POWER 第2話「夢とは正しくて間違っている物」
一応彼の詳しいプロフィールを見ておくか……
ページをめくっていき彼のページを見ていく。
『エステバリス隊パイロット
カスガ・シノブ23歳 男性 178cm 69kg
経歴
元ボクシング日本スーパーウェルター級チャンピオン
2195年6月17日A級ライセンスを返上
2196年7月19日ナデシコクルーとして契約 』
そこには彼の簡単な経歴が書いていた。
前回いなかったのは、今回と違いなにか身の危険に合っていたのかもしれない。
その後いろいろ思案してみるが、これだというのは浮かばない。
だけどこれだけは言える。
すでに歴史は書き換えられてきている。
歴史が動くのはもっと先だと思っていので、こんなに早く変わっていくとは正直思ってなかった。
だけどこれでいい。
少しずつでも歴史が動いていけばあの結果には繋がらなくなるのだから。
絶対繰り返させない。
俺がこちらに来て全てに干渉したのだから。
これが俺にできる唯一の贖罪だと思うから……
―RURI―
――テンカワ・アキト――
私がこの世で一番会いたい人。
私がこの世で一番大切な人。
その人を連れ戻す為にすべてを捨ててきました。
でも……でもこんな事態が起こるなんて……
「ハーリー!ハーリー!!」
「……はぁ、はぁ……サブロウタ……さん……」
ハーリー君の体はすでに赤く染まっています。
サブロウタさんが必死に呼びかけています。
でもハーリー君の反応が徐々になくなってきてるのがわかります。
ハーリー君がこんな風になってしまったのは、私のせいなんです。
私があの時ミスをしてしまったから……
「ハーリー君死なないで……死んではだめです」
もう私の周りで誰かが死ぬのは嫌です。
もうあの苦しみを味わうのは嫌です。
だから、ハーリー君死なないで……
自分でも顔色が悪くなってるのが分かります。
私も何かしなければならないのは分かっていますが、体が動きません。
まるで金縛りにあったように。
そんな私を見て、サブロウタさんが意を決したように話掛けて来ました。
「艦長こうなったらジャンプするしかありません。
俺たちは死ぬ事を覚悟してここにいるんです。
勿論死ぬのは嫌です。
でもどの道ジャンプしなければハーリーは死にます……
なら可能性のある方へ賭けてみるしかないんです」
そうしなければいけないのは分かっています。
でも……でも体がいう事を聞いてくれないんです。
「……艦長……僕にはかまわず……ジャンプの準備を……」
「ハーリー君……」
わかりました。
今は私にできることをやります。
もう二度と家族を失わないように。
そうしてなんとか体を動かし、遺跡へと装置をリンクさせていきます。
大急ぎで準備に取り掛かり
『計算完了!よくできました』
なんとかできたようです。
これを使えばB級ジャンパーでもA級ジャンパー並みのジャンプができるはずです。
本当ならイネスさんも研究を封印し、試作としてこれ一つを作ったのみ。
すいません。
私はイネスさんに謝りました。
イネスさんが一生封印するはずだったこの機械を自分の為に使う事に対して。
そして覚悟を決め
「サブロウタさん、ハーリー君行きましょう」
二人を呼びました。
「はい」
サブロウタさんは返事を、ハーリー君はなんとか頷き行くということを肯定しました。
そして……
「オモイカネ私たちがジャンプしたらナデシコCを自爆させてください」
『わかったルリ』
「そしてあなたは本体をナデシコBへ写してください」
『それじゃ気をつけて行ってきてください』
「うんそれじゃあ行ってきます」
そしてシステムを立ち上げました。
『システムスタート』
『極冠遺跡中央演算装置とリンク開始』
『システムオールグリーン』
『ジャンプ座標固定』
『ディストーションフィールド発生開始』
『ジャンプカウントダウン開始』
『5』
『4』
『3』
『2』
『1』
『0』
『ジャンプ』
それぞれの思いを秘め私たちは火星極冠遺跡をジャンプしました。
―???―
俺の目の前で人が殺された。
しかし何も感じない。
なぜならこれは夢だからだ。
ここ最近毎日というほどこの夢をみる。
このあとも全て分かる。
人を殺した奴はこの後その周りにいる人を全て殺していく。
――1対10――
数の上では圧倒的に有利だ。
だけどそいつには誰もかなわない。
次々と人が殺されていく。
戦闘……いや一方的な殺戮もすぐに終わった。
ものの10分もかかっていない。
そこで終わりかと思うが奴は別の場所へ向かって走り出す。
森の中を走ってるはずだ。
しかし奴の走りには一切の無駄がなく、平地を走ってるのと変わらない速度で走っている。
途中襲ってくる人がいるが奴は、その速度を落とす事なく殺しその足を進めていく。
やがて森を抜け少し開けた所に出てきた。
そこには一人待ち構えていたようにたたずんでいた。
そして二人は戦い始めた。 両者は互角だった。
何時間戦っただろうか、二人とも攻撃の手をやめようとしない。
そんな中でも決着はいつかつくものだ。
奴の方が有利になっていき傷をつけていく。
段々と避けきれなくなっていき、ついに致命傷といえる所に奴の持っていたナイフが刺さろうとしていく。
だめだ!
なぜかいつもここでこう思ってしまう。
なぜかはわからない。
だけどだめなんだ。
その人を殺せばだめだ!
……その女性を殺してはだめだ!
うわぁぁぁぁぁぁ!!!
修正版後書き
こっちは加筆修正と副題を付けました。
管理人の感想
アイハラ・ヒカルさんからの投稿です。
ハーリーが死にかけって・・・何があったんでしょう?(汗)
何気にオリキャラが混じっていましたが、何かの複線ですかね?
まさかサブロウタとか?
・・・・無いですよね、木連にいるはずだし(苦笑)
それと趣味で穏行を極めるなよ、アカツキ(爆)