時の流れに ａｎｏｔｈｅｒ
火星極冠遺跡
火星極冠遺跡：古代火星にて極度に進んだ技術を持っていた知的生命体の作った大演算装置。
ボソンジャンプのブラックボックス。
今時大戦の根本はこの遺跡の所有権が関わっている。
しかし、草壁一派がどんなに猛ろうが、自身が遺跡を使用することは不可能なのであるが、
彼には裏の仕事の実行部隊がいた。エースであった北辰は失ってしまったが部隊はまだまだいる。
彼にとって最大の痛恨事は北辰、山崎が死んだことによって北斗をコントロールする術を失ってしまったことだった。
「草壁閣下、ナデシコが単艦、火星に向けて月を出発したそうです。」
部下からの報告に、気弱な考えを捨て部下に指示を出す。
「我が指揮下の艦隊を全て集めよ。ナデシコが火星に到着する前に叩くぞ」
「ハッ。明〇〇三〇には発進できるように準備致します」
二時間後に発進できるという部下の言葉にうなずく。
予定より三〇分早く木連軍旗艦艦隊は発進した。
木連軍旗艦艦隊：戦艦三十隻、無人艦総数、百二十隻、有人兵器六十機、無人機動兵器一万三千機
ナデシコ一隻を叩くには多すぎる数だった。
それもそのはず、草壁はナデシコを叩いた後、
そのまま地球に侵攻しナデシコのいなくなった地球を叩く気でいたのだ。
しかし、旗艦艦隊左翼には、舞歌の忠臣アララギ少佐率いる艦隊（戦艦一隻、無人艦四隻）がいることを
草壁もその部下たちも忘れていた。
ところ変わって、大型戦艦、Ｆ・ナデシコのメインブリッジ
「ユーチャリス、コスモスⅡ光学迷彩終了。これで、見た目にはナデシコしか見えません。
アキトさん、このまま火星に向かわれますか？」
「そのつもりだけど、ルリちゃん、何か意見があるかい？」
「いえ、どこかの宙域で演習を行ってからの方がいいと思ったんですが」
「テンカワくん、私も時間があればどこかの宙域で演習を行ってからといいたいところだけど
今は、一刻も早く火星に向かいましょう」
「そうですね、舞歌さん、悔しいですが今は時間がありません。
しかし、俺はこのメンバーがナデシコのクルー選出時の条件《腕は一流》にあっているものであると確信していますから」
考えれば当然である。ナデシコ、ユーチャリスのクルーは、その選出条件によって選出されたメンバーなのだ。
コスモスⅡのクルーは木連でも優秀な優人部隊の面々。
しかし悲しいかなアキトは口にこそ出さなかったが、このメンバーはナデシコのクルー選出時の条件
《腕は一流、その人格は問わない》をしっかり満たすものだった。
月面基地発進からわずか１週間、Ｆ・ナデシコは火星まで後１日の距離にいた。
丁度今はお昼時、艦長であるはずのアキトが厨房にたち、ブリッジクルーの分を作っていた。
と、そこに当直でブリッジにいたハーリーから通信が入る。
「テンカワ艦長、変です。木連旗艦艦隊が本艦を包囲するように展開、機動兵器が発進しています」
何気ない報告だった。しかし、ルリ、アキト、ユリカ（未来ver.）、ユリカ（過去ver.）、
舞歌の第六感に引っかかるものを感じた。
「ハーリーくん、これから全員ブリッジに戻る。奴らはやる気だ。」
そこで一度言葉を切ると
「ホウメイさん、多分戦闘になりますんで、戦闘食を配布しておいてください。」
クルーは今までの三倍、しかし厨房要員は二倍にしか増えていなかった。
（内訳はホウメイ×２、ホウメイガールズ×２）
仕事は実質５０％増。ナデシコで一，二を争う忙しい仕事場となっていた。
アキトらが、ブリッジについたとき草壁麾下の艦隊は、既に展開を終えていた。
アキトは、艦長用のフードを脱ぐと、
「ルリちゃん、光学迷彩解除。Ｆ・ナデシコ全乗組員に通達。
敵が発砲したら攻撃開始。絶対にこちらから発砲させるな。
それと、全パイロットに出撃要請」
言い終わるやいなや格納庫に向かって走る。
格納庫には、既に全パイロットが集結し、指揮官たるアキトの到着を待っていた。
「左翼にナデシコパイロット、右翼にコスモスⅡパイロット、中央は俺とユーチャリスパイロット。
北斗は遊撃してくれ」
「了解」
改装工事の１ヶ月は無駄なものではなかった。
ユーチャリスパイロット（未来から片道切符でやってきたパイロット）
もどうにかカスタムエステを使いこなせるまでになっているのだ。
もともと腕のいいパイロットが揃っていたナデシコに優人部隊が加わり更にその意味を深めていった。
今の彼らにとって、今回の戦力差１対１５０（母艦比）は圧倒的とは思えなかった。
この戦場に不幸な軍人がいるとするならばそれは、紛れもなく木連の一般軍人だろう。
自分たちは１５０隻の旗艦艦隊、それに対するナデシコには《戦神》がいるといっても戦艦は１隻のみ、次元歪曲場を張っていても、
それを上回るエネルギーで攻撃すれば一瞬で勝負は決まるハズだった。
しかし、現れたナデシコは大型化しており、《戦神》が２人も居たのだ。
それに加えて、通常機動兵器はローテーションを組んでバーストモードの連続使用の構えをとっていた。
しかし、ナデシコ側からは、一切仕掛けてこない。
歴戦の勇とも言えるナデシコクルーに対して、木連側のクルーは練度が低かった。
そして、１番最初に発砲したのは草壁座乗旗艦のクルーだった。
開戦
Ｆ・ナデシコは攻撃は多連装グラヴィティブラストとリフレクターフィールド。
防御はディストーションフィールド３枚展開をしている。
機動兵器たるエステバリス部隊はローテーションを組んでバーストモードの連続使用するまでもないと感じたのか
通常のフォーメーションで戦闘していた。
エステバリス隊が機動兵器や無人戦艦を相手にする中を、アキトと北斗の２人がペアを組んで戦艦を戦闘不能にしていった。
決して撃破したりはしなかった。
そんな中、アララギ艦隊は開戦と同時に寝返っていた、否、本性を表していた。
戦闘が一区切りを迎えたとき、木連側で戦闘力が残っていたのは開戦の一発を放った旗艦第１２砲塔ただ１基だけだった。
そのほかには１人の死者も出すことなく全戦闘力を奪っていた。
アキトと北斗の２人が並んでブリッジの前にたつ。当然のようにその両脇にはエステバリス部隊が並んでいた。
後方からＦ・ナデシコが接近するのを待って、アキトが口を開いた。
「草壁中将閣下とお見受けする。
自分は連合宇宙軍第１３独立機動艦隊旗艦Ｆ・ナデシコ艦長のテンカワ・アキトです。
和平のための話し合いということでしたが今回の攻撃はどのような事態が発生したのでしょうか？」
事情の全てを知っているにもかかわらず平静を装っていうアキト。
対していた草壁は生来の熱血性の人間であった。アキトの平静ぶりが感に障ったのか本音がでる。
「なにが和平だ。真の和平とは我々木連軍人が我々の正義の元に統べたときに成されるものなのだ」
「それは地球側の人間にとって支配以外の何ものでもありませんよ？」
「貴様ら悪の地球人に和平の席に座る資格はない。貴様ら地球人が過去になにをしたのか知っているのか？」
「では、貴様らが今の戦争で火星や地球に何をしたか、覚えているか？」
「それは、我々の当然の権利だ」
「では、俺たちにも同様の権利があるはずだよな？」
「それは我々正義の人間にのみ許された権利だ」
「正義は戦場にいる人の数だけ存在するんだ。
唯一絶対の正義など、宗教とアニメの中以外には存在しないんだ」
草壁とアキトの会話は終わることなく続くように思われたが、
「行動可能な、全木連戦艦に告ぐ。全艦ナデシコに体当たりをかけよ」
草壁は本格的に切れたようだ。いかなる手段を用いてでもナデシコを亡き者にしようとしている。
「ハーリー君、ナデシコをあなたに任せます」
初めて見せるシステム掌握戦術、ルリとラピスのシステム掌握でナデシコブリッジのモニターに映っていた敵艦が
ナデシコを中心に赤から青に変わっていく。
初見では防壁を張ることもできずに木連艦隊はシステムを掌握されてしまった。
再び口を開きかけたアキトだったが旗艦ブリッジの草壁の姿が消えていた。
旗艦の非常ハッチが開き、ダリア（なぜかゲキガンガーカラー）が飛び出してきた。
「テンカワ・アキト、私と１対１で勝負しろ」
草壁が宣言するが当のアキトは冷静に
「やめろ草壁。訓練をせずにそれに乗ってもＧで気絶するだけだぞ」
忠告に耳を貸さずにアキトに襲いかかってくる草壁。
無人機動兵器と共に襲いかかるがブローディアに勝てるわけがない。
ユリカ（未来ver.）が無人機を一掃しようとグラヴィティブラストを発射したとき、草壁が射線に飛び込んできた。
草壁から射線を挟んで反対側にいたアキトを狙っての行動だった。
ＤＦＳで斬りかかろうとしていた草壁はグラヴィティブラストに巻き込まれ、消滅した。
「あれ？抗戦派の首領を一掃してしまったぞ？」
ブリッジに戻ったアキトが素直な感想をもらした。
「今現在、木連で一番上なのは舞歌殿だな」
月臣がいう。当の舞歌は赤くなりながら
「確かに階級でいけば最も上なのは私になるでしょうが、政治家が抗戦派なのも事実です。
私たちは、これから帰って木連側の説得に当たろうと思いますが、ナデシコの皆さんは如何なされます？」
「何をいってるんです、舞歌さん。このＦ・ナデシコのクルーである以上あなた方もナデシコのクルーですよ？
しかも、木連の人間と地球の人間がうまくやっていけるという事の証明なんですよ。
あなたが木星に戻られるならこのＦ・ナデシコ全員でお供致しましょう。」
「あ、ありがとう」
アキトの言葉に舞歌は感動の涙を流していた。
そしてそれがブリッジにいた全員に伝染するまでさほど時間はかからなかった。
「さて、それではテンカワくん、号令をお願い」
顔を洗ってさっぱりした舞歌がアキトに声を掛ける。
「総員持ち場に着いてくれ。今回の目的地は木星、大型機動戦艦Ｆ・ナデシコ………発進」
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次回は、木星にいきます。
草壁が死んだ後残された裏の部隊は、どうするのでしょうか？
管理人の感想
紅い巨星さんからの投稿です！！
問答無用の強さですね（笑）
しかし、草壁は最後まで見せ場が無かったな・・・
まあ、台詞があっただけ山崎や北辰より扱いがマシか（苦笑）
しかし、このまますんなりと和平は成るのでしょうか？
続きが楽しみですね！！
では、紅い巨星さん！！ 投稿有難うございました！！
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