時の流れに ａｎｏｔｈｅｒ
ダブル
その日、アキトは朝から憂鬱だった。
優人部隊に優華部隊、彼がもてなさなければならない人間が大挙して押し掛けていたのだ。
未だ、和平の樹立がなされない今、重要なメンバーが１カ所に集まっている。
木連、地球連合軍その双方の抗戦派にとって、和平派を一挙に殲滅するチャンスなのだ。
「テンカワ君、どうしたの？朝からブルーになってないかい？」
現（あくまで現）ネルガル会長アカツキが聞けば、
「わかっているのか？アカツキ。抗戦派が今のナデシコを墜とせばどうなるのか」
「落とせると思うかい？優人部隊に優華部隊、それに僕たちナデシコのエステバリス隊。
極めつけはテンカワ君に北斗君。
今回の戦闘におけるドリームチームと言っても過言じゃないと思うよ。」
「それはわかっている。しかし、お前も俺の記憶を見たんだろう？それに以前の北辰の来襲のこともある。」
「そうだねぇ、それじゃぁ今回は出撃は最少人数だけにして艦内の防衛にも人数を割こうか？」
朝食の終わった食道での会話が区切りがついた、そのときだった。
ナデシコは暗礁宙域を抜けていた。
『プルルルルルッ、プルルルルルッ、プルルルルルッ、プルルルルルッ』
ブリッジ
ユリカ、ルリ、メグミ、ミナト、ラピス、ハーリー主要なクルーの他は未だ座席に着いていなかった。
「後方１００ｋｍのチューリップから木連有人型戦艦多数ボソンアウト」
ルリの報告に慌てて入ってきた月臣以下の木連メンバーも驚きを隠せない。
「馬鹿な、我々以外に次元跳躍門を通れる人間が木連にいるなんて」
丁度そのころ、格納庫にはアキト以下のナデシコ所属のパイロットと北斗以下の木連メンバーが揃っていた。
「北斗、ここは俺たちが出撃する。だからそっちのメンバーはナデシコ艦内の防衛に当たってくれないか？」
「どういうことだ、アキト？」
「以前、俺がナデシコにいないときに北辰の襲撃を受けたことがある。
その時は何とか退けたが今回来るとすれば前回の７人より人数が多いことが予想できる。
本来、俺が残るのが筋なんだろうが今回は、頼む。」
「わかったアキト、後で鍛錬に付き合えよ」
アキトと北斗がそんな会話を交わしているとき、１度ブリッジに顔を出していたアカツキが現れたのだが、
「あ、あれ？誰だい、予備のエステバリスに乗っているのは」
メインのエステバリスは各個人専用になっている。
しかし、予備のエステバリスはＩＦＳさえあれば誰でも動かせるのだ。
前回のキノコの暴走で取りやめになるハズであったが整備、開発の都合上１機だけ残されていた。
その１機がフィールドランサー、二連装荷電粒子砲という基本装備で出撃しようとしていたのだった。
「誰だーそのエステバリスに乗ってるヤツはー」
ウリバタケの大声にも動じることなく重力カタパルトにたどりつくと、
「さぁて、１年以上乗ってないけどカンが鈍ってないといいんだけど」
「サブロウタさん、そんなとこでなにしてるんですか？ＩＦＳも付けずにコントロールできませんよ？」
メグミ問いかけに
「大丈夫ですよ、適性があるのは判ってましたから今回乗艦したときにハーリーに頼んでやってもらいましたから」
「ハーリー君、後でお仕置きです」
「ルリさん、ひどい」
「そんなわけで、サブロウタ出撃します」
「待ってくださいサブロウタさん。ここで木連側とは戦えません」
ユリカが発言しなければいけない内容なのだが状況に置いて行かれたらしいのでルリがサブロウタを制する。
「どういうことですか？それに出撃しなきゃナデシコが落とされてしまいますよ？」
「サブロウタさん、敵の狙いはそこですよナデシコが反撃に出るのを待っているんです。
その証拠に攻撃開始から直撃性の当たりは１発もありません。
ミナトさんここは相転移エンジン全開で逃げちゃってください。」
「了〜解、了〜解」
突然弾かれたように宇宙を疾走するナデシコ。しかし、敵は追いかける素振りすら見せない。
そんな敵の様子に不安を感じたユリカは
「ルリちゃん、今のエンジン出力は？」
「８５％です、どうかされたですか？」
「敵が追いかけてきてないの。前方の索敵を強化しておいて」
そこにメグミから報告が入る。
「前方、暗礁宙域のチューリップから無人有人兵器大量に出てきます」
ブリッジのルリと格納庫のサブロウタの顔が青くなる。
「オモイカネ、どうしたらいいの？」
『ここで停船すれば前後からタコ殴りです。
全開で敵包囲網を突破後、反転して攻撃するのが有効な作戦と思われます。』
「艦長、オモイカネの立てた作戦です」
作戦の描かれたウィンドゥを頭上のユリカに送る。
作戦は直ちに実行されナデシコはまるでシャトルの様に敵陣の中をかける。
敵陣を突破し反転のために減速しようとしたときだった。
「前方３０ｋｍ新たなボソンアウト反応」
ハーリーの報告は絶叫にも似ていた。
「質量推定します…………ウソッ？」
ラピスにとっては見慣れた反応だった。
「ルリ、この報告していいの？」
「どうしたんです？ラピス………戦艦クラスということにしておいてください」
「ボソンアウト。顕在化します。ミナトさん回避してください」
二隻はモロに衝突コースにあったのだ。
ナデシコが回避した時に謎の戦艦からブリッジにいたアキトのところにコミュニケで通信が入る。
「ア〜キ〜ト、大丈夫だった？」
「ユリカ、今は戦闘中だろ？真剣にやれ」
後ろを振り返りユリカを睨もうとするが彼女の前にコミュニケは開いていない。
「と、言うことは？」アキトの顔が見るも無惨に青ざめていく。
「グラヴィティブラスト、発射」
敵艦隊は思いも掛けない攻撃に爆発四散して消えていった。
反転して謎の戦艦に並ぶナデシコ。謎の戦艦はナデシコとほぼ同じ形をしていたが色が銀と青だった。
「こんにちは〜、ナデシコＢ臨時艦長のテンカワ・ユリカで〜す」
と爆弾発言をしてしまった。
これには、ナデシコクルーのほぼ全員が驚いたが
ルリ、ラピス、ハーリー、アカツキとジュンだけが平静のままだった。
前三人は事実を知っていたためだが後ろの二人は事実とユリカの性格から推定したことだった。
アキトに詰め寄ろうとした某同盟の面々だったがそれぞれの前に鏡が映った、否少し成長した自らの姿だった。
「アキトさん、これからどうされるんですか？」
ルリはアキトを問いつめようとするが彼の姿はブリッジに無かった。ボソンジャンプ反応も無い。
アキトは格納庫に向かって走っていた。ブローディアで逃げようと思っていたのだ。
しかし、格納庫で彼を待っていたのは四機のエステバリスとダリアだった。
「アキト、どういうことなのか説明してもらおうか？」
北斗の顔はまさに羅刹だった。
オレンジ色のエステバリスカスタムから降りてきたヒカルが過去の自分の脇に立つ暑苦しい青年？に尋ねた。
「誰、あなた？」
「俺の名前は…………ヤマダ ジロウだ」
「フ〜ン（さすがアキト君、死んでしまうハズの人間も助けるとは）」
リョーコはアリサに、アカツキはイツキに、格納庫の中は質問と回答が飛び交っていた。
北斗をなんとか宥め疲れ切った顔でブリッジに戻ってきたアキトを待っていたのはＷな抱擁だった。
「アキトがルリちゃんと行方不明になってからぁ、ユリカ必死に探したんだよぉ。
イネスさんに手伝ってもらってアキト達の行き先を特定して、フィールドを強化したナデシコＢ造ってもらって……」
その先はもう言葉にならない、ただ号泣があるだけだった。
「ル、ルリちゃん。どうにかしてよ」
ルリに頼み込もうとしたアキトだったが
「知りません。アキトさんの個人的問題ですから」
ルリは少し怒っていたようだ
そして物語は、誰も知らない方向に進んでゆく
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あとがき
初めて投稿させていただきます。紅い巨星と申します。
構想三日執筆三時間、中途半端ですが続きは無いと思います。
感想は掲示板の方にでも書いておいてください。
感想がよい方向に多ければ続きを書くかもしれません。
管理人の感想
紅い巨星さんからの初投稿です！！
意外な人物の登場ですね〜
しかも、他の女性陣も連れて着てますし（笑）
問題なのはウリピーのことですね。
・・・やはり、付いて来てるんだろうか？
色々な意味で危ないと思いますけどね〜、ウリピーが二人（核爆）
正妻（笑）の登場に、同盟の人達はどう対処するでしょうか？
凄く先が楽しみですね！！
では、紅い巨星さん！！ 投稿有難うございました！！
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