手を一時止めてそう叫んだ。

 ・・・肝心のアメルは、アキトの作った料理を厨房から運ぶのに大忙しだったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ううううう、美味いでござる美味いでござる!!」

 

「・・・黙って食べてよカザミネさん。

 って、それ以前にどうしてここに居るのよ?」

 

「細かい事を気にしていては、大人物になれんでござるよ」

 

「・・・・・・・・・・・・そういう問題、ねえ?」

 

 

 

 


 

 

 

 

 昼前に出発をしたあたし達は、昼過ぎくらいにスルゼン砦に辿り付いた。

 ただ、砦というわりには見張りも立っていないその状況に、あたしは不吉なモノを感じていた。

 そして、砦に一歩入った瞬間、それは襲い掛かってきた。

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「な、何よこの人!!」

 

 青い肌をした、まるで生気を感じない男性が、不気味な動きであたしに迫る!!

 その気味の悪い動きに引きながらも、思わずアキトを前に突き飛ばすあたし!!

 

「ちょ、ちょっとトリスちゃん!!」

 

「殺りなさい、アキト!!」

 

     ドガッ!!!

 

「うがぁぁぁぁぁ!!」

 

 アキトはあたしの命令を受けて、困った顔をしたまま蹴りで不気味な男性を吹き飛ばした。

 どうやら、さすがにお玉を使うのは躊躇われたらしい。

 

「・・・結構過激だよな、トリスって」

 

「・・・というより、殆ど躊躇い無しにアキトを囮にしたわね」

 

「・・・お姉ちゃん、恐い」

 

「そこ、黙れ」

 

 あたしの一喝を受けて黙り込む、フォルテ、ケイナ、ハサハちゃんだった。

 あたし達がそんなコントをしている間に、アメルが困惑した顔でアキトに話し掛けていた。

 

「アキトさん、私・・・あの人から、全然生気を感じないんですけど」

 

「だろうね、俺もそうだったから結構本気で蹴ったんだけど・・・」

 

 アキトとアメルがそう言った瞬間、アキトに蹴り飛ばされた男が、曲がるはずの無い角度に首を曲げたまま立ち上がっていた。

 その光景を目の前にして、あたし達の動きが止まった。

 

    ダンダン!!

 

 しかし、次の瞬間―――その不気味な男性の頭が吹き飛んだ!!

 そして大声で誰何の声が掛かる!!

 

「おい、お前達は生きてる人間か?」

 

 あたしがその声の方を向くと、そこには茶色い髪を短くした30代前半の男の人が立っていた。

 その人は、拳銃と呼ばれる武器をこちらに向けたまま、鋭い目付きであたしを睨んでいる。

 そこには先程の不気味な男性には感じなかった、明らかな殺意というモノが感じられた。

 

「質問の意図が良く分からないけど・・・あたしは生きてる人間よ。

 それより、こっちこそ武器を向けられる理由が知りたいわね」

 

「カーッカッカッカッカッカ!!

 その男の質問の意味を、私が教えてやろうか?」

 

 突然砦の上から響いた声に、あたしの視線は釘付けになった!!

 そこには、やはり青白い顔をした―――しかし、あたし達を嘲るような笑みを浮かべた男が立っていた。

 

 

 

 

「私の名前はガレアノ

 屍人使いのガレアノだ」

 

 自慢気にガレアノがそう語ると同時に、砦のあちらこちらから人影が出てくる。

 その全員が、先程の不気味な男性と同じく青白い顔をしていた。

 それにしても屍人使い・・・つまり、死人を操っているの、あのガレアノは!!

 

「くそったれが!! 俺の仲間達をこんな姿にしやがって!!」

 

 先程、拳銃であたし達を救ってくれた男性が、自分に向かってくる死人を攻撃しながらこちらに合流する。

 話だけで判断すると、この人はどうやらこの砦で戦っていた人らしい。

 

 ―――そして、この砦の唯一の生き残り、か。

 

「どうやら、お互いの敵は一緒みたいね。

 ここは共闘しない?」

 

「・・・ああ、そうだな。

 俺の名前はレナード、元ロスの市警だ」

 

 ロスって何処よ?

 そんな疑問も湧いたけれど、今は戦闘前なので忘れる事にした。

 先程の銃の腕前を見た限り、遠距離戦では凄く頼りになりそうだし。

 

「クカカカカカカカ、この私には逆らうだけ無駄だとアベシ!!」

 

 レナードと合流したあたし達を、馬鹿にしたように笑おうとしたガレアノの身体が大きく仰け反った。

 何となく、こいう理不尽な現象に係わりがありそうな人物に目を向ける。

 

「はい、次の『弾』ですよー」

 

「あ、どうもですパッフェルさん」

 

 何時の間にか来ていた、オレンジ色のウェイトレス姿の女性―――パッフェルさんから、拳大の石を受け取るアキト。

 その石を掌の上で二、三回お手玉をした後、大きく振りかぶって・・・ガレアノに向かって投げ付けた。

 

「き、きしゃま等!! このょおれ様にゴバッ!!」

 

 歯が抜けたのか、不明瞭な怒鳴り声をあげるガレアノの顔面が再び陥没した。

 

「おお、ナイスコントロール」

 

「・・・お兄ちゃん、凄い♪」

 

「流石です!! アキトさん!!」

 

 高さにしておよそ20m、距離にして100mを超える標的を、見事にその『弾』は撃ち抜いていた。

 その光景に思わず快哉を上げたのが、フォルテとハサハちゃんとアメル。

 気のせいだろうか、あたし達を取り囲もうとしていた死人さん達も動きを止めていた。

 ・・・いや、これは多分ガレアノからの魔力の供給が、止まったせいね。

 

「また・・・理不尽な事を・・・」

 

「召喚術の立場が無いわね、このアキトが居ると。

 ・・・それに、私の弓矢より有効だし」

 

「かなり上位の召喚術じゃないと届かないよ、あんな位置まで」

 

 頭を押えながら、ネスが溜息混じりにそう呟き。

 ケイナも自分の武器を見て、何となく寂しそうにぼやく。

 ミニスは冷静に分析をしているが、何となく不満そうだ。

 

 私はただやっぱりね、と逆に達観してたけど。

 というか、パッフェルさん、何時ここに来たんだろ?

 

「き、ひしゃまのなみゃをいっひみりょ!!」

 

 あ、ガレアノ復活

 

「・・・何て言ってるんだろ?」

 

「さあ、私に聞かれても困るよ」

 

 首を捻るアキトに、モーリンが肩を竦めて答えていた。

 

「多分、『もう許して下され』でござるよ」

 

「いや、それ多分全然違う」 × カザミネを除く全員

 

 などとあたし達が何時もの如くコントをしていると、ガレアノが最上階で地団駄を踏み出した。

 どうやら他人に無視をされるとキレるタイプらしい。

 ・・・自尊心が強いのね。

 

「おまえひゃ!! これたけひゃわいっとヅドム!!」

 

 そのまま、ガレアノは『弾』の勢いに圧されるように、砦から吹き飛んだ。

 どうやら今度は結構本気で投げたらしく、腹部にくらった『弾』ごと空に飛んでいったのだ。

 

    ぽちゃん!!

 

「あ、砦の後ろって河だったんですよねー」

 

「じゃ、生きてるだろ、多分」

 

 などとおっしゃるのは狙撃手コンビ

 そのままバタバタと倒れる死人達を見る限り、ガレアノが倒れた事だけは本当みたい。

 

 ・・・ただ、最後まであのガレアノの目的というか、何が言いたかったのか分からなかったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、俺の立場って・・・」

 

「ああ、いじけないいじけない。

 全部あの理不尽な男のせいだから、レナードさん」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 それからは予想通り・・・ガレアノからの魔力が切れた死人達の動きは、完全に止まった。

 あたし達は、沈痛な顔で死体の処理をするレナードさんを手伝い、手厚く葬った。

 その後で、レナードさんの身の上・・・実ははぐれ召喚獣である事を、あたしは知った。

 暗い顔で黙々と作業をこなすレナードさんに、アキトが話し掛けるのをあたしは聞いた。

 

「レナードさん、元ロスの市警と言う事は・・・ロサンゼルスの事ですか?」

 

「!! お前さんも、俺と同じ世界から召喚されたくちかい。

 しかし、あの桁外れの実力だからな、それも当然か・・・名前は何て言うんだ?」

 

「えっと・・・レナードさんは木星蜥蜴ってご存知ですか?」

 

「当たり前だろ、やっと平和になったと思ったのに、和平の次の月には俺はこの世界に呼ばれたんだからな。

 それより、お前さんの名前は?」

 

 何か、全然意味の分からない会話をしてるなぁ〜

 

「アキト〜、何を話してるの?」

 

 あたしがそう聞いた瞬間、アキトは額に汗をかき、レナードさんの目が鋭くなった。

 

「アキト・・・アキトねぇ。

 あの理不尽な実力を考えると、お前さんがあのテンカワ アキトか?」

 

「あは、あははははははははははは・・・あっちに帰っても俺の事は秘密にして下さいね、願いしますね」

 

 引き攣った笑顔のアキトを見る限り、どうやらあたしの横槍はクリティカルしたらしい。

 まあ、たまにはいい気味だ。

 

 

 

 

 

 全てが終わり、今後どうするのかとあたしはレナードさんに聞くと。

 

「あんた達も召喚師だろ?

 俺を元の世界に戻す手段が見付かるかも知れないのなら、付いて行きたいんだが。

 それに、あの『漆黒の戦神』まで同行してるんだ、身の危険も少なそうだしな」

 

「は? 『漆黒の戦神』って何よ?」

 

「・・・ああ悪い、こっちの話だ」

 

 そう言って、微かに苦笑をした後、煙草をくわえながらレナードさんはその場から去った。

 あたしは何だか付いていけない会話の内容に不満を感じつつ、何時も通りアキトの元に向かった。

 

 さすがにあの現状を見た後で砦には泊まれないので、あたし達は少し離れた場所でテントを張っていた。

 

 

 

 

 

 

「今日は何だか問答無用だったわね?」

 

 何時ものように、明日の朝食の下準備をしているアキト。

 ただその背中がちょっと不機嫌そうなのは、あたしの気のせいだろうか?

 

「どうも気に入らない奴だったんだよ、死んだ人を弄ぶ所とかね。

 何より、人をモノみたいに思ってる態度が・・・・チョット、ね」

 

 自分でも気が立っている事が分かっているのか、アキトは軽く深呼吸をしながら返事をしてきた。

 どうやらあたしの勘は当たっていたらしい。

 

「それに、あのガレアノって奴も変な『気』をしてた。

 だから問答無用で攻撃をしたんだ。

 ・・・あれは昔戦った『アイツ』に似てる。

 もしそうなら、裏で何か大きな事が動いてるかも」

 

「少なくとも、普通の人間じゃない?」

 

 これまた、珍しく厳しい顔をしているアキトをあたしは覗き込む。

 その瞳は目の前の鍋ではなく、何処か遠い所を睨んでいた。

 

 アキトがここまで気にするなんて・・・何が起こってるんだろう?

 それにレナードさんが言った『漆黒の戦神』って・・・やっぱり、コイツしかいないわよね。

 

 色々と聞きたい事はあったけど、真剣なアキトの雰囲気に気圧されて、その日は何も聞けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書き

あ〜、疲れたっす・・・

まあ、レナードさんは唯一アキトと同じ世界の住民ですからね。

今後も色々とアキトを冷や冷やさせてくれるでしょう!!

それにしてもトリス達の活躍の場面が、今回無かったな〜

・・・このままではレベルアップも厳しいか?(汗)

これはフリーバトルでもさせないと駄目だな。

 

 

 

<日和見の感想>

 

はいはいどーもこんにちは。

早速ですが行ってみましょう。

 

>そして、女性関係ではまさに天下無双!!

並び立ちたくねぇ!

 

>将来有望なコック兼戦士が居るとか」

んー、この「将来有望な」って言葉はどこらへんから来たのやら。

生身で海賊船沈めるよーな奴の将来ですよ?

 

 

……あ、ファミィさんも似たよーなもんか(爆)

 

 

 

>「そうそう、今日広場で吟遊詩人に会ったんだけど。

> どうも、きな臭い話をしていたよ・・・」

 

お、吟遊詩人登場。フラグが見えてきましたね。

ちなみに、ゲーム未プレイの方のために何のフラグか説明すると、

 

 

 

バッドエンドフラグです。

 

 

 

 

>それにしても屍人使い・・・つまり、死人を操っているの、あのガレアノは!!

 

うーん、実は今回の話でこれ(ガレアノ)が一番疑問だったんですよね。

と、言うのも……

 

>大きく振りかぶって・・・ガレノアに向かって投げ付けた。

 

>不明瞭な怒鳴り声をあげるガレノアの顔面が再び陥没した。

 

>・・・いや、これは多分ガレノアからの魔力の供給が、止まったせいね。

 

これ以降、トリスの一人称では全部「ガレノア」になってるんですよ。

ボケかましてるのは分かるんですけど、ボケてるのがトリスと塔托天王さんのどっちなのか判断に困っちゃいまして。

 

と、思ったら

 

>「それに、あのガレノアって奴も変な『気』をしてた。

 

アキトまでこの様だと、どうやら塔托天王さんのようですね(笑)

 

 

 

 

 

<おまけ・「いつも心にハサハを」のコーナー>

 

さてさて。皆さん、サモナデ2第七話の感想担当を思い出してください。

あの萌えに全てを捧げた漢の叫びを。

 

実は、第八話のコメント担当が私に決まってから、事有る度に彼から「いつも心にハサハを持って感想を!」と
洗脳主張されたのでせっかくだからやりましょう。

では、

 

>アキトの手を引いてご機嫌なハサハちゃんだけが、手を振ってあたしを見送ってくれた。

 

これから大好きなお兄ちゃんと遊びに行くことでしあわせ一杯の笑顔を浮かべてます。

トリスがどこに行くかなんて全然気にしてません

微笑ましいですね。

 

 

>ハサハちゃんのために、取り皿に料理を取り分けながら、ケイナが呆れた声で呟く。

>その皿を受け取り、ハサハちゃんは美味しそうに食べている。

 

>ミニスはハサハちゃんに何か盛んに話し掛けながら、ケイナから料理を受け取っていた。

 

この時点でハサハの台詞は有りません。ハサハは夢中になって食べてます、そんなところにミニスが話し掛けようと聞いちゃいませんね。

つまりこの時点でアキトの料理>ミニスな訳です。

アキトにとっては料理人冥利に尽きる反応でしょう。

 

いやー、かわいいですねー。

本当にいいと思いませんか、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パッフェルさんって。

 

ハサハ? さぁ(爆)